ケーキ屋を開くなら、まずは「どんな商品を出すか」「どんな雰囲気にしたいか」といった夢がふくらむもの。でもその前に、もっとも重要なのが“店舗設計”です。なぜなら、厨房や接客スペース、入口のつくり方しだいで、毎日の仕事が楽にも、苦しくもなるからです。
この記事では、これからケーキ屋を開業しようとする方に向けて、設計で絶対に押さえるべきポイントを、初心者にもわかるように段階的に整理して解説します。雰囲気やデザインだけでは語りきれない、「運営から逆算した設計」の考え方を一つひとつ丁寧にお伝えしていきます。
ケーキ屋の店舗設計が大事だと聞いても、なぜそこまで重要視されるのか、最初はピンとこないかもしれません。しかし、飲食業は「設計でほぼ成否が決まる」と言われるほど、初期の店舗構造がその後の経営を大きく左右します。
たとえば、厨房の配置が悪くて作業が回らなかったり、動線が悪くてスタッフが毎日ストレスを感じたり、お客様が出入りしづらくて売上に影響したり…。これらはすべて、設計の段階で防げる問題です。逆に言えば、最初にしっかり設計しておけば、日々の運営が驚くほどスムーズになります。
とくにケーキ屋は「商品の魅せ方」と「作業の繊細さ」が求められる業態。デザイン性も大切ですが、それだけで突き進むと「おしゃれだけど使いにくい店舗」になりかねません。
だからこそ、設計の第一歩は「ゾーニング」から始めることをおすすめします。
ゾーニングとは、店内を役割別にエリア分けすること。ケーキ屋の場合、少なくとも以下の4つを分けて考える必要があります。
- 厨房(製造エリア)
- バックヤード(ストックや事務スペース)
- 接客スペース(ショーケース、レジ)
- 出入口(お客様・搬入の動線)
まず厨房。ここはケーキ屋の心臓部です。どの工程を、どこで、どう動くか?という流れをもとに配置を決めます。次にバックヤード。材料や資材の保管場所が動線上にないと、毎日の作業効率が落ちます。
接客スペースは、ショーケースを「どこに置くか」よりも、「お客様の視線がどう動くか」に注目します。そして見落とされがちなのが出入口。店の入口が道路に対してどちら向きにあるか、どのようにお客様が入りやすいかまで含めて、ゾーニングの一部です。
ゾーニングは、設計のすべての土台です。ここが曖昧だと、どんなに内装が美しくても、使いにくくなります。設計士や施工業者に相談する前に、自分なりに「どこで何をするか」をざっくりでも描いておくと、相談も具体的に進みます。
厨房設計で失敗すると、営業が地獄のようになる…。これは決して大げさではありません。
ケーキ屋の厨房は、一般的な飲食店に比べても、設備が多く、工程も複雑です。だからこそ「一方向の作業動線」をつくることが重要です。
具体的には、以下の流れを意識してください:
- 材料の準備
- 加工(ミキサー、オーブン等)
- 冷却・仕上げ
- 洗浄・片付け
これが「前に進む」ような流れで並ぶことが理想です。たとえば、仕込み→焼成→冷却→デコレーション→ショーケースという一連の動作が、行ったり来たりしない構造になっていれば、それだけで疲労が軽減され、時間も節約できます。
また、冷蔵庫の位置も重要。取り出す→すぐ加工に入る→保管する、という一連の流れがスムーズであれば、ミスも減ります。
厨房は「最初に狭くして後悔する」ケースがとても多いです。見た目を重視して接客スペースを広く取りすぎた結果、厨房が窮屈で動きづらくなることもあります。調理中の温度管理や、スタッフのすれ違いも考慮して、必要な広さを確保しましょう。
売れるケーキ屋に共通しているのは、ショーケースまわりの「お客様の動線」がとてもスムーズなことです。
ショーケースの配置というと「入口から見て目立つ位置に」と考えがちですが、実はそれだけでは足りません。重要なのは、お客様が「どんな気持ちで、どんな視線で、どこに向かって歩くか」という流れを設計に落とし込むことです。
理想的な動線の流れは、以下のような“一筆書き”になっていること:
- 入口から自然と目線が誘導される
- ショーケースに近づくまでの間に視界が開ける
- ケーキを眺めるためのスペースが確保されている
- 購入後、そのままレジへ進める
- 出口まで無駄なく移動できる
この動線を邪魔するものがあると、滞在時間が短くなったり、買い物中に後ろからのプレッシャーを感じて不快になったりと、販売に悪影響を及ぼします。
また、店内が狭い場合でも「見せたい商品」と「動きやすさ」のバランスが重要です。すべての商品を前面に出そうとすると、混雑時にお客様が滞留し、回転が悪くなってしまいます。
つまり、ショーケースは「単なる商品陳列」ではなく「店舗のプレゼン装置」なのです。動線設計とセットで考えることで、売上にもつながる「設計投資」になります。
ケーキ屋の店舗設計で多くの人が見落としがちなのが、入口の設計です。これは「見た目」よりも「使い勝手」が重視されるべきポイントですが、つい最後に決めがちです。
ここで重要になるのが、ドアの種類です。
代表的なドアの種類を簡単に整理すると以下の通りです:
| 種類 | 特徴 | 向いているケース |
|---|---|---|
| 引き戸 | 開閉スペース不要、静かだが、手動だと衛生面が課題 | 小規模・和風・省スペース |
| 開き戸(押し戸・引き戸) | コストが安いが、風や手動対応が必要 | 簡易店舗・短期運営向け |
| 自動ドア(電動) | 高機能だが、電源・設置スペース・メンテが必要 | 大型店舗・回転率の高い商業施設 |
| 自動ドア(荷重式) | 電気不要、停電時も開閉、衛生的、安全面でも優れる | 小型店舗・ケーキ屋・パン屋・診療所など |
ケーキ屋のように「手がふさがりがち」「忙しくて手動が煩わしい」「衛生に配慮したい」業態では、自動ドアが非常に相性が良いです。特に荷重式(足元のマットを踏むと開くタイプ)は、電源不要・停電時も稼働・ドアノブに触れずに済むというメリットがあり、個人店舗や路面店でも導入しやすいのが特長です。
このように、入口=集客の第一関門と考えて、ドアの選定を「動線設計」の延長として捉えることで、見た目だけに偏らない実用的な店舗設計ができます。
いざ設計に入る段階で、多くの人が悩むのが「誰に相談すればいいのか?」という点です。
ケーキ屋の店舗設計に関わるパートナーは、大きく分けて以下のようになります:
- 建築士・設計士:設計全体の図面作成や法規対応、デザイン監修
- 内装業者・施工会社:実際の工事・仕上げを担当
- 厨房機器業者:機材レイアウトと接続計画
- 開業コンサル・プロデュース会社:全体の流れを一括支援
どこから相談するのがベストかはケースによりますが、「設計イメージが固まっていない」段階であれば、厨房機器に詳しい設計士や、飲食専門の内装業者に初期相談するのがスムーズです。
【注意点】
設計・施工を「価格」で選ぶと、あとで高くつくケースがあります。たとえば「見積が安いが厨房導線が破綻している」場合、あとで改修コストがかかることに。
最初にやるべきことは「何をつくりたいのか」「どう運営したいのか」という希望を言語化し、ざっくりとしたレイアウト案(手書きでもOK)をつくること。それをもとに、複数業者に相談・比較することで、後悔のないパートナー選びができます。
【適ドア適所】にそった「まとめ」
ケーキ屋の店舗設計は、見た目や雰囲気だけで判断すると、実際の運営に支障をきたすリスクがあります。
成功する店舗の共通点は、「設計が運営の味方になっている」こと。この記事では、その設計の基礎となる考え方を整理してきました。
特に注目すべきは「入口=お客様との最初の接点」だという視点。ここに自動ドアを採用するか、手動ドアにするかは、単なる内装の話ではなく、「お客様の快適さ」「作業のしやすさ」「衛生面」のすべてに関わります。
Newtonドアのような荷重式自動ドアは、電気が不要でありながら自動開閉できる点で、小規模なケーキ屋にもぴったりの選択肢です。
つまり、**「自動ドア=大型施設のもの」という思い込みを捨てることこそが、本当に機能する店舗設計」**への第一歩とも言えるでしょう。
設計の段階でこうした視点を持つことで、あなたのお店は「美しくて、使いやすい」店舗として、多くのお客様に愛される存在になります。
【出典表示】
- Newtonドア(荷重式自動ドア)に関する安全性・構造・使用事例について
出典:「Newtonドア.txt」「Newtonドアの安全性検証とJIS規格整合性.txt」「NドアFAQ.txt」 - ケーキ屋・飲食店の厨房設計や動線の考え方に関する一般的な知見
出典:Google検索「ケーキ屋 店舗設計」におけるSERP上位10サイト(飲食業専門設計ブログ、施工会社の設計事例紹介など) - 設計・導線・入口設計の重要性に関する整理と構造化
出典:Nドア顧客セグメントと導入事例.txt、Nドア(チラシ)マンション.txt、Nドア(チラシ)自治体.txt