自動ドアといえば「電動式」を思い浮かべる方がほとんどですが、実は「電気を使わない荷重式自動ドア」という選択肢も存在します。札幌のような寒冷地では、こうした選択の違いが快適性や維持費に大きな影響を及ぼすこともあります。

本記事では、札幌でこれから店舗を設計・開業しようとしている方に向けて、「後悔しないための判断軸」を5つの視点から整理します。単なる内装会社の紹介ではなく、「どんな依頼先が、自分の計画と相性がいいのか」「どこで設計の善し悪しが分かれるのか」といった判断できる知識と視点をお届けします。


札幌で店舗をつくるなら、設計は「誰に・いつ」依頼すべき?

札幌で新たに店舗を構えると決めたとき、最初に直面するのが「設計をどこに依頼すべきか」という問題です。内装デザイン?建築設計?施工業者?──さまざまな選択肢がある中で、誰にいつ、どのように依頼するのが適切なのでしょうか。


問いかけ:設計はいつから考え始めるべき?

物件が決まってから?それとも物件を探す前?──答えは「物件を決める前」から設計士との相談を始めるのが理想です。


理由と背景:

札幌市内の物件は冬場の凍結や雪の影響もあり、立地だけでなく「建物構造」が営業に大きく影響するケースが多々あります。たとえば、既存の入り口が二重扉になっていない物件では、寒気の流入が激しく、暖房コストが高騰するおそれがあります。こうしたリスクを事前に把握し、設計段階で回避策を講じるためにも、物件探しと設計相談は並行して進めるのがベストです。


内装と外装、設計と施工の違いを正しく理解する

ここで混同されがちなのが「デザイン会社」「設計事務所」「施工会社」の役割の違いです。

種別主な役割メリット注意点
デザイン会社ロゴや配色、レイアウトの提案ビジュアルに強く店舗の印象に直結法規や施工知識が浅いことも
設計事務所建築基準法に基づいた図面作成・申請業務構造・法規に強く申請も対応可能施工は外注になることが多い
施工会社実際の工事を担当工事コストが明確になりやすいデザイン性が劣ることもある

重要なのは、自分の理想と実現手段のバランスを見極めて「分業型」か「一社完結型」かを選ぶことです。


分業型 vs 一社完結型の比較

項目分業型一社完結型
設計の自由度高い(外部デザイナーと組める)社内デザイナーに依存
コスト設計料・施工費が個別に発生一括見積もりで分かりやすい
管理のしやすさ各社と個別に連携が必要一社に任せられるため手間が少ない
トラブル対応力責任の所在が曖昧になりやすい窓口が一本化されて安心

札幌市内では、冬季施工や雪対策のノウハウを持つ業者を一括で選べる「設計施工一体型」が近年人気を集めています。特に時間や調整の負担を軽減したい方には、初めから一社に相談できる体制が適しています。


設計費用はどれくらい?札幌の相場と注意点

札幌で店舗設計を依頼する際、多くの人が最初に気になるのは「どれくらいの費用がかかるのか」という点です。実際の費用は、物件の規模や業種、希望するデザインのクオリティによって大きく異なりますが、ここではあくまで「相場感」として、初期の判断材料となる情報を整理しておきましょう。


問いかけ:設計費ってどうやって決まるの?

設計費には大きく2つの算出方法があります。「坪単価制」と「工事費比率制」です。


要点:設計料の構造(坪単価制/パーセンテージ制)と目安

計算方法内容相場感(札幌)
坪単価制1坪あたり●万円という基準で設計料が決まる約15,000円〜40,000円/坪
工事費比率制工事費用の●%という割合で設計料が決まる工事費の7〜15%が一般的

たとえば、20坪の飲食店で坪単価3万円で設計依頼をすれば、設計料は約60万円になります。一方、工事費が800万円で10%の設計料なら、設計費用は80万円という計算です。


根拠:札幌特有の積雪・断熱仕様によるコスト変動

札幌は本州と違い、「断熱性能」や「凍結防止対策」が設計の中で強く求められます。これにより、以下のようなコスト加算が発生しやすくなります。

  • 断熱仕様の内壁材/窓材/建具の追加コスト
  • 二重サッシ・二重扉の導入
  • 暖房配管や設備スペースの確保

そのため、同じ広さ・同じ業態でも、本州と比べて10〜20%ほど設計施工費が割高になるケースが少なくありません。設計依頼時には「札幌仕様」であることを前提に、提案内容を確認しましょう。


注意点:見積もり時に見落としがちな追加費用リスク

設計費用の見積もりで、注意すべきポイントが以下です:

  1. 設計変更費用:初回打ち合わせ後に大幅な変更が入ると、追加設計料が発生することがある
  2. 確認申請・保健所対応費:図面作成とは別に、申請図や対応工数が請求されることがある
  3. 調査費・現地測量費:特に居抜き物件では、既存図面がないため測量費用が必要に
  4. 交通費・出張費:道内でも遠方物件の場合、別途請求されることもある(札幌近郊以外)

事前に確認すべきポイント:

  • 設計費に「どこまでの作業」が含まれているのか
  • 提案回数や修正の範囲に制限があるか
  • 工事監理(設計通りに工事が進んでいるか確認)の費用は別か含むか

店舗の印象を左右する「出入り口」設計の落とし穴とは?

飲食店でも、美容室でも、雑貨店でも──お客様が最初に触れるのが「出入り口」です。ところが、多くの設計プランでは「入口のドアの種類」について、あまり深く検討されないことが少なくありません。特に札幌のような積雪・凍結・強風といった気象条件がある地域では、「ドアの選定ミス」がそのままトラブルや売上に直結することもあります。


問いかけ:自動ドアか?引き戸か?それともドアなし?

札幌の店舗でよく見られる出入り口には以下の種類があります:

  • 電動式自動ドア(センサーで開閉)
  • 荷重式自動ドア(人の重さで開閉)
  • 手動引き戸/開き戸
  • ドアなし・オープン型入口

では、どれが最も適しているのでしょうか?その答えは「業態・立地・札幌の気候条件」によって変わります。


比較表:札幌の店舗における「電動式 vs 荷重式」の違い

比較項目電動式自動ドア荷重式自動ドア(例:Nドア)
電源の有無必要(停電時は停止)不要(常時作動)
凍結のリスクモーター部が凍結すると開閉不能に機構がシンプルで凍結トラブルが少ない
メンテナンス頻度年1〜2回の定期点検が推奨簡易な点検で済む
設置コスト高め(設備費・配線工事が必要)比較的安価(電源不要で工事が簡単)
外観デザイン自由度自動ドアらしい見た目になることが多い外観との調和が取りやすい
静音性作動音が目立つことがある非常に静か

根拠:北海道での「停電・積雪・ドアの凍結リスク」まで考慮を

札幌では以下のようなトラブルが実際に多く報告されています:

  • 降雪時にセンサーが誤作動してドアが閉まらない/開かない
  • 停電時に自動ドアが停止し、営業が不可能になる
  • 冷気が入り込んで暖房効率が著しく低下する

これらは、電動式ドアが悪いというよりも、「札幌の自然条件に十分配慮せずに導入された」結果です。設計段階で、「冬に開かなくなったらどうする?」という最悪のケースまで想定することが重要です。


荷重式自動ドア「Nドア」が選ばれる理由(札幌の場合)

荷重式とは、扉の前に設置された床の上に人が立つことで、重みを感知してドアが開く構造のドアです。北海道・東北・北陸など、寒冷地を中心に近年導入が進んでいます。

Nドアの特徴:

  • 電源不要のため停電時でも稼働
  • シンプル構造のため凍結しにくく、故障リスクが低い
  • 静音性が高く、飲食店や美容室に向く
  • 店舗の外観デザインに溶け込みやすい

札幌市内でも、個人経営のカフェや美容室での導入事例が増加しており、「コストを抑えつつ、冬場でも安定して動作する入口」を求める人にとって、荷重式自動ドアは魅力的な選択肢です。


注意点:荷重式にも設置条件がある

荷重式ドアにも「設置スペース」「床の構造(段差の有無)」「扉の重量」などの条件があるため、事前の設計段階で確認が必要です。逆に言えば、「設計段階からエントランス計画に組み込めば、最適な選択肢となりうる」ため、設計の初期段階で検討することがカギです。


設計から開業までのスケジュールと役所対応も要注意

「設計をお願いしてから、どれくらいでオープンできるのか?」──これは開業を控えた方が最も気になるポイントのひとつです。ところが、実際には設計よりも「申請・確認・調整」のほうに時間がかかるケースが多いのが現実です。

とくに札幌のような地域では、「冬に施工ができない」「役所への届出に季節的な混雑がある」といった地域特有の事情も加わり、スケジュール管理に失敗するとオープンが数ヶ月ずれ込む可能性もあります。


問いかけ:開業までにどんなステップがあるの?

開業までの流れは業態や物件状況によって異なりますが、一般的なステップは以下のとおりです:


手順:店舗オープンまでの工程と各ステップの期間目安

  1. コンセプト設計・ヒアリング(1〜2週間)
     希望の業態や内装イメージ、必要設備の確認を行う段階。
  2. 基本設計・図面作成(2〜4週間)
     具体的な間取りや動線、設備配置の図面を起こします。
  3. 役所への各種申請(2〜6週間)
     以下のような届け出が必要な場合があります:
     - 建築確認申請(大規模改修時)
     - 保健所への飲食店営業許可申請
     - 消防署への防火対象物使用届 など
  4. 施工期間(3〜6週間)
     工事の規模や内装の複雑さにより変動。冬季は施工業者が混みやすいため、早期手配が必要。
  5. 最終チェック・行政検査(1週間)
     各種検査後、営業許可証が発行されれば、晴れて開業となります。

合計期間の目安:おおよそ3〜4ヶ月(冬季は+1ヶ月を見込む)


注意点:保健所/消防/建築確認…誰がどこまで対応してくれる?

設計業者の中には「申請対応は別料金」「申請代行は行わない」場合もあるため、契約前に以下の点を必ず確認しましょう:

  • 申請書の作成・提出は誰が行うか?
  • 現地調査や立会いに同行してくれるか?
  • 不備が出た際の再対応を請け負ってくれるか?

札幌市の保健所や消防署は、申請内容に対して非常に細かく指摘をすることも多く、「プロでなければ対応が難しい」と感じる場面が多々あります。したがって、役所対応に慣れた設計会社を選ぶことが、スムーズな開業に直結します。


補足:札幌市特有の届出や気候対策で時間がかかる例

札幌で特に注意すべき点:

  • 二重扉/風除室の設置義務(一部施設)
     →ドアが直接外と接している場合、暖房効率や防火面から指摘を受けやすい
  • ガス機器・暖房設備の規制
     →LPガスと都市ガスの切替、設置位置による許可制限などがある
  • 積雪対策としての屋根・排水設計
     →水がたまりやすい位置に排水口を置くと、凍結→破損の恐れあり

これらの対策には「設計の知識+地域経験」が必要不可欠であり、本州の設計事務所では気づけないリスクとなりやすいのが現実です。


「おしゃれなだけ」で選ばない。設計会社の選び方のコツ

SNSで見かけるような「映える」内装や、施工事例写真が豊富なウェブサイトは、ついつい魅力的に見えるものです。しかし、設計の本質は「見た目」だけではありません。特に札幌という地域では、気候・制度・施工環境といった目に見えない部分の配慮が不可欠です。

ここでは、札幌で設計会社を選ぶ際に重視すべき3つの視点をご紹介します。


問いかけ:設計会社は、何を基準に選ぶべき?

結論から言えば、以下の3点を明確に比較することが重要です:

  1. 経験の「幅」と「深さ」
  2. 地域性への対応力
  3. 業態との相性

要点:写真映えだけで判断せず、実績の「幅」と「深さ」を見る

施工事例の中でも、「どんな業種を」「どれくらいの数こなしてきたか」が最も重要です。

観点チェック項目
幅(業種)飲食・美容室・物販など複数の業種を扱っているか?
深さ(継続)リピートや紹介が多いか?同一業種のノウハウがあるか?
規模の違い小規模・中規模など幅広い案件の対応実績があるか?

「カフェは得意だけど、美容室は実績がない」「テナントビル内の小型物件しか対応したことがない」など、得意不得意の傾向を見極めると、後悔を防ぐことができます。


注意点:業態に合った設計経験があるか

飲食店、美容室、整骨院、物販店舗──同じ「店舗設計」といっても、求められる機能は大きく異なります。

業態設計上の配慮ポイント
飲食店排気・給排水・厨房動線・ゴミ置き場の設計
美容室照明の色温度・鏡の配置・配線隠蔽・水回りの床勾配
小売・物販商品導線・陳列棚の配置・防犯カメラや防犯ゲートの設計
医療・整骨院バリアフリー・診療スペースのプライバシー確保・換気計画

これらは、単に「おしゃれに見える」設計ではカバーしきれない領域です。自分の業態に近い店舗を多く設計した実績があるかどうかを、必ず確認しましょう。


比較:大手・地元密着型・設計施工一貫型の特徴と向き不向き

種別特徴と向いている人注意点
大手設計事務所洗練されたデザインと豊富な人員体制コスト高/札幌のローカル事情に疎いことも
地元密着型札幌の物件事情や行政対応に詳しく、スムーズな調整が可能デザインの自由度がやや制限されることがある
設計施工一貫型設計から工事まで一社で完結でき、コストや手間を抑えやすい設計の選択肢が少ない/提案力にバラつきあり

選定ポイントまとめ:

  • 写真映えに惑わされず、「見えない部分」を質問する
  • 札幌の冬に強い設計知識があるか、具体的に確認する
  • 業態別に必要な機能・法規制への対応経験をチェック

これらの判断軸があれば、見た目の印象や広告文句に流されず、本当に自分に合った設計会社と出会う確率が高まります。


【適ドア適所】で考える、札幌店舗設計の見落としポイント

これまでの記事では、設計費用や依頼先の選び方、スケジュール管理や入口ドアの種類まで、店舗設計において見落とされやすい要素を網羅してきました。ここではそれらを一つに統合し、設計における本質的な考え方──「適ドア適所」という視点を提示します。


問いかけ:店舗の“顔”である出入り口、なぜもっと重視されないのか?

設計の打ち合わせでは、内装の色味や壁の素材、照明のトーンといった“見える部分”にばかり注目が集まりがちです。しかし、最初に目にする入口こそが、お客様にとっての第一印象を決定づける要素です。

そしてこの入口の「開け方」こそが、実は機能性・安全性・経済性に深く関わっています。


要点:エントランス設計の選択で、店の第一印象と光熱費が変わる

例えば、札幌市内のカフェで次のような事例がありました。

  • 立地は大通公園近くの人通りの多い路面店
  • 外観に合わせてデザイナーが「両開きのガラス製開き戸」を設計
  • 冬季になり、開け閉めのたびに冷気が流れ込み、室内の温度が15℃を下回る
  • 電気代が大幅に増加。お客様の滞在時間が減り、売上も低下

このように、「入口のドアが店舗経営に与える影響」は非常に大きいのです。特に札幌のように寒暖差が激しい地域では、開閉方法そのものが「空調効率」や「回転率」に影響を与えるため、設計段階からの見極めが不可欠です。


根拠:荷重式自動ドア「Nドア」が支持される理由と背景

「電源が不要で、停電時も開く」「凍結の心配が少ない」「軽くて音がしない」──これらの理由で、札幌を含む北海道内では、荷重式自動ドア「Nドア」が次のような業態で採用されています:

  • 個人経営の美容室(静かな雰囲気を重視)
  • 子育て支援センター(安全性と静音性が評価)
  • 地域の診療所(停電時の避難導線確保のため)
  • 公共施設(バリアフリー対応と凍結防止が条件)

こうした導入例から見えてくるのは、「エントランスにふさわしいドアは、業態や立地、気候条件によって異なる」という事実です。つまり、見た目や価格だけで選ぶのではなく、“用途に応じた設計判断”こそがプロの設計には必要ということです。


関連:公共施設や個人店舗での導入事例(一般化した表現)

業態Nドア導入の理由
小規模飲食店店内の空気を逃がさず、冬も暖かい環境を維持
美容サロン無音に近いため、カット中のお客様を驚かせない
子育て施設自動で開き、ベビーカーでも安全に通行可能
整骨院・医院電源がなくても災害時に開閉できる
公共施設頻繁な出入りでも凍結リスクが少ない

このように「適ドア適所」の思想は、単なる自動ドアの機種選びにとどまらず、“設計の判断軸”として、あらゆる選択に応用できる考え方です。


【適ドア適所】にそった「まとめ」

  • 店舗設計においては「入口設計」こそが最重要の判断要素である
  • 札幌のような寒冷地では、凍結・停電・光熱費に配慮したドア選びが不可欠
  • 荷重式自動ドアは「電源不要」「凍結しにくい」「静音性が高い」という点で、多くの業態にとって有力な選択肢
  • 設計段階で「どのドアがふさわしいか」を見極めることが、店舗運営の安心と成功につながる

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