自動ドアといえば、電動式の開閉装置をイメージする方が多いでしょう。センサーが人を感知して、音もなくスライドする―そんな光景は今や当たり前です。しかし最近では、それに加えて「LEDがついている自動ドア」が増えているのをご存知でしょうか?

一見すると装飾のように見えるLEDですが、実はこの光には大切な役割があります。ただ目立たせるためだけではありません。「LED×自動ドア」の組み合わせには、視認性や安全性を飛躍的に高める可能性があるのです。

この記事では、LED付き自動ドアの本当の意味と効果、導入時の注意点、そして「停電時にも意味を持つ安全性」とは何かまでを、じっくり解説していきます。


最近、さまざまな施設で「LED付き自動ドア」を目にする機会が増えてきました。ショッピングモール、病院、介護施設、保育園、工場の出入り口など、その設置場所は多岐にわたります。では、なぜ今、自動ドアにLEDを組み合わせる動きが加速しているのでしょうか?

この背景には、利用者層の変化と安全性への意識の高まりが関係しています。

特に高齢化が進む中、視力や反応速度に不安のある方が増加しています。ドアが「いつ」「どの方向に」開くのかが瞬時に判断できないことで、思わぬ接触事故や転倒が発生するケースも少なくありません。こうしたリスクを少しでも減らすため、視覚的なサインとしての「LEDの光」が注目されているのです。

ここで重要なのは、LEDが「単なる照明」ではないという点です。

確かに、明るく照らすという意味では照明と同じかもしれませんが、LEDはそれ以上に「情報を伝える手段」として活用されます。たとえば、ドアが開く直前にLEDが点滅する、あるいは特定の色が点灯することで、「今から動く」というサインを通行者に届けることができます。これは、自動ドアの動きそのものよりも一歩早く、「気づき」を与える役割を果たします。

この「通知性」という機能は、事故予防だけでなく、心理的な安心感の提供にもつながります。たとえば、高齢者施設や病院などでLED付きのドアが設置されていると、利用者が「今、安全に通れる」と直感的に判断しやすくなり、不安感が軽減されるという報告もあります。

また、LEDの導入は時間帯による環境変化にも有効です。昼間は自然光があるためドアの存在がわかりやすいですが、夕暮れや夜間、あるいは照明の少ない裏口・通用口ではドアの存在自体が認識しづらくなります。その点、LEDが点灯していれば遠目からでもドアの位置と状態が把握でき、無理な動線移動を防ぐことができます。

このように、「見える化」による事故防止と、「通知性」による安心感の提供。この2つが、LEDがいま再注目されている理由です。

LED付きの自動ドアと聞くと、「ただ光るだけのオプション機能」と考える方も少なくありません。しかし実際には、自動ドアの動作とLEDの点灯を連動させることで、利用者に対して非常に効果的な「安全通知機能」が働いています。

では、その具体的な仕組みと効果とはどのようなものでしょうか?

まず、基本的な構造として、自動ドアの開閉動作を制御する制御盤とLEDの点灯タイミングを連動させる設定が可能です。これは専用の制御機器やタイマー、センサーと組み合わせることで、以下のような挙動が実現されます。

たとえば、ドアが開く直前にLEDが点滅を始める。そして、開いている間は点灯し続け、閉まり始めると再び点滅、完全に閉まったら消灯――このように「ドアの状態」を視覚的に知らせることができます。

また、LEDの色によって注意喚起の度合いを変える工夫もあります。代表的な例としては以下の通りです。

  • 赤:開閉動作中 →「注意」
  • 青:開いた状態 →「通行可」
  • 黄:閉まる直前 →「注意・進入禁止」

このような色分けは、単に視覚的にわかりやすいだけでなく、「意味のあるサイン」として機能する点が非常に重要です。特に視覚に不安がある方や、言葉での案内が難しい環境(外国人観光客、障害者対応など)では、色によるサインは瞬時の判断を助けてくれます。

さらに進んだ設計では、人感センサーと組み合わせることで「人が近づいたときだけLEDが点灯する」ような省エネ型の運用も可能です。これは環境配慮だけでなく、「誰かが近づいている」という気配の可視化にもつながり、防犯的な意味合いも持ち始めます。

一部の施設では、「音+光」の連動型アラートを設けており、LEDの点滅とともにチャイム音を出すことで、さらに高い注意喚起を行っています。このようなケースでは、目が見えにくい人と耳が聞こえにくい人の両方に対応する「ユニバーサル設計」としても評価されています。

つまり、自動ドアとLEDの連動は、見た目以上に深い意味と技術が込められています。「光る」こと自体ではなく、「どう光るか」「なぜ光るか」が安全性のカギを握っているのです。

では、こうしたLED機能は、既存の自動ドアにも後付け可能なのでしょうか?


LED付きの自動ドアは便利そうだと感じても、「すでに設置済みの自動ドアに後付けできるのか?」という点は、多くの施設管理者が気にするポイントです。新築物件なら設計段階から計画できますが、既存施設では後付けの柔軟性こそが現実的な選択肢となります。

では実際、LEDは後付けできるのでしょうか?

結論から言えば、多くの場合「後付け可能」ですが、制約と工夫が必要です。

基本的に、LEDを後付けするには2つのタイプがあります。

  1. 配線型(電源直結型)LED表示灯
  2. バッテリー型またはソーラー型LEDユニット

まず1の配線型は、既存の自動ドアの制御盤やセンサーに接続して、開閉タイミングと連動するように制御する方式です。このタイプは正確な連動制御ができるため、安全装置としての信頼性が高い反面、内部配線工事が必要になります。ドア周辺の壁を開口して配線を通す必要があり、建物によっては大掛かりな工事になる場合もあります。

一方、2のバッテリー型やソーラー型は、比較的簡易な後付けが可能です。たとえば、ドア枠の上部や横に粘着式やマグネット式で設置し、人感センサーと連動してLEDが光るという仕組みが一般的です。ただし、この場合は「ドアとの動作連動」は難しく、「人が近づいたら点灯する」といった限定的な使い方になります。

また、タイマー制御や簡易的なリモコン操作でLEDを点滅させる製品もありますが、こちらは緊急避難的な措置としての位置づけです。安全装置としての効果を求める場合には、あくまでドアの動作に連動する制御ができる配線型が推奨されます。

最近では、LED後付けキットを提供する業者も増えてきており、「後付け可能なドア種別」「施工事例」などを紹介するケースも見られます。実際、以下のような現場での導入が進んでいます。

  • 高齢者施設:ドアの開閉が不明瞭で転倒事故が発生したため、赤色LEDの点滅装置を後付け
  • 小規模クリニック:夜間来院時の視認性を高めるため、青色常時点灯型LEDを設置
  • 倉庫:大型フォークリフトの出入りがある場所で、LED点滅とアラート音を組み合わせた安全対策を実施

こうした事例からもわかるように、「施設の特性と目的に応じて」LED後付けは十分に実現可能です。ただし、施工には配線や安全性のチェックが必要となるため、専門業者への相談は必須です。


LED付き自動ドアの導入を検討する中で、実はあまり表には出てこないが非常に重要なテーマがあります。それが「停電や災害時にも機能するのか?」という点です。

普段は便利に感じていても、いざという時にLEDが点かない・自動ドアが動かないとなれば、かえって混乱や事故の要因になりかねません。

まず基本的な理解として、LED照明はその性質上「電気がなければ点灯しない」仕組みです。つまり、一般的な電源を利用しているLEDユニットは、停電時には作動しません。これに対し、安全性を確保するには以下のような工夫が必要です。

ひとつは、非常用電源(バッテリーバックアップ)との接続です。

これは、制御盤またはLEDユニット自体に小型のバッテリーを内蔵し、停電時でも一定時間点灯を続けられるようにする方式です。消防法の範囲には該当しない簡易的な非常灯と異なり、あくまで「通知・視認性維持」という目的での導入ですが、避難誘導や混乱防止には一定の効果があります。

また、ソーラーパネル一体型のLEDユニットも登場しており、日中に蓄電し、夜間や停電時に点灯する仕様もあります。ただしこれらは出力が弱く、明るさや点灯時間に制限があるため、「補助的機能」としての位置づけが適切です。

そしてここで重要なのが、「ドア自体が停電時にどうなるか?」という問題です。

多くの自動ドアは電気駆動のため、停電になると開閉しなくなります。場合によっては、人が閉じ込められてしまうリスクもあるのです。これに対して、Newtonドアのような荷重式自動ドアは、電気を一切使わず、人の体重だけで開くという仕組みを採用しています。

つまり、LEDが停電で使えなくなったとしても、Newtonドア自体は物理的に開閉できるため、脱出や避難を妨げることがありません。これこそが、「安全装置」としてのLEDと、「そもそも電気に頼らないドア構造」の組み合わせが生み出す、本質的な安心設計です。

LEDが視認性と通知性を担い、Newtonドアが非常時の開放性を保証する。このような設計思想は、災害時の対応を重視する公共施設や医療機関などで特に有効とされています。

まとめると、LEDの停電対策はあくまで「補助的」なものであり、本質的な安全性を確保するには、ドア自体の構造と組み合わせたトータル設計が不可欠です。


LED付き自動ドアの役割や効果について理解が深まってきたところで、もう一歩踏み込んで考えてみましょう。実は「LEDを導入する目的」は、施設の種類によって大きく異なります。つまり、すべての施設に同じLEDを同じように導入しても、効果が最大化されるとは限らないのです。

ここでは、代表的な施設ごとにLED導入の目的や設計思想の違いを整理してみましょう。


1. 高齢者施設:注意喚起と心理的安心

高齢者施設では、利用者の多くが視力や判断力に不安を抱えており、LEDの持つ「気づかせる力」が極めて重要になります。赤や黄の点滅によって「ドアが動いている」ことを伝えることで、衝突事故や転倒リスクの軽減が期待されます。

また、LEDの点灯は「ドアが反応している」「自分を認識してくれている」という心理的安心にもつながります。これは、特に認知症を抱える高齢者に対して有効なサインとして機能することがあります。


2. 工場・倉庫:作業動線の明示と安全強化

工場や物流施設などでは、重機やフォークリフトが頻繁に出入りし、動線が複雑になりがちです。このような環境では、LEDは「作業者にとっての危険ゾーンの可視化」や「自動ドアの稼働状態の即時把握」という目的で設置されます。

たとえば、ドアの開閉に合わせてLEDが点灯することで、「今は通ってはいけない」あるいは「今通れる」という情報を作業者が瞬時に判断できます。これは視認性の高い赤色LEDによる注意喚起などが特に効果的です。

また、騒音の大きい現場では「音による注意喚起」よりも「光による通知」の方が有効な場合もあり、LEDがその役割を果たします。


3. 教育機関:子どもへの配慮と事故防止

保育園や小学校などの教育機関では、小さな子どもたちが自由に出入りする場所に自動ドアが設置されているケースもあります。子どもは動きが予測しづらく、視界の高さも大人と異なるため、自動ドアの存在に気づきにくいことがあります。

このような環境では、子どもたちの目線に合わせてLEDが点灯する設計が有効です。たとえば、ドアの開閉時に目の高さに赤や青のLEDが光ることで、「今動いている」「触ってはいけない」といったメッセージを直感的に伝えることができます。

さらに、保護者や教職員にとっても、遠くからでも「ドアが作動中かどうか」がすぐにわかるため、注意を促すサインとして有効に機能します。


施設別に異なる「LEDの意味」

このように、LEDの導入目的は単なる視認性の向上にとどまらず、「誰に対して」「どのような情報を伝えるか」という観点で設計されるべきです。照明器具ではなく「安全装置」としての役割が明確になってきます。

そして、こうした設計には「LEDの光らせ方だけでなく、自動ドアの性質そのもの」が密接に関係してきます。


LEDと自動ドアの連携について、ここまでさまざまな角度から見てきましたが、最後にたどり着くのは「すべてのLED設置が正解ではない」という視点です。

つまり、どの施設にも同じようにLEDをつければ安心かというと、そうではありません。ドアの種類、使う人の特性、設置環境によって、適切なLEDの設計やドアとの組み合わせは異なるのです。これこそが、Newtonドアが掲げる「適ドア適所」の考え方です。


LEDを“光らせるだけ”では意味がない

まず確認したいのは、LEDが点いていればそれで安全という誤解です。

たとえば、開閉に関係なく常時点灯しているLEDがあったとして、それが「注意を促す」ことに本当に役立つでしょうか?常に光っているものは、次第に注意喚起の効果が薄れ、「風景の一部」になってしまいます。

また、タイミングや色の設定が施設の運用と合っていない場合、かえって混乱を招くこともあります。大事なのは、「誰が、どんな場面で、何を感じ取ってほしいのか」を考えたうえでLEDの配置・制御を行うことです。


自動ドアとの組み合わせをどう考えるか

ここで重要になるのが、「LEDと連動するドアの種類」です。

たとえば、電動式の自動ドアにLEDを連動させる場合、動作タイミングと電源制御を同時に考える必要があります。LEDの点灯・消灯がズレると、かえって誤認識や事故のリスクが増してしまうのです。

一方で、Newtonドアのような荷重式自動ドアは、そもそも「人の動きに合わせて動く」構造です。そのため、LEDも人の存在や荷重に反応する方式で連動させることで、**“人の動きに合わせた光の通知”**が実現できます。

加えて、Newtonドアは停電時でも自力で開閉できるため、LEDの非常灯機能に頼らなくても「安全な脱出経路」を確保できます。つまり、電気が止まってLEDが点灯しなくなっても、“安全そのものが止まらない”という安心感を提供できるわけです。


「適ドア適所」の観点から考えるべきこと

施設の目的やユーザー層に合わせて、以下のように考えてみましょう。

施設タイプ優先すべき要素推奨されるドア×LEDの組み合わせ例
高齢者施設安心感・誤動作防止荷重式自動ドア+通知型LED(赤・青)
工場・物流動線明示・視認性・音制限電動ドア+点滅型LED+音連動
教育機関子どもへの直感的な注意喚起荷重式自動ドア+目線高さLED
商業施設・店舗夜間視認性・演出電動ドア+間接照明型LED

このように、「誰のための安全か」を起点にLEDとドアの設計を最適化する。それが、真の意味での安全性と満足度につながります。


適ドア適所のまとめ

LEDを光らせる目的は「見せること」ではなく「伝えること」です。そして、その光をどう使うかは、自動ドアという装置全体の中で考えるべきです。

安全性・視認性・通知性――これらを本当に実現するには、「光るかどうか」ではなく、「その光がどんな意味を持つか」という視点が不可欠なのです。


✅ FAQ(よくある質問)


Q: 自動ドアにLEDをつけるメリットは何ですか?
A: 視認性と安全性を高めることが主な目的です。特に高齢者施設や夜間利用が多い場所では、事故防止や心理的安心に効果があります。


Q: LED付き自動ドアは後付けできますか?
A: はい、後付け可能ですが、配線型かバッテリー型かで施工の手軽さや機能性に違いがあります。安全装置として活用するには、連動制御ができる配線型が望ましいです。


Q: 自動ドアが動いていないのにLEDが光っていたら意味はありますか?
A: 常時点灯は注意喚起としての効果が薄れがちです。動作と連動して点灯・点滅する仕組みにすることで意味のある通知となります。


Q: 停電時でもLEDは使えますか?
A: 一般的なLEDは電源が必要ですが、非常用バッテリーやソーラー電源を組み合わせれば停電時にも短時間点灯が可能です。


Q: 停電でも自動ドアは動きますか?
A: 多くの電動式自動ドアは停電で動作しませんが、Newtonドアのような荷重式自動ドアは電気を使わず、人の体重で開閉できるため、停電時でも使用可能です。


Q: LEDの色は意味がありますか?
A: はい、赤は注意、青は通行可能、黄は警告など、色によって伝える情報が異なります。施設の目的に応じて最適な色を選ぶことが重要です。


Q: 小さな子どもにもLEDの意味は伝わりますか?
A: 子どもの目線に合わせた高さや点滅方式を工夫することで、直感的に「危ない」「止まろう」と理解できるようになります。


Q: LEDの点灯と音を組み合わせることは可能ですか?
A: はい、LEDとチャイムやアラームを連動させることで、聴覚・視覚両方からの通知が可能になり、ユニバーサル設計に近づきます。


📚 出典一覧

  • Newtonドア(製品概要)【Newtonプラス株式会社】
  • NドアFAQ・導入事例・顧客セグメント【社内資料】
  • 自動ドアLED後付け事例紹介【各種施工業者サイト】
  • Google検索SERP(2025年10月時点)による関連トピックリサーチ
  • 各種施設における高齢者・障害者配慮設計の国内指針

地震など長期停電でも、止まらず動く
「事故が全くおきない」国も認めた安全自動ドア
アナログの特許構造で壊れないから修理費も0円

お問い合わせ・資料請求は今すぐ
↓↓↓

関連記事一覧

  • 関連記事
TOP