自動ドアが開きっぱなしで閉まらない——
その現象、必ずしも「故障」ではないかもしれません。とくに「火災」や「停電」などがあったわけではないのに、なぜかドアがずっと開いて戻らない…。そうしたときに関係している可能性があるのが「パニックオープン」という機能です。

本記事では、「自動ドアが閉まらなくなった…どうしよう」と困っている現場担当者のために、「パニックオープンとは何か?」から、「自分でできる復旧方法」「復旧時の注意点」までを、手順付きでわかりやすくまとめました。

今まさにトラブルに直面している方にも、過去に経験して事前対策を探している方にも、役立つ内容をお届けします。


目次(このページの内容)

そもそも「パニックオープン」とは? どんなときに起こるのか

要点: パニックオープンとは、火災や停電などの非常時に、ドアが自動で開いたままになる「人命優先の安全機構」です。

「パニックオープン」は、自動ドアに備わっている安全設計のひとつです。名前の通り、パニックが発生しうる状況、たとえば「火災」「停電」「地震」などの際、人がドアに殺到しても出られるように、ドアを開いたままにする機能です。

この機構は、制御装置の電源が断たれた際、自動的に作動します。多くの自動ドアでは、ドアクローザーやバネの力で自動的に開きっぱなしになるように設計されています。

つまり…

  • ドアが開いたまま=「安全設計が正常に作動している」可能性がある
  • 故障や不具合とは限らない
  • むしろ人命を守るために「そうあるべき状態」かもしれない

こうした仕組みを知らないと、「故障だ!」と焦ってしまうのですが、実際には**パニックオープンは“安全装置が働いた証拠”**でもあります。


パニックオープンかどうかを見分けるポイントは?

要点: センサーの動きや電源の状態、非常用開ボタンの点灯などを確認すれば「ただの故障」との違いがわかります。

自動ドアが開きっぱなしのとき、「パニックオープン」かどうかを見分けるには、次のような点を確認しましょう。

見分けポイント1:電源は入っているか?

  • 他の機器や照明が正常に作動しているかチェック
  • 制御盤やリモコンに電源ランプが点灯しているか

→ 電源供給がない=パニックオープンの可能性が高い

見分けポイント2:センサーが反応しているか?

  • ドア前に立っても反応せず、開閉の動きがないか?
  • ドアが人を感知しているが閉じようとしないか?

→ 感知しているが閉まらない=誤作動の可能性もあり

見分けポイント3:非常ボタン(開錠ボタン)が点灯していないか?

  • ドア付近に赤や緑のボタンがないか確認
  • 誤って押されていないか、固定状態になっていないか

→ 非常ボタンが作動していると、意図的に開いたままになる

見分けポイント4:一瞬だけ閉じようとするが止まる?

  • 再起動後などにドアが動きかけて止まる場合は、センサーか安全装置の異常の可能性あり

→ 無理に閉じようとすると危険。冷静に状況を把握することが大切です。


復旧前に絶対に確認すべき「安全上の注意点」

要点: むやみに手で閉めたり、通行者がいる状態で復旧操作をしないこと。重大な事故のリスクがあります。

自動ドアは、見た目以上に重量があります。また、誤った復旧操作や再起動を行うと、思わぬタイミングで急に動き出すことがあります。以下の点を必ず守ってください。

注意1:無理に手で動かさない

  • 機械的な構造が破損するおそれがあります
  • 指を挟んだり、ケガの原因にもなります

注意2:周囲に人がいない状態で作業を行う

  • 特に商業施設やマンションの共用部では、「立ち入り禁止表示」を設置
  • 通行人の安全を最優先に

注意3:非常ボタンが押された状態で復旧しないこと

  • ボタンがロック状態になっていないか、必ず確認してから操作を始める

注意4:復旧作業中は途中で離れない

  • 状況に応じてドアが動くことがあるため、必ず監視しながら行う

自分でできる「パニックオープン復旧」の一般的な手順

要点: メーカーや型番によって異なる部分もありますが、多くの自動ドアでは次のような手順で「一時的な復旧」を試みることができます。

⚠️ 実施はあくまで自己責任で。安全のために最小限の動作確認にとどめましょう。


手順1:電源を一度オフにする(ブレーカーまたは主電源)

  • 自動ドアの制御盤や専用ブレーカーを一度オフにして、数分待ちます。
  • 再度オンにすると、初期化動作に入り、自動的に閉まる場合があります。

※特に停電明けや雷の後など、電気的なトラブルで作動不良が起きた場合に有効です。


手順2:非常ボタン(開放ボタン)の解除を確認

  • 誰かが非常開ボタンを押してしまっていないか?
  • ボタンが赤く点灯したままになっていないか?
  • ボタンを押して離しても戻らない場合は、ロックされている可能性あり

→ 非常開放状態が解除されれば、自動的にドアが閉まる機種もあります。


手順3:操作盤(リモコン)の初期化やモード切り替え

  • 操作盤に「初期化」「手動/自動切り替え」などのボタンがある場合、それを利用してみる
  • 「リセット」「モード解除」などの記載がある場合、説明書に従って操作

一部機種では、誤作動後に再設定が必要なものもあるため注意。


手順4:ドアレールやセンサー部の点検

  • ごみや異物がセンサーやレールに引っかかっていないか
  • ガイドレールに段差や障害物がないか

→ 異物を取り除くだけで正常に戻る場合もあります。


備考:復旧の判断には「音」や「動き出しの兆候」がヒントになる

  • モーター音が聞こえるか?
  • ドアがわずかに動く気配があるか?
  • センサーが反応する音やランプが点灯するか?

「無音」「無反応」であれば、制御盤内部の故障の可能性があり、自力での復旧は難しいケースです。


それでも復旧しないときは? 業者に依頼すべきタイミング

要点: 次のような状況では、速やかに専門業者に依頼しましょう。

プロに相談すべきサイン

状況判断ポイント
全く動かない電源オンでもランプがつかない、センサー反応なし
異音がするモーター音が異常に大きい、引っかかる音がする
開閉動作が不安定開いたまま/閉じたままから戻らない
復旧しても再発する一度閉まっても、すぐにまた開きっぱなしになる

「待てば直る」は危険

「ちょっと時間をおけば直るかも」と思って放置すると、安全上のリスクや、建物の信頼性への影響にもつながります。


業者依頼の際に伝えるべきポイント

  • 「いつから開いたままか」
  • 「直前に起こった停電・雷など」
  • 「操作盤やボタンの状態」
  • 「復旧を試した手順と結果」

これらの情報が揃っていると、現場対応がスムーズになり、復旧時間も短縮されます。


【適ドア適所】から見た「パニックオープンが起きにくい設計」とは?

要点: 電気トラブルが起きても、ドアが動かなくならない設計=「荷重式」のような電源非依存型の自動ドアに注目。

現在多くの施設に導入されているのは「電動式自動ドア」ですが、これには「電気が途切れると動かない」という宿命があります。

それに対し、「荷重式自動ドア(Newtonドアなど)」では…

特徴比較

特性電動式自動ドア荷重式(Newtonドアなど)
電源依存必須不要(手動で自然開閉)
停電時の動作開いたままになる(パニックオープン)開閉可能(復旧不要)
機械故障時の対応基本的に業者依頼最低限の動作継続可能

こうした観点から見ると、「安全性」と「管理の手間」の両面で、**用途や施設の性質に応じたドア選び(=適ドア適所)**が重要だといえます。


FAQ:パニックオープン・復旧に関するよくある質問


Q: 自動ドアが勝手に開きっぱなしになったら、まず何を確認すべき?
A: 電源が入っているか、非常開ボタンが押されていないか、操作盤の状態を確認しましょう。


Q: 復旧操作をしても動かないとき、どうすれば?
A: センサーや操作盤の異常、制御装置の故障が疑われます。安全のため業者に連絡を。


Q: パニックオープンはどのメーカーでも同じ仕組みですか?
A: 原理は似ていますが、復旧方法や装置構成はメーカーごとに異なります。


Q: 停電でパニックオープンになるのは正常ですか?
A: はい。多くの自動ドアは、停電時に人命を守るため開放状態になります。


Q: 自分で直すのは危険ですか?どこまでなら試してOK?
A: 電源のリセットや非常ボタンの確認までが基本です。それ以上は専門業者に依頼を。


Q: 安全性を重視した自動ドアの選び方は?
A: 停電や電気トラブルにも対応できる「荷重式」など、建物や用途に合った選定が重要です。


【適ドア適所】にそった「まとめ」


自動ドアが開きっぱなしになったとき、それが「故障」なのか「安全機構として正常に作動しているのか」を見極めることが、最初の一歩です。

とくに「パニックオープン」は、火災・停電などに備えた大切な命の守り手。むやみに手を加えるより、まずは状態を正しく把握することが大切です。

そして、復旧の可否や操作の範囲を超える場合には、プロの手に委ねる判断も、安全確保の一部です。

さらに重要なのは、「そもそもパニックオープンが起きにくい設計」にするという視点。
荷重式のように電源を必要としない自動ドアであれば、停電時にも開閉可能で、「復旧」という概念自体が不要になります。

つまり、施設や用途に応じて「電気式か、荷重式か」という判断を行うこと。
これが、私たちが提唱する「適ドア適所」の考え方です。


【出典】

地震など長期停電でも、止まらず動く
「事故が全くおきない」国も認めた安全自動ドア
アナログの特許構造で壊れないから修理費も0円

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