新しくお店を始める、あるいはリニューアルを考えている。そんなとき、最初にぶつかるのが「店舗設計って、何をどうすればいいの?」という疑問ではないでしょうか。
店舗設計は単なる「内装デザイン」ではありません。入口のドア一つとっても、その選び方で集客や動線、安全性にまで影響を与える深い世界です。

この記事では、初心者の方にもわかりやすく「店舗設計とは何か」を解説しながら、プロも見落としがちな設計の盲点や、入口設計に関する重要な視点「適ドア適所」についても詳しくご紹介します。


目次(このページの内容)

店舗設計とは?どこまでを指す言葉なのか

店舗設計という言葉を耳にしたとき、多くの人が思い浮かべるのは「おしゃれな内装」や「什器の配置」といった、見た目に関わる部分かもしれません。
しかし、実際の店舗設計はそれよりずっと広く、深い範囲を含みます。

まず整理しておきたいのは、「設計」という言葉の指す範囲です。

**設計とは「目的を達成するための計画と図面」**のこと。つまり店舗設計とは、店舗という空間において「どのように売上を上げ、どんな体験を提供し、どんな運営を可能にするか」を、具体的な図面や仕様として落とし込むプロセスを指します。

用語としての定義:広義と狭義

  • 狭義の店舗設計
     → 建築士や設計士が作成する「図面」や「空間構成」の計画(間取り、レイアウト、意匠設計など)
  • 広義の店舗設計
     → 空間設計に加え、照明、音響、サイン計画、ブランドコンセプトの空間的表現、施工監理、運営のしやすさなどを含む「総合的な空間プロデュース」

現場では、これらの両方を含む意味で「設計」という言葉が使われていることが多く、依頼者と設計者で「設計の範囲」がズレてしまうこともあります。
たとえば「照明計画は設計に含まれていますか?」といった確認をしないまま進めてしまうと、後で思わぬ追加費用が発生することもあります。

設計と施工は別物

ここで大切なのが、「設計」と「施工」は別の工程である、という点です。

  • 設計:空間の内容・機能・素材・仕様を決めて、図面に落とし込むこと
  • 施工:決まった図面をもとに、実際に内装や設備を作り上げる作業

設計がしっかりしていないと、施工の段階でトラブルや手戻りが起こりやすくなります。逆に、設計の精度が高ければ、施工もスムーズに、予算通りに進みやすくなります。

店舗設計に含まれる主な要素

店舗設計では、以下のような多岐にわたる要素を扱います。

  • ゾーニング(空間構成)
     店舗の各機能(販売、バックヤード、レジ、トイレなど)の位置関係を決める
  • 動線設計
     お客様・スタッフの動き方を設計することで、回遊性や作業効率を向上させる
  • 意匠設計(デザイン)
     素材・色・質感・什器・壁・天井・床など、見た目と雰囲気を決める
  • 照明計画
     明るさだけでなく、商品の見え方・雰囲気・時間帯ごとの変化を考慮
  • サイン・案内表示計画
     お客様が迷わず動けるように、適切な誘導サインを設置
  • ファサード(外観)設計
     通行人への訴求力・看板・入口・ドアの構成
  • 音響・香りなどの環境設計
     ブランド体験として空間に統一感を与える
  • 防災・法規対応
     建築基準法、消防法、バリアフリーなどの対応設計

これらを「どの順番で、どう配置し、どう体験させるか」を設計するのが店舗設計の本質です。


なぜ店舗設計が重要なのか?「設計次第で失敗する」現場の声

店舗の印象や売上は「商品やサービスの質」で決まると思われがちですが、それだけではありません。
実際には、空間設計や導線の設計が、顧客の心理や行動に強く影響を与えているのです。

「設計なんて誰がやっても同じでしょ?」と思っていたオーナーが、開店後に「こんなはずじゃなかった…」と後悔するケースは少なくありません。
この章では、設計の重要性を「売上・体験・安全・運営」の観点から具体的に見ていきます。


顧客動線と購買行動の関係

店舗の中で「どこに何があって、どう回れるか」は、すべて動線設計の結果です。
たとえば、入ってすぐに見える商品が「売れ筋」であれば、来店者は自然とそれに目を留め、手に取りやすくなります。
逆に、良い商品でも動線の「死角」に配置されていれば、存在すら気づかれないことも。

また、飲食店では「最初に目に入る席配置」や「レジの位置」が、滞在時間や満足度、回転率に影響を与えます。
特に「どこで待つか」「どこで注文するか」がスムーズでないと、初見の顧客はすぐにストレスを感じてしまいます。


設計ミスが生む後悔・ロスの具体例

設計が適切でないと、開業後に次のような問題が起こりがちです。

  • レジ前に人が滞留して混雑する/通路がふさがれる
  • バックヤードが狭すぎて在庫管理ができない/人がすれ違えない
  • 外から店内の様子が見えづらく、入りにくい雰囲気になる
  • 照明が暗く、商品が魅力的に見えない
  • 導線が悪く、客が回遊せずにすぐ出て行ってしまう

これらはすべて「設計段階での想定不足」によるものです。
修正しようとすれば、開業後に工事やレイアウト変更が必要となり、コストも時間も大きく浪費することになります。


設計=ブランディングの一部

もう一つ見落とされがちなのが、「設計はブランドを空間化する行為」であるという視点です。

店舗の照明、色合い、素材感、匂い、音、導線の流れ……それらがすべて一体となって、「この店は何を大切にしているか」が伝わります。

たとえば、「落ち着いた空間で丁寧な接客を提供したい」と考えるなら、柔らかい間接照明や、自然素材の内装、静かな動線が必要です。
逆に、「活気とスピード感を売りにしたい」なら、明るい照明と直線的な動線、目立つサインが効果的です。

つまり、店舗設計は単なるデザインではなく、ブランド体験そのものなのです。


店舗設計の進め方|開業までのステップと注意点

「設計って、具体的には何から始めるの?」
そう思っている方も多いかもしれません。ここでは、初めての店舗づくりでも迷わないよう、設計から開業までの基本的な流れと、各ステップで気をつけるべき点を解説します。


1. 準備フェーズ:現地確認と要件整理

設計は「情報整理」から始まります。
立地の特徴、物件の構造、ターゲット層、提供する商品やサービス……これらを整理せずに設計を進めると、途中で齟齬が生じたり、無駄な修正が必要になることがあります。

ここでやること:

  • 物件の実測、寸法確認、天井高、柱・梁の位置などを調べる
  • 近隣環境・通行量・視認性を調査する
  • 想定する業態・客層・サービス内容を整理する
  • コンセプトを「誰に何を提供する空間か」に落とし込む

2. 基本設計:空間の全体像を決める

基本設計とは、空間の「骨格」となる部分を設計する段階です。
店舗のゾーニング、入口の位置、レジや厨房の位置などを決めていきます。

ここでやること:

  • 平面図(レイアウト)の初期案を作成
  • 導線計画(顧客・スタッフの動き方)を検討
  • 意匠(デザイン)の方向性、色、素材感の方針を決定
  • 設備(電気、空調、水回り)の配置をざっくり検討
  • 概算見積もりを取得し、予算と照合する

この段階で「入口のドアをどうするか」を検討し始めることが、後々の安全性や使いやすさを大きく左右します。


3. 実施設計:施工可能な図面を完成させる

ここでは、施工業者が実際に工事を行うための「詳細な図面」を作成します。

ここでやること:

  • 詳細な平面図、立面図、断面図、仕上げ表を作成
  • 設備(空調・給排水・電気・照明)の具体的な配置設計
  • 家具・什器・サインなどの仕様と位置を明確化
  • 消防法・建築基準法・バリアフリー法などの法規対応を反映
  • 必要に応じて、建築確認申請や消防署との協議

4. 施工・監理:実際の工事と品質チェック

図面が完成したら、施工業者と契約し、工事が始まります。
ここでも設計者やオーナーが「施工監理」として現場をチェックすることが重要です。

ここでやること:

  • 工事スケジュールと内容の確認
  • 中間検査や現場立ち会いで設計とズレがないかチェック
  • 配線・設備・什器の納まりなどの最終確認
  • 不測の事態に備えて柔軟な対応を用意

5. 開業準備:最終チェックと動線確認

工事が完了したら、実際の営業に向けて準備を整えます。

ここでやること:

  • 最終検査・完了報告書の取得
  • 家具・什器・備品の搬入
  • サイン・照明の点灯確認、音響・香りの調整
  • スタッフ動線、レジ操作、導線チェック
  • ソフトオープン(プレオープン)で最終検証

注意点まとめ:

  • 設計と施工の役割を混同しない
  • 入口やドアといった「初期でないと決められない要素」は早めに検討する
  • 予算は「デザイン・施工・備品」に分けて管理する
  • 設計者・施工者との連携は「目的共有」を大切にする

見落とされやすい「入口設計」|ドアは何を基準に選ぶべきか?

店舗設計の打ち合わせで、つい後回しにされがちなのが「入口の設計」です。
ですが、入口はお客様との最初の接点であり、第一印象と利用体験の出発点。だからこそ「入口のドアの選び方」ひとつで、お店の印象や機能性、安全性、運営効率が大きく変わります。


なぜ「ドア選び」が大事なのか?

ドアは単なる開閉装置ではありません。以下のような多機能な役割を持っています:

  • 空間の雰囲気を左右する(透明性・高級感・安心感など)
  • 顧客の入りやすさ・出やすさをコントロールする
  • 気密性・防音性・防犯性・断熱性などの環境性能を担う
  • 安全性やバリアフリーに関する法規対応が求められる部分でもある

にもかかわらず、「デフォルトで自動ドア」「とりあえず引き戸」など、根拠のないまま選ばれていることが少なくありません。


自動ドアはすべて電動式じゃない

よくある誤解として、「自動ドア=電動ドア」と思われがちですが、実は**電気を使わずに自動で開閉する『荷重式自動ドア』**という選択肢も存在します。

荷重式自動ドアとは?
人が上に乗ると、その重さでドアがスライドして開閉する仕組み。
電源を必要としないため、停電時や災害時でも開閉できるという大きな利点があります。


ドア選定の判断軸【適ドア適所】

Newtonドアを展開するNewtonプラス社が提唱する考え方に「適ドア適所」という視点があります。
これは、「ドアにも“その場所に合った最適な選び方”がある」という原則です。

判断の軸となる項目:

視点内容例
利用者の属性高齢者や子どもが多い場合は安全性重視、手動より自動向き
開閉の頻度頻繁に開閉されるなら耐久性やスムーズな動作が重要
停電時の対応無電源でも開閉できる荷重式ならBCP(事業継続)対応になる
外気との関係性密閉性が求められるなら気密性の高いドアが必要
メンテナンス性故障時の対応のしやすさ、部品交換の有無なども比較
コスト初期コスト+維持コストで考えるべき(電動ドアは維持費が高い傾向)

「自動ドア」が合わないケースもある

たとえば以下のような場合、あえて自動ドアを避けた方がよいこともあります。

  • 人の出入りが少ない業態(予約制サロンなど)
  • 静音性が重視される業種(図書館、寺院など)
  • 停電や機械の故障リスクを避けたい施設(避難所、非常口)

このように「どんなドアでもOK」ではなく、その場所に本当に合ったドアを選ぶことが、結果として運営のしやすさ・安全性・印象に直結するのです。


よくある誤解と失敗例から学ぶ「設計で損しない」考え方

店舗設計において、「プロに頼めば全部なんとかなる」と考えていませんか?
もちろん、専門家の知識と技術は重要ですが、設計の善し悪しはオーナー側の視点と準備にも大きく左右されます。

この章では、設計段階でよくある誤解や、実際に起きた失敗を紹介しながら、「設計で損しないための基本的な考え方」をまとめます。


よくある誤解①:コストを抑えるために「設計を削る」

「とにかく施工にお金をかけたいから、設計費は安く済ませよう」
「図面は最低限でいいでしょ?」
という判断をするケースがありますが、これは最もリスクが高い選択肢です。

設計を簡略化すると、以下のような問題が生じやすくなります:

  • 図面に曖昧な部分が多く、施工時に現場判断が増える → 品質がブレる
  • 設計に反映されていない要素(配線、換気、什器など)が後で問題化
  • 完成後の「イメージと違う」「使いづらい」→ 追加工事が発生してコストがかさむ

結果として、**「設計費を抑えたことで、逆に高くついた」**という本末転倒なケースも少なくありません。


よくある誤解②:設計と運用は別問題だと思っている

設計を「開業前の準備」と捉え、運営とは別と考える人もいますが、これは大きな誤解です。
設計とは、「運営をスムーズにするための装置設計」でもあります。

  • スタッフが無駄な動きをせずに仕事できるか?
  • 清掃や補充がしやすい構造か?
  • 行列ができたときに混乱せず回せるか?
  • お客様が迷わず、ストレスなく商品に出会えるか?

これらすべてが「設計段階での判断」で決まります。
つまり、運営のストレスや効率の良し悪しは、設計で9割決まっているのです。


よくある誤解③:「設計士が何とかしてくれる」と丸投げ

設計士や施工業者に丸投げした結果、以下のようなトラブルが起きることがあります:

  • お任せで仕上がったが、自分の想像とまったく違う
  • 法規的には正しいが、動線や雰囲気が合わない
  • 店舗コンセプトとズレた素材や照明が使われた
  • デザイナーの「こだわり」が強すぎて実用性に欠ける

設計士のセンスや経験は大切ですが、「オーナーの頭の中にあるイメージを言葉にして共有する」ことも同じくらい重要です。


どうすれば損しない設計になるか?

  1. 設計の目的を自分の言葉で言えるようにする
     –「落ち着ける空間にしたい」「とにかく回転率を上げたい」など、明確に
  2. 自分の業態に必要な「条件」をリスト化する
     –動線、収納、音、視認性、安全性…などの優先度を決める
  3. 最低限の知識を持ったうえで相談する
     –何がわからないかが明確になるので、設計者とより良い議論ができる
  4. 入口設計だけは“軽視しない”
     –入口は空間体験の起点。後で変更がききづらいため、早期判断が肝心

設計で「損しない」ためには、「よく知らないからプロに丸投げ」ではなく、最低限の判断軸を持つことが一番の防御策なのです。


【まとめ】適ドア適所の視点を設計初期から入れるという提案

店舗設計は、「図面を描くこと」や「内装を決めること」ではなく、
お客様が「どんな体験をするのか」を起点に、空間を戦略的に構成することです。

この記事では、店舗設計の全体像からはじまり、特に見落とされがちな「入口の設計」=ドアの選定にまで踏み込んで解説してきました。
この最後に、私たちが重視している**「適ドア適所」**の視点を、改めてご提案します。


「適ドア適所」とは何か?

「適ドア適所」は、「場所に応じて最適なドアを選ぶ」という考え方です。
これは単なる設備選びではなく、空間設計の哲学の一部として重要な判断軸です。

  • 人の出入りが多い店舗に、メンテナンスしやすい自動ドアを
  • 高齢者や子どもが使う施設には、力がいらない荷重式ドアを
  • 停電時に営業を止めたくない店舗には、電気不要のドアを
  • 静けさを守りたい空間には、開閉音がない構造を
  • 視認性を高めたい店舗には、ガラスで視界を遮らないファサードを

このように、店舗の機能・業種・立地・使われ方に応じて、ドアに求められる性能はまったく異なります


設計の初期段階で「入口を戦略的に考える」

「入口」は、店舗空間の起点です。
来店する人が最初に接する場所であり、「ここはどんな店か?」を一瞬で判断されるポイントでもあります。

だからこそ、「設計の終盤に決める」では遅く、設計の最初の段階から“入口をどうするか”を考えることが極めて重要です。
ドアの種類・開閉方式・向き・素材・安全性・デザイン・メンテナンス性……これらをコンセプトや動線と連動させて選定する必要があります。


最後に:入口は単なる「開口部」ではない

設計を終えて、完成した店舗に立ったとき、最も使われるのは「入口」です。
だからこそ、その入口に込められた考え方こそが、店舗の設計品質を象徴します。

入口から始まり、空間全体をスムーズに、心地よく、効率的に動ける設計。
その中心にあるのが、「適ドア適所」という視点です。

設計者にすべてを任せる前に、あなた自身がその視点を持っておくことで、後悔のない店舗がつくれる
それが、この記事で伝えたかった一番大切なことです。


よくある質問(FAQ)

Q: 店舗設計とはどこまでを含むのですか?
A: 動線設計、レイアウト、照明、サイン、入口設計など空間全体の計画です。施工は含まれないことが多いです。

Q: 設計士と施工業者は別ですか?
A: はい、設計は図面作成や計画を担い、施工業者はそれを実際に形にする役割です。

Q: 店舗入口にはどんな種類のドアがありますか?
A: 引き戸、開き戸、自動ドア(電動・荷重式)などがあり、利用者層や用途で選びます。

Q: 自動ドアはすべて電気で動くのですか?
A: いいえ、荷重式自動ドアのように電気を使わず人の重みで開くタイプもあります【NドアFAQ.txt】【Newtonドア.txt】。

Q: 停電時にも使える自動ドアはありますか?
A: 荷重式自動ドアは電源を使わないため、停電時でも問題なく使えます【Newtonドアの安全性検証とJIS規格整合性.txt】。

Q: 「適ドア適所」とは何ですか?
A: 使用環境や用途に応じて、最適なドアを選ぶという設計思想です【Newtonドア.txt】【Nドア顧客セグメントと導入事例.txt】。

Q: 設計段階で入口を考える必要がありますか?
A: はい。入口は空間体験の出発点であり、後から変更がしづらいため早期検討が必要です。

Q: 設計ミスを防ぐにはどうしたらいいですか?
A: 設計と運用の一体化を意識し、自分の目的と条件を整理して設計者と共有することが重要です。

Q: 設計を簡略化すると何が起こりますか?
A: 意図しない配置、無駄な工事、使いづらさが発生し、かえってコストが増すことがあります。


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