「店舗をつくる=内装をオシャレに整えること」──そんなイメージだけで、店舗設計の依頼を進めると、後で「こんなはずじゃなかった…」と後悔することになりかねません。
実は、店舗設計は単なるデザインの話ではありません。お客様の回遊動線、スタッフの動きやすさ、光の入り方、コスト感、さらには売上やリピート率にまで関わる「戦略的な設計」です。

この記事では、店舗設計の依頼を考えているあなたが、失敗なく、納得いくお店づくりができるように、以下の7つの視点から徹底解説します:


目次(このページの内容)

「店舗設計」ってどこまでやってくれるの?

問い:店舗設計の業務範囲って、内装デザインだけ?

答え:いいえ。設計は、内装だけでなく、動線計画や法規対応、設備設計など多岐にわたります。


要点:

  • 設計と施工は別物:設計は「計画を立てること」、施工は「実際につくること」
  • 設計士・デザイナーの役割は「空間の戦略家」
  • 業種によって求められる設計内容は大きく異なる(例:美容室と飲食店では厨房や配管の設計が全く違う)

解説:

設計と聞くと、「壁紙や照明のデザインを考えてくれる人」と思う方も多いのですが、店舗設計が担う範囲はそれだけにとどまりません。

例えば、飲食店であれば、厨房機器の配置、排気や換気の計画、動線の効率化、冷蔵庫の位置や配線計画などが必須です。美容室やクリニックなら、水回りの位置や椅子・ベッドの間隔、安全基準のクリアなど、さらに業種特化の知識が必要になります。

また、「建築基準法」「消防法」「バリアフリー法」など、守らなければならない法的な要件にも対応する必要があり、素人では見落としがちなポイントも多いのです。


注意点:

  • デザイン事務所の中には、法規制対応が弱いところもあります。用途変更や面積制限など、行政対応も想定してくれる設計士を選ぶことが重要です。
  • 「見た目の良さ」だけで判断しないこと。収益性や動きやすさにも直結します。

関連項目:

  • 建築設計士 vs 空間デザイナーの違い
  • 自社で施工まで請け負う一体型業者のメリットとリスク

いつ・どの段階で依頼すればいい?

問い:店舗設計って、いつのタイミングで依頼すればいいの?

答え:物件探しと同時、またはその直後がベスト。遅れると「選べる選択肢」が減ってしまいます。


要点:

  • 設計依頼は「内装工事の前」では遅い
  • 理想は「物件の選定と並行」して設計士に相談を始める
  • 設計士によっては、物件選定からサポートしてくれる場合もある

解説:

多くの方が「物件が決まってから設計事務所に連絡すればいい」と考えていますが、それでは遅すぎることが多いです。なぜなら、物件によってできること・できないことが変わるからです。

例えば、天井が低い物件では照明計画に制限が出たり、厨房設備が設置できない場合もあります。また、物件に既存の設備があるかどうかで、設計の自由度とコストが大きく変動します。

このような事情をふまえると、**「この物件にするかどうか」**という段階で、設計士と一緒に現場を見てもらえるとベストです。多くの実績を持つ設計事務所は、物件の「良し悪し」や「使えるポイント」「注意点」をその場で教えてくれるため、非常に心強いパートナーになります。


実務でのタイムライン例:

  1. 物件候補がいくつか出た段階で設計士に連絡
  2. 現地同行で、動線や設備の可能性をチェック
  3. 仮レイアウト・概算見積もり
  4. 問題なければ物件契約 → 設計本格化

注意点:

  • 内装業者や施工会社に直接依頼すると、設計の自由度が下がるケースもあります。
  • 「あとから変更できるだろう」はコスト増の原因に。設計は最初が肝心です。

関連項目:

  • スケジュール感の目安(計画〜開業まで)
  • 設計と施工の「分離型」か「一括型」かの選び方

失敗しないための「依頼先の選び方」5つの視点

問い:設計事務所やデザイン会社ってどう選べばいい?

答え:実績・得意分野・コミュニケーション力・費用構造・施工との連携体制の5つで見極めましょう。


要点:

  • 「なんとなくセンスが合いそう」で選ぶと失敗しやすい
  • あなたの業種を熟知した設計者を選ぶことが重要
  • 設計と施工が別か一体かで、動き方やトラブルリスクが大きく変わる

解説:

依頼先を選ぶとき、つい「デザインが好みかどうか」だけを重視しがちですが、それは5つのうちの1つの要素に過ぎません。以下の5点でチェックすることで、失敗確率は格段に下がります。


見極めの5視点:

  1. 実績と業種特化性
     - 過去にどんな業態(カフェ、美容室、物販、クリニックなど)を手がけているか
     - 専門知識の有無で、厨房配置や水回り設計などの質が大きく変わる
  2. 得意分野とデザイン性
     - シンプルな空間が得意な設計士もいれば、装飾的な店舗を好む事務所もある
     - ポートフォリオを見るだけでなく「なぜこう設計したか」の説明を聞くと本質が見える
  3. コミュニケーション力
     - 要望をきちんと聞いてくれるか
     - 専門用語を噛み砕いて説明してくれるか
     - LINEやZoomなどでスムーズに相談できるかもポイント
  4. 費用と契約形態の透明性
     - 設計料が「定額」「面積で変動」「見積込み」など、形式を確認
     - 着手金や中間金など、支払スケジュールも重要
  5. 施工との連携体制
     - 自社施工が可能か、または提携業者がいるか
     - 設計と施工が分離していると、施工時に「言った・言わない」が起きやすい

実際に多い失敗例:

  • 「デザインは良かったが施工がうまくいかなかった」
  • 「施工会社にうまく伝わっておらず、希望が反映されていなかった」
  • 「見積の追加がどんどん増えて予算オーバー」

選定時のチェックリスト:

  • ☑ 自分の業種の設計実績があるか?
  • ☑ 話しやすい相手か?
  • ☑ 提案に「理由」が説明されているか?
  • ☑ 設計後も施工に関わってくれるか?

費用・見積もりの考え方と注意点

問い:店舗設計っていくらかかるの?見積もりはどう見ればいい?

答え:相場は「坪単価×店舗面積」で算出されることが多く、設計料と工事費を分けて考えるのが基本です。


要点:

  • 設計料と施工費は別物として理解すること
  • 「坪単価」はあくまで目安、内訳を精査しないと後で追加費用が発生しがち
  • 見積書には「見落としがちなコスト」が埋もれている

解説:

店舗設計・施工の費用は、概ね「坪単価×面積」で語られることが多いですが、この数字だけを鵜呑みにすると危険です。というのも、「どこまで含まれているか」が業者によってまちまちだからです。


一般的な費用構成(例:カフェ20坪の場合)

項目金額の目安備考
設計料50〜150万円規模・内容・実績による
内装工事費500〜1,200万円使用素材・設備のグレードで変動
厨房・設備費200〜500万円飲食業種では大きな比重
電気・空調・給排水150〜300万円ビルによって制約もあり
諸経費・管理費工事費の5〜15%程度共通仮設費、搬入経費など含む

よくある「見落としがちなコスト」

  • 空調・給排水の工事費(見積外になっていることが多い)
  • 既存設備の解体撤去費(「現状回復費用」とも)
  • 役所への申請費用(消防、建築確認など)
  • 看板や外装工事の一部が別途になっているケース

見積書のチェックポイント

  1. 設計料と工事費が明確に分かれているか?
  2. 「○○一式」の表記が多すぎないか?
  3. 見積に含まれない別途費用のリストはあるか?
  4. 複数の見積書で、単価の比較ができるようになっているか?

注意点:

  • 「安さ」だけを追うと、後で追加請求がくるリスクあり
  • 「見積を取ったけど内容が全然違う…」というのは、設計範囲・仕様・管理体制が違うから

補助金・助成金の活用

  • 自治体によっては「創業支援」「省エネ改修」などの補助金あり
  • 設計士が申請サポートしてくれるケースもある
  • 「設備に強い設計士」は補助金との相性も良い

自分の理想を伝えるヒアリング準備術

問い:設計士にイメージをどう伝えれば、自分の理想通りになるの?

答え:言葉だけでは不十分。画像・寸法・導線・用途まで、ビジュアルと機能の両面で共有することが大切です。


要点:

  • 設計士との打ち合わせでは「言語化」と「ビジュアル化」が両輪
  • 理想の店舗写真だけでなく「嫌いなデザイン」も共有すると精度が上がる
  • 導線や業務フロー、収納の使い方までイメージを持っておくと良い

解説:

店舗設計で最もよくあるトラブルが、「思っていたのと違った…」という完成後のギャップです。
これは、設計士の理解不足ではなく、「伝えきれていなかった」ことが原因である場合がほとんどです。

設計士に伝えるべき情報は、大きく以下の3つの軸に分けて整理すると伝わりやすくなります。


要望整理の3つの軸:

  1. ビジュアル・雰囲気(イメージ)
     - 「こんな雰囲気にしたい」「こういう空間が好き」
     - Pinterest・Instagramなどで収集した写真が有効
     - 「こういうのはNG」という画像も集めると伝わりやすい
  2. 機能・使い勝手(業務フロー)
     - スタッフがどう動くか
     - お客様の導線(入り口から注文、滞在、退店まで)
     - 収納や作業スペースの広さ、手の届きやすさ
  3. 空間の使い方と目的
     - 「回転率を上げたい」「長居してもらいたい」など店舗の戦略
     - 「スタッフ1人でも回せる設計にしたい」など運営条件

準備しておくと効果的な資料:

  • 理想の店舗写真10枚(雰囲気、素材感、什器の配置など)
  • 平面図のラフスケッチ(手書きでもOK)
  • 営業時間や想定客数、提供メニューや商品数の情報
  • 業務フローの箇条書き(例:注文→提供→片付け)

ヒアリング時の注意点:

  • 初回の打ち合わせでは「全部伝えきれない」のが普通。2〜3回に分けて詰めていく
  • 「○○っぽいけど、△△も好き」というような曖昧な表現もOK
  • 設計士との相性を測る意味でも、コミュニケーションは頻繁にとるべき

店舗設計でよくある落とし穴と成功のポイント

問い:店舗設計でよくある失敗ってどんなこと?それを防ぐには?

答え:多くの失敗は「準備不足」「確認不足」「役割分担の曖昧さ」から起こります。成功のカギは「設計段階で徹底的に話すこと」です。


要点:

  • 設計と施工の連携ミス、コミュニケーション不足がトラブルの主因
  • 「小さな不満」が「大きな後悔」に変わるのは完成後
  • 成功パターンは「相談段階で不安を出し切った」人に多い

実際にあった失敗例:

  1. 施工業者が設計意図を理解していなかった
     - 設計事務所と施工会社が別だったため、意図が伝わらず仕上がりにズレが出た
  2. 追加費用が発生し予算オーバーに
     - 当初見積もりに含まれていなかった給排水工事や看板施工費が後出しに
  3. 導線の悪さで回転率が下がった
     - スタッフ動線を考慮せずにデザイン優先で設計してしまい、営業中に混乱が発生
  4. 照明の明るさが足りなかった
     - 打ち合わせ時は日中で明るさに気づかず、夜の営業時に照度不足が発覚

成功している人の共通点:

  • 「初回打ち合わせ時から資料を準備していた」
  • 「設計士に何度も疑問や要望をぶつけて擦り合わせた」
  • 「スケジュール管理を自分でも把握して動いた」
  • 「設計士と施工者が一体のチームだった」

成功事例の一例(美容室):

「開業前に既に人気店の写真を大量に集めておき、業務フローも紙に書いて渡した。そのおかげで、設計士との認識ズレがほぼなく、初回提案の時点で理想にかなり近いレイアウトが出てきた。
また、内装・電気・給排水の全てを一括管理できる設計事務所に依頼したため、各業者との連絡も一本化され、工期もスムーズだった」


注意点:

  • 「あとで直せばいいや」はコストもストレスも倍に
  • 「なんとなく進める」のではなく、毎ステップで確認と納得を重ねる

【適ドア適所】で考える、設計段階からの入口設計のススメ(自動ドア選定の考え方)

問い:ドアって設計段階で決めるべき?後からでもいい?

答え:動線設計や設備レイアウト、エネルギー効率に大きく関わるため、ドア選びは設計初期に必須の判断項目です。


要点:

  • ドアの位置・開閉方式は動線設計の出発点
  • 店舗の「顔」として印象づけを左右する
  • 電気が必要な自動ドア or 電気不要の荷重式など、方式ごとの適正を見極める

解説:

ドアは、単なる出入り口ではありません。
設計全体において「お客様の動線の起点」であり、かつ「快適性や省エネ性」にまで影響する極めて重要なパーツです。

しかし実際には、ドアは「内装の仕上げ」扱いで後回しにされがちです。
その結果、以下のような問題が起こります:


よくあるドア設計の盲点

  • ドアの開閉スペースが什器やレジカウンターと干渉
  • 自動ドア用の電気配線が間に合わず、後付けで施工費が割高に
  • 見た目を優先して引き戸を設置したが、開閉音が大きく静かな雰囲気とミスマッチに
  • 冬場に外気が入りすぎて暖房効率が悪化、光熱費が上昇

Newtonドアの例で考える「設計連動型ドア選定」

Newtonドアのような荷重式自動ドアは、電気を使わないため配線不要で、設計の自由度が高まります。
また、省エネ性やバリアフリー性にも優れ、特に以下のような店舗に適しています:

  • 電源確保が難しいコンパクト店舗(飲食の路面店など)
  • 高齢者や子どもが利用する施設(整骨院、保育園など)
  • 省エネ設計を求められる自治体施設や助成対象事業

【適ドア適所】という考え方

すべての店舗に同じ自動ドアが合うわけではありません。
「用途」「立地」「利用者」「エネルギー管理」などを総合的に見て、店舗に最適なドアを選ぶ=適ドア適所の視点が重要です。


設計士と連携して考えるべきこと:

  • 店舗の開閉頻度(人の出入りの多さ)
  • 客層(子ども連れ?高齢者が多い?)
  • 内外の温度差(冷暖房効率への影響)
  • 自動 or 手動?引き戸 or 開き戸?荷重式 or 電動?

注意点:

  • 設計が進んだあとに「やっぱりドアを変えたい」は非常にコストがかかる
  • 入口まわりはデザイン性と機能性を両立させるべき部分。設計士に任せきりにしない

【適ドア適所】にそった「まとめ」

店舗設計は、ただ空間を美しく整えるだけの作業ではありません。
そこには、お客様の動きやすさ、スタッフの働きやすさ、法規制との整合、費用の最適化、ブランディング、そして経営の成功が密接に関わっています。

この記事でご紹介した内容を整理すると──

  1. 設計の役割は、デザインだけでなく機能・法規・導線・コストの最適化まで広範囲に及ぶ。
  2. 依頼のタイミングは早ければ早いほど有利。物件選定段階での相談がベスト。
  3. 依頼先の選定基準は、実績、得意分野、コミュニケーション力、費用構造、施工連携の5点。
  4. 見積もりと費用では、「何が含まれているか」を必ずチェック。特に別途費用に注意。
  5. 要望の伝え方は、ビジュアルと言語の両面から。事前準備が完成度を左右する。
  6. 失敗を防ぐには、確認・擦り合わせ・タイムライン管理の徹底がカギ。
  7. ドア選定は設計初期から。利用者や立地、エネルギー効率を考えた「適ドア適所」の視点が重要。

特に7点目の「入口設計」は、店舗の第一印象と快適性に直結するにもかかわらず、後回しにされがちな要素です。
Newtonドアのような選択肢も含め、設計士と早期に議論を始めておくことで、最もバランスの取れた空間設計が実現できます。


出典表示(参考情報)

  • 「Newtonドア.txt」ほか自社提供資料一式
  • 「NドアFAQ.txt」
  • 「Nドア顧客セグメントと導入事例.txt」
  • 一般公開の建築メディア・設計事務所の公式サイト(SERP調査結果に基づく)
  • 各自治体補助金要項(店舗設計における支援制度に関する記述)

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