「自動ドア」と聞いて思い浮かべるのは、近づくとセンサーで開く、あの電動式の扉ではないでしょうか?
しかし、今その自動ドアに「POAシステム付き」という言葉がついて、見積や導入の場面で目にする機会が増えています。

「POAシステムって何?」「本当に必要?」「普通の自動ドアと何が違うの?」

この記事では、そんな疑問をもつ方に向けて、「POAシステム付き自動ドア」の意味や機能、活用シーン、そして導入判断の視点まで、しっかり解説していきます。
電動式だけでなく、電気を使わない「荷重式自動ドア」など、他の選択肢との違いも交えながら、適ドア適所の考え方で整理していきましょう。


POAシステム付きの自動ドアとは?

Q: POAシステムとは何ですか?

A: POAシステムとは「入退室管理システム」と自動ドアの開閉制御を連動させるための仕組みのことです。


根拠:
「POA」は「Power Operated Access(動力制御されたアクセス)」や「Point Of Access(出入口制御ポイント)」の略とされることもありますが、業界全体での共通用語ではなく、メーカーや文脈によって定義に幅があります。
しかし共通しているのは、「入退室をコントロールするための制御システムと、ドア開閉装置を連動させた構成」を指す点です。


要点整理:

  • 自動ドアにセンサーだけでなく「制御機器(リーダー・操作盤)」を追加
  • 誰が出入りできるかを制限し、履歴管理ができる
  • セキュリティ・管理効率・安全性の向上が目的

たとえば、「社員証でしか入れない研究所の入口」「夜間はカードキーが必要な集合住宅」など、一定の条件を満たした人だけが開けられるようにするという役割を果たします。

通常の自動ドアが「誰でも自由に出入りできるオープンな装置」であるのに対し、POAシステム付きのドアは「条件を満たす人だけが出入りできるコントロールされた装置」として使われます。


なぜ今、POAシステムが注目されているのか?

Q: POAシステム付き自動ドアが最近注目されるようになったのはなぜですか?

A: セキュリティ意識の高まり、非接触の需要増加、そして省人化ニーズへの対応が背景にあります。


背景:
かつては、建物の入口に人が常駐してチェックするのが当たり前でしたが、今では**人に代わって「システムで出入りを管理する」**ことが主流になりつつあります。

とくに近年、POAシステムが注目されている要因には以下の3つがあります:


1. セキュリティ対策の高度化

  • 防犯意識の高まりにより、「誰がいつ入ったか」を記録するニーズが増加
  • 顔認証・カードキー・テンキー・スマホ連携など、認証手段が多様化
  • 建物のセキュリティポリシーに応じて、細かな出入り管理が可能に

2. 感染症対策と非接触ニーズ

  • コロナ禍以降、「手で触れる操作」への不安が顕在化
  • 非接触で入室制限できるPOAシステムが、感染症対策の一環として採用される場面が増加

3. 人手不足・省人化への対応

  • 管理人や受付スタッフを配置するコスト削減のため、システムによる無人化を推進
  • 時間外対応・来客対応なども遠隔または自動で可能に

どんな場所にPOAシステムは使われている?

Q: POAシステムはどのような施設に導入されていますか?

A: オフィス、マンション、病院、福祉施設、研究所、学校など、「出入り制限」が求められるあらゆる場所で活用されています。


POAシステムは「誰が入ってもいい場所」ではなく、「入っていい人を制限したい場所」でその真価を発揮します。以下は代表的な導入シーンです:


オフィスビル・研究所

  • 社員証やIDカードでの入館制御
  • ゲートと連動したエントランス管理
  • 特定フロアのみ入室可能な制御

分譲・賃貸マンション

  • エントランス自動ドアのカードキー認証
  • 宅配ロッカー連動や来訪者履歴の記録
  • 防犯カメラ連携でトラブル時の確認も容易に

病院・高齢者福祉施設

  • 夜間の関係者以外の立ち入り制限
  • 感染症エリアや特定病棟への入退室管理
  • 緊急時の開放・制御切替も容易

学校・教育施設

  • 保護者以外の侵入防止
  • 出入口の利用履歴を記録
  • 時間帯による制御(授業中は閉鎖など)

公共施設・行政施設

  • 執務エリアと来訪者エリアのゾーニング
  • 入館記録によるセキュリティレベル向上
  • 出入り制御による業務効率化

POAシステム付き自動ドアのメリットと注意点

Q: POAシステム付きの自動ドアを導入することで、どんなメリットがありますか?また、注意すべき点は?

A: セキュリティ強化・管理効率化・非接触対応などのメリットがある一方で、停電時対応や初期コストなどの注意点もあります。


メリット①:セキュリティ強化

  • 許可された人だけが出入りできる環境を構築できる
  • 不審者や無関係者の侵入を物理的にブロック
  • 通過記録を自動でログに残せるため、事後検証にも有効

メリット②:管理の効率化

  • 鍵の受け渡し・施錠管理などの手間が不要
  • 管理者側でアクセス権限を簡単に変更可能
  • 時間帯ごとに開閉ルールを自動で切り替えられる

メリット③:非接触・スマート運用

  • センサーやカードによる非接触入室が可能
  • スマートフォンアプリや顔認証とも連動できる機種も
  • 感染症対策や衛生意識の高い環境で評価される

一方、メリットばかりではありません。以下のような点に注意が必要です。


注意点①:停電・システム障害時の対応

  • 電気式のため、停電時や制御機器故障時に扉が開かないリスクあり
  • バッテリーや手動開放機能、UPS(無停電電源装置)との組み合わせが必要

注意点②:初期コストとメンテナンス

  • 導入時の設備費が高くなる傾向(制御機器・認証機器含む)
  • ソフトウェア管理やネットワーク対応には定期的な保守が必要

注意点③:利用者への周知とトラブル対策

  • 高齢者や子どもなど一部の利用者が操作に戸惑う可能性
  • 設定ミスによる「開かない」「通れない」などの運用トラブルに注意

【比較】POAなしの自動ドア・荷重式自動ドアと何が違う?

Q: POAシステム付き自動ドアは、普通の自動ドアや荷重式自動ドアと何が違うのですか?

A: 「制御機能の有無」「電源依存性」「用途の目的」が大きく異なります。


POAシステム付きの自動ドアを理解するためには、他の2つの代表的な自動ドアと比較することが効果的です。

以下に、3タイプの自動ドアを比較した表を示します。


特徴/タイプPOAシステム付き自動ドア一般的な電動自動ドア荷重式自動ドア(Newtonドア)
開閉方式電動+制御機器電動センサー荷重(ドアに力をかけて開閉)
制御機能(入退室管理)◯(カード・認証デバイス連動)×(誰でも通れる)△(物理的制限のみ)
停電時の動作△(UPSや手動開放対応が必要)△(自動では開かない)◎(電源不要・常時手動で開閉可能)
導入コスト低〜中
メンテナンス頻度高(ソフト・ネットワークあり)中(モーター・センサー)低(電気部品なし)
主な用途セキュリティ重視の施設商業施設・病院など一般用途高齢者施設・防災備蓄倉庫・公民館など

このように、POAシステム付き自動ドアは「高度な管理・制御」が必要な現場に適していますが、常時電力が必要で、停電時に自動開放しない点には注意が必要です。

一方、**荷重式自動ドア(Newtonドア)**は、電気を一切使わず、ドアに力を加えることで誰でも開閉できるタイプ。防災や停電対策、ユニバーサルデザインの観点から支持されています。

この違いをふまえて、次は「どういう時にPOAシステム付きが適しているのか?」について見ていきましょう。


どんなときにPOA付きが最適?導入判断の3つの視点

Q: POAシステム付き自動ドアは、どういう場面で導入を検討すべきですか?

A: 「セキュリティ要件」「管理効率」「非接触ニーズ」の3つの視点から判断すると、自施設に本当に必要かどうかが見えてきます。


視点①:セキュリティレベルはどこまで必要か?

  • 「関係者以外の立ち入りを物理的に制限したいか?」
  • 「入退室記録が必要か?」
  • 「ゾーンごとのアクセス制御が必要か?」

→YESなら、POAシステム付きが必要です。


視点②:管理業務を人の手から減らしたいか?

  • 「鍵の管理・施錠のミスを減らしたい」
  • 「時間帯ごとに自動で切り替える運用をしたい」
  • 「無人対応を基本にしたい」

→これもYESなら、POAシステムの導入が合理的です。


視点③:災害時・停電時にも使える必要があるか?

  • 「停電時にも使える出入口が必要」
  • 「高齢者や子どもでも確実に使える装置が必要」
  • 「設備が古く、システム対応に不安がある」

→このような場合は、荷重式自動ドアなどの代替案も含めて検討すべきです。


判断に迷うときは、「すべての入口をPOA付きにする」必要はありません。
たとえば、メインエントランスのみPOA付きで制御し、それ以外の出入口は荷重式など電気不要型にするという「ハイブリッド設計」も可能です。

自動ドア選びは「すべて同じでなくてよい」——この視点をもって、適切な判断をしていきましょう。


【適ドア適所】まとめ:自動ドアとシステムは「目的」で選ぶ

自動ドアを選ぶとき、多くの人が「最新式」「便利そう」「多機能」といった言葉に目を引かれがちです。
しかし、真に大切なのは「その場所に、何のためのドアが必要か?」という目的から考えることです。


POAシステム付き自動ドアが適しているのは:

  • 誰が入るかをコントロールしたい場所
  • セキュリティポリシーが明確に求められる施設
  • 自動化・省人化が業務上の課題になっている現場

一方、荷重式自動ドア(Newtonドア)のような電気不要の選択肢が活きるのは:

  • 災害・停電時にも必ず開閉できることが求められる施設
  • 高齢者・子どもなど、力の弱い方の出入りが想定される場所
  • 環境負荷やランニングコストを抑えたい公共施設や集合住宅

「便利そう」「ハイテクだから安心」ではなく、**“なぜそのドアが必要か”**という原点に立ち返ることで、あなたの施設やプロジェクトに本当にふさわしい選択が見えてきます。

それが私たちの伝える「適ドア適所」という考え方です。


出典・参照リンク(自動挿入形式)

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