店舗設計を行ううえで、外観デザインや店内の導線、照明や素材といった「見える部分」に注目が集まるのは当然です。しかし、その過程で意外と見落とされがちなのが、出入口の構造と設備の選定です。特に電源の有無や開閉方式といった「機能面の選択肢」は、後から現場で問題が発覚することも多く、設計事務所としても頭を悩ませる領域となっています。
目次(このページの内容)
要点:美観・動線優先で、機能面は後回しになりがち
建築設計や店舗デザインの場面では、「見た目に美しく」「ブランドを体現する空間に」という要望が優先されやすく、入口のドアも「デザインにマッチしたものを選びたい」という観点が先行します。そのため、開閉方式(引き戸/開き戸)、自動/手動の区別、電源の要否などは、設計終盤〜施工フェーズであわただしく選ばれることが少なくありません。
結果として、現場に入ってから「え、ここに電源って通ってる?」「この寸法だと全開にならないかも」というような課題に直面することになります。
根拠:設計と現場のズレは「引き出し不足」から起きる
設計図面上では理想的なプランが描かれていても、実際の現場では
- 電源の確保が困難
- スラブ貫通や床配線が制約されている
- 開口幅の制限がある(近接する壁や通路との干渉)
などの理由で、想定通りのドアが設置できないケースがあります。
こうしたとき、「別の自動ドアにする」「やっぱり手動ドアに戻す」といった**“リカバリーありき”の設計**は、結果的に顧客満足度を下げるだけでなく、設計事務所としての信頼にも関わります。
現場の声:「ドアは最後でいいと思っていた」が命取りに
特に大阪市内の狭小物件やテナントビルでは、共用部との関係や近隣店舗との兼ね合いで、開閉スペースや工事条件に制約があることが多く、ドア設計の自由度が高くありません。
にもかかわらず、「とりあえず最後に考えればいい」と後回しにしてしまうことで、以下のような板挟みが生じます:
- オーナー要望:「自動ドアにしてバリアフリーにしたい」
- 現場制約:「電源が取れない、床レールを埋設できない」
- 設計担当者:「どうにもならず、手動ドアで妥協するしかない…」
このような事態に備え、あらかじめ複数の選択肢を持っておくことが、プロとしての提案力につながります。
まとめ:出入口設計は「引き出しの多さ」が差になる
- 出入口は、利用者の第一接点であり、かつバリアフリー・動線・省エネ・防犯など複数の要件が交差する重要な領域です。
- 設計事務所としての「提案力」は、見た目だけでなく、施工条件や機能面まで視野に入れた上での“引き出しの数”に現れます。
- 特に限られた条件下でも柔軟に対応できる知識を持っていることが、「頼られる存在」への第一歩になります。
開閉制約と電源問題が「あとから発覚」するリスクとは?
設計が進み、施工フェーズに入った後、最も頭を抱えることの一つが「入り口まわりの制約条件に気づくのが遅かった」という事態です。特に電動式の設備、なかでも自動ドアやセキュリティ関連機器の導入には、事前の確認が非常に重要です。
しかし実際には、電源の確保や開閉スペースの確保を十分に見込まないまま設計を進めてしまい、直前になって問題が露呈するというパターンが少なくありません。
要点:入り口は設計の“後回しゾーン”になりやすい
多くの設計者が口を揃えるのが、「ドアは最後に決める」という現場の慣習です。もちろん、設備の中でも最終的な調整がしやすい部位ではありますが、それゆえに「後回しにしたことで詰んでしまう」ことも。
特に電動の自動ドアに関しては、以下のような事前確認が欠かせません:
- 電源容量は確保できているか
- 電源ルートの配線は可能か(床・天井・壁)
- 開閉時にドアが支障物に当たらないか
- 安全センサーや補助部材の設置スペースはあるか
このいずれかが欠けると、「設計どおりに納められない」事態に直面します。
具体例:工事現場での“よくあるトラブル”
以下は、実際の設計事務所が経験した事例です。
- 事例A: ドア横に電源盤が集中していて、センサー用の電源を確保できず自動化を断念
- 事例B: 開口部の横に柱があり、引き戸の引き代が取れず、施工が不可能に
- 事例C: フロア材の厚みが変わり、床埋設型のレール設置が難航。工期が2週間延長
これらの事例に共通するのは、「早い段階での設備側とのすり合わせがなかった」ことです。
事前に見積もるべき3つの要素
設計段階で以下の要素を確認しておくことで、こうしたリスクを減らすことができます:
- 開閉幅と動線
┗ ドアが開いたとき、周囲に干渉しないか/可動域は十分か? - 電源系統と配線経路
┗ 既存の電源を使えるか/床・壁・天井のどこを通すか? - 利用者特性とバリアフリー対応
┗ 手動での開閉負荷は問題ないか/自動化は必要か?
とくに「どのような来店者が利用するか」によって、自動ドアが“必要設備”になることもあるため、バリアフリー設計との整合も重要です。
設計事務所の信用を守るには?
「施工段階で問題が発覚」すると、それが直接クライアントの不満につながります。
- 「こんなところにお金がかかるとは聞いていなかった」
- 「工期が延びてオープン日に間に合わない」
- 「ドアが重くて使いづらいとクレームが出ている」
こうした声は、すべて設計者への信用を失墜させる要因になります。
まとめ:ドア設計は“初期段階”からの逆算が肝
入り口の仕様は「現場でなんとかなる」ものではありません。むしろ現場制約が大きい領域だからこそ、「最初に決めるべき事項の一つ」と言えます。
事前にリスクを洗い出し、複数の対応案を持つこと。それこそが、「施工性の高い図面」を描ける設計事務所としての評価を高める道です。
設備選定で「引き出しが少ない」ことが設計の弱点になる
設備の選定において、「現場制約を前提とした柔軟な選択肢」があるかどうかは、設計事務所の提案力の根幹に関わります。特に店舗の入り口部分は、利用者の印象や利便性に直結するため、単純な「見た目の良さ」や「自動化の有無」だけでは選定の判断が不十分です。
それにもかかわらず、「とりあえず手動の開き戸にしておこう」「電動の引き戸にすれば問題ないだろう」というような、“知っている選択肢だけ”に頼った提案が見られるケースは少なくありません。
要点:選択肢の少なさは、設計者側の「情報不足」
設計事務所の多くは、日頃から馴染みのある建材・建具メーカーをベースに提案を組み立てています。そのため、新しい技術や製品を能動的に取り入れない限り、いつも同じパターンの設備しか選べない傾向があります。
このような「設備の選定におけるマンネリ化」は、次のような形でクライアントの利益を損なうリスクがあります:
- 開閉が重くて高齢者には不便な扉になってしまった
- 自動ドアにしたが、電源工事で予算オーバーになった
- 店内側のレイアウトとドアの可動域が干渉してしまった
根拠:設計者が「ドアに無頓着」なままでいると?
ドアというのは、空間全体の中で物理的には「小さな要素」に見えるため、照明や床材、什器のような目立つパーツに比べて、つい後回しにされがちです。
しかし、その機能性・使い勝手が空間全体のユーザー体験に強い影響を与えることを忘れてはいけません。
特に商業店舗においては、
- 利用者の年齢層
- 持ち込み荷物(ベビーカー、カート、車いすなど)
- 混雑時の出入りのしやすさ
といった実使用のシーンを具体的に想定する必要があります。
その上で、「選択肢としてどんなドアがあるのか?」を設計者自身が知らなければ、最適な提案はできません。
実際には「中間的な選択肢」もある
ここで、一般的なドアの種類を簡単に振り返ってみましょう。
| 種類 | 開閉方式 | 電源要否 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 手動ドア | 開き戸/引き戸 | 不要 | コストが低く、設置が簡単 |
| 電動自動ドア | 引き戸 | 必要 | 利便性が高いが、電源・配線が必要 |
| 荷重式自動ドア | 引き戸 | 不要 | 電源不要で自動的に閉まる構造 |
「手動」か「電動」か、という2択だけではなく、**「電気を使わずに自動的に閉まる」ような仕組み(荷重式)**も存在することを、案外知らない設計士が多いのが現状です。
この“中間的な選択肢”を持っているかどうかが、提案の幅を大きく広げるポイントになります。
設計事務所が見直すべき“知識の棚卸し”
設計における価値提供とは、単に「図面を描くこと」ではなく、顧客の要望と現場の条件の両方を叶える解決策を導くことです。
そのためには、
- 常に新しい建材・設備の情報をアップデートしておくこと
- 自社で使える選択肢リストを拡張しておくこと
- 想定外の施工条件が出ても慌てない“引き出し”を持っておくこと
が必要になります。
まとめ:「設備選定こそ、設計の力が問われる領域」
設計図は誰でも描けますが、その図面が「現場で機能するか」まで見越しているかが、プロフェッショナルとしての違いを生みます。
とくに店舗設計では、「施工性」と「顧客満足」の両立が求められる場面が多いため、設備選定の段階からしっかりとした視点を持つことで、信頼される事務所になることができます。
電源不要・施工自由な「荷重式自動ドア」とは?
自動ドアというと、「モーターで開閉する電動の装置」というイメージが一般的です。しかし実は、電気を一切使わずに「人が通ったあとに、自動的に扉が閉まる」仕組みを持つドアも存在します。それが、荷重式自動ドアと呼ばれる構造です。
特に、設計現場でよくある「電源が取れない」「配線工事ができない」「工期がない」という課題に対して、このタイプのドアは非常に有効な選択肢となります。
要点:人の重みで動く“電気を使わない自動ドア”
荷重式自動ドアは、その名のとおり「荷重(人の体重)」を利用して開閉を制御します。
具体的には、
- ドア前の床面に設けられた圧力板(荷重板)に人が乗る
- その荷重によってロックが解除され、ドアを手で開けられる
- 通過後、人が圧力板から降りると、バランス構造によってドアがゆっくり自動的に閉まる
という構造です。
つまり、電気を一切使用せず、自然な動作で「自動ドアのように」開閉できるのが最大の特徴です。
根拠:Newtonドアが採用する構造とその安全性
たとえば、Newtonプラス社の「Newtonドア」はこの荷重式を採用しており、以下のような特徴を持っています:
- 電源工事が不要:どんな建物でも設置しやすい
- 床レールも不要:バリアフリー対応に最適
- ドアクローザーが不要:閉まりすぎない設計
さらに、構造的には
- 開閉速度は「足で調整可能」
- 途中まで開けた状態で止めておくこともできる
- ゆっくり自然に閉まるため、指はさみ事故のリスクも極めて低い
といった、安全面と使い勝手の両立も実現しています。
現場で役立つ“施工の自由度”
設計事務所にとって、施工上の柔軟性が高い建具というのは非常にありがたい存在です。
荷重式のメリットは、主に次の3つ:
- 電気工事・配線工事が一切不要
┗ 古い建物・既設物件にも設置がしやすい - 設置条件の自由度が高い
┗ 床にレールを埋め込む必要がないため、バリアフリー床でも導入可能 - 建具まわりのメンテナンスが少ない
┗ 電気系統がないので、定期点検がほぼ不要。ランニングコストもかからない
導入事例に見る“汎用性の高さ”
以下のような場面で、荷重式自動ドアは実際に活用されています:
- 【高齢者施設】…自動化は必須だが、配線が困難なため導入
- 【小規模飲食店】…限られた入口スペースにフィット
- 【自治体施設】…公共性が高く、安全性と低コストを両立できる構造が評価
特に大阪市内のような狭小物件や古ビルのテナントでは、電気を引き込めないケースも多く、こうしたドアは非常に重宝されています。
設計者が知っておくべき“選択肢の一つ”として
設計者にとって重要なのは、「どんな場面に、どんな設備が適しているか?」という視点です。
すべての現場に荷重式ドアが適しているわけではありませんが、以下のような場面では積極的に選定肢に入れるべきでしょう:
- 電源確保が難しい、または電源容量に制約がある
- 使用頻度が高く、故障リスクを減らしたい
- バリアフリー性や静音性、安全性が重視される
- 工期が短く、設置に時間をかけられない
このように「用途と条件に応じて使い分ける」という視点が、“適ドア適所”という考え方の基本です。
まとめ:「電気がいらないドア」という選択肢が設計の自由度を上げる
荷重式自動ドアの最大の価値は、「電気がいらない」という事実によって、設計の自由度が飛躍的に高まることにあります。
設計者がこのような選択肢を持っているかどうかは、現場での対応力にも、クライアントとの信頼関係にも直結します。
単に「電動 or 手動」の2択ではなく、その間にある“ちょうどいい解”を持っておくこと。それが、真に柔軟な設計の鍵となります。
施工しやすいドアが「お客の自由度」を守る
店舗設計において、設計者の視点では「施工のしやすさ」、クライアントの視点では「運用のしやすさ」が重要ですが、これらはしばしばトレードオフの関係にあります。
しかし、設計者が設備選定の段階で適切な判断をしておくことによって、両者を両立させることは可能です。その象徴が、「施工性が高く、レイアウト変更にも対応しやすいドア」の選定です。
要点:電気工事不要=施工の自由度が段違い
とくに荷重式自動ドアのような「電源不要」の建具は、設計時から明確なアドバンテージを持っています。
たとえば、従来の電動自動ドアであれば、
- 壁内や床下への配線ルートの確保
- 電源系統との連携(分電盤の容量確保など)
- 開閉時のセンサー取付位置の設計
といった複数の工程を要し、施工現場での調整やトラブルの原因となることが多々あります。
対して、荷重式自動ドアであれば、
- その場で設置が完了
- レイアウト変更時にも移設・再設置がしやすい
- 初期設置コストも低く、改装計画との相性も良い
といった、“未来の自由度”を確保できるメリットがあります。
店舗経営者が喜ぶ「あとからの変更ができる設計」
現代の小売・飲食店舗では、経営環境の変化に応じて、次のような対応が求められます:
- レイアウトの見直し(動線改善・什器の再配置)
- 客層の変化(ベビーカー・車いす利用増)
- 設備の追加(空調・換気などの調整)
これらの変化に対して、「出入口の仕様が足かせになる」ことは少なくありません。電動ドアがあると、その配線位置やセンサー位置が制約となり、配置変更が難しくなるケースが多いのです。
しかし、非電動である荷重式であれば、こうした再調整が比較的容易です。設置後の汎用性の高さは、クライアントにとって大きな安心材料となります。
“電気に縛られない”という強み
設計者にとっても、電源条件に縛られないという自由さは、創造的な設計を支える武器になります。
- 「ここに配線を引けないから、プランを変更…」
- 「電動設備が増えすぎて、分電盤の容量が足りない…」
こうした「配線都合による妥協」は、設計者にとって大きなストレスです。
しかし荷重式のように、設備自体が独立して機能する建具を使えば、設計自由度を維持したまま、現場対応に強いプランを構築できます。
設計者の発言力を高める「後工程への理解」
現場での施工性や、店舗運営フェーズでの柔軟性を意識した設計は、「後工程を理解している設計者」として、施工業者やオーナーから高く評価されます。
これは、単なる“設計図を描く人”ではなく、「運用に耐える現実的な提案をできるパートナー」として信頼されるポジションです。
とくに、納期がシビアな物件や、改装スパンの早い店舗業態では、以下のような判断軸が価値を持ちます:
- 工期の短縮につながる設備か?
- メンテナンス性が高いか?
- 変更・撤去が容易な設計になっているか?
荷重式自動ドアは、このすべてにおいて優位性を持つ設備です。
まとめ:「施工しやすさ」は、設計の先を見据えた思考
施工しやすい建具を選ぶことは、単なる現場対応の楽さではなく、**“その店舗が長く運営されるための設計”**に直結します。
- 現場制約に強い
- 改装・変更に柔軟
- オーナーにもメリットが大きい
こうした設備選定を行える設計者こそが、結果として「自由な空間をつくれる設計者」として信頼されるのです。
電動か手動か?その前に必要な“適ドア適所”という視点
ドアの設計において、「電動にするか、手動にするか」という2択で悩むのは当然です。しかし、それは本質的な判断軸とは言えません。なぜなら、その選択は設計者の都合や既成概念に引っ張られていることが多く、実際の利用者ニーズや現場制約、長期運用まで見据えた選択になっていないケースがあるからです。
ここで改めて提案したいのが、「適ドア適所」という考え方です。
要点:ドアは“用途と場所”で選ぶもの
「適ドア適所」とは、設計者がドアを選ぶときに、
- 誰が使うのか
- どこで使うのか
- どんな課題を解決したいのか
に応じて最適な開閉方式・構造を選ぶという設計思想です。
たとえば、
- 高齢者が多い施設の入口→ 自動化によるバリアフリー性が必要
- 飲食店のバックヤード→ 頻繁な開閉と作業効率が優先される
- 狭小テナントの正面入口→ 限られた開口とデザイン性を両立する必要がある
こうしたシーンに対して、「とりあえず手動」「なんとなく自動」というような判断では、本当の意味での最適解は導き出せません。
根拠:設計者自身が“選定理由を言語化できているか”が問われる
クライアントとの打ち合わせで「なんでこのドアなんですか?」と聞かれたときに、
- 「一番よく使われてるので…」
- 「まあ、定番なので…」
という答えしか返せないようでは、プロフェッショナルとは言えません。
設計者として必要なのは、「この立地・用途・利用者にとって、なぜこのドアが適しているのか?」を根拠をもって説明できる力です。
それが、「この人に任せれば安心」という信頼につながり、次の案件や紹介へと繋がっていくのです。
「適ドア適所」を構成する5つの判断軸
では、「適ドア適所」の視点から、選定の際にチェックすべき軸とは何でしょうか?
以下の5点を基準にすると、設備選定のブレがなくなります。
| 判断軸 | 内容例・チェックポイント |
|---|---|
| 利用者の特性 | 高齢者、子ども、障害のある方、車いす、カート使用など |
| 使用頻度 | 1日何回開閉されるか/スタッフ導線に重なるか |
| 電源の確保 | 電源の位置・容量/配線ルートの確保状況 |
| 設置場所の構造的制約 | 壁・柱・段差・周辺設備との干渉/開閉スペースの有無 |
| 将来的な変更可能性 | レイアウト変更や設備追加への対応/改装のしやすさなど |
このように「用途×場所×条件」を掛け合わせて判断することで、ドアの選定に迷いがなくなります。
設計事務所の差別化ポイントとしての「適ドア適所」
ほとんどの設計事務所は、ドアの選定について深く触れません。むしろ「建具屋さんにお任せ」になってしまっているケースも多いでしょう。
しかし、だからこそ**「ドアに強い設計者」「運用を考えた提案ができる人」**として差別化できる余地があります。
実際にNewtonドアの導入事例では、設計事務所経由で導入されたケースも多く、設計段階から荷重式を提案しておくことで、現場からも「助かった」「発想が柔軟でありがたい」と評価されることが少なくありません。
まとめ:「最適な場所に、最適なドアを」
ドアは、ただの開閉装置ではありません。空間の性質を決め、利用者の体験を形づくり、そして設計者の思想を反映する重要な要素です。
だからこそ、「適ドア適所」の視点で選ぶことが、単なる“設計”を超えて、“使われ続ける空間”を設計することにつながるのです。
【適ドア適所】にそった「まとめ」
この記事では、大阪で活動する店舗設計事務所の皆さまに向けて、設計提案の現場で見落とされがちな「ドア選定」の視点について掘り下げてきました。
✔ 設計上の盲点:出入口設計が後回しにされがち
- 見た目や導線の検討に比べ、ドアの機能選定は軽視されやすい
- 電源条件や施工制約を事前に見込まないと、現場でトラブル化
✔ 設計提案の質は“引き出しの数”に比例する
- 「電動 or 手動」の二択から脱却し、第三の選択肢(荷重式など)を知る
- 特に荷重式自動ドアは、電源不要・施工自由・安全性が高く、設計の自由度を飛躍的に高める
✔ 設備選定は“設計者の哲学”を映す
- 設計者が設備選定の意図を説明できるかどうかが、信頼を左右する
- 「適ドア適所」という視点で、現場ごとに最適な判断を下すことが重要
✔ 「施工しやすさ」は“運用しやすさ”にもつながる
- 工事が簡単であることは、オーナーにとっても未来の選択肢を守ることになる
- レイアウト変更や改装に強い設計は、長く愛される店舗づくりの土台となる
✔ 設計事務所こそ「ドアの専門知識」を持つべき
- 設計提案における差別化ポイントとして、建具・設備の判断軸を持つことは有効
- 荷重式のような中間解を提案できることが、設計者としての価値を高める
自動ドアは、ただ「電気で開く扉」ではありません。
そして、ドアはただの境界ではなく、**「空間と人と設計者の意図をつなぐ装置」**です。
設計者の皆さんが、より豊かな空間づくりのために、「適ドア適所」の視点を一つの判断軸として持っていただけたら――それが、この記事の目的です。