自動ドアというと、多くの人が「人が近づくと自動で開く、センサー式のドア」を思い浮かべるかもしれません。ですが実は、自動ドアには「リモコン操作」という選択肢もあります。特に施設運用や安全管理の観点から、リモコンによって“必要な時だけ”開閉させたい、というニーズが近年急増しています。

とはいえ、「自動ドアにリモコンを付けるなんて本当にできるの?」「無線とか赤外線とか、何が違うの?」「うちのドアにも後付けできるの?」といった疑問を感じている方も多いのではないでしょうか。

この記事では、そんな不安を持つ方に向けて、自動ドアのリモコン化について導入事例や方式の違い、後付け可能性、注意点まで徹底的に解説します。特に、既に施設に自動ドアがある方や、これから導入を検討している方にとって、「失敗しない選び方」を知るための実用的なガイドになるはずです。


このあと以下の内容を深掘りしていきます。

  • 自動ドアにリモコン操作を追加するとどんなメリットがあるのか?
  • リモコン方式にはどんな種類があり、それぞれどんな場面に適しているのか?
  • 自動ドアに後付けできる条件や、導入時の注意点とは?
  • よくある誤解やトラブルとその回避策

この記事を読み終えるころには、あなたの施設に最適な「リモコン方式」が明確になっているはずです。

それでは、最初のセクション「どんな場面で自動ドアにリモコンを使うのか?」から見ていきましょう。


目次(このページの内容)

そもそも「自動ドアにリモコン」はできる?どんな場面で使える?

Q:自動ドアにリモコンを使うことって本当にあるの?
A:はい、実際にはさまざまな施設や現場で「リモコンによる開閉操作」が導入され、重要な役割を果たしています。


要点:なぜ自動ドアにリモコンをつけるのか?

自動ドアは通常、センサーやマットによって人の動きを検知し開閉します。これはとても便利な反面、意図しない開閉や、セキュリティ管理が難しいという面もあります。たとえば:

  • センサーが反応して誰でも出入りできてしまう
  • 深夜など、無人時間帯にも反応して開いてしまう
  • 電力節約のために開閉回数を制御したい
  • 一部の人だけに開閉を許可したい

こうした場面で、「必要なときだけ開けたい」というニーズが生まれます。リモコン操作は、こうした課題に対する現実的な解決策の一つなのです。


導入されている主な場面と事例

利用シーンリモコン導入の目的実例(想定)
高齢者施設スタッフのみ出入り可能にし、夜間は外部から操作通路ドアにワイヤレススイッチを設置
オフィス一般来訪者はセンサー開閉、関係者はリモコン開閉入退室管理と併用
マンションゴミ出し用通路など、限定開閉のため管理人のみ操作できるよう設定
工場・倉庫大型ドアを必要時だけ開閉、誤作動を防ぐフォークリフト乗車中でも操作可能な遠隔リモコン

自動ドア=センサー開閉だけ、ではない

多くの人が「自動ドア=人感センサーで勝手に開くもの」と思っていますが、実は“どのように開けるか”は自由に選べるのです。

  • センサー(人感・マット式)
  • 押しボタンスイッチ
  • タッチレススイッチ(手かざし式)
  • リモコン(無線・赤外線)
  • 認証式(ICカード・顔認証)

リモコンはその中の一つで、「能動的に開ける操作」を必要とする点が特徴です。


リモコン=閉鎖性のコントロール

「人が来たら開く」ではなく、「人が来ても開かないが、必要な時に開けられる」――この切り替えを可能にするのがリモコンです。

つまり、自動ドアに「人の意思でコントロールする力」を与えるのがリモコン方式とも言えます。

次のセクションでは、そのリモコン方式にもいくつかの種類があることをご紹介します。


自動ドアのリモコン方式にはどんな種類があるのか?

Q:リモコンって一種類じゃないの?
A:いいえ。実は「自動ドアを遠隔で開ける手段」には複数の方式があり、技術や設置環境によって向き不向きがあります。


要点:リモコン方式の主な分類

方式名通信手段特徴主な用途
無線式(特定小電力)電波(FMなど)長距離/非接触で操作可/屋外使用可工場・倉庫・管理室など
赤外線式赤外線ビーム指向性あり/障害物に弱い/屋内向き会議室・診療所など
ハイブリッド式赤外線+無線距離と方向性を両立/切替可能施設全般/高精度要求時
タッチ無線式タッチセンサー+無線信号送信接触で誤操作防止/利便性高高齢者施設/医療現場など

各方式のメリット・デメリット

方式メリットデメリット
無線式・遮蔽物があっても動作可
・広いエリアで使える
・混信リスクあり
・セキュリティ対策が必要
赤外線式・誤動作が少ない
・同一空間内で限定的に使用可能
・遮蔽物に弱い
・長距離には不向き
ハイブリッド式・環境に応じた切り替えが可能
・柔軟性が高い
・価格が高め
・設置時の設定が複雑
タッチ無線式・直感的で使いやすい
・衛生的(非接触型もあり)
・距離に制限あり
・誤タッチの対策が必要

製品例と方式の対応

製品名方式特徴
NABCO NW‑944無線式車中からも操作可能、見通し最大約30m
TAKEX DHV‑1Tハイブリッド最大200台登録、埋設・露出両対応
NABCO NW‑N801タッチ無線式FM無線使用、抗菌処理、IP規格対応
寺岡 ワイヤレスタッチスイッチ無線+センサー防雨型対応、病院・高齢者施設で導入実績あり

注意点:どの方式も“万能”ではない

どの方式にも長所と短所があります。導入時は、

  • 使用距離(どこから操作するか)
  • 使用者の数(個別登録の有無)
  • 安全要件(誤動作防止・第三者アクセス防止)
  • 設置環境(屋内・屋外・壁材)

などを事前に把握しておくことが重要です。

次は、これらをどのように選び分ければいいのか、「判断基準と用途別マトリクス」で解説していきます。



どの方式を選べばいい?「使い方」から見る判断基準

Q:どのリモコン方式を選べば失敗しない?
A:利用環境や使い方に応じて、適切な方式を選ぶための“判断基準”があります。これを知らずに選ぶと「電波が届かない」「誤作動する」などのトラブルになりがちです。


要点:選定時に見るべき“7つの軸”

判断軸意味・チェックポイント
1. 使用距離実際に何メートル離れて操作する必要があるか(10m以内/30m以上)
2. 設置環境屋内・屋外、壁材の材質(金属・コンクリートなど)
3. 操作頻度頻繁に開け閉めするのか、1日数回なのか
4. 利用者数複数人で使うか、個人操作か(登録制の必要性)
5. 安全性要求不特定多数の出入りがあるか、セキュリティ制御が必要か
6. 衛生性医療・福祉現場で非接触性が求められるか
7. 電源確保リモコン受信機を設置する場所に電源が取れるか

方式別おすすめ用途マトリクス(適ドア適所)

方式/用途高齢者施設工場・倉庫マンション通用口医療施設オフィスビル
無線式△:誤操作に注意◎:遠隔操作◎○:防雨型なら◎△:干渉注意◎:管理室で集中制御
赤外線式○:限定空間で安心×:距離・遮蔽に弱い△:夜間開閉用に限定○:精度高く使いやすい△:操作方向に注意
ハイブリッド式◎:柔軟に対応◎:高性能向き○:多拠点制御可◎:制御しやすい◎:多人数利用に向く
タッチ無線式◎:感覚的で安全△:操作位置に制限○:自立設置可能◎:衛生的で直感操作○:受付や内線併用も可

判断のヒント:

  • 距離と遮蔽が課題なら、無線式かハイブリッド式
  • 安全性・誤動作防止を重視するなら、赤外線式またはタッチ無線式
  • 多人数で共有するなら、登録機能付き(例:DHV-1T)が必須
  • 後付けで制限が多いなら、露出設置できる方式が安心

ケース別おすすめ方式(早見表)

条件おすすめ方式
施設全体を一括制御したい無線式+集中受信
限定空間で誤動作を避けたい赤外線式
屋内外どちらも対応したいハイブリッド式
衛生性・非接触性が必須タッチ無線式
リモコンを多数登録したい登録制対応ハイブリッド式

選定ミスを防ぐためには、「なんとなく便利そう」で選ぶのではなく、**運用シーンに応じて方式を選ぶ“設計視点”**が重要です。

次は、「自動ドアにリモコンを後付けできるのか?」「どんな条件が必要か?」という、現場の悩みに迫ります。



既存の自動ドアに後付けできる?設置条件と注意点とは

Q:今ある自動ドアに、あとからリモコンってつけられるの?
A:基本的には「可能」です。ただし、いくつかの重要な条件や注意点があります。


要点:後付けの成否を分ける「3つの条件」

条件内容
1. ドア制御盤との接続可否リモコン受信機から、既存の制御装置に信号を送れる構造であるか
2. 電源供給の確保受信機を設置する場所に電源が取れるか、あるいはバッテリー式か
3. センサーや既存スイッチとの共存設計既存の動作(人感・押しボタンなど)を妨げずに、リモコン信号を併用できるか

注意点①:機種によっては対応不可も

一部の古い自動ドアや、特殊仕様の制御盤を搭載しているドアの場合、リモコン信号の入力端子が存在しないこともあります。この場合は以下のいずれかの対応が必要になります。

  • 制御盤の交換 or 追加モジュールの設置
  • 汎用入力を活用したカスタマイズ設定
  • メーカー(または施工会社)に配線可否の確認

注意点②:電波の干渉と遮蔽

無線・赤外線式いずれの場合も、次のような通信環境の制約を受けます。

リスク要因想定される問題対処方法
壁材が金属製電波の反射や遮蔽で届かない受信機位置を再調整 or 中継機使用
他の無線機器が多数混信による誤作動や無反応周波数設定 or チャンネル変更
屋外で長距離見通しが必要な赤外線式は不向き無線式 or ハイブリッド式を選定

注意点③:施工位置と見落としやすいNG事例

NGパターン理由
受信機の設置スペースがない制御盤付近が密集 or 天井裏が使えない
ケーブル敷設ルートが確保できないコンクリートや天井裏配線が困難
電源が取れない建物仕様で近くに電源設備がない

→ これらは事前調査(現地確認)でしか判明しないことが多いため、施工前に必ずプロによる確認が必要です。


現場チェックリスト(導入前に確認すべきこと)

  1. 自動ドアのメーカー・型番・年式を控えておく
  2. 制御盤に外部信号端子があるか確認(説明書orメーカー確認)
  3. 設置予定場所に電源はあるか?
  4. 既存センサー・スイッチと共存できる構成か?
  5. 電波の到達障害となる要素(壁・他機器)はないか?

リモコンの後付けは「つけられるかどうか」よりも、「どう設計するか」が肝です。
ここを誤ると「つけたのに使い物にならない」「誤作動が頻発」といったトラブルにつながります。

次は、実際に導入された事例を見ながら、どんな現場でどう選ばれているのかを確認していきましょう。


実例から学ぶ:自動ドアにリモコンを導入した施設のケーススタディ

Q:実際にリモコンを導入している施設ってあるの?
A:はい。業種や目的によって多様な導入事例があり、それぞれ異なる方式が選ばれています。


ケース①:高齢者福祉施設(認知症対応型グループホーム)

課題: 夜間に勝手にドアが開いてしまうことがあり、セキュリティと安全性を高めたい
導入方式: タッチ無線式(NABCO NW-N801)
理由:

  • スタッフが“必要なときだけ”開けられる
  • 手がふさがっていても直感的に操作可能
  • 電波式で壁越しでも受信可能
  • 抗菌仕様で衛生的にも安心

結果: 夜間の不審な開閉がなくなり、スタッフと利用者の安心感が向上。設置場所も目立たず、施設の美観も維持できた。


ケース②:マンション管理室(ゴミ捨て場の通路ドア)

課題: 管理人が清掃業者にだけドアを開けたいが、常に鍵を持ち歩くのが不便
導入方式: 無線式(NABCO NW-944)
理由:

  • 車中からも開閉可能(距離約30m)
  • ワンボタンで開閉できるため操作が簡単
  • 電池式で設置が容易、配線工事も不要

結果: 管理業務がスムーズになり、物理鍵のやり取りによるストレスが大幅に減少。ゴミ置場への無断立ち入りも防げた。


ケース③:中小オフィス(裏口のリモート開閉)

課題: 受付に常駐スタッフがおらず、来客時に裏口を開ける手段が必要
導入方式: ハイブリッド式(TAKEX DHV-1T)
理由:

  • 複数のリモコンを登録でき、複数社員で共有可能
  • FMと赤外線の切替で、距離と方向性の両方に対応
  • 中継機や拡張受信機でフロア間もカバーできた

結果: 小規模企業でもセキュリティと利便性を両立。インターホンと併用しながら柔軟な運用が可能に。


ケース④:病院の手術室エリア(消毒済み区域)

課題: 接触なしでドア開閉が必要だが、既設センサーが誤反応しやすい
導入方式: タッチ無線式+制御タイマー
理由:

  • 限定エリアだけ反応するようセンサー範囲を制限
  • タッチスイッチは手袋でも反応し、非接触で安全
  • 時間帯でON/OFFを切り替えられる

結果: 誤開閉が減り、感染症対策とセキュリティが両立。医療現場のストレス軽減にも貢献した。


現場の声(共通点)

  • 「想像以上に便利だった」
  • 「もっと早く入れればよかった」
  • 「設置前の相談で誤解が解けた」

という声が多く、導入前の「選び方」と「設計の工夫」が成否を分けるポイントとなっていることがわかります。

次は、「よくある疑問やトラブル」に対して即答できるFAQでまとめていきます。



よくある疑問・トラブルと対策(FAQ形式)

Q:電波が届かないときはどうすればいいの?
A: 壁材や障害物で通信が妨げられている可能性があります。

  • 見通しの良い位置に受信機を設置する
  • 中継機を導入する
  • 周波数を変更できる機種への切り替え

Q:複数のリモコンを登録できますか?
A: 製品によって異なりますが、TAKEX DHV-1Tのように最大200台まで登録できる機種もあります。
多人数で共有する場合は「登録制対応モデル」を選びましょう。


Q:誤作動が心配です。誰かが勝手に操作することはありませんか?
A: 以下のような対策がある機種を選ぶことで防げます:

  • 複数チャンネル切替機能
  • 暗号化通信対応(AESなど)
  • 個別ID割り当て+ログ管理(高機能型)

Q:停電時はどうなりますか?
A: リモコン操作に限らず、自動ドア全体が動作しない可能性があります。
→ 非常解放機構付きの機種や、UPS(無停電電源装置)併用が推奨されます。


Q:後付けって簡単?DIYでもできる?
A: 無線式などで配線不要なものは比較的容易ですが、専門業者による施工を推奨します。
制御盤との接続ミスや誤設定は、故障や事故の原因になります。


Q:電池式のリモコンはどのくらい持つの?
A: 通常使用で1〜2年程度
電池残量警告付きのモデルや、定期交換を業務ルーチンに組み込むのが理想です。


Q:屋外でも使えますか?雨は大丈夫?
A: 「IP等級」を確認してください。
IP44以上の防雨型であれば、屋外での使用も問題ありません。NABCO NW-N801などは対応済。


Q:後から方式の変更はできますか?
A: 制御盤や受信機が汎用入力に対応していれば可能な場合もありますが、一部機種では困難
設計段階で「拡張性のある機種」を選んでおくことが重要です。


Q:メーカーによって何が違うの?
A: 基本性能は共通していても、操作感・登録台数・デザイン・対応年数などが異なります。
NABCO、竹中(TAKEX)、寺岡など主要メーカーの特徴を比較して選びましょう。


以上、現場でよく出る疑問をまとめました。最後に、これまでの内容をふまえて「適ドア適所」の考え方からまとめを行います。



【適ドア適所】にそったまとめ

自動ドアにリモコンを導入するという選択は、「利便性を高める手段」というよりも、ドアの役割そのものを再設計する手段と言えます。


適ドア適所とは?

「適ドア適所」とは、場所・使い方・人・環境に応じて“最適な自動ドアの方式”を使い分けるという考え方です。
リモコン式はその中でも、「人が意思をもってドアを開ける」という能動的な制御が求められる場面に最適です。


本記事のまとめポイント

  1. リモコン操作は、既存の自動ドアにも後付け可能(条件あり)
  2. 方式は無線・赤外線・ハイブリッド・タッチ無線の4系統
  3. 選定には「使い方」「環境」「安全性」の観点が不可欠
  4. 施工時は電波干渉・電源・設置スペースなどを事前確認
  5. トラブルを避けるには、製品だけでなく“設計”がカギ
  6. 判断に迷ったら、現場の制約に強い方式を選ぶのが安全策

この記事が届けたかったこと

自動ドアをリモコンで操作するという選択は、ただの便利機能ではなく、現場の課題解決ツールになり得ます。
選び方と設置の注意点をきちんと理解すれば、後付けでも十分な成果を発揮できます。


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