自動ドアと聞くと、多くの人はセンサーで開閉する「電動式の自動ドア」を思い浮かべると思います。けれど実は、自動ドアにはそれだけではなく、ドア自体の重さを利用して開閉する「荷重式(かじゅうしき)自動ドア」や、「スプリング式」などさまざまな仕組みがあります。
今回のテーマである「VS-85」という型番は、そうした中でも比較的古い型式の電動式自動ドアであり、すでに公式な情報も少なくなっています。ネットで検索しても、断片的な記述ばかりで「結局この自動ドア、どう扱えばいいの?」と疑問や不安を抱える人も多いはず。
本記事では、そんなVS-85のような「古い型番の自動ドア」と向き合うにあたって、修理・交換・継続使用の判断をどうすべきか、どこに注目すれば安全かつ合理的な判断ができるのかを、専門メディアの立場からじっくり解説していきます。
目次(このページの内容)
VS-85って何?――古い型番が意味するもの
要点:
「VS-85」は、古くに設置された自動ドア機種の型番であり、現在では公式情報がほとんど残っていません。そのため、「メーカー不明・仕様不明・対応不明」という三重苦に陥るケースが多く、正確な知識や対応判断が非常に重要になります。
型番VS-85に関する現状
まず、検索で「VS-85」と調べても、正確なメーカー名や仕様、導入年代が出てこないのは、多くの場合この製品が30年以上前に設置された古い自動ドアである可能性が高いためです。現在では生産終了、部品供給終了となっているケースがほとんどです。
たとえばナブコやTOSO、三和シヤッターなどの大手自動ドアメーカーも、1980年代から90年代にかけて多数の型番で製品をリリースしていましたが、それらの製品情報は現在ではネット上で公式に公開されていないことが多く、現地での確認と専門的な知識が必要になります。
「型番」はヒントであって答えではない
型番VS-85のような古いモデルに共通するのは、「型番だけで判断しようとするのは危険」という点です。
なぜなら、
- 同じ型番でも複数の仕様違いがある
- 型番が途中で変更されていることもある
- ラベルが剥がれていたり読み取り不能なことも多い
そのため、「型番VS-85=こういうドア」と即断せず、全体の状態や設置環境を見ることが前提になります。
古い型番に共通する課題
VS-85に限らず、古い型番の自動ドアが抱える問題点には以下のようなものがあります:
- 製品寿命を超えている可能性が高い
一般的に、自動ドアの耐用年数は10〜15年と言われています。VS-85が導入された年代を考えると、すでに20年〜30年が経過していると推測されるため、**機械的には「延命」ではなく「寿命越えの継続使用」**となっている可能性が濃厚です。 - 安全性基準の非対応
現在の自動ドアはJIS規格や各種安全基準に準拠していますが、古いモデルではこれに適合していないケースも多く、万一の事故時に補償の範囲外となるリスクがあります。 - 修理対応ができない/高額になる
古い型番はすでにメーカーでの保守対応が終了しており、修理には部品の特注や代替品の使用が必要になることも。その結果、修理費用が高騰するか、そもそも修理不可になることが珍しくありません。
それでも「まだ動いている」から使い続けていい?
この問いに対する答えは、「動いているかどうか」と「安全に使えるかどうか」は全く別だということです。
とくに自動ドアは、不特定多数の人が毎日使用する設備。事故が起きた場合の責任や損害は大きく、「壊れてから直す」では間に合わない種類の設備なのです。
対応の基本姿勢:「型番を調べる」ではなく「状態を診る」
したがって、VS-85という型番にこだわるのではなく、今現場で動いている自動ドアが以下のような状態にあるかを確認することが、正しい第一歩となります:
- 開閉速度が遅くなっていないか
- 異音・振動・ひっかかりがないか
- センサーの反応が鈍くなっていないか
- 非接触ボタンなどの反応に不安がないか
- 誰かがつまずいたり、はさまれそうになったことがないか
これらの兆候がある場合、安全性の観点からも「修理」や「交換」の検討に入るべきサインと考えることができます。
自動ドアの型番が分からない時に見るべき場所と調べ方
要点:
型番が不明な自動ドアでも、設置場所の確認ポイントをおさえることで、ある程度の仕様・年代・対応可能性を把握できます。調べるべき場所、注意点、そして「型番がわからなくても判断できるプロの視点」について解説します。
型番が確認できる場所はどこ?
自動ドアの型番は、以下のような場所に貼付されているラベルや銘板に記載されているケースが多いです。
- ドア本体の側面(引戸の端)
開いた状態で、ドアの引き込み側の側面(壁との間)をのぞくと、小さな金属プレートやラベルが貼られていることがあります。 - 上部レールのカバーの内側
自動ドアのモーターや制御機器が格納されている上部ボックス内に、メーカー名・製品名・型番のステッカーや銘板が付いていることがあります。
※この部分は高所かつ感電リスクもあるため、専門業者でない場合は無理に開けないようにしてください。 - 電源装置(制御盤)周辺
電動式の場合、ブレーカーや電源がつながる部分に制御装置があり、そこに製品番号やロット番号が記載されていることもあります。
型番が読めない・剥がれている場合の対応
古い自動ドアでは、ラベルが消えかけていたり、完全に剥がれてしまっていることも少なくありません。その場合でも、以下のような観点から情報を推定することが可能です。
手順:
- メーカー名やロゴがドア本体に刻印されていないか確認する
古いモデルでも、フレームやガラス部分に小さく「NABCO」「TOSO」「三和」などのロゴが入っていることがあります。 - 上部レールの形状やモーターの配置を見る
メーカーや年代ごとに、上部機構の構造に特徴があります。例えば、長方形のフラットなカバーが使われているのは旧TOSO、丸みを帯びたアルミカバーはNABCO系、など。 - ドア開閉の挙動を観察する
速度、加速の滑らかさ、動作音などから、年代や制御方式(旧式リレー式か、インバータ制御か)を判断するヒントになります。
型番がわからなくても「判断」はできる
重要なのは、「型番がわからなければ何もできない」という思い込みを外すことです。
なぜなら、現場で点検・判断を行う専門業者は、そもそも「型番」だけではなく、「自動ドアの動作・状態・部品状況・設置環境」の総合情報で対応可否や修理可能性を判断しているからです。
つまり、次のような要素の方が判断材料としてははるかに重要なのです:
- 現在も開閉が安定しているか
- 故障歴・トラブル履歴があるか
- 部品に摩耗や変形が見られるか
- 制御機器が更新されているか(旧式リレー盤か、インバータ盤か)
- 利用頻度や設置環境(商業施設・福祉施設・集合住宅など)
これらを見れば、型番がわからなくても修理・交換の可否、安全性の判断は可能なのです。
よくある誤解:「型番が分からなければ修理できない?」
この誤解はとても多いですが、実際にはプロの業者が行う判断では、型番の有無は必須ではありません。
特に最近では、部品の汎用性が高まっており、旧型の部品に合う代替パーツを活用するケースや、部分的にモーター・制御盤だけを交換するリニューアル方式などもあります。
注意点:自己判断はNG
ただし、ここで注意が必要なのは、「型番が分からないからといって、なんとなく大丈夫そうだと判断する」のは絶対にNGということです。
自動ドアは人が挟まれるリスク、転倒の危険を伴う設備です。
見た目に問題がないようでも、内部の制御盤やセンサーに劣化や異常が起きている可能性は十分にあります。
そのため、型番が分からなくても必ず専門業者に点検を依頼し、現物を見たうえでの判断を仰ぐことが最も確実な対応です。
修理すべき?交換すべき?3つの判断軸で見極める方法
要点:
自動ドアが古くなってきたとき、「まだ修理でいけるのか、それとも交換すべきなのか?」という判断は難しい問題です。この章では、施設の管理者・責任者が迷わず判断できるよう、現場の専門家が使う「3つの判断軸」をわかりやすく紹介します。
判断軸1:安全性に関する兆候があるか?
もっとも優先すべきなのが「安全性」の観点です。
- ドアが閉まる際に勢いが強く、挟まれそうになった
- 動作が遅くなって、ドアが開ききらないことがある
- センサーが反応せず、人が通っても開かない時がある
- ドアが中途半端に開いたまま止まることがある
- 音が異常に大きくなったり、金属音がするようになった
これらの症状が1つでもある場合は、修理で済ませるかどうか以前に「使用中止すべきかもしれない」レベルの警戒が必要です。
特に、児童・高齢者・車いす利用者など、弱者が多く通行する施設では、わずかな不具合でも重大事故につながるリスクがあります。
判断軸2:費用と将来的コストの比較
修理と交換の判断でよくあるのが、「修理の方が安く済むから今回はとりあえず直そう」とするケースです。
これは一見合理的な判断に見えますが、実は長期的にみると高くつく可能性が高いのです。
具体的には以下のようなケースがあります:
| ケース | 修理費 | その後のリスク | 結果 |
|---|---|---|---|
| 部品Aを交換して修理 | 約5万円 | 他の部品が半年後に故障 | 結果的に追加で10万円以上発生 |
| 部品が廃盤のため代替パーツ | 約8万円 | 安定性に不安が残る | 数か月で交換判断に逆戻り |
| 修理後、動作不良が再発 | 約4万円 | クレーム発生・信頼損失 | 住民・利用者の不満が増加 |
特に、古い機種では一部の部品交換で済んでも、他の部品が連鎖的に寿命を迎えているケースが多いため、目先の出費で判断するとかえって損をすることになります。
判断軸3:そのドアの「役割」と「設置環境」
最後の判断軸は、その自動ドアが担っている役割と環境です。ここを見落とすと、交換や修理の判断を誤る原因になります。
たとえば:
- 非常口や避難経路になっている自動ドアであれば、絶対に動作不良は許されません。ここは優先的に交換が必要なポイントです。
- 通行量が非常に多い出入口(商業施設・病院など)は、稼働頻度が高く、劣化も早いため、多少の異音でも「先手の交換」が合理的です。
- 集合住宅のゴミ置き場や倉庫など、利用頻度が少ない箇所では、最小限の修理で延命する判断も現実的です。
このように、「どこにある、何のためのドアか?」で判断基準が変わるというのが専門家の視点です。
専門家がやっている判断の順序
実際の現場で、私たちのようなプロが自動ドアを点検する際には、以下のような流れで判断しています。
- 安全性のチェック(事故リスクがあるか)
- 修理履歴と部品供給状況の確認
- 利用環境に対してそのドアが最適かを評価
- 費用感と今後のメンテナンス頻度を予測
- ユーザー側の運用・管理方針をヒアリング
このように、修理か交換かは単なる「技術的な判断」ではなく、「使い方と安全性に基づいた提案」であるべきなのです。
判断を迷った時の原則:「壊れてからでは遅い」
とくにVS-85のような古い型番を使っている場合、交換部品の在庫や代替パーツの調達も困難になってきます。
そのため、「壊れてから直す」という対応では間に合わず、「壊れる前に検討する」ことが、事故防止・費用圧縮の両面で賢明です。
動いていても安心できない?古い自動ドアの安全性リスク
要点:
古い自動ドアは「まだ動いているから大丈夫」と思われがちですが、それが最も危険な思い込みです。現在の安全基準に適合していない設備が、人身事故の引き金となるリスクを含んでいる可能性があることを、事例とともに掘り下げます。
「動いている=安全」は成立しない
古い自動ドアの多くは、今でも「見た目には正常に動いている」ように見えます。
けれども、動作していることと安全であることはまったく別の話です。
たとえば以下のような例が実際にあります:
- センサーの反応範囲が狭く、子どもが見落とされる
- ドアの閉まるスピードが速く、身体が挟まれた
- 安全確認機能が搭載されておらず、異物が挟まっても停止しない
- 緊急時に自動で開放されない構造で、避難に支障が出る
こうしたリスクは、日々使っている利用者からは「異常」と認識されにくく、問題が顕在化するのは事故が起きた後です。
JIS規格との整合性が問われる時代へ
自動ドアには、JIS(日本産業規格)に基づく安全基準が定められています。
とくに近年では、以下のような要素が強く求められています:
- 挟まれ防止機能の標準化
- センサー感知範囲の拡大
- 電源喪失時の開放保持機能(停電対応)
- 火災時・地震時の自動開放設定
- 事故発生時のログ保存機能(トレーサビリティ)
VS-85のような1980〜90年代の製品では、これらが一切実装されていない可能性が高く、法令では義務でなくても、責任ある管理者としては見過ごせない差となっています。
実際に起きた事故事例
国土交通省の報告や、消費者庁のデータベースには、以下のような自動ドア事故が報告されています:
- 5歳児がドアに挟まれて軽傷(センサーの死角)
- 高齢者が杖を支点に入った際に反応せず転倒
- 停電時にドアが開かず、避難の遅れでパニックに
これらの事故に共通するのは、「目に見える異常がなかったこと」です。
つまり、日常では“普通”に使えていたが、非常時に機能しなかった/不具合が露見したという点です。
管理責任と保険適用外リスク
安全性に関わるリスクを放置していた場合、事故が発生すると以下のような責任を問われることになります:
- 管理責任の追及(施設所有者・管理組合)
- 保険会社による補償の対象外判断(経年劣化の見落とし)
- 被害者からの損害賠償請求
- 報道などによる施設イメージ低下
特に集合住宅や医療福祉施設、商業施設などでは、一件の事故が管理体制全体への信用を失わせる要因となり得ます。
定期点検と安全診断のすすめ
古い自動ドアを使用している場合、型番が不明でも構わないので、必ず「安全性の診断」を実施すべきです。
とくに確認すべきポイントは以下の通り:
| 確認項目 | 重要度 | チェック内容 |
|---|---|---|
| センサー感知範囲 | ★★★★★ | 背の低い人(子ども)が反応するか |
| 開閉速度 | ★★★★☆ | 一定の速度でスムーズに動くか |
| 緊急時開放 | ★★★★☆ | 停電や火災時に解放される構造か |
| はさまれ防止 | ★★★★★ | 途中で遮蔽物を検知して停止するか |
| 振動・異音 | ★★★☆☆ | モーター・レールに劣化がないか |
これらを点検することで、「そろそろ交換すべきか、延命できるか」の判断がより明確になります。
「このまま使って大丈夫?」専門家が現場で見るチェックポイント
要点:
自動ドアは「一見正常に動いている」ように見えても、内部には目に見えない劣化や重大なリスクが潜んでいることがあります。専門家はどんな視点でチェックし、何を基準に「使い続けるか・交換するか」を判断しているのか、現場目線で詳しく紹介します。
自動ドアの「見た目」では分からないことが多い
日々使っている自動ドアが正常に開閉していると、利用者も管理者も「問題なし」と思いがちです。
けれど、以下のような兆候は**“表面的な正常さ”の裏に潜む劣化のサイン**です:
- 開閉音が以前より大きくなっている
- 以前より開ききるのに時間がかかる
- 一度で開ききらず、途中で止まることがある
- 開く際に一瞬「引っかかる」ような感触がある
- 雨の日や湿度の高い日に動作が不安定になる
これらは、モーターや制御盤、センサーの内部部品の劣化が進行している証拠です。
見た目には「まだ使える」状態でも、プロの目には「いつ止まってもおかしくない」サインと映ります。
現場で専門家がチェックする7つのポイント
以下は、点検の際に必ず確認されるチェック項目です。
施設管理者でも把握しておくことで、点検業者との対話がスムーズになります。
- 開閉動作の速度・滑らかさ
→ モーターの出力劣化やレールの摩耗を確認します。 - センサーの反応範囲と精度
→ 人の高さ・角度・速度に対して適切に反応するかを見ます。 - ドアの停止位置・開き幅の安定性
→ 制御基板やストッパーの劣化を見抜きます。 - 開閉時の異音・振動
→ レールやベルト、プーリーの摩耗が原因のことが多いです。 - 制御盤の型式と年式
→ 最新の安全基準に適合しているかを判断します。 - 非常時対応の機構(停電時開放など)
→ 停電・災害時の開放性能を点検します。 - 実際の通行環境に対する適合性
→ 人の流れ、荷物の搬出入、風の流れなどとの相性を総合評価します。
「これは要注意」と判断されるチェック結果とは?
以下に該当する場合は、「修理より交換を優先すべき」レベルのリスクありと診断されることが多いです:
- モーターが動作時に焦げたような臭いを出している
- 開閉時間が毎回ばらつき、リセット操作が頻発している
- センサーが手を振っても反応しない位置がある
- 制御盤が20年以上前の旧式リレー式である
- 部品交換履歴が10年以上ない
とくに「リレー式制御盤」と呼ばれるタイプは、故障時の挙動が予測しにくく、安全設計が不十分な場合が多いため、専門家の間では「早期の交換推奨」とされる典型です。
プロが現場で行う「聞き取り」も重要な情報源
点検の際、技術者は機器を見るだけでなく、以下のような「運用情報」も必ずヒアリングします:
- いつからこの自動ドアを使っているか
- 最近、住民や利用者から不具合の報告はあったか
- 点検や部品交換の履歴はあるか
- 夜間・休日など、稼働していない時間帯があるか
- 清掃の頻度や管理体制はどうなっているか
これらの「現場情報」は、自動ドアの物理的状態と合わせて、安全性・交換時期の判断に直結する大切なデータです。
最後に:「無理をさせないこと」が最大の安全対策
古い自動ドアを長く使い続けること自体が悪いわけではありません。
しかし、「もう少し使えそうだから」という感覚的な判断で無理をさせ続けることが、最も大きなリスクとなります。
一度事故が起きれば、金銭的な補償だけでなく、施設の信用・評判・利用者の安心感まで損なわれかねません。
だからこそ、プロの点検を通じて「無理のない使い方」ができているかを定期的に確認し、「そろそろ交代時期だね」と冷静に判断する視点が大切なのです。
【適ドア適所】これからの自動ドア選びで絶対に外せない視点とは?
要点:
古い型番VS-85を例に見てきた通り、「どの自動ドアを、どこに使うか?」は、安全性・維持費・利便性すべてに直結する重大な選択です。このセクションでは、単なるスペック比較を超えて、自動ドアを“適所に適した形で”導入するための基本原則を整理します。
なぜ「適ドア適所」が重要なのか?
多くの人が自動ドアを選ぶ際、「価格」や「見た目」、「どこでも同じでしょ?」という感覚で選びがちです。
しかし、自動ドアはドアそのものではなく、「人の動線をコントロールするインフラ」であり、環境に応じて選ばなければ、その性能を十分に発揮できません。
たとえば:
- 病院や高齢者施設で、強すぎる開閉速度が事故につながる
- 強風の吹き抜ける場所に、軽量タイプのドアを設置してしまう
- 荷重式を使うべき場所に、電動式を無理に使って故障が頻発
こうしたミスマッチは、目に見えない「不満」と「費用増大」の原因になります。
「適ドア適所」の3つの基本軸
専門家が自動ドアの最適な設置を考えるときには、以下の3つを軸に判断します:
- 利用者の特性(年齢・動き方・心理)
→ 高齢者、子ども、車椅子ユーザーが多い場合は「ゆっくり、安全に開く」機構が必要です。 - 施設の目的と流れ
→ 商業施設ならスムーズな通行が求められますし、医療機関なら感染対策も視野に入ります。 - 環境条件(風・音・気温・設置面積)
→ 屋外に面した場所、狭小スペース、風圧がかかる場所など、それぞれに対応した構造が必要です。
このように、「誰が、どこで、どう使うか?」によって、選ぶべきドアは全く変わってくるのです。
荷重式 vs 電動式 ―「技術」ではなく「相性」で考える
Newtonドアが提唱する「荷重式自動ドア」は、電気を使わず、ドア自体の重みと人の動きでスムーズに開閉する独自の機構です。
荷重式と聞くと「昔ながらの手動ドアの延長?」と誤解されることもありますが、実際には以下のような利点があります:
| 視点 | 荷重式 | 電動式 |
|---|---|---|
| 電気不要 | ◎ | ×(停電時は停止) |
| 故障リスク | 少 | 中〜多(部品依存) |
| 維持コスト | 小 | 大(電気代・点検) |
| 開閉の自然さ | ◎(人の動きと連動) | ◯(センサー反応) |
| 導入費用 | 比較的低コスト | 高額になりやすい |
| 適した場所 | 福祉施設、集合住宅、公共トイレなど | 商業施設、医療機関、出入口交通量の多い場所など |
このように、それぞれにメリット・デメリットがあるからこそ、「どちらが優れているか」ではなく、「どこに何を設置すべきか」で判断すべきなのです。
「選び方」ではなく「考え方」が事故と無駄を減らす
自動ドア選びに失敗して、後から交換費用やトラブル対応で悩む施設は少なくありません。
その多くは、「このドアが安かったから」「他でも使っていたから」といった、短期的な視点や他者の例を参考にしただけの選定です。
それに対して「適ドア適所」という考え方は、利用者と施設の未来を見据えた設計の思想です。
この視点を持つことで、
- 長期的に見て最もコストパフォーマンスが良い
- ユーザーの満足度が高く、トラブルも少ない
- 管理負担や事故リスクが最小限に抑えられる
という「静かな安心」を得ることができるのです。
【適ドア適所】にそった「まとめ」
「VS-85」という古い型番の自動ドアは、その実体が見えにくいからこそ、不安も大きく、判断も難しくなります。
けれど、その判断を「型番」に頼るのではなく、「使う人の安全」「使われる場所の環境」「求められる機能性」という視点から捉えなおすことで、より的確で納得感のある選択が可能になります。
そして、これはVS-85に限らず、すべての自動ドアに共通する原則でもあります。
- 動いていても、安心とは限らない
- 型番が分からなくても、判断はできる
- 価格ではなく「場所に合ったドア」を選ぶことが、結局いちばん安心で経済的
自動ドア選びや交換のタイミングで悩むすべての方へ。
目先の修理・交換という対応だけでなく、「なぜここにこのドアを使うのか?」という問いを持つことで、あなたの施設や住まいは、もっと安心で快適な場所へと進化していくはずです。
出典一覧(参考リンク)
以下は記事執筆に際して参考とした情報・ナレッジソースです。必要に応じてご確認ください。
- Newtonドア 製品総合案内(https://newton-plus.co.jp)
- Newtonドアの安全性検証とJIS規格整合性(社内技術資料)
- NドアFAQ(よくある質問まとめ)
- Nドア顧客セグメントと導入事例
- 国土交通省/消費者庁:自動ドア事故に関する事例集
- Google検索「自動ドア VS-85」検索結果のSERP分析(2025年10月時点)