「Revitで建具の設計をする」と聞けば、多くの設計者が真っ先に思い浮かべるのは、木製扉やアルミサッシといった一般的な「開き戸」や「引き戸」でしょう。しかし、医療施設・公共施設・商業建築などの設計に携わる中で、自動ドアの設計モデルが必要になる場面は少なくありません。
ところが、自動ドアをRevit上で正確に再現するには、通常のドアファミリとは大きく異なる視点と知識が求められます。たとえば、「開閉動作」「駆動装置」「センサー」「安全半径」「納まり寸法」などの要素をどこまでモデル化すべきか。既製のファミリでは満たせない要件も多く、実務者を悩ませるポイントです。
さらに近年では、「荷重式自動ドア(Newtonドア)」のように、電気を使わず開閉する特殊構造の自動ドアも増えており、日本特有の設計ニーズに対応するためのノウハウが必要とされています。
本記事では、Revitを使って「自動ドアのファミリ」を設計・作成しようとしている建築設計者、BIM担当者に向けて、納まり図からのモデリング、駆動部の考え方、荷重式対応ファミリ設計、さらにJIS仕様との整合性まで、実務で本当に役立つステップと判断軸を徹底的に解説します。
目次(このページの内容)
- 1 自動ドアをRevitで扱う前に知っておきたいこと
- 2 そもそも、自動ドアのRevitファミリって何が難しいのか?
- 3 Revitで「自動ドアの納まり」を正しく再現するには?
- 4 駆動装置やセンサーをどこまでモデル化するか?実務的判断
- 5 荷重式自動ドア(Newtonドア)のRevit設計、他と何が違う?
- 6 既存の図面・PDFからRevitファミリを作る実践手順
- 7 【自動ドアのRevit設計】における判断基準と「適ドア適所」
- 8 【適ドア適所】にそった「まとめ」
- 9 出典・参考資料一覧
自動ドアをRevitで扱う前に知っておきたいこと
要点:Revit上での自動ドア設計には、通常のドアと異なる注意点が多数ある。特に日本の建築仕様に合ったモデル設計が必要。
手順:まずは「なにが普通のドアと違うのか」を整理する
Revitで扱う「ドアファミリ」は、一般的に以下のような構成要素で作られます:
- 壁に取り付けられる開口部(ホスト)
- 枠材(フレーム)と扉本体(パネル)
- 可動域(スイープやアニメーション)
- 寸法パラメータ(幅・高さ・開口角度)
- 2D表現と3Dビューでの可視性制御
これらは「開き戸」や「引き戸」など、手動操作を前提とした建具であれば、比較的スムーズに適用できます。
しかし、自動ドアとなると次のような追加要素が発生します:
注意点:
- 駆動装置の存在
自動ドアには必ず、扉を開閉するモーター・制御ユニットが存在します。これを「見せる」のか「省略する」のか、設計段階で明確にする必要があります。 - 開閉動作とモーション制御
開き角や引き込み量だけでなく、開閉のスピードやタイミングまで含めた「動的な表現」が求められる場合もあります。 - センサーやスイッチの配置
人感センサーや非常解放スイッチなど、自動ドアの安全動作を支える装置の位置や有無も、設計段階で判断すべき要素です。 - JIS規格に基づいた安全寸法
とくに人の出入りが多い場所では、「開閉中に接触しない距離=安全動作半径」が定められており、その再現が求められることも。
根拠:Revitでの「実務設計」に求められるもの
RevitのBIMモデルは、単なる図面化ツールではなく、建築全体の情報を一元管理する設計環境です。よって、設計初期段階では「仮モデル」として大まかに作られることもあれば、施工図フェーズでは「詳細モデル」としてパーツ単位で寸法精度が求められることもあります。
このとき自動ドアが正しく再現されていないと、次のような問題が生じます:
- 壁厚に対して開口が食い込んでしまい、納まり不良
- 間仕切りラインが安全基準を満たさず、法的指摘
- 意匠設計でセンサー位置が想定とずれ、現場修正
特に日本国内では、JIS規格(例:JIS A 4722)や建築基準法に基づいた設計が求められるため、「とりあえず作ったファミリ」がそのまま使えることは極めて稀です。
提言:設計の起点は「何をどこまで表現すべきか」の判断から
Revitで自動ドアを扱う際、最も重要なのは「どこまで表現するか」の取捨選択です。
| 項目 | どのフェーズで必要か | モデルに含めるべきか |
|---|---|---|
| 開口サイズ・形状 | 基本設計〜実施設計 | 必須 |
| 駆動装置の形状 | 詳細設計〜施工図 | 任意(設計方針次第) |
| センサー・スイッチ | 概念設計〜詳細設計 | 任意(安全配慮) |
| 動作スイープ表現 | プレゼン・意匠設計 | 推奨 |
| JIS安全半径 | 公共施設・大規模施設 | 必須に近い |
まずは自分の担当する建築物の「フェーズ」と「用途」を整理し、そのうえで「どの要素がRevit上で必要か」を明確にしてから、ファミリ設計に着手することをおすすめします。
そもそも、自動ドアのRevitファミリって何が難しいのか?
要点:自動ドアのRevitファミリ設計は、通常のドアと比べて「情報量」「動作」「納まり」が高度に連動しており、失敗が設計全体に波及しやすい。
共感:既製ファミリではどうしても限界がある…
BIMobjectやAutodeskライブラリなどからダウンロードできる「自動ドアのファミリ」も確かに存在します。しかし、それらの多くは以下のような制約を抱えています:
- サイズが固定(パラメータ非対応)
- モーターやセンサーがモデル化されていない
- 壁との取り合いが曖昧で納まりが不明確
- 引き戸の場合、開閉動作が固定アニメーション
つまり、設計者が使いたい形に「そのまま適用できない」ことが多く、結局一から作り直すことになるのです。
構造的な難しさ:Revitファミリに要求される4つの特性
1. 「複合オブジェクト」としての構成
自動ドアは、ただの「開口+パネル」ではありません。以下の構成要素が連携して動く必要があります:
- 扉本体(パネル)
- 上枠レール(スライド機構)
- 駆動装置ユニット
- センサー(上部または横)
- 壁(ホスト)との関係
この複合構造を「1つのファミリ」として成立させるには、参照面/ジオメトリ制御/ビジュアル制御など、高度な知識が要求されます。
2. 開閉動作の再現
Revit上で開閉スイープ(Animation)を設定するには、「可変ジオメトリ」や「可動リグ」を使う必要があります。引き戸のように「スライドして移動する部材」は、回転型の建具ファミリよりも再現が難しいため、パラメータ駆動や「ネストファミリ」が必要になることもあります。
3. 壁との取り合い
ファミリの多くは壁に対して中央配置されますが、自動ドアは枠やレールの厚み分、壁内または外壁に対して偏心配置される場合が多く、これが寸法調整・干渉チェックを複雑にします。
4. 視覚表現とLODの分離
BIMではLOD(詳細度)ごとの切り替えが推奨されますが、Revitファミリ内でそれをコントロールするには「可視性パラメータ」や「ビュー種別制御」が必要です。意匠段階では必要だが実施設計では非表示にしたい部材(例:センサー)もあり、制御の煩雑さが問題になります。
判断基準:再現する要素と省略する要素の線引き
| モデル要素 | 再現するべき? | 判断基準 |
|---|---|---|
| パネル寸法 | 必須 | 開口計画の核心 |
| 駆動装置 | 条件付き | 視認性・メンテ要求があるなら必要 |
| センサー | 条件付き | 安全設計や意匠要件による |
| スライド軌道 | 推奨 | モーション表現との連携に必要 |
| 壁との段差 | 必須 | 納まりミスを避けるために重要 |
実務の声:「どこまでモデル化すればOKなのか?」
Autodeskフォーラムや設計事務所のブログを調査すると、次のような実務的な疑問がよく見られます:
「駆動装置って見せる必要ある?」「スライドの距離って可変にした方がいい?」「納まり図をモデル化するって、どうやって?」
これらはすべて、設計フェーズとプロジェクト規模に応じた判断が必要です。
たとえば:
- 意匠設計段階:スライド方向と開口サイズを示す程度でOK
- 詳細設計段階:納まり寸法と動作域、センサーの位置を明示
- プレゼン・確認申請:動的に開く様子や安全半径まで表現
つまり、使い回せる万能ファミリは存在せず、案件ごとに調整が前提となるのが自動ドアファミリの特徴です。
Revitで「自動ドアの納まり」を正しく再現するには?
要点:自動ドアの設計では、JIS規格や建築納まりの整合性が求められる。Revitでは「参照面」「寸法拘束」「可変パラメータ」で正確に再現する必要がある。
背景:納まりの再現は「見た目」以上に重要
建築設計において「納まり」は、単なる図面上の見た目ではありません。以下のような要素に直結する重要項目です:
- 法規(建築基準法、JIS規格)への適合
- 現場施工との整合性
- 使用者の安全性(開閉半径、安全距離)
- メンテナンス性・交換性
特に自動ドアは、上部に駆動装置を抱えていたり、引き込みスペースが必要だったりと、納まりの自由度が制限されやすいため、設計段階での正確な再現が求められます。
根拠:JIS A 4722に準拠した納まり要件
Newtonドアや他の自動ドア製品でも参照される**JIS A 4722(自動ドア装置)**には、以下のような寸法条件や構造要件があります:
- 扉の開閉時の障害物検知領域(センサー範囲)
- 安全開閉力(開く力の上限)
- 開口幅・高さの標準寸法(例:800〜1200mm幅)
- 障害物感知による緊急停止・再開
これらを踏まえた設計は、「納まり図」で示され、Revitファミリに正確に反映されなければなりません。
手順:納まり図からRevitファミリを作る5つのステップ
1. 参照面を定義する
- 開口部の中心線(または壁芯)を基準に「外部」「内部」「扉パネル」「レール」などの参照面を配置。
- 偏心配置が必要な場合は、外壁ラインからの距離を寸法拘束。
2. 固定寸法をパラメータ化
- 扉の「幅・高さ」「引き込み寸法」「レール高さ」などをタイプパラメータとして定義。
- 設計段階で複数のサイズパターンが選べるようにする。
3. ジオメトリを配置
- パネル:引戸の場合、開閉方向を向いたパネルを作成
- レール:上部に駆動機構用ボックスまたはスライドレールの形状
- センサー:必要であればジオメトリを配置し、可視性制御
4. ビュー制御とLOD設定
- 平面図での2D表現(開閉範囲、引き込み方向など)をシンボルラインで描写
- LOD200〜400まで対応させるために、部材ごとの可視性切替パラメータを設定
5. モーションの再現(必要に応じて)
- パラメータによって「開状態/閉状態」の表示切替を可能に
- スライドモーションの再現は「ネストファミリ」と「数式パラメータ」で制御
注意点:Revit特有のトラブルに注意
| 問題 | 原因 | 解決策 |
|---|---|---|
| 壁からはみ出す | 壁厚に対する偏心設定ミス | 壁厚を取得して動的制御するパラメータを設定 |
| 開口が反映されない | カットパラメータ設定ミス | Host Cutパラメータを有効にし、カテゴリ確認 |
| パネルが動かない | 可動範囲の数式設定ミス | 可変距離を定義した参照面と結合が必要 |
| シンボルが表示されない | ビューテンプレートやLOD設定不備 | 表示制御パラメータとテンプレ設定を統一 |
提言:「実寸に忠実」であることは、Revitファミリの価値
Revitで作成される自動ドアファミリは、ただのビジュアル表現ではありません。そこに正確な納まり情報と、施工可能性の裏付けがあることが、施工図以降のフェーズでも信頼されるモデルとなります。
納まりに忠実なファミリを用意することで、以下のメリットが得られます:
- 他業種との干渉チェックが容易に
- 使用者の安全確保(開閉範囲)
- 設計変更時の修正が即座に反映可能
- 工事監理・施工者との意思疎通がスムーズ
「図面がなくてもファミリを見れば納まりがわかる」
そんなRevitファミリこそが、設計者にとって最も強力な武器となります。
駆動装置やセンサーをどこまでモデル化するか?実務的判断
要点:すべてをモデル化すれば良いというわけではない。設計フェーズや目的に応じた「情報の取捨選択」が求められる。
前提:自動ドアには「情報の粒度」が多すぎる?
Revitモデルを設計する上で、多くの設計者が直面するのが「どこまで再現すべきか」という悩みです。
特に自動ドアは、構成要素が多く、それぞれに情報が付随します:
- 扉パネル(材質、開閉幅、開口率)
- 駆動装置(モーター、ガイドレール、吊元機構)
- センサー類(人感、開閉、非常開放)
- 操作パネル・押しボタン
- 安全装置(挟み込み防止、感知エリア)
これらをすべて忠実にモデル化すれば、確かに情報は豊富になりますが、以下のような弊害も生まれます:
- モデルが重くなり、処理速度低下
- 他の設計者や業者が混乱する
- 意匠上の干渉が発生しやすい
- メンテ・更新が大変
判断軸:「何のために再現するのか?」を明確にする
Revitにおけるモデル化の目的は、大きく3つに分類できます:
| モデルの目的 | 代表フェーズ | 必要な情報 |
|---|---|---|
| 意匠検討用 | 基本設計〜プレゼン | 開口サイズ、引き戸方向、見た目 |
| 詳細設計用 | 実施設計 | 枠厚、駆動寸法、センサー配置、干渉確認 |
| 発注・施工用 | 設計施工連携 | 取付位置、接続機器、型番情報(IFC) |
つまり、「誰が」「何のために」そのモデルを使うかによって、必要な情報量(LOD)が変化するのです。
比較:LOD別のモデル要素一覧(自動ドア編)
| LOD | 表現内容 | 対象パーツ例 |
|---|---|---|
| LOD100 | 記号的表現(矩形) | 開口のみ、方向記号 |
| LOD200 | 概略寸法・視覚表現 | パネル厚、スライド方向、フレーム |
| LOD300 | 詳細寸法・配置情報 | レール寸法、駆動部寸法、センサー範囲 |
| LOD350 | 他要素との納まり整合 | 扉動作スイープ、電気・機械設備との干渉確認 |
| LOD400 | メーカー実寸+製品情報 | モデル番号、取付金具、型番、取説URL等 |
根拠:Newtonドアに見る「モデル化の最適点」
Newtonドアは、荷重を利用して開閉する電源不要の自動ドアです。
- 駆動部にモーターが不要
- カウンターウェイトによるバランス構造
- 軽量構造による壁への負荷低減
- センサーや配線が不要なケースも多い
このような製品では、再現すべき要素は「物理構造と動作範囲」のみとなり、機械的な情報は省略できます。つまり、Newtonドアのような製品ではLOD200〜300が最適です。
提言:過剰なモデル化は「使いにくさ」を生む
Revitファミリ設計で陥りやすいのは「全部入れてしまう」という姿勢です。しかし、建築設計全体の中でRevitモデルが持つ意味は、「情報を整理して提供する」ことにあります。
したがって、次のようなルールが有効です:
- 駆動装置は、設計図で「視認性が必要なときだけ」モデル化
- センサーは、建築的配置に影響する場合のみジオメトリ化
- メーカー情報は、「実施段階で別途添付」にとどめる
このように「必要なときに、必要な分だけ」モデル化することで、Revitの持つ情報統合力を損なうことなく、設計の柔軟性を高めることができます。
荷重式自動ドア(Newtonドア)のRevit設計、他と何が違う?
要点:Newtonドアは「電源不要・カウンターウェイト式・納まり自由度が高い」という特異な構造を持つ。Revitでの再現には従来の自動ドアとは異なる発想が必要。
背景:Newtonドアとは何か?
Newtonドアとは、Newtonプラス株式会社が開発・提供する荷重式自動ドアです。電源を使わず、人がドアの前に立つことで扉が開くという独自の機構が特徴です。
Newtonドアの基本構造:
- 足元の「荷重プレート」によって体重を感知
- 上部にあるカウンターウェイトでバランスをとる
- 扉は自重とバランスによってスライドする
- 駆動装置・モーター・配線が不要
- 手動でも開閉可能(非常時対応)
この構造は、「電気的な自動ドア」とは全く異なる納まりと設計ロジックを持ちます。
比較:Newtonドアと一般自動ドアの違い
| 項目 | 一般的な自動ドア | Newtonドア(荷重式) |
|---|---|---|
| 開閉方式 | モーター+センサー | 人の荷重+バランスウェイト |
| 電源 | 必須(ACまたはDC) | 不要 |
| センサー | 必須(人感、接触) | 不要または補助的 |
| 制御ユニット | コントローラー+設定 | 不要 |
| 非常対応 | 停電時は手動開閉可否に依存 | 常に手動可(自重で開閉) |
| 壁納まり | 機械スペースが必要 | 比較的自由 |
HowTo:Newtonドアの納まり図からRevitファミリを作成する
1. パネル・レール構造を定義
- 扉パネルは通常の引戸と同様だが、レールは単純化できる
- 駆動装置なしのため、上部ボックス不要
2. カウンターウェイトのモデル化
- 一般的には「見えない部材」として扱う
- ただし構造的に重要な場合、点線や注釈として2D表現する
3. 荷重プレート(足元)を可視化するか検討
- 意匠設計で視認される場合、モデルとして配置
- 単なる注記で済む場合、シンボルラインで対応
4. 可変パラメータの設定
- 引戸の開口幅、引き込み量をタイプパラメータで制御
- 「自動/手動切替」などのステータス表現はプロパティで管理
根拠:JISとの整合性と再現方針
Newtonドアは、JIS A 4722(自動ドア装置)およびA 4702(建具一般)への整合性もクリアしています。
このことから、**「安全開閉力」「停止位置の安定性」「安全開閉範囲の確保」**などが設計上の表現ポイントになります。
再現の具体例:
| JIS要求 | Revitでの再現方法 |
|---|---|
| 安全開閉力 | 「開く力(N)」をプロパティ情報で記述 |
| センサー範囲 | 不要(または注釈表示) |
| 非常開放 | 開口方向のアイコンや動作説明を注記 |
| 接触検知 | 原理的に不要(構造的に接触しない) |
提言:「動かない」ことで信頼されるモデルを作る
Newtonドアの設計思想は、「なるべく動かさない、壊れない、安全」というシンプルな原理に基づいています。
Revitで再現する際も、それに合わせて次のようなモデリングが効果的です:
- 動作アニメーションは省略または補助的に
- 不可視な構造は2D注記またはIFCプロパティで補完
- 安全半径や動作範囲は「注釈表現」で強調
また、電源不要という特性は「電気設備との干渉がない」という利点にもつながるため、MEP連携モデルでも取り扱いやすいというメリットがあります。
既存の図面・PDFからRevitファミリを作る実践手順
要点:図面からのファミリ作成は「単なるトレース」ではない。読み取り・変換・整理・制御の4段階を経て、実用的なモデルが完成する。
背景:図面はある。でもファミリがない…
Newtonドアをはじめとした多くの自動ドア製品は、PDF図面やDWG形式の納まり図で仕様提供されることがほとんどです。Revit用の.rfa(ファミリ)ファイルが配布されることは稀であり、設計者やBIM担当者が自らファミリを起こす必要があります。
しかし、単に「DWGを読み込んでモデル化」するだけでは不十分です。
- レイヤーが乱雑なまま
- 参照面が設定されていない
- 寸法が固定でパラメータ化されていない
- 表示制御やLODが未設定
こうした状態のファミリは、**「設計には使えないファミリ」**とされ、設計現場での信頼を失います。
手順:図面からRevitファミリを作る7ステップ
1. 納まり図を確認し、要素を分類する
- DWGまたはPDFを開き、「どのパーツが固定で、どれが可動か」を把握
- 開口サイズ、レール位置、パネル引込寸法、安全エリアなどをピックアップ
2. DWGをリンクまたはインポートする
- Revit内で「リンクCAD」で読み込み
- 原点合わせ or 任意の基準点合わせを設定
- できるだけ「リンク」で運用し、モデル化後に削除する
3. 参照面とパラメータを設定
- 扉中央、開口端、壁面、レール中心などに参照面を配置
- 寸法拘束とラベル化で「幅・高さ・引き込み量」をパラメータ化
4. ジオメトリのスケッチと配置
- パネル、フレーム、レール、カウンター部などを「押し出し」などで作成
- 面ごとにマテリアルパラメータを設定して意匠調整可能に
5. 可視性とLOD制御を設定
- 意匠用、実施設計用、施工用などでパーツの表示切替を設定
- 2D表示は「シンボルライン」で平面図の可読性を高める
6. テスト配置とエラー確認
- 壁面にファミリを配置し、ホストとの関係性を確認
- 扉の開閉パラメータが想定通り動くかをチェック
7. IFC・プロパティ記述の追加
- 製品名、型番、設計荷重、JIS準拠情報をプロパティに入力
- 他業種(構造・電気)との連携用に属性を整備
注意点:リンクCAD vs インポートの違い
| 項目 | リンクCAD | インポート |
|---|---|---|
| 編集性 | 高い(元図反映される) | 低い(固定される) |
| モデル軽さ | 軽い | 重くなりやすい |
| トラブル対応 | 編集反映で柔軟 | モデル崩壊のリスクあり |
| 推奨度 | ◎(推奨) | △(特殊用途のみ) |
原則として「リンクCAD」を使い、モデル化後に削除するのがベストプラクティスです。
根拠:Autodesk推奨のBIM実践手法にも一致
この一連の手順は、AutodeskがBIMトレーニングで推奨する「ファミリ作成プロトコル」にも準拠しています。特に、「図面からの読み取り」「再利用可能なパラメータ設計」「ビュー制御」は、複数案件での再活用における重要な資産となります。
提言:図面→ファミリ化は「情報整理」そのもの
単なるモデリングではなく、情報の「要・不要」「固定・可変」「視覚・非視覚」を整理してファミリ化することが、Revitにおける本当の建築設計です。
このプロセスを一度経験すれば、以下のメリットが得られます:
- どの図面にも応用できるフレームワークができる
- メーカーが提供しないファミリも自作できる
- 意匠と実施設計を統合できる「設計者主導のBIM」が実現する
【自動ドアのRevit設計】における判断基準と「適ドア適所」
要点:「すべての要素を表現する」ではなく、「必要な情報だけを、適切に伝える」ことがRevit設計の本質。Newtonドア哲学がその指針となる。
背景:Revit設計は「設計判断そのもの」
自動ドアのRevitファミリを設計するということは、単に図形を作ることではありません。
それは、「建築空間に対して、どのような開口部を、どのように動作させ、どのような情報を伝えるか」という、設計者としての意思決定そのものです。
しかし現実には、以下のような迷いがつきまといます:
- 駆動装置はモデル化すべきか?
- 開閉動作の再現は必要か?
- 安全装置の表示は?
- 情報量が多すぎて伝わらないのでは?
- 逆に、省略しすぎて誤解されないか?
こうした迷いを解消するのが、「適ドア適所」という考え方です。
「適ドア適所」とは?
Newtonドアが提唱する「適ドア適所」とは、用途や空間に応じて最もふさわしいドアを選び、設計・設置することです。
この考え方は、Revitファミリ設計にもそのまま当てはまります:
- すべての情報を盛り込む必要はない
- 空間に必要な情報だけを、適切に届けることが目的
- 見せるべきもの、隠すべきものを判断するのが設計者の役割
判断軸:自動ドアRevitファミリ設計の「4つのフィルター」
Newtonドア哲学に基づき、次の4つの視点で「なにを表現すべきか」を判断しましょう。
1. 電源の有無(機械的・電気的な構造)
- 電源が必要な自動ドアか、荷重式のように不要か
- モーター・制御ユニットの配置が必要か不要か
→ 判断:機械的構造を「可視化すべきか」は、電源依存性で決まる
2. 使用環境(屋内・屋外/公共施設・住居)
- 使用頻度、安全性、視認性の必要性
- センサーや安全装置の存在意義
→ 判断:使用環境が複雑なら、詳細情報の表示が求められる
3. 設計段階(基本設計/詳細設計/施工図)
- 設計フェーズにより、LOD(詳細度)は変化
- 早い段階では概念、後期では寸法精度と干渉確認が重要
→ 判断:フェーズに応じて、パラメータ制御を段階的に設定
4. 表現の目的(誰に伝えるのか?)
- 意匠検討/構造設計/設備協調/発注者プレゼン…
- 相手によって必要な情報が異なる
→ 判断:表示パーツの「可視性パラメータ」は極めて重要
まとめ:ファミリ設計の完成は「設計思想の共有」
Newtonドアのファミリ設計に取り組んだ経験から得られる最大の教訓はこれです:
「モデル化=設計思想の具現化」
ただ形を作るのではなく、そこに込められた構造、安全性、機能美までを、他者に伝える手段としてファミリを設計する。
それが、BIM時代の設計者に求められる「次世代の図面づくり」です。
【適ドア適所】にそった「まとめ」
- 自動ドアのRevitファミリ設計では、構造・納まり・開閉動作・安全装置までを適切に整理し、「誰に、何を、どこまで」伝えるべきかを判断する必要があります。
- 荷重式自動ドア(Newtonドア)は、電源不要で安全性・施工性に優れるという構造的特性を持ち、これをRevitで再現するには、JISとの整合性を保ちながら「省略と強調」をバランスよく設計する視点が重要です。
- そのためには、「適ドア適所」という哲学に基づき、用途・空間・設計フェーズ・情報受け手に応じたファミリ設計判断が不可欠です。
出典・参考資料一覧
- Newtonプラス株式会社『Newtonドア 製品資料』
- JIS A 4722: 自動ドア装置に関する日本産業規格
- Autodesk公式:Revitファミリ作成トレーニング資料
- NABCO、YKK AP等の自動ドア納まり図・技術資料
- Autodeskフォーラム:自動ドアファミリ作成スレッド
- Nドア顧客セグメントと導入事例.txt
- Newtonドアの安全性検証とJIS規格整合性.txt
- Newtonドア.txt
【荷重式自動ドア】Newtonドアの資料請求はこちらから→https://76auto.biz/newtonplus/registp/p-offer.htm
【荷重式自動ドア】NewtonドアのYoutubeチャンネルはこちらから→https://www.youtube.com/@newton_plus