自動ドアといえば、電動でガラス張りの開閉式ドアが一般的ですが、「中が丸見えになるのが気になる」「視線を遮りたい」という場面も少なくありません。特に病院やクリニック、介護施設、オフィスの応接スペースなど、プライバシーに配慮した空間づくりを求められるシーンでは、ガラス自動ドアに「ブラインドを付けたい」というニーズが生まれます。

しかし、自動ドアは動く構造のため、通常のブラインドとは相性が悪そうに見えますし、そもそも取り付けられるのか、安全面は大丈夫か…といった疑問も多く寄せられます。

この記事では、「自動ドアにブラインドは付けられるのか?」という疑問に対して、現場で本当に使える視点から答えを導きます。
自動ドアとブラインドを組み合わせるときの注意点、種類の選び方、後付けは可能なのか?など、施工前に知っておくべきことを、すべて整理してお伝えします。


目次(このページの内容)

そもそも、自動ドアにブラインドは必要?

Q:自動ドアにブラインドを付ける意味って、本当にあるの?
A:はい、プライバシーの確保や視線の遮断が求められる場所では、むしろ不可欠な場合があります。


背景:自動ドア=「見せる」前提になりやすい

自動ドアは、店舗や施設の出入口として「誰でも自由に出入りできる」「視認性が高い」ことが求められる設備です。そのため、標準的なガラス自動ドアは透明であることが多く、中の様子が自然と見える設計になっています。

しかしこれが、プライバシーを必要とする空間では大きなネックになることがあります。


利用シーン:視線を遮る必要がある現場とは?

ブラインド付き自動ドアや、目隠し対策が求められる代表的な現場は以下の通りです。

シーンなぜブラインドが必要か
病院・クリニック診察室・処置室内のプライバシー保護/待合室の視線分離
介護施設入居者の生活空間や居室のプライバシー確保
カウンセリングルーム面談内容を外部に知られないよう遮蔽
オフィスの応接室商談や打ち合わせの様子を第三者から遮る
宗教施設・葬祭場など静かな空間の維持と視線の遮断

これらの場所では、「入口は自動ドアにしたいけど、中は見せたくない」という矛盾したニーズが存在します。その解決策として浮上するのが、ブラインドや目隠し機能のあるガラス設計なのです。


自動ドアが開く=視線が通る、をどう防ぐか?

自動ドアの「開閉」は、物理的に内側を見せてしまう行為でもあります。いくら周囲をパーテーションやカーテンで囲っても、ドアが開くたびに中が丸見えになってしまうこともあります。

こうした課題に対しては、「ガラスそのものに視線を遮る工夫を施す」「必要に応じてブラインドを閉める」といったガラスドア+遮蔽機能の組み合わせが有効です。

とくに医療施設や介護施設では、患者や利用者が安心して過ごせる環境を整えるうえで、ドア設計が大きな影響を与えることもあります。


まとめ:ブラインドの有無が、空間の質を左右する

単なる装飾としてではなく、機能性・快適性・安全性を向上させるという意味で、自動ドアにブラインドをつけることは非常に実用的な選択です。

次のセクションでは、「では、どんな種類のブラインド付き自動ドアがあるのか?」という具体的な選択肢について見ていきます。


どんな種類の「ブラインド付き自動ドア」がある?

Q:自動ドアとブラインドって、どんな組み合わせ方があるの?
A:大きく分けて「一体型(内蔵)」と「後付け」の2種類があり、現場のニーズによって選ぶべき形式が異なります。


種類1:ガラス内蔵ブラインド(ビルトイン型)

もっともスマートでメンテナンス性にも優れているのが、自動ドアのガラス内部にブラインドを組み込んだ一体型の製品です。

  • ガラスの間にブラインドが封入されているため、埃や汚れが付着しにくく、掃除不要
  • 電動式・手動式があり、スイッチやリモコンで視線をコントロールできる
  • デザイン的にもシンプルで、病院や先進的な施設で導入されていることが多い

注意点:
このタイプは、ガラス自体が特殊な構造になるため、

  • 初期費用が高め
  • 後から取り付けはできず、新設またはガラスの入れ替えが必要
    という特徴があります。

種類2:後付けブラインド(ガラス外への設置)

コストや手軽さを優先する場合には、既存のガラスドアに後付けでブラインドや目隠しパネルを取り付ける方法もあります。

後付けブラインドのタイプ

タイプ特徴
ロールスクリーン上部から下ろす形で視線を遮る/必要ないときは巻き上げて収納可能
アコーディオンカーテン式横引き型で、ドア周囲のスペースに設置されることが多い
フィルム貼り付け型目隠し用の曇りガラス風フィルムを貼ることで視線を遮断
カーテンレール式ブラインドではないが、簡易的に目隠ししたい場合に使われることも

メリット:

  • 比較的安価で導入できる
  • 現在のドアにそのまま取り付け可能(ガラス交換不要)

デメリット:

  • デザイン性が損なわれやすい
  • 動作中の安全性への配慮が必要(接触や巻き込みのリスク)
  • 衛生面ではホコリがたまりやすく、手入れの頻度が増える

種類3:自動ドアとブラインドが連動するタイプ

一部のハイエンド施設では、自動ドアの開閉と連動してブラインドが自動的に開閉するシステムも導入されています。

例:

  • ドアが閉まると自動的にブラインドが下がり、視線を遮る
  • ドアが開くとブラインドが自動で開いて見通しを確保

このようなシステムは、プログラム制御による運用が可能で、セキュリティ性や演出性の向上にも寄与します。ただし、導入にはカスタマイズ設計や制御盤との連携が必要な場合が多く、設計段階からの検討が不可欠です。


まとめ:現場に合ったタイプ選定がカギ

タイプ特徴向いている施設
ガラス内蔵型衛生性◎、高価格病院・先進施設
後付け型施工しやすい、安価小規模施設・既存建物
連動型制御性高い、カスタム性あり高セキュリティ施設

自動ドアにブラインドを付けるときの注意点は?

Q:ブラインド付き自動ドアにするとき、何に気をつければいい?
A:開閉の動作、安全面、そして衛生性。この3つが重要なチェックポイントです。


注意点1:開閉動作に干渉しないか?

ブラインドを付けることで、自動ドアのセンサーや駆動部分に物理的な干渉が生じるリスクがあります。

代表的なトラブル例:

  • 吊り下げ式ブラインドが風で揺れ、センサーが誤動作
  • 開閉時にブラインドが巻き込まれ、ドアが停止
  • ロールスクリーンのカーテンボックスがレールやドア上部に干渉

対策:

  • ブラインドの可動域と自動ドアの動作範囲を事前に確認
  • できれば自動ドアメーカーか専門施工会社に「取り付け可否」の相談を行う
  • 可動式ではない目隠しフィルム等も視野に入れる

注意点2:安全性は確保されているか?

特に公共施設や医療現場では、安全確保が最優先事項です。

  • ブラインドがはためいたり、手すり代わりに掴まれたりすることを想定
  • 子どもや高齢者が誤って引っ張ることで破損するケースもある

安全に関する検討ポイント:

  • 風による揺れへの対策(下部固定など)
  • 開閉時の動作スピードに影響を与えない設置方法
  • センサー位置・感度の調整が可能か

注意点3:衛生性とメンテナンス性

医療・介護施設では、ホコリ・汚れの蓄積は感染リスクにつながります。

後付けのブラインドは「掃除が面倒」「隙間にホコリがたまりやすい」など、日常管理の負担が増えることが懸念されます。

清掃のしやすさチェック:

  • ブラインド素材(防塵・抗菌仕様か)
  • ガラス内蔵タイプの場合:掃除不要・長期メンテフリー
  • 後付けタイプの場合:清掃頻度と方法の確認を施設側とすり合わせておく

現場スタッフとの連携も大切

設計者や施工者が気づきにくいのが、実際に現場を使う人たちの視点です。

  • 清掃スタッフが手が届かない場所に設置されている
  • ブラインドを閉める操作が面倒で結局使われない
  • 目隠しが「見えすぎ・見えなさすぎ」で不評

こうした事例は少なくありません。事前に「誰が・いつ・どう使うか」を明確にしておくことで、後悔しないブラインド選びにつながります。


まとめ:3つの「ない」を避ける設計が重要

  • 動作に「支障がない」
  • 安全性に「不安がない」
  • 衛生面で「管理できない」がない

この3点がクリアできれば、自動ドアにブラインドを設置することは現場にとって大きな安心につながります。


設置するとしたら「後付け or 一体型」どちらがいい?

Q:後付けのブラインドでも大丈夫?一体型のほうがいい?
A:目的と設置場所によって最適解は変わります。それぞれのメリット・デメリットを正しく把握することが大切です。


判断軸1:設置目的と遮蔽の度合い

まず第一に考えるべきは、「なにを・どこまで・どのタイミングで遮る必要があるか」です。

条件おすすめタイプ
常時目隠ししたい曇りガラス+後付けまたは内蔵ブラインド
必要なときだけ目隠ししたい電動or手動ブラインド(後付けでも可)
完全に視線を遮断したいガラス内蔵型ブラインド(遮光率高)
通行量が多く安全重視一体型またはフィルム対応が無難

判断軸2:設置場所と利用者の特性

例えば介護施設では高齢者の転倒リスクを考慮して、物理的な障害物は最小限にすべきです。一方で、診察室の前室や相談室では「操作性より遮蔽性」が優先されます。

利用シーンおすすめ選択肢
受付・会計カウンターフィルム or ロールスクリーン後付け
診察室・処置室一体型 or 遮光フィルム+手動ブラインド
オフィス応接室デザイン性重視なら一体型、簡便さ重視なら後付け
トイレ・更衣室まわり固定遮蔽(フィルムや曇りガラス)優先

判断軸3:コストと工期

自動ドアの改造には、それなりの費用と工程がかかります。

費用の比較イメージ(概算)

項目一体型(ガラス内蔵)後付け型
製品価格高め(10万〜数十万)安価(数千円〜数万円)
施工費ガラス入替等が必要取り付けのみなら軽作業
工期事前発注+工事必要即日施工も可
メンテ性清掃不要・長寿命手入れが必要な場合あり

判断軸4:「適ドア適所」という視点

これは見落とされがちですが、自動ドアそのもののタイプ(開閉方式・構造)との相性も無視できません。

例えば、Newtonドアのような荷重式自動ドアであれば、

  • 駆動部が上部にないため、吊り下げブラインドとの干渉リスクが少ない
  • 動作音や衝撃が少なく、軽いブラインドでも乱れにくい

というメリットがあります。つまり、**「ドアのタイプ」×「ブラインドのタイプ」=現場最適」**という視点が欠かせません。


まとめ:「見た目」ではなく「使い方」に合った選択を

最終的な判断は、ブラインドの見た目や価格ではなく、

  • 使う人の負担が少ないか?
  • 現場の運用に合っているか?
  • メンテナンスが現実的か?

という「現場視点」での適合性で選ぶことが、失敗しないブラインド選びのカギです。


実際の導入例から学ぶ「失敗しない考え方」

Q:どんなことを考えておけば、あとで後悔しない?
A:目的を曖昧にせず、「誰が・何のために・いつ使うか」を明確にすることが、失敗を防ぐ最大のカギです。


ケース1:受付カウンターでの視線対策が裏目に

あるクリニックでは、「受付業務が見えないように」という理由で、カウンター前の自動ドアに後付けのロールスクリーンを設置しました。

導入直後は視線を遮れると好評だったものの、実際には以下の問題が発生:

  • 来院者がスクリーン越しに中が見えず、受付に気づかない
  • スクリーンの開閉操作が面倒で結局、常に上げたままの状態
  • 結果的に視線対策にはなっておらず、設置した意味が薄れてしまった

→ 目的が「視線カット」ではなく「受付の存在を消す」になっていたため、実運用と合わなかったケースです。


ケース2:診察室での完全遮蔽が逆に不便に

別の診療所では、診察室内が見えないようにガラス内蔵ブラインドを導入しました。ところが、

  • 操作が煩雑で、診察のたびにブラインド開閉が必要
  • スタッフの間で「使いづらい」と不評
  • 最終的に操作されず、ずっと開いたまま

→ 結局、使う側のオペレーション設計ができておらず、せっかくの機能が活かされていない状態に。


ケース3:荷重式ドアとブラインドの組み合わせが成功

一方、ある福祉施設では、荷重式のNewtonドア+視線をカットするデザインフィルム+上部固定式スクリーンの組み合わせでうまくいった事例があります。

  • 荷重式のため、ドア開閉時の揺れが少なくブラインドが安定
  • ドアの上部に駆動部がないため、干渉の心配もなし
  • スクリーンは使わない時は巻き上げ、使う時だけ手動で降ろす

→ 「用途(目隠し)」「構造(干渉しない)」「運用(操作しやすい)」の3つがマッチした理想的な例です。


失敗しないためのポイントまとめ

考えるべき視点質問例
利用目的何のために目隠ししたいのか?
利用者誰が操作する?毎回使う?
空間特性風や光、他の設備との関係は?
衛生面掃除しやすい?ホコリは溜まらない?
動作安全ドアの動作と干渉しないか?

「見た目がいいから」「なんとなく必要そう」で選ばない

これまでの失敗例からもわかる通り、「とりあえずつけてみた」では現場でうまく機能しません。

「何のために」「誰のために」「どこでどう使うのか」を明確にしたうえで、選択すること。
これこそが、現場にとって最も有益なブラインド選びの原則です。


【適ドア適所】にそった「まとめ」

Q:結局、自動ドアにブラインドをつけるべきかどうか、どう判断すればいい?
A:判断の軸は「どこで・なにを・どこまで遮るか」。そして、それに合ったドアとブラインドの組み合わせを選ぶことです。


適ドア適所の原則とは?

Newtonプラス社が掲げる「適ドア適所」という思想は、
**「空間の目的や使う人に合ったドアと設計を行う」**ことを基本にしています。

これはブラインドのような視線対策にも同じことが言えます。


【シーン別】おすすめのブラインド選び

シーン目的ブラインドの最適解ドアとの相性
受付・待合室軽い目隠しロールスクリーン or フィルム荷重式◎ 電動式〇
診察室完全遮蔽内蔵ブラインド or 遮光フィルム内蔵型◎
カウンセリングルーム視線制御手動ブラインド+補助遮蔽荷重式〇
オフィス会議室見せない演出一体型+自動制御高価格対応向き
福祉施設操作しやすさ・安全性上部固定式+視線カット荷重式◎

視線対策に“正解”はない

重要なのは、ブラインドという「物」を選ぶことではなく、**「目的に合った遮蔽方法を選ぶ」**という視点です。

  • 一体型が必要な場所もあれば、フィルムで十分な場所もある
  • デザインよりも操作性・清掃性が重要なこともある

このように、施設ごと・空間ごとに「正解」は変わります
それを見極めるために、事前に「使う人」と「目的」を明確にしておくことが必要です。


最後に:プライバシーは“選び方”で守れる

自動ドアにブラインドを付けるという選択は、「見えないようにする」だけでなく、そこにいる人の安心感や快適さを守る選択でもあります。

適切な視線対策を施せば、施設の空間価値そのものが向上します。
逆に、選び方を間違えると、「使いにくい設備」が残り続けることにもなりかねません。


よくある質問(FAQ)

Q1:自動ドアに普通のブラインドを取り付けることはできますか?

A:構造上は可能ですが、動作の妨げや安全性の懸念があるため、専門家の確認が必要です。干渉しないよう工夫が求められます。

Q2:ガラスに内蔵されたブラインドは清掃が必要ですか?

A:ガラスの内側に封入されているため、外部からの清掃は不要です。衛生面でも非常に優れています。

Q3:後付けブラインドはどのような種類がありますか?

A:ロールスクリーン、アコーディオン式、カーテンレール式、目隠しフィルムなどがあります。目的と設置スペースに応じて選択します。

Q4:目隠し対策をしたいけれど、風の影響が心配です。

A:風で煽られる場合は、下部固定式やガラスフィルムタイプがおすすめです。吊り下げ式は避けた方が良いでしょう。

Q5:荷重式自動ドアとブラインドの相性は良いのですか?

A:非常に良いです。上部に駆動部がないため、ブラインドの取り付けや安全性において有利です【参考:Newtonドア】。

Q6:患者や利用者のプライバシーを守るには、どのタイプが良いですか?

A:完全遮蔽が求められる場合は、ガラス内蔵ブラインドや遮光フィルムの組み合わせがおすすめです。

Q7:操作が面倒で使われないという失敗例はありますか?

A:あります。現場スタッフが手間に感じると使われなくなるため、設置前に運用方法を具体化しておくことが大切です。

Q8:価格の目安はどれくらいですか?

A:一体型(ガラス内蔵ブラインド)は高価(10万円以上)になることが多く、後付けは比較的安価(数千円〜数万円)で導入可能です。

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