自動ドアと聞くと、多くの方が「センサーで勝手に開く扉」というイメージを持つかもしれません。そしてその裏側の構造や仕組みについては、なんとなく「モーターで動いてるのかな?」という漠然とした理解でとどまっていることがほとんどです。

しかし実際には、自動ドアは多くの部品が緻密に連携して動いており、それぞれが「安全性」や「快適な動線設計」を実現するために重要な役割を担っています。

この記事では、「自動ドアの図」を中心に、その仕組み・部品構成・動作の流れをやさしく解説していきます。最後には、用途別の選び方まで視覚的に理解できるまとめ図もご紹介しますので、今後、自動ドアを説明する立場の方や、導入を検討している方の理解の助けになるはずです。


自動ドアの構造はどうなっている?【図解で全体把握】

要点:

まずは自動ドアの「全体像」をビジュアルで把握することが理解の第一歩です。以下の図は、もっとも一般的な「引き戸タイプ」の自動ドアの構成を示しています。

構成図に含まれる主なパーツ:

パーツ名説明
ドア本体(扉)開閉する板状の部分
上部レール扉が吊られ、スムーズに走行するためのレール
吊り車(戸車)扉を吊る可動部品で、レール上を滑らかに移動
モーター(駆動装置)開閉の力を生み出す原動力
ベルト(伝動ベルト)モーターの回転力を戸車に伝えるための連結部品
コントローラーセンサーからの信号を受け取り、扉の動作を制御する基板
起動センサー人や物の接近を感知してドアを開ける信号を出す
安全センサー扉の開閉時に人が挟まれないように検知する補助センサー
ガイドレール扉の下部の振れを抑えるレールまたはローラー
電気錠(オプション)ドアを施錠するための電子的なロック装置

これらが一体となり、「開ける/閉じる」というシンプルな動作を実現しています。構成図には、それぞれのパーツの位置と関係性を明記し、どういった順序で動いているのかも視覚的に表すと、理解が進みます。


自動ドアの主な部品とは?【役割と名称を理解しよう】

要点:

自動ドアを構成する各パーツには、役割が明確に分かれています。この章では、代表的な部品の機能と、混同しやすい名称の違いをわかりやすく解説します。


主な部品とその働き:

  1. ドア本体(扉)
    • 利用者が出入りするための板状のパネル。ガラス製やアルミパネル製など素材に違いがある。
    • 引き戸タイプでは、左右にスライドして開閉する。
  2. 吊り車(戸車)
    • 扉上部に取り付けられており、上レールの中を滑走する。
    • 高耐久のベアリング入りが多く、スムーズな動きを支える。
  3. 上レール
    • 扉を吊り下げて走行させるためのガイドライン。
    • 天井やドア上枠に固定される。
  4. モーター(駆動装置)
    • 電気を動力としてベルトを回し、扉の開閉を行う中心部。
    • 回転数制御やトルク制御によって動きの速さや力を調整。
  5. 伝動ベルト(タイミングベルト)
    • モーターからの力を扉へ伝える重要なリンク。
    • ベルトが緩むと動作に遅れが生じるため、定期的な点検が必要。
  6. コントローラー
    • センサーからの信号を受信し、扉を開けるか閉めるかの判断を下す。
    • 動作速度や開閉時間なども設定可能。
  7. 起動センサー
    • 赤外線やマイクロ波などを使って人の動きを検知。
    • 感知範囲や反応速度の調整が可能なものも多い。
  8. 安全センサー(補助センサー)
    • 閉まりかけたドアに人が近づいた場合、自動で開き直す機能を持つ。
    • 通称「安全光線」などとも呼ばれる。
  9. ガイドローラー(振れ止め)
    • 扉下部を安定させ、風などによる振動やブレを抑える。
  10. 電気錠(オプション)
    • 特定の時間帯や指示がないと開かないよう制御できる装置。
    • 施設の防犯管理にも関係。

注意点:混同しやすい部品名

呼び名(俗称)正式名備考
ベルトタイミングベルト単なる「ベルト」ではなく、歯付きの専用ベルト
センサー起動センサー/安全センサー種類が異なるので区別が重要
ストッパードアストッパー/端末制御開閉範囲を制限するパーツだが、意味が広い

これらの部品が連携して、静かで安全な自動ドアの動作を支えています。

次の章では、これらの部品がどのように連動して「開く/閉じる」動作を行っているのか、動作フローを図とともに解説していきます。


自動ドアの「開閉のしくみ」を図で説明【動作フロー】

要点:

自動ドアの動作は、「人の接近 → センサー感知 → 扉が開く → 一定時間後に閉じる」という流れで構成されます。ここでは、このプロセスをステップごとに図で示しながら解説します。


開閉動作のステップフロー:

  1. 人が近づく
    • センサーの感知エリアに人が入る
    • 多くは赤外線やマイクロ波による動体検知
  2. 起動センサーが反応する
    • コントローラーに「開け」の信号を送る
    • センサーの検知精度は安全性に直結
  3. コントローラーがモーターを駆動
    • 信号を受け、モーターを回転開始
    • モーターの回転がベルトを動かす
  4. 伝動ベルトが戸車を動かす
    • ドア上部の戸車を引っ張り、扉がスライド開閉
    • 静音性・スムーズさはこの部分で決まる
  5. ドアが全開になる
    • 全開位置で一時停止
    • コントローラーに設定された開放時間をカウント開始
  6. 一定時間後、自動で閉まる
    • タイマー経過後に逆方向へモーター回転
    • 安全センサーで人の有無を確認しつつ、扉を閉じる
  7. 安全センサーが動作中は開き直す
    • 閉じかけている時に人が通過すると、再び開く
    • 挟み込み防止の要として非常に重要

図解で見る:自動ドアの動作フロー

このような動作を、矢印と番号でステップ化した図にまとめると、説明が格段にしやすくなります。

ステップ動作内容関連部品
人が近づく起動センサー
センサー反応コントローラー
モーター起動モーター・ベルト
ドアが開く戸車・レール
一時停止コントローラー
自動で閉まる同上
人がいれば再開安全センサー

補足:誤作動や遅延の原因

  • センサーの感知範囲がズレていると、反応が遅れる
  • モーターやベルトの摩耗で開閉が遅くなる
  • コントローラーの設定ミス(開閉時間や感度)

これらの症状を予防するためには、定期的な点検と初期設定の見直しが重要です。

次の章では、この開閉フローが異なる「自動ドアの種類」について、それぞれの構造の違いを解説していきます。


自動ドアにはどんな種類がある?【構造の違い】

要点:

一口に「自動ドア」といっても、その開閉方法や設置場所に応じて、いくつかの種類に分類されます。ここでは代表的な自動ドアのタイプを、構造と特徴の違いから解説します。


主な自動ドアの種類と構造比較

タイプ開閉方式主な用途特徴電源の有無
引き戸タイプ横にスライド店舗入口、病院など静音性が高く、通行量が多い場所に適する必要(電動)
開き戸タイプ扉が前後に開閉オフィスビル、集合住宅扉幅が広く取れ、気密性が高い必要(電動)
回転式(ロータリードア)円形に回転大型施設、空港など外気遮断に優れるが、大規模向け必要(電動)
荷重式(Newtonドア)人の荷重で開く高齢者施設、マンション共用部など電気不要で停電時にも動作、安全設計が特徴不要(非電動)

各タイプの構造図的特徴

  • 引き戸タイプ:上下のレールに吊られたドアが、センサー指令でベルト駆動により左右に動く。最も一般的。
  • 開き戸タイプ:ヒンジを支点に外または内側にスイング。人感センサーまたはプッシュ式が多い。
  • 回転ドア:3~4枚のパネルが中心軸を回転。安全センサーが高度に設計されている。
  • 荷重式ドア(Newtonドア):足元のステップに体重がかかることで機械的に扉が開く。電源不要で、防災観点から注目されている。

選び方の視点:

条件向いているドアタイプ
電気を使いたくない荷重式(Newtonドア)
通行量が多い引き戸タイプ
外気を遮断したい回転式ドア
バリアフリー対応引き戸 or 荷重式(踏むだけで開く)
気密性を重視開き戸タイプ

構造だけでなく、「その場所に何を求めるか(安全性、通行量、停電時対応)」によって、適したドアの種類は異なります。

次の章では、安全性を支える「センサーや安全装置」がどこに配置され、どのような役割を果たしているのかを解説します。


センサーや安全装置はどこにある?【安全設計の仕組み】

要点:

自動ドアが「安全」に使える背景には、さまざまなセンサーや安全装置の働きがあります。特に、人が挟まれる事故や誤作動を防ぐための工夫が多く盛り込まれています。


主な安全装置とその配置

装置名配置場所役割補足
起動センサードアの前方上部人の接近を感知し、開扉指令を出す検知距離や感度調整可能
安全センサー(挟まれ防止)扉の開口部/扉下部扉が閉まる際の人や物を検知光電センサーや超音波センサー
接触センサー(タッチセンサー)扉の縁や枠軽く触れるだけで再開扉高齢者施設などに導入例多
自動反転機構モーター内部制御異常な抵抗が加わると逆転する誤って人が接触したときのため
手動解放機構モーター脇またはフレーム内停電や故障時に手動開閉が可能緊急避難用に必須

センサーの動作イメージ(図で説明)

  1. 起動センサーが人を検知
    • 開閉を指示する「入口の目」
    • 広角タイプやドア下部検知型など、目的により複数選べる
  2. 安全センサーがドア開口部を監視
    • 光線を遮ると「人がいる」と判断し閉じない
    • 床面に設置されるマット式センサーもある
  3. 閉まり始めても再検知で開き直す
    • 子どもやペット、キャリーケースなどの通過も感知
    • センサーの高さ・角度が重要

誤作動・事故の予防とJIS規格

  • 日本国内では、JIS A 4722(自動ドア装置の安全要求事項)に準拠した設計が基本
  • センサーの設置基準、反応速度、検知範囲などが厳密に定められている
  • 安全確認装置の作動試験や、障害物検知テストなども定期的に実施が推奨されている

専門視点:Newtonドアの安全性

荷重式自動ドア(Newtonドア)では、電気を使わないかわりに、次のような「物理的安全設計」が導入されています:

  • 開閉の力がきわめて弱く、万が一体に当たっても痛くない
  • 自動で閉じない(人が乗らない限り動かない)ため、勝手に閉じる危険がない
  • 視覚障がい者や車椅子利用者への「センサー誤反応リスク」がゼロ

センサーは「見えない安全装置」とも言えますが、それぞれの種類・配置・目的を図で理解することで、使う人に優しい設計がいかに緻密かが見えてきます。

次はいよいよ最後、用途別にどんなドアが適しているのかを「まとめ図」でご紹介します。


【まとめ図】用途別に適した自動ドアの選び方と考え方

要点:

ここまで構造・部品・動作・安全性を学んできましたが、最も大切なのは「その場所に適したドアを選ぶこと」です。これを私たちは「適ドア適所」と呼んでいます。

ここでは、用途別に最適なドアを視覚的にまとめた「選び方図」をご紹介します。


用途別・ドア選び早見表

使用場所推奨ドアタイプ主な理由
病院・診療所引き戸タイプ通行量が多く、静音性とスムーズな開閉が求められる
高齢者施設荷重式ドア(Newtonドア)軽い力で開き、安全で停電時も使用可
商業施設(スーパー等)引き戸タイプ + 自動ロック出入口の混雑対応と防犯性の両立
マンション共用部開き戸 or 荷重式気密性を保ちつつバリアフリーにも対応
工場・倉庫耐風式スライドドア大型で風圧や頻繁な開閉に強い構造が必要
空港・大規模施設回転式ドア空調効率が高く、出入り口に常時風除け効果あり

選び方の考え方:ただ「電動だから良い」ではない

自動ドアは「電気で開閉すればOK」という単純な話ではありません。

  • 停電時にどうなるか
  • 高齢者や子どもが安全に使えるか
  • 狭いスペースでも開閉できるか
  • 防犯やプライバシーの観点でどうか

こうした視点も含めて選ぶことが、よりよい空間づくりにつながります。


【適ドア適所】の視点まとめ:

  • 人の特性:子ども、高齢者、視覚障がい者など、利用者に合わせる
  • 空間の条件:屋内・屋外、風の強さ、設置スペース
  • 使用頻度・通行量:1日数回 vs 1時間に数百人
  • 非常時対応:停電時や災害時に使えるかどうか
  • 安全性とコストのバランス:すべてを電動にすれば良いわけではない

これらを一つの図にまとめた「用途別・自動ドア選定マップ」を作成すれば、提案資料や社内プレゼン、設計会議にも役立ちます。


【適ドア適所】にそった「まとめ」

自動ドアの構造や図を理解することは、単なる知識の習得にとどまりません。「誰のために、どんな場所に、どんな動きをさせるのか?」という視点が加わることで、設計・提案・選定に深みが出てきます。

電気を使うことが当たり前だと思われがちな自動ドアですが、電源不要で安全性に優れた荷重式(Newtonドア)のように、新しい選択肢があることも視野に入れると、より良い判断ができるようになります。


出典一覧(参考資料)

  • Newtonドア公式情報:https://newton-plus.co.jp
  • 「Newtonドアの安全性検証とJIS規格整合性.txt」
  • 「NドアFAQ.txt」
  • 「Nドア顧客セグメントと導入事例.txt」
  • 寺岡オートドアシステム株式会社 サイト情報
  • 自動ドアメンテナンス(業界技術ブログ)

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