自動ドアと聞いて、多くの人がまず思い浮かべるのは「便利」という漠然とした印象ではないでしょうか?
確かに、ドアの前に立つだけでスッと開いてくれる様子は気持ちよく、手がふさがっているときなどには特にありがたく感じます。

しかし――
「何がそんなに良いのか?」「誰にとって便利なのか?」を深く考えたことはありますか?

この記事では、単なる“便利”の裏側にある、自動ドアの本当の良さを利用者・施設管理者・設計者など、それぞれの視点から分解し、
「自動ドアの良い所とは何か?」を具体的かつ納得できる形でご紹介します。

そして最後には、場所・目的によって選び方が変わる「適ドア適所」の考え方にも触れ、
単に“自動で開くドア”というイメージを超えた、奥深い選択の世界を一緒に見ていきましょう。



目次(このページの内容)

自動ドアの良いところ、よく聞くけど…「何が、誰にとって」良いの?

要点:
自動ドアの良さはよく語られますが、「その便利さが、どんな人にとって」「なぜ意味があるのか」という視点は、意外と語られていません。


手を使わずに通れる、非接触で安全──それは誰にとって?

たとえば、「手がふさがっていても通れる」と言われたときに、どんなシーンを思い浮かべますか?

  • スーパーで買い物袋を両手に持っている人?
  • 子どもを抱えた親御さん?
  • 車いすを使う高齢者?
  • 台車を押している施設の職員?

すべて正解です。そして、それぞれの人にとって、「手動ドア」だったらどんな不便が生じるのかも、想像してみてください。

つまり、自動ドアの「良さ」は、“誰の視点で見るか”によって意味合いがまったく異なるのです。


一般的な“良い所”リスト──その先へ進むために

インターネットやパンフレットでは、以下のようなメリットがよく挙げられます。

  • 非接触・衛生的
  • バリアフリー
  • 手がふさがっていても通行できる
  • 空調効率の向上
  • セキュリティとの連携
  • 高級感・先進的な印象を与える

たしかにその通りです。どれも自動ドアの良さを表しています。
しかし、こうした“箇条書きのメリット”だけでは、「自分の施設にとっての本当の意味」での利点が見えてきません。

そこで本記事では、この一般論をもう一歩深めて、

  • 利用者
  • 管理者・運営者
  • 設計者・建築主

という三つの立場から見た「良さ」の具体像を掘り下げていきます。


見逃されがちな前提:電動式だけが自動ドアではない

もうひとつ、多くの人が見逃しているのが、

「自動ドア=電気で動くもの」という前提が、実は思い込みである

という事実です。

後半では、電力を使わない**荷重式自動ドア(Newtonドアなど)**という選択肢にも触れながら、
「使い方」「設置場所」「目的」に応じた最適な選び方=【適ドア適所】の考え方も紹介していきます。


それでは次に、そもそもの比較対象となる「手動ドアとの違い」から見ていきましょう。
何と比べて「良い」のかが明確になることで、自動ドアの価値がもっとはっきりと浮かび上がってきます。



まずは基本から:「手動ドア」と「自動ドア」は何が違うのか?

要点:
自動ドアの良さを理解するには、まず「手動ドアと比べて何がどう違うのか?」という比較の視点が欠かせません。


手動ドアのストレス、気づいていますか?

日常生活の中で、無意識に感じている「ちょっとした不便」。
それが手動ドアには数多くあります。

  • 両手がふさがっていて開けにくい
  • ドアノブに触れるのが気になる(衛生面)
  • 開けた後に手を離すと、閉まらずに開けっぱなし
  • 強風の日に開け閉めが大変
  • ドアを押す/引く方向を間違えることも

これらは、ちょっとしたことのようで、実は日常の中で蓄積されるストレスでもあります。
特に公共施設や商業施設など、多くの人が出入りする場所では、こうした“小さな不便”が大きな課題になり得ます。


自動ドアが解消する“物理的な不便さ”

自動ドアは、上記のような「人の動作が必要な部分」をすべてシステムが代行します。

項目手動ドア自動ドア
開閉操作手で押す・引く人が近づくだけで自動
衛生面直接触れる必要あり非接触で開閉可能
荷物の持ち運び両手がふさがっていると不便両手がふさがっていても通れる
高齢者・車いす利用者力が必要/操作が困難バリアフリー対応しやすい
開けっぱなしの防止閉め忘れが起きやすいセンサーで自動閉鎖/タイマー制御可

つまり、自動ドアは「人の動きを最小限に抑え、スムーズな動線を作る」ためのツールなのです。


一見“当たり前”が、実は選ばれる理由

施設のオーナーや設計者の中には、「高級感を出すため」「見た目をスタイリッシュにしたい」という理由で自動ドアを検討する方もいます。
確かにそれも大切な視点ですが、それ以上に注目してほしいのは「人の動作と空間の関係性」です。

ドアひとつが「人の流れの質」を左右し、
快適さ、衛生、バリアフリー、安全、空調効率など、多くの機能面に影響を及ぼす。

だからこそ、単なる“開く装置”としてではなく、
**「空間をデザインする一部としてのドア」**という視点が重要になります。


次の章では、「利用者目線」から見たときに、自動ドアがどんな良さを発揮するのかを、より具体的なシーンで見ていきます。
高齢者、子育て世代、買い物客…さまざまな立場の利用者にとって、自動ドアの価値はどう映るのでしょうか?



利用者目線で見る「自動ドアの良いところ」って?

要点:
自動ドアの良さを利用者側から見ると、「非接触で通れる」ことが生む快適性・安全性・アクセシビリティの価値が浮き彫りになります。


Q:手がふさがってるとき、ドアってどうしてる?

買い物帰りで両手に荷物、
ベビーカーを押しながら、
あるいは車いすを自分で操作しながら。

そんなとき、目の前に「引き戸」があったら、どうやって開けますか?

多くの人が、ドアノブに肩を当てたり、片足で支えながら手を伸ばしたりと、苦労しているはずです。

このような場面でこそ、自動ドアは「ただの便利」ではなく、
**“あって当たり前に見えて、実は非常に高度なユニバーサル機能”**として力を発揮します。


非接触・ハンズフリーで得られる価値

利用者の立場で得られるメリットを整理すると、以下の通りです。

利点説明具体的シーン
非接触で衛生的ドアノブに触れる必要がないため、感染症対策にも有効病院、食品工場、幼稚園など
ハンズフリー両手がふさがっていてもスムーズに出入りできる買い物帰りの主婦/宅配業者など
バリアフリー性高齢者、障害者、車いす利用者でも自立して利用できる公共施設、介護施設など
安心感ドアの開閉時に不安定な体勢を取る必要がない杖を使う高齢者/子ども連れの親
誘導効果自動で開くことで、どこから入るかが明確になる商業施設や病院のエントランスなど

意外と知られていない「心理的な安心」

特に注目したいのが、「身体的な利便性」だけでなく、心理的な安心感も得られる点です。

  • 車いす利用者が「自分の力で入れる」という自立の感覚
  • 小さな子どもが親に手を引かれて安心して入れる
  • 高齢者が、力を使わずにスッと通れることで転倒リスクが減る

これは、単なる利便性ではなく、**その人の尊厳や安全を支える“設計思想”**と言えるでしょう。


生活者の立場に立ったとき、ドアは“バリア”にもなりうる

「ドアがある」だけで、人の行動が制限される。
これは健常者にとっては気づきにくい感覚です。

しかし、自動ドアはこの“無意識のバリア”を取り払い、
あらゆる人にとって自然に使える空間をつくる装置なのです。

この視点は、ユニバーサルデザインや公共性の高い施設において、今後ますます重要になるでしょう。


次のセクションでは、利用者ではなく「施設の管理・運営者の視点」で、自動ドアがどんな“良さ”を持っているのかを見ていきます。



管理者・運営者目線で見る「自動ドアの良さ」とは?

要点:
施設を運営する立場で見ると、自動ドアは「エネルギー効率・防犯・印象づくり」など、業務やコストにも直結するメリットが多く存在します。


Q:空調が逃げる、ドアが開けっぱなしになる…困っていませんか?

夏の冷房、冬の暖房。
せっかく快適な室内環境をつくっても、ドアが開けっぱなしになっていたら、意味がありません。

手動ドアは人によって閉め忘れることもあり、空調効率が著しく低下する原因になります。

一方、自動ドアは…

  • センサーで人の通行を感知し、自動で開閉
  • 開閉のタイミングや時間を設定できる(例:2秒後に閉まる)
  • 開放時間を短縮することで、冷暖房ロスを大幅に軽減できる

結果として、光熱費の削減にもつながります。


セキュリティ強化・入退室管理ができる

最近では、自動ドアに以下のような機能を組み込む例も増えています。

機能説明活用例
オートロック連携特定の時間帯のみ開放、その他は施錠状態にオフィス、集合住宅
ICカード認証利用者・職員のみ開閉可能に介護施設、研究所など
体温検知・顔認証連携コロナ禍で導入が拡大医療施設、空港、イベント会場

つまり、自動ドアは単なる「開閉装置」ではなく、**入口の“統合的な管理ポイント”**としての機能を果たすようになってきているのです。


衛生管理の面でも有効

施設管理者にとって悩ましいのが「不特定多数が触れる部分」の衛生維持です。

手動ドアでは、毎日ドアノブや取手を拭き掃除しなければなりませんが、
自動ドアならそもそも物理的接触がないため、清掃・衛生負担が軽減されます。

特に以下のような施設では、自動ドアが衛生対策の要になっています。

  • 病院やクリニック
  • 飲食店や食品工場
  • 保育園や幼稚園

“第一印象”をつくる要素としても重要

意外と見落とされがちなのが、自動ドアによって得られる「施設の印象づくり」の効果です。

  • スタイリッシュな印象
  • 先進的な設備というイメージ
  • 来訪者への「歓迎されている」感覚

これらは、オフィスや医療施設、ショールームなどで特に重要になります。

単に「入れる」「出られる」だけではなく、
その施設がどんな価値を提供しているのかを“無言で語る”装置として、自動ドアは非常に効果的です。


このように、管理者・運営者にとっても、自動ドアの良さは単なる利便性にとどまらず、
運営効率・コスト・ブランド力向上といった、多面的な価値をもたらすのです。


次は、さらに専門的な視点である「設計者・建築主の立場」から、自動ドアをどう見るべきかを考えていきます。



設計者・建築主の視点:「用途ごとに最適な自動ドア」は違う?

要点:
すべての現場に同じ自動ドアを採用するのは合理的ではありません。
設計者の視点では「目的・環境・使用者の特性」に応じて、適切な種類を選ぶという“戦略的視点”が求められます。


Q:すべての施設に、同じ自動ドアで良いのか?

商業施設でも、病院でも、集合住宅でも。

  • 「見た目がカッコいいから」
  • 「とりあえずセンサー付きにしておこう」

そんな理由で、どこにでも似たような自動ドアがついているケースは多く見受けられます。
しかし、これは**設計者の立場から見れば、非常に“もったいない選択”**です。

なぜなら、自動ドアには多様な種類があり、
それぞれの特性が「目的に合うかどうか」で選ばれるべきだからです。


自動ドアの種類と特徴(簡易比較)

種類特徴向いている場所
引き戸型(スライド式)開閉音が静か、スペース効率が良い病院、店舗入口、マンション共用部
開き戸型(オープナー式)既存のドアに後付け可、省スペース一般住宅、トイレ、非常口など
折れ戸型(フォールディング)狭い開口部でも広く開けられる小規模店舗、診察室など
回転ドア型気密性が高く、デザイン性も高い空港、ホテル、オフィスビル
荷重式(Newtonドアなど)電源不要、押すだけで開閉・自動復帰非常口、マンションゴミ置き場、公共施設など

設計上の盲点:「電気を使わない自動ドア」という選択肢

ほとんどの自動ドアは電力を使用します。
しかし、日本には**電気を使わない「荷重式自動ドア(Newtonドア)」**という選択肢があることは、
意外にも設計者の間でも知られていません。

荷重式の主なメリット:

  • 電源が不要
  • 地震・停電でも確実に開閉できる
  • 押すと簡単に開いて、自動で閉まる
  • 開けっぱなしになりにくい
  • 子どもや高齢者でも安全に使える

特に「共用部」や「防災機能を優先すべきエリア」では、電動式よりも物理的に安全性が高いという特徴もあります。


既存ドアの見直しにも役立つ視点

設計者の方であれば、「リフォーム案件」や「リノベーション」でのドア選定にも直面することがあるはずです。

  • 電源が取れない場所
  • コストを抑えたい現場
  • メンテナンスが頻繁にできない環境

こうした制約条件下でも、“荷重式”という選択肢があることを知っているかどうかで、提案の幅は大きく変わります。


設計という仕事は、見た目や機能だけではなく「長く使われること」も設計する仕事です。
だからこそ、用途・場所・ユーザー特性に応じた**【適ドア適所】の視点**が欠かせないのです。


次のセクションでは、この【適ドア適所】という判断基準をまとめに据えながら、
「自動ドアの良さ」は状況によってどう意味合いが変わるのかを整理していきます。



【適ドア適所】の視点でまとめ:場所・目的によって「良さ」の意味が変わる

要点:
「自動ドアが良い」と一言で言っても、その“良さ”の中身は、利用者の立場や用途によってまったく違います。
そこで重要になるのが「どこに、どんな目的で使うか?」を起点にした【適ドア適所】の視点です。


自動ドアの“良さ”は相対的

すでに見てきたように、自動ドアのメリットは一見すると共通していますが、
実際には以下のように視点と目的によって意味がまったく異なります

立場重要視される“良さ”
利用者ハンズフリー・非接触・安全両手がふさがっていても通れる/転倒防止
管理者空調効率・衛生管理・入退室制御光熱費削減/感染症対策/防犯強化
設計者用途別の最適設計・電源不要の選択肢ゴミ置場→荷重式/病院→引き戸式 など

このように、「誰にとっての良さか?」を具体化することで、“自分の現場ではどんな自動ドアが最適なのか”が見えてきます。


【適ドア適所】という考え方

「良い自動ドア」には、絶対的な正解はありません。
正確には、「その場所・目的に最も合ったドア」こそが、最も良いドアなのです。

適ドア適所の例:

  • 病院の入口 → 引き戸型(静音性・バリアフリー性)
  • 非常口やゴミ置き場 → 荷重式(停電対応・安全性)
  • オフィスビル → 回転ドア型(気密性・高級感)
  • 小規模商店 → 開き戸型(コスト・設置スペース)

このように、「使う場所」「使う人」「求める機能」に応じて、ドアの最適解は変わります。


「電動が当たり前」を疑う視点

多くの人が「自動ドア=センサー付きで電気で動くドア」と思い込んでいます。

しかし、実際には電気を使わない選択肢も存在し、
その方が安全で、コストにも優れたケースも多くあるのです。

例えばNewtonドアのような荷重式自動ドアは、「押すだけで開き、自動で閉まる」というシンプルな仕組みですが、
電力を使わずに、「開けっぱなしを防ぐ」「メンテ不要に近い」「停電にも強い」といった数多くの利点を持っています。


最後に:自動ドアを“選ぶ”という発想を持つ

あなたが設計者でも、管理者でも、施設を訪れる利用者でも。

「自動ドアがあるのが当たり前」ではなく、
どんな自動ドアがふさわしいのかを選ぶ」という視点を持つことで、
その空間の使いやすさ、安全性、快適性は、大きく変わります。

それは単に便利さを追求するのではなく、
人と場所に寄り添う“設計”をすることなのです。



【適ドア適所】にそった「まとめ」

「自動ドアの良い所」と一口に言っても、それは単なる“便利さ”にとどまりません。
人の動線を支え、空間の価値を高め、安全と衛生を守る装置として――

その“良さ”は、見る立場によってまったく異なる意味を持ちます。

  • 利用者には、安心と快適な動線
  • 管理者には、効率とコスト削減
  • 設計者には、戦略的な設備計画

そして何より、「どの場所に、どんな目的で、誰のために設置するのか?」を起点にした選び方――
それが【適ドア適所】という発想です。

私たちは、自動ドアが“当たり前”だからこそ、「なんとなく選ぶ」のではなく、
「ふさわしいものを選ぶ」目を持つことが、より良い空間づくりへの第一歩だと考えています。


出典一覧(参照元リンク)

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