「自動ドアがずっと開いたままで閉じない…」。そんなトラブルに突然見舞われたことはありませんか?
多くの施設や店舗、マンションなどで使用されている自動ドアは、私たちの生活に欠かせない存在です。だからこそ、いざ不具合が発生すると「どう対応したらいいの?」「すぐに業者を呼ぶべき?」と不安になる方も多いはず。
この記事では、自動ドアが「開きっぱなし」になる原因と、自分でできる対処法、放置することで起きうるリスク、そして専門業者に依頼すべき判断基準までを、わかりやすく解説します。
さらに、根本的な再発防止につながる「設置環境に合った自動ドア選び=適ドア適所」の視点にも触れ、トラブルのない安心な運用を支援します。
目次(このページの内容)
自動ドアが開きっぱなしになるのはなぜ?
要点: 自動ドアが開きっぱなしになる原因は、センサーや制御装置の不具合から設置環境の影響まで多岐にわたります。放置するとセキュリティや空調面でもリスクが大きいため、早めの原因把握と対処が大切です。
センサーの誤作動が起こるパターン
自動ドアは赤外線やマイクロ波センサーなどによって、人の動きを感知し、開閉を制御しています。このセンサーが誤作動を起こすと、実際には人がいないのに「誰かがいる」と誤認し、ドアが開き続けてしまうことがあります。
考えられる誤作動の原因:
- センサー前に設置された看板やゴミ箱などが反応している
- 周囲の強い光(直射日光や夜間のライト)がセンサーを乱す
- センサーにほこりや汚れが付着し、正しく検知できない
- センサーの感度設定が高すぎる or 範囲設定がずれている
このような「人の出入りと関係ない要因」が、センサーに常時反応させてしまうケースはよくあります。
レールの異物や扉の引っかかりによるケース
自動ドアはレールやガイドに沿ってスムーズに開閉する構造ですが、そこに「小さな異物」が挟まるだけでも動作に支障をきたします。
具体的には:
- 小石やゴミ、落ち葉などがレールに挟まり、扉が閉じられない
- 扉の可動部にゆがみが生じ、片側だけ閉まりきらない
- 滑車やローラーの摩耗やズレにより、閉まる途中で止まってしまう
このような場合、自動ドアの制御装置は「安全のため動作停止」を選び、開きっぱなし状態になることがあります。
電源や設定ミスによる動作不良
見落とされがちなのが「電源周り」や「設定」関連のトラブルです。
- 誰かが誤って手動モードに切り替えてしまっていた
- 電源ケーブルの緩みや、ブレーカーのトリップ
- タイマー設定や節電モードによって、開放状態が維持されるようになっている
とくに多機能な業務用自動ドアの場合、「設定の一時的な変更」が意図せず起こり、想定外の動作になることがあります。
風・太陽光・自動ドア周辺環境の影響
実は「設置環境の影響」でセンサーが誤作動するケースもあります。
- 強い風がセンサー範囲に入り込むと、センサーが常時反応状態に
- ガラス越しの強い太陽光が、センサー反応に影響を与える
- 隣接する自動ドアやモーションセンサーとの干渉
一見するとセンサーに問題があるように見えますが、実は「環境が変わったこと」が原因というパターンもあります。
いますぐ自分で確認できる!チェックポイント一覧
要点: 自動ドアが開きっぱなしになったとき、自分でできる確認方法を知っておくと、原因の特定や応急対応に役立ちます。ただし、安全のために機械部分には無理に触れず、基本的なチェックに留めましょう。
1. センサー前の障害物を取り除く
まず最初に確認したいのは、センサーの視界に何かが入っていないかです。
- 看板、ポール、荷物などがセンサーの反応範囲にある
- 風で動くカーテンや植物が常時動いている状態になっている
- 夜間であれば、街灯や車のライトが直接当たっていないか
センサーは微妙な動きや反射にも敏感です。わずかな影響でも「人がいる」と認識してしまう場合があります。まずはセンサーの周囲を1.5mほど確保し、障害物がない状態に整えてみましょう。
2. センサー部分の清掃(注意点つき)
センサーにホコリや水滴、蜘蛛の巣などがついていると、反応が狂うことがあります。とくに屋外に面したエントランスや、駐車場などに面している自動ドアではこのケースが多いです。
安全に清掃する方法:
- 電源が入ったままの状態でセンサーに触るのはNG(誤作動・誤認識の原因に)
- まずは「一時的にドアを停止」する(手動切替スイッチがある場合)
- 柔らかい布や乾いたティッシュで軽く拭き取る
- 濡れた布や強い洗剤は絶対に使用しない
また、センサーが複数設置されているタイプでは、「左右どちらかだけ」に異常がある場合もありますので、両方のセンサーをチェックしてください。
3. 電源の確認とON/OFFリセット
次に、電源周りをチェックしてみましょう。意外と見落とされがちなのが、電源が不安定な状態になっているケースです。
- ブレーカーが落ちている、または一部遮断されている
- 自動ドア本体の電源が抜けかけている
- タイマーや節電モードで意図せず「開きっぱなし設定」になっている
こうした場合は、一度電源をOFFにし、数分後に再起動してみると改善することがあります。ただし、制御装置が劣化していると、リセット後にも異常が出ることがあるため、繰り返し症状がある場合は専門業者への連絡を。
4. ドアの開閉を手でゆっくり確認してみる
扉自体に引っかかりや異音があるかを確認するために、電源を切った上で、手で静かにドアを動かしてみるのも有効です。
【手順:】
- 安全のため電源を完全にOFFにする
- ドアを片方ずつゆっくり動かし、スムーズに動くかを確認
- 動きが鈍い/引っかかる/異音がするなどがあれば、レールやローラー部分に異常の可能性
- ゴミや砂、葉っぱなどがレールに入り込んでいないか確認
このとき、力を入れて無理に動かすのは厳禁です。引っかかりが強い場合は、無理せずそのままの状態で専門業者に相談しましょう。
チェック後の状態と次の判断
以下のような場合は、その場で改善する可能性が高いです:
- センサー前の障害物を除けたらドアが閉まった
- 清掃後に反応が正常に戻った
- 電源リセットで動作が復旧した
逆に以下のような場合は、すみやかに専門業者への相談が必要です:
- チェック後も開きっぱなしのまま変化なし
- 明らかに引っかかる/異音がする
- 動作中に扉が片方だけしか動かない
- 過去にも何度か同じ症状を経験している
次のセクションでは、これらの状態を放置した場合にどんなリスクがあるのかを詳しく説明します。
放置するとどうなる?「開きっぱなし」が招くリスクとは
要点: 自動ドアが開きっぱなしになっている状態を放置すると、目に見えるトラブルだけでなく、建物全体の運用や信頼性にも影響を及ぼすリスクがあります。見逃されがちな問題も含め、把握しておくことが重要です。
防犯上のリスク(不審者侵入など)
最も深刻なリスクの一つが、防犯面での不安です。
- 不審者が容易に出入りできてしまう
- 営業時間外の侵入につながる可能性
- ドアが開いている=警戒が緩い施設と見なされることも
とくにオフィスビルや商業施設、病院などでは、セキュリティ管理上の信用問題にもなりかねません。オートロックとの併用が崩れることで、構内全体が無防備な状態になることもあります。
空調の無駄・電気代の上昇
ドアが開いたままになることで、屋内の空調が外へ逃げてしまい、空調負荷が増大することになります。
- 夏場:冷房が効かず、室内温度が安定しない
- 冬場:暖気が流出し、エアコンが過剰稼働
- 空調機器の劣化を早める要因にも
特に店舗やオフィスでは、従業員の快適性や業務効率にも直結するため、エネルギーコストの無駄だけでなく、業務環境悪化という間接的ダメージにもつながります。
クレーム・施設イメージの悪化
「開きっぱなし」は利用者の目にも留まりやすい不具合です。
- 「ちゃんと管理されていない建物」という印象を与えてしまう
- 常連客から「寒い」「暑い」「虫が入る」といったクレームが来る
- 清掃スタッフや配送員などにも影響が出る場合も
短時間ならまだしも、数時間〜数日単位で放置されていると、施設全体の印象が悪化してしまいます。管理会社やビルオーナーが信頼を損なう要因にもなりかねません。
機器自体のさらなる故障につながる可能性
自動ドアが開いたままという状態は、本来の制御動作から外れています。そのまま放置すると、以下のようなさらなるトラブルを引き起こす可能性もあります。
- センサーが常時稼働し、劣化が早まる
- モーターや制御装置に過負荷がかかる
- ローラーやガイドレールが「半閉じ状態」のまま歪む
つまり、放置によって症状が悪化するサイクルに陥るということです。簡単な調整や清掃で済んだものが、後に高額な修理費を伴うケースもあるため、早期対応が非常に重要になります。
自分で直せない場合は?業者に依頼すべきタイミングとは
要点: 自動ドアの不具合には、自分で解決できる範囲と、専門業者でないと対処できない範囲があります。「どの段階でプロに任せるべきか」を判断するための明確な基準を持っておきましょう。
いつまでも動作が変わらないとき
すでに前のセクションで述べたチェック(センサー、障害物、電源など)を行ったにもかかわらず、何も変化が見られない場合は、単なる一時的な誤作動ではなく、内部的な故障の可能性が高いです。
- センサーの制御基盤が損傷している
- 誤設定がシステムに保存されていて外部操作では戻らない
- 経年劣化による反応遅延や出力の不具合
このような症状は、外から見ただけではわからない内部診断が必要になります。
電源を切っても改善しない場合
一度電源をOFFにし、数分後に再起動しても、症状がまったく変わらないという場合は、内部の制御装置が正常に作動していない可能性があります。
- リレーやコンデンサなどの電子部品の故障
- 制御盤内の配線トラブル
- フリーズ状態でシステムが停止している
これらは分解や専用のテスト機器が必要な領域で、利用者側では手出しできない構造的なトラブルです。
開閉の途中で異音やひっかかりがあるとき
ドアを動かしてみたときに、明らかな「異音」や「引っかかり感」がある場合は、物理的な破損や部品摩耗が疑われます。
- ローラーが摩耗して歪みが出ている
- ガイドレールがずれて片方の扉だけ閉まらない
- 駆動部に潤滑不良や破損がある
このようなケースでは、動かせば動かすほど状態が悪化するおそれがあるため、早急な停止と業者対応が望まれます。
何度も同じ症状を繰り返すときは要注意
「以前も同じように開きっぱなしになったことがある」「数週間前にも動作不良があった」という場合は、一時的な不具合ではなく、根本的な故障や設置条件のミスマッチがあるかもしれません。
- 周囲環境に対してセンサーの種類が合っていない
- 長年の使用により耐用年数を超えている
- 設置当初から調整が不十分だった可能性
何度も起こる=「構造的な要因がある」という視点で捉え、自動ドアのタイプ自体が適しているのかを見直す機会と捉えるのが賢明です。
トラブルを防ぐために知っておきたい、自動ドアのメンテナンス習慣
要点: 自動ドアは精密機器です。日常的に簡単なメンテナンスを行うことで、多くの不具合は未然に防ぐことができます。特別な技術がなくても実践できる「日常点検」のポイントを紹介します。
定期的なセンサーの清掃と確認
最も簡単かつ効果的なのが、センサーの定期的な清掃です。
- 表面にほこりがたまっていないか
- 水滴や結露で誤作動していないか
- 周囲に動くものや反射物がないか
【頻度の目安】:月に1回以上
特に屋外や通行量が多い場所に設置されている自動ドアは、週1回程度の確認がおすすめです。
レールや可動部のチェックと清掃
ドアの足元にあるレール部分も、知らず知らずのうちにゴミや小石が入り込んでいることがあります。
- レールの中にゴミがたまっていないか
- 扉の動きに引っかかりがないか
- 摩耗して削れた金属粉などが付着していないか
【対策】:
掃除機や細いブラシなどを使って、ほこりや砂利を取り除くだけでも効果的です。
潤滑剤の使用については、専用品でない限り使用を控える方が無難です(市販のオイルは逆にゴミを集めてしまう場合あり)。
使用環境にあった設置・調整の見直し
一度設置したら終わりではなく、使用環境が変わった場合には調整も必要です。
- 新たに設置した看板がセンサーの視界に影響していないか
- 近隣の工事や街灯設置で光の入り方が変わっていないか
- 季節ごとの日照や風の強さの変化が影響していないか
このような「環境変化」はセンサー誤作動の大きな原因です。年に1回程度、環境との相性を見直すだけでもトラブルを防ぐ効果があります。
定期点検や保守契約の重要性
自動ドアは、法定点検の義務こそないものの、「建物の顔」であるエントランスを守る設備として、安定稼働が求められます。
- 年1〜2回の専門業者による点検
- 制御装置や可動部の摩耗チェック
- 消耗部品(センサー、ローラー、ベルトなど)の交換目安の把握
特に、多くの人が利用する施設(店舗・病院・マンション)では、保守契約を結ぶことで突然のトラブルにも即時対応してもらえる体制が整います。
【適ドア適所】にそった「まとめ」──本当に安心できる自動ドア運用とは?
要点: 「開きっぱなし」は、ちょっとした誤作動や汚れによる一時的な現象に見えて、実は構造や環境、そしてドアの“相性”によって生じていることも少なくありません。最終的には「適ドア適所」という視点から見直すことが、最も本質的な解決につながります。
ここまで、自動ドアが開きっぱなしになる原因とその対処法、自分でできる応急チェック、放置リスク、業者に依頼すべきタイミング、そして再発防止のためのメンテナンス習慣までを解説してきました。
もう一度ポイントを整理すると…
| 項目 | 要点まとめ |
|---|---|
| 原因 | センサー誤作動、障害物、電源不良、設定ミス、環境要因など多岐にわたる |
| 対処法 | 障害物の除去・センサー清掃・電源リセットなど、自分で試せること多数 |
| 放置リスク | 防犯・空調・機器劣化など多方面に波及するため要注意 |
| プロに頼る基準 | 異音、引っかかり、改善しない、同じ症状の繰り返しなどが目安 |
| 再発防止 | 定期的なメンテナンス・環境確認・必要に応じた点検契約がおすすめ |
設置環境とドアの“相性”=「適ドア適所」
見落とされがちですが、「そもそもその場所に、そのタイプの自動ドアが適しているのか?」という視点も重要です。
- 風が強く吹き込む場所に設置された開閉式の自動ドア
- 日差しが強くセンサーが誤作動しやすい南向きの入口
- 交通量が多く、常にセンサーが反応してしまう導線
こうした場所では、通常のセンサー式自動ドアでは対応しきれないことがあります。
そのようなケースでは、設置環境に合わせたドアの選定=適ドア適所が非常に重要です。
例えば:
- 誤作動が多い場所 → 荷重式自動ドアなど電気を使わず、環境影響を受けにくい方式に変える
- 開閉の頻度が高い施設 → 高耐久・静音設計の自動ドアへ見直す
このように、単なる故障対応ではなく、「最初の選定」から見直すことで、トラブルそのものを減らすという根本的な視点が得られます。
この記事で得られた学び
- 「開きっぱなし」には必ず理由があり、対応できることも多い
- 放置はさまざまなリスクを招くため、初期対応が肝心
- 対応の先にあるのは、「環境と用途に合った自動ドア選び=適ドア適所」という考え方
FAQ(よくある質問)
Q: 自動ドアが開きっぱなしになってしまいました。すぐに業者を呼ぶべきですか?
A: まずはセンサー前の障害物除去、センサー清掃、電源リセットなどの基本チェックを行いましょう。改善しない場合は業者へ相談を。
Q: センサーを自分で清掃しても大丈夫ですか?
A: はい、電源をオフにしたうえで、柔らかい乾いた布で軽く拭く程度なら問題ありません。水拭きや強くこするのはNGです。
Q: ドアが途中までしか閉まらず止まってしまいます。何が原因でしょうか?
A: レール内の異物やローラーの摩耗、ガイドの歪みが考えられます。無理に動かさず業者へ相談を。
Q: 「開きっぱなし」は放っておいても大丈夫ですか?
A: 放置は防犯・空調・印象面でリスクが大きく、機器のさらなる故障を招く恐れがあります。早急な対応が必要です。
Q: 何度も同じトラブルが起こるのはなぜ?
A: 設置環境と自動ドアのタイプが適していない可能性があります。「適ドア適所」の見直しが必要かもしれません。
Q: 電源を切って再起動しても直りません。どうすればいい?
A: 内部の制御装置や配線トラブルの可能性があります。専門業者での診断が必要です。
Q: トラブルを防ぐにはどうすればいい?
A: 定期的な清掃、環境チェック、年1〜2回の点検を実施しましょう。使用環境とドアの“相性”も重要です。
出典一覧(情報参照元)
- NewtonドアFAQ、チラシ、設置事例(社内資料)
- Newtonプラス株式会社 公式サイト
https://newton-plus.co.jp/ - 自動ドア修理・保守業者の公開コラム(複数)
- 一般公開の建物管理マニュアル・メーカー資料(非引用)