自動ドアというと、電動で静かに開閉するものを思い浮かべがちですが、「誰かが来たことを知らせる音が鳴らない」という点に不便さを感じたことはありませんか?

たとえば、高齢者のご家庭や受付のない小規模施設などでは、「来訪者があっても中にいる人が気づかない」という課題がよくあります。そんなときに浮かぶのが「ドアベル(チャイム)をつけたい」という発想です。

しかし、そもそも自動ドアにドアベルをつけることはできるのでしょうか? 工事は必要? 無線でできる? 高齢者でも使いやすい?
本記事では、こうした疑問に専門家視点でお答えしながら、「音や光で来客に確実に気づける方法」を詳しく解説します。


そもそも「自動ドアにドアベル」ってできるの?

まず結論から言えば、「自動ドアにドアベルを連動させることは可能」です。
ただし、すべての自動ドアに対応しているわけではなく、「どのようなドアか」「どんな通知を求めているか」によって、必要な機器や方法が変わってきます。

一般的な電動自動ドアは、人感センサーや赤外線センサーで人を検知し、モーターで開閉する構造になっています。通常、このプロセスに「音を鳴らす」という機能は含まれていません。

一方、ドアベル(チャイム)は「人の動きやドアの開閉を検知して音や光で知らせる」ための通知装置です。つまり、自動ドアとは別系統の機器ですが、「連動させる工夫」をすることで通知機能を追加することは十分に可能です。

よくある誤解として「自動ドアには専用のチャイムじゃないとダメ」と思われがちですが、実際には市販のワイヤレスチャイムや開閉センサーを利用して、簡単に後付けできる方法も存在します。

特に、電池式で無線通信が可能なタイプは、工事不要で設置できるため、家庭や小規模な施設には非常に有効です。
では、どのような場面でこのような通知機能が求められるのでしょうか?


どんなシーンで「ドアベルの追加」が必要になる?

実際に「ドアベルをつけたい」と考える背景には、さまざまなシーンがあります。
特に共通するのは、「自動ドアが開いても、それに誰かが気づかない」ことで起きるトラブルや不安です。

高齢者宅:気づかないことによる不安

もっとも多いのが「高齢者宅」です。
聴覚が弱くなった家族が、誰かが来たことに気づかないまま過ごしてしまい、結果として来訪者が帰ってしまったり、防犯上の心配が生じたりすることがあります。

「ピンポン」と音が鳴れば安心ですが、自動ドアにはその機能がないため、家の中に誰もいないと思われてしまうこともあります。
音の代わりに「光」や「振動」で知らせるチャイムも、こうしたシーンでは非常に有効です。

小規模店舗・受付なし施設

次に多いのが「受付のない小規模店舗」や「無人受付のクリニック・事務所」です。
来客があったときにスタッフが奥にいて気づけないと、対応が遅れたり、接客の機会を逃したりします。

無線式の来客チャイムを設置するだけで、訪問者の入店と同時に通知されるようになり、サービス品質の向上にもつながります。

福祉施設・介護現場

福祉施設では「玄関先での安全確認」や「徘徊防止」の観点からも通知機能が重要になります。
自動ドアが勝手に開いたときにすぐに職員が気づけるような仕組みとして、センサー付きチャイムや警報装置を併設するケースが増えています。

このように「自動ドアが開いたことを知らせる仕組み」は、単に便利なだけでなく、安全と安心を守るための工夫でもあるのです。


後付けできるドアベルの種類とは?(音・光・振動)

通知機能を後付けするための機器は、主に3つのタイプに分類されます。それぞれの特徴を理解することで、設置場所や用途に応じた最適な選択が可能になります。

1. 人感センサー連動型

このタイプは、赤外線や動体検知センサーが人の動きを感知し、自動的に音や光で通知する仕組みです。

  • 特徴:人の接近を感知するため、「ドアが開く前」に反応する
  • 用途:玄関前での接近検知、来客時の予備通知として最適
  • メリット:自動ドアとの連動が不要なので汎用性が高い

ただし、センサーの感度や範囲によっては、風で動く木の影や小動物にも反応することがあり、誤作動の調整が必要になる場合があります。

2. ドア開閉センサー型

これは、ドアの開閉をトリガーとして通知するタイプです。磁気センサーや圧力スイッチがよく使われています。

  • 特徴:自動ドアが「実際に開いた」ことを確実に検知
  • 用途:高精度なタイミングで通知したい場合に有効
  • メリット:ドアが開かない限り反応しないため誤作動が少ない

このタイプは、既設の自動ドアに取り付けても比較的安定して動作しますが、ドアの材質や開閉方式によっては設置場所に工夫が必要です。

3. 無線チャイム型(電池式・工事不要)

最近人気があるのがこのタイプです。センサーとチャイム(受信機)が無線でつながっており、配線工事なしで設置できます。

  • 特徴:DIYでも設置可能で、賃貸物件にも向いている
  • 用途:店舗・事務所・家庭など幅広く対応
  • メリット:音だけでなく「光」「振動」など多様な通知方法に対応

製品によっては「複数の送信機と受信機を1つにリンク」できるものもあり、広範囲でのカバーや部屋ごとの通知も可能です。


「選び方」の判断軸と注意点は?

多くの通知機器が市販されている一方で、「どれを選べば失敗しないのか」がわかりにくいのも事実です。ここでは、機器選定時に押さえるべき4つの判断軸と、見落としがちな注意点を紹介します。

判断軸①:電源は「取れる」か、「電池」で済ませたいか

まず最初に考えるべきは、設置場所に「電源(コンセント)」があるかどうかです。

  • コンセントがある → 電源式モデルも検討可能(安定性・音量の面で有利)
  • 電源がない/遠い → 電池式・ソーラー式・USB充電式が選択肢に

特に古い家屋や玄関先では、電源の確保が難しいケースが多いため、配線不要な無線型チャイムが人気となっています。

判断軸②:通知方式は「音」だけで十分か、「光」「振動」も必要か

通知方法には以下のような種類があります:

通知方式向いているシーン
一般家庭、受付、店舗など
聴覚に不安のある方、高齢者宅、夜間対応など
振動工場、騒音環境、身体障害者支援など

家族に耳の遠い人がいる場合や、夜間の静かな環境では、「音が鳴るだけでは不十分」というケースもあります。その場合は、「光る」または「振動する」受信機を選ぶと安心です。

判断軸③:取り付け場所はどこか? 壁・床・ドア本体?

機器によっては設置場所に制約があります。

  • センサー型 → 壁面やドアの上部に設置
  • 開閉型 → ドア本体と枠の間に磁気センサーを設置
  • 受信機 → 居室・事務所など、通知を受けたい場所に自由に設置

粘着テープで貼るタイプや、ビス止めが必要なタイプもあるので、「設置方法の自由度」も確認しましょう。

判断軸④:周囲の環境に影響を受けないか?

無線タイプの場合、以下のような要因が誤作動や不調の原因になることがあります:

  • 電波干渉(Wi-Fiルーター・電子レンジなど)
  • 壁や床の材質(鉄筋コンクリートは電波を通しにくい)
  • 極端な温度変化(屋外設置には注意)

製品によっては「見通し10m」「壁越しOK」などのスペックがあるため、使用環境と照らし合わせて確認することが重要です。


実際に取り付けるには?手順と注意点

ドアベルやチャイムを後付けする際、失敗しないためには「事前の確認」と「設置の手順」が重要です。ここでは、DIYで設置するケースと、プロに依頼するケースの違い、それぞれの注意点をまとめます。

1. DIYでできる設置方法(例:無線式チャイム+開閉センサー)

自宅や小規模店舗などで「なるべく自分でやりたい」という場合、以下のようなステップで対応できます:

  1. 【設置目的を明確にする】
     例:「ドアが開いたらリビングで音を鳴らしたい」「高齢の家族の部屋で光で知らせたい」
  2. 【適した製品を選ぶ】
     人感センサー型、ドア開閉センサー型、無線チャイム型から用途に合ったものを選択。
  3. 【送信機(センサー)の設置】
     - ドア上部や横にある程度の高さを確保
     - 両面テープまたはネジで固定
     - 位置がずれると検知できないので注意
  4. 【受信機(チャイム本体)の設置】
     - 聞こえやすい場所、見える場所に置く
     - 電池またはAC電源を準備
     - 設定スイッチや音量の調整も忘れずに
  5. 【動作確認】
     - 開閉時にチャイムが鳴るか確認
     - 夜間モード、光通知モードなどもチェック

注意点:

  • ドアの開閉方法によってセンサーの設置位置は変わります(スライド式か開き戸かなど)
  • 無線通信の範囲が、実際の設置距離に届いているか事前確認を
  • 電池の消耗は意外に早い場合もあるので、交換が容易な設計かを確認

2. プロに依頼したほうがよいケース

以下のような場合は、無理せず専門業者への相談をおすすめします:

  • ビルやマンション共用部など、改修が難しい場所
  • 電動自動ドア本体の配線に直接チャイムを連動させたい場合
  • 複数のチャイム・センサーを組み合わせた高度なシステム構築

専門業者は、電源の引き回しや、既存の自動ドアシステムとの安全な連携などを正確に行えるため、事故や誤作動のリスクを避ける意味でも有効です。


【適ドア適所】通知の仕組みは「ドア選び」にも影響する

ここまで、自動ドアに後付けでチャイムや通知機能を追加する方法を紹介してきました。
ですが、「そもそも通知機能が最初から備わった自動ドア」という考え方も存在します。

通知機能が「構造に内在」しているドアもある

たとえば、Newtonドア(ニュートンプラス社)に代表される荷重式自動ドアは、電気を使わずに「人がドアに体重をかける(荷重をかける)」ことで開閉する構造を持っています。

このとき、バネが軋む音やガラスの揺れ音など、開閉そのものに“気配”が生まれるのが特徴です。
これは、いわば「通知の内包化」とも言える仕組みで、音や光の機械的な通知を使わずとも、「誰かが入ってきた」と自然に気づける設計です。

「あと付け」だけが正解ではない

もちろん、今ある自動ドアに通知機能をつけるという視点も大切です。
ですが、「誰が使うのか」「どんな生活環境か」を起点に考えたとき、ドアそのものを“気づける設計”に変えるという選択肢も、長期的には非常に有効です。

「通知できること」も、ドア選びの判断軸に

通知機能を検討しているユーザーの多くは、「気づけるようにしたい」という目的のために、あと付け機器を調べています。

ですが、「そもそも気づけるドアを選ぶ」という逆転の発想は、あまり知られていません。
「自動で開くこと」よりも、「相手が来たことに気づけること」の方が重要であれば、ドアの選定基準そのものを見直すきっかけにもなるでしょう。


【適ドア適所】にそった「まとめ」

  • 自動ドアにドアベル(チャイム)を後付けすることは可能で、用途に応じた多様な方法が存在します。
  • 音・光・振動などの通知方式は、使う人や環境に合わせて選ぶことが大切です。
  • 無線型やDIY対応モデルなら、家庭でも手軽に設置できますが、設置場所や誤動作への配慮は必須です。
  • そして最も重要なのは、「通知できること」が必要な環境においては、ドアそのものの選び方を見直すという視点です。
  • 電気を使わずに開閉するNewtonドアのような「気配のある設計」は、そもそも“通知機能”の必要性を減らすという発想にもつながります。

次に、出典と参照リンクをまとめて表示します。

【出典・参照リンク一覧】

以下の内容は、記事内で言及された情報や背景となる情報の出典元です。より詳しく知りたい方はご覧ください。

  • Newtonドア(荷重式自動ドア)製品情報|ニュートンプラス株式会社
    https://newton-plus.co.jp
  • Newtonドアの導入事例・ユーザーセグメントに関する資料
    「Nドア顧客セグメントと導入事例.txt」より
  • Newtonドアの構造と安全性、JIS規格との整合性に関する解説
    「Newtonドアの安全性検証とJIS規格整合性.txt」より
  • 高齢者宅・無人店舗・福祉施設などにおける「通知機能のニーズ」
    「NドアFAQ.txt」「Nドア(チラシ)自治体.txt」「Nドア(チラシ)マンション.txt」より
  • 自動ドア用チャイム・センサーに関する一般市販製品情報
    SERP(検索エンジン結果ページ)に基づき調査した市場製品(パナソニック、ELPA、アイホン等)

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