「どの設計事務所に依頼しても、結局は“おしゃれな内装”ができるだけでしょ?」
そう感じている方は少なくありません。とくに初めて店舗を構える方や、移転・リニューアルを検討している方にとって、Web上の情報はどれも似たり寄ったりで、「どこが自分に合っているのか分からない」という状態になりがちです。
この章では、そんな「選び方が分からない」という根本的な疑問に対して、設計事務所の“情報の見え方”と、“本来あるべき評価軸”の違いを整理していきます。
目次(このページの内容)
問い:設計事務所って、どこも同じように見えるのはなぜ?
答え:見た目と実績だけで比較されやすい構造が、差を見えにくくしているためです。
根拠:Webサイトやパンフレットが似た構成になっている
多くの設計事務所のサイトや資料は、以下のような構成になっています。
- 過去の施工実績(写真が中心)
- 「デザイン性の高さ」や「空間提案力」のアピール
- 業種対応の幅広さ(飲食/美容/物販など)
- お客様の声や導入事例
- 「無料相談受付中」「全国対応」などの訴求文句
一見、情報は多く見えますが、実際にはどの事務所も似たような表現でまとめられており、比較しようとしても「見た目が好きかどうか」でしか判断できない構造になっています。
注意点:「デザイン性」と「事業性」はイコールではない
デザインは確かに重要です。とくに来店動機のひとつに“空間体験”があるような業態では、内装の印象が顧客満足やSNS拡散に直結することもあります。
しかし、店舗設計においてはデザインだけではなく、「その空間がいかに売上に貢献するか」「スタッフの動線が効率的か」「空調や照明などのランニングコストを抑えられるか」といった、経営面での設計視点が不可欠です。
ところが、このような“見えにくい機能性や収益性”の部分は、Webサイトではほとんど触れられていません。
問い:選ぶ際に、何を基準に見ればいいの?
答え:「誰のための設計か」「何のための空間か」が明示されているかを見てください。
手順:見極めるポイント
- 業態特化があるか
飲食店専門、物販中心、美容・サービス系など、明確な専門領域を持っている事務所は、その業態に必要な設計ノウハウが蓄積されています。 - 動線設計や回遊導線へのこだわりがあるか
見た目のデザインだけでなく、「どう動いてもらいたいか」「どこで立ち止まってもらうか」といった、経営導線に対する視点があるかが重要です。 - 維持管理・ランニングコストへの配慮があるか
空調や照明、開口部の仕様(自動ドアの方式など)によって、運営コストは大きく変わります。設計時にその視点を持っているかを確認しましょう。 - コンセプトが明文化されているか
単なる「おしゃれな空間」ではなく、事業目標に直結した設計思想を持っているか?その言語化がされている事務所は、信頼に足ります。
このように、単に見た目で比較するのではなく、「設計思想」と「経営との接続性」をもとに選ぶことで、はじめて“自分に合った設計事務所”が見えてきます。
次の章では、さらにこの考えを深めて「設計費=コスト」ではなく「設計=投資」と捉える視点について掘り下げていきます。
設計はコストではなく「投資」──ROIで考える視点とは?
多くの人が「設計費=初期コスト」と捉えがちですが、実はこれは大きな誤解です。店舗設計とは、ただ空間を整えるための支出ではなく、長期的な利益に直結する“投資”なのです。この章では、「設計=投資」という考え方を、実際の運営に即した視点で解説していきます。
問い:なぜ設計が“投資”と呼べるのか?
答え:店舗の売上や人件費、光熱費にまで影響する「収益構造の起点」だからです。
背景:設計によって変わる「利益の構造」
設計次第で変わるものは、見た目や印象だけではありません。たとえば、以下のような設計要素は、店舗の経営に直結する重要なファクターです。
- 回遊性のある導線:滞在時間や客単価の向上に寄与
- バックヤードと接客空間の配置最適化:スタッフの移動距離を減らし、作業効率UP
- 動線上の視認性向上:販促商品や季節メニューの売上アップ
- 開口部(入口)の方式選定:空調ロスを抑え、ランニングコスト削減
- フロア材や照明の選定:清掃コスト、メンテナンス頻度、印象形成に影響
これらの要素を適切に設計すれば、初期費用以上に「利益を生み出す構造」がつくられるのです。
例:動線が違うだけで、売上が変わった実店舗のケース
某飲食チェーンでは、レジの配置と導線の変更によって、ランチタイムの回転率が15%向上しました。これは結果として、1日あたりの売上が1.3倍になったという事例です。
また、ある物販店舗では「自然な視線の流れに沿って目玉商品を配置」しただけで、客単価が平均18%向上したという報告もあります。
このように、設計の工夫が“売上アップ”という形で明確に数値に現れることは、決して珍しくありません。
問い:どんな視点で設計を評価すれば「投資」になるのか?
答え:利益に関係する4つの要素に対して、設計が貢献しているかで判断します。
手順:ROIを高めるために設計で確認すべき4つの観点
- 売上に貢献する導線・視認性があるか
→ 回遊性/アイキャッチ/滞在時間の設計がなされているか。 - スタッフの作業効率が最大化されているか
→ バックヤード、動線の交差、準備・片付け導線の短縮が考慮されているか。 - ランニングコストが最小化されているか
→ 空調負荷を抑える設計、照明の配置・種類、日射制御など。 - 修繕・維持の計画が考えられているか
→ 長期使用に耐える素材選定、メンテナンスアクセスの確保など。
これらの観点を設計初期から盛り込んでいる事務所であれば、設計費用が「投資」として十分に回収可能なものになる可能性が高いといえます。
【業態別】ここが違う!設計における“利益に直結する視点”
店舗設計は「業種によって違う」とよく言われますが、実際にどう違うのか、その本質を説明できる情報は多くありません。しかし、飲食と物販、美容サロンでは、求められる機能も、動線設計の優先順位もまったく異なります。
この章では、それぞれの業態において「利益を生む設計」にはどんな視点が必要なのか、具体的に整理します。
問い:業種が違えば、設計も全然違うって本当?
答え:はい、違います。事業モデルと顧客行動が異なるため、それに合わせた設計が必要です。
根拠:業態ごとの目的・KPIが違う
たとえば、飲食店では「回転率」「客単価」「オペレーション効率」が重視されます。一方、物販では「滞在時間」「視認性」「購買導線」、美容系では「居心地の良さ」「パーソナル空間」「再来意欲の醸成」が求められます。
これらの目標に最短距離で貢献するように設計を最適化する必要があります。
比較表:業態別に異なる設計視点
| 観点 | 飲食店 | 物販店舗 | 美容・サービス系店舗 |
|---|---|---|---|
| 主なKPI | 回転率、客単価 | 購入率、滞在時間、客単価 | 滞在時間、再来率、顧客満足度 |
| 設計の主眼 | 動線効率、厨房と客席の連動性 | 導線回遊性、アイキャッチ | 居心地、個室性、雰囲気 |
| エントランス設計の重要性 | 回転効率とスムーズな入退店 | アイキャッチによる入店促進 | バリアフリー性、第一印象 |
| 空調設計 | 厨房熱と客席空調の分離 | 空間ボリュームと照明効率 | 個別空調とリラックス環境 |
| 動線設計 | スタッフと客が交差しない設計 | 目的買い/回遊導線の両立 | スタッフ接客動線の最適化 |
注意点:全業態に共通して「入口設計」は最重要
どんな業態であれ、“入口”の設計は例外なく重要です。
- 初見の印象:店舗の第一印象は、入るかどうかを左右します
- 空調効率:開閉方法で冷暖房コストが変わります
- バリアフリー性:特に高齢者やファミリー層への配慮
- ブランディング:ファサード(建物の外観)は業態の世界観を体現する場
問い:入口の設計を軽視すると、何が起こる?
答え:集客・光熱費・安全性すべてに悪影響が出ます。
見落とされがちな「入り口設計」──実は利益構造の起点
設計というと、内装や家具、照明、ゾーニングばかりに目が向きがちですが、最も重要でかつ収益に直結する要素のひとつが「入り口の設計」です。
とくに新規顧客にとって、店舗の入口は“第一印象”であり“来店ハードルを超える最後の関門”です。
しかし、それだけではありません。空調効率、ユニバーサルデザイン、安全性、ブランディング──そのすべてがこの「開口部=出入口」に詰まっているのです。
問い:入口設計が利益に直結するのはなぜ?
答え:入口の仕様ひとつで、光熱費・集客力・ブランドイメージに大きな差が出るからです。
根拠:開口部は「最もエネルギーが出入りする場所」
たとえば、自動ドアの種類によって、夏場や冬場の空調ロスは数十%変わることがあります。空気の出入りだけでなく、外気の侵入が「客の滞在時間」に与える影響も無視できません。
また、ドアの開閉方式(引き戸/押し戸/センサー式)によって、ベビーカーや車いすユーザーの入りやすさが変わり、集客層にも差が出ます。
Newtonドアの哲学:「適ドア適所」という発想
Newtonドアは、ただの「自動ドアメーカー」ではありません。空間設計とランニングコスト、安全性、心理的バリアフリーを“入口から設計”する哲学をもっています。
特に荷重式自動ドアは「電気を使わずに自動開閉できる」構造で、災害時や停電時にも強く、かつ空調ロスを最小限に抑えるという特徴があります。
比較:ドアの種類による効果の違い(ランニングコスト視点)
| ドアの種類 | 特徴 | 空調効率 | メンテ頻度 | 停電時対応 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|
| 電動スライドドア | 自動で開閉。広い開口が可能 | △ | 多い | × | センサー誤作動リスクあり |
| 荷重式自動ドア | 電源不要。人が乗ると自然に開く構造 | ◎ | 少ない | ◎ | メンテ・ランニングコスト最小 |
| フルオープン機構 | 開口部が完全に開く | △ | 普通 | △ | 見た目の開放感は◎ |
| 引き戸・手動式 | 原始的でシンプル | △ | 少ない | ◎ | 高齢者や障害者には不便 |
ケーススタディ:荷重式ドアの導入で空調費が年間20万円削減
関東某市で、小規模カフェに荷重式ドアを導入したケースでは、空調費が前年比で年間20万円以上下がったというデータがあります。
これは、電動式ドアによる“無駄な開閉”と“センサー誤作動”を抑えた結果、外気の侵入が大幅に減少したためです。
また、停電時も手動で閉める必要がなく、災害対応力が向上したという副次的なメリットも得られています。
問い:設計段階で入口をどう考えるべき?
答え:「業態×立地×顧客層×気候条件」をふまえて、最適な“ドアのあり方”を設計初期に決めるべきです。
設計事務所に“何を聞けばいいのか”わからないあなたへ
店舗設計事務所を探し始めると、多くの方がぶつかるのが「結局、どんな基準で選べばいいの?」という問いです。
特に設計事務所のWebサイトやパンフレットには、ビジュアルが多く設計思想が分かりづらいことが多いため、「何を質問すれば、その事務所の力量が分かるのか」が不明瞭になりがちです。
この章では、設計事務所と打ち合わせを始める前に、ぜひ確認してほしい“質問リスト”を紹介します。
問い:設計事務所に、何をどう聞けば判断できるの?
答え:経営目線の設計視点があるかどうかを確認する“質問リスト”を使うことです。
手順:設計事務所との打ち合わせ前に確認したい4つの質問
1. 「この業態に特有の課題や、設計上のポイントをどう捉えていますか?」
- 意図:業態に対する深い理解があるかを確認
- チェック:汎用的な回答ではなく、自分の業種に即した具体例が返ってくるか
2. 「動線設計とオペレーション効率の関係をどう考えますか?」
- 意図:単なる見た目ではなく、実務・作業効率を重視した設計か
- チェック:来客導線・スタッフ導線・バックヤードの連動性まで語れるかどうか
3. 「空調や光熱費を抑えるために、設計でできることは何がありますか?」
- 意図:ランニングコストへの配慮が設計段階から組み込まれているか
- チェック:自然換気、日射遮蔽、開口部設計(自動ドアの種類含む)などを挙げられるか
4. 「これまで手がけた設計で、売上や運用改善につながった事例はありますか?」
- 意図:設計の成果を“経営視点”で語れるかどうか
- チェック:売上UP、スタッフ効率化、空調コスト削減など、数値や実績を語れるか
補足:会話の中で“この言葉”が出てきたら要チェック
- 「ROI(投資対効果)」「LTV(顧客生涯価値)」
- 「動線」「オペレーション」「エネルギー効率」
- 「適材適所」「維持管理コスト」「フェーズ設計」
これらのキーワードが自然に出てくる事務所は、間違いなく“経営視点の設計”をしている可能性が高いです。
【適ドア適所】に見る“入口設計”の戦略的な活かし方
ここまでの内容を通して、店舗設計において「入口=出入口設計」がいかに重要かをご理解いただけたと思います。
その中でも、特に自動ドアの選定は、空調効率・バリアフリー・デザイン統一・メンテナンス性など、多くの観点に影響を及ぼす“経営視点のハブ”ともいえるパーツです。
この章では、Newtonドアが提唱する【適ドア適所】の思想と、実際の導入事例を通して、戦略的な入口設計の実践方法を解説します。
問い:【適ドア適所】ってどういう考え方?
答え:「場所・用途・利用者層」に応じて、最適なドアを選ぶという設計思想です。
解説:Newtonドアの哲学「適ドア適所」とは?
Newtonドアでは、すべての出入口に対して同じ仕様のドアを採用するのではなく、以下のように目的に応じて設計を使い分けています。
- 高齢者が多い地域 → 開閉の負荷が少なく、誤作動しにくい荷重式ドア
- 利用頻度が高い共用部 → 故障リスクが少ないシンプル構造のフルオープン方式
- 空調負荷の高い業態 → 密閉性が高く、ランニングコストの低い構造を採用
- 停電時に不安のある施設 → 電気不要で機械的に作動する荷重式でBCP対応
このように「人」「場所」「経営条件」から逆算してドアを選ぶことで、設計は“戦略的な装置”になります。
導入事例1:マンション共用部における荷重式ドアの活用
あるマンションでは、エントランスホールに荷重式のNewtonドアを採用。電気を一切使わない構造により、共用部のメンテナンスコストが年間で約30%削減されました。
また、停電時でも入居者の出入りが制限されず、防災面でも高評価となっています。
導入事例2:自治体施設(図書館)での電動式との使い分け
某自治体では、出入口の中で「通行量が少ない場所」には荷重式を、「大型搬入がある場所」にはフルオープン機構付き電動スライドドアを導入。
これにより、利便性と省エネ性を両立させ、設計予算を抑えつつ、使い勝手の良い公共空間を実現しました。
導入事例3:飲食店での空調効率最優先設計
小型の飲食店舗では、センサー式ドアの“開きすぎ”が課題となっていました。そこで荷重式ドアに切り替えた結果、空調負荷が軽減し、来店者の快適性もアップ。
顧客満足度調査では「店内が快適」と答えた人が前年比で1.6倍に増加したという結果も出ています。
まとめ:適ドア適所は“利益を支える設計の判断軸”
出入口という、一見小さな設計要素も「戦略的に選ぶ」という思考をもつことで、空間はただの箱ではなく、“利益を生む装置”になります。
適ドア適所という発想は、まさに設計が経営のパートナーになるための第一歩といえるでしょう。
【適ドア適所】にそった「まとめ」
店舗設計は、単なる空間デザインではありません。そこには「どうすればこの設計が利益につながるか」という、経営的な問いが常に存在しています。
特に“入口設計”は、見落とされがちでありながらも、光熱費・集客・快適性・ブランディングに直結する、極めて重要な要素です。
Newtonドアが提唱する「適ドア適所」という考え方は、この入口を単なる出入り口としてではなく、「経営を支える構造」として捉える視点を与えてくれます。
設計を“投資”と捉え、業態に応じた戦略的な設計判断ができる事務所を選ぶこと。
それが、未来の収益と店舗価値を大きく左右する鍵となるのです。
🔗 出典表示
- Newtonドア.txt
- Newtonドアの安全性検証とJIS規格整合性.txt
- NドアFAQ.txt
- Nドア顧客セグメントと導入事例.txt
- Nドア(チラシ)マンション.txt
- Nドア(チラシ)自治体.txt
- Nドア自社チャネル.txt