ビニールカーテンが自動でスーッと開閉してくれたら…。
そんなニーズが現場で高まる中、「ロールカーテン式自動開閉装置」が注目されています。

従来の自動ドアは、床のレールや扉の厚み、設置スペースの問題から導入が難しいケースもあります。一方、ロールカーテン式は、巻き取り型で軽量、構造がシンプルなため、省スペースでの設置やリニューアルにも適しているとされます。

しかし、その反面で「風に弱くて使い物にならないのでは?」「ちゃんと閉まらないのでは?」という不安の声も。業務用として本当に信頼できるのか、判断は簡単ではありません。

この記事では、自動ドアの代替としてロールカーテン式の自動開閉装置を検討している方に向けて、現場での適用実例や、選定時の注意点、安全性やコストまで、判断材料を徹底的に解説します。


目次(このページの内容)

ロールカーテン式の自動ドアって何?その特徴と限界

一言でいうと?
ロールカーテン式の自動開閉とは、ビニール製または布製のカーテンを、電動や空気圧で上下に自動開閉させる装置のこと。簡易的な自動ドアのように使われるケースが増えています。


概要:ロールカーテン式「自動開閉装置」のしくみ

ロールカーテン式とは、天井部に取り付けたカーテンを巻き上げる装置(モーターまたはエアモーター)によって、自動でカーテンを上下に動かすものです。

動作方式にはいくつかの種類があります:

  • モーター式:ACまたはDCモーターを内蔵し、スイッチや人感センサーで起動
  • エアモーター式:空気圧を利用し、油や電気を使わずに開閉(防爆環境などにも適応)
  • スプリング式:巻きバネで手動開閉、簡易タイプ(自動ではない)

特に業務用として注目されているのは、人感センサー付きのモーター式またはエアモーター式で、非接触での開閉が可能な点が評価されています。


メリット:なぜ注目されているのか?

  1. 設置のしやすさ
     - 自動ドアに比べ、構造がシンプル。既設の間口に後付けが容易。
  2. 省スペース性
     - 開閉時のスペースが不要(上下動のみ)。狭小空間に最適。
  3. 防塵・防虫・冷暖房効率の改善
     - クリーンルームや食品工場での利用実績あり。
  4. コストパフォーマンス
     - 自動ドアよりも初期費用が安価な傾向。

注意点:見落とされがちな「限界」とは?

一方で、次のような限界もあります。

  • 耐風性が低い
     → 外風にさらされる出入口では、カーテンがバタついたり、巻き取り部に負担がかかる。
  • 気密性・断熱性が弱い
     → カーテン材質にもよるが、密閉度はドア型に劣る。
  • 安全性の確保が難しいケースあり
     → 人体検知センサーが未搭載の製品もあり、挟まれ事故防止には注意が必要。
  • 消防法や建築基準法に合致しないことも
     → 出入口としての“避難経路”に使うのは、認可が必要になる場合がある。

結論:ロールカーテン式は「万能」ではない

ロールカーテン式は、あくまで「簡易的な間仕切り装置」であり、自動ドアの完全な代替ではありません。
「風が入り込まないこと」「緊急時に安全に開くこと」などを重視する現場では、自動ドア(特に荷重式など)との比較が不可欠です。

次の章では、どんな現場で「ロールカーテン式」が適しているかを、実例を交えて紹介します。


現場で「ロールカーテン式」が選ばれる理由とは?

一言でいうと?
「設置場所の制約」「作業効率」「衛生管理」など、自動ドアでは対応しきれない現場ニーズに応える選択肢として、ロールカーテン式が選ばれるケースが増えています。


用途別:主な導入シーンと目的

現場で導入される理由は、必ずしも「ドアの代わり」ではなく、「ドアとは異なる目的」であることが多いのが特徴です。以下、導入シーンごとに主な目的を見てみましょう。

導入現場主な目的特記事項
食品工場(加工・包装室)防塵・防虫、衛生管理開閉頻度が高く、自動化が望まれる
倉庫(荷捌き場)冷暖房効率、防虫対策開放時間を最小限に抑えたい
クリーンルーム入口空気清浄度の維持エアシャワー前の空間遮断として有効
厨房・バックヤード匂い・煙の拡散防止火気使用環境ではエアモーター式が主流
製造ライン間の間仕切り作業動線の分離簡易間仕切りとして省スペース設置可

選ばれる理由①:スペースの制約がある

自動ドア(スライド式やスイング式)は、扉の開閉方向に一定のスペースを必要とします。
一方、ロールカーテン式は、上下の巻き取りのみで済むため、奥行きのない場所でも設置が可能です。

また、天井高がある程度あれば、カーテンの「収納スペース」も小さく、動線を遮らずに設置できるのが利点です。


選ばれる理由②:とにかく開閉回数が多い

1日数百回の出入りがある現場では、手動カーテンの開閉は地味に負担。
自動ドアも構造的に耐久性に限界があり、メンテナンス頻度が課題となることがあります。

ロールカーテン式(特に空気圧式)は、開閉機構が簡素で摩耗部品が少ないため、高頻度運用に強いという評価があります。


選ばれる理由③:衛生環境に配慮したい

人が触れずに出入りできることは、食品工場や医療現場では重要な要件です。

ロールカーテン式は**非接触センサー(人感/近接/スイッチ式)**と組み合わせることで、完全なハンズフリー運用が可能。
また、カーテン素材を「防炎」「抗菌」「静電防止」仕様にすることで、衛生対策としての信頼性も高まります。


選ばれる理由④:騒音・臭気・気流をコントロールしたい

開口部からの音漏れや、厨房などからの臭気の拡散を防ぐために、あえて柔軟な素材で“気流だけを遮断”する方法として採用されることがあります。

自動ドアでは完全に密閉できても“閉じるまでの時間”に空気が流れ込んでしまうことがありますが、ロールカーテン式なら「瞬時に開閉できる」仕様にカスタマイズ可能です。


導入事例から見る傾向

✔ 食品工場では、手洗い後の清潔ゾーン入口に導入
✔ 倉庫では、出入口のシャッター内側にロールカーテンを設置し、虫の侵入防止に活用
✔ 作業所では、内部の温度管理と防塵目的でブース化

これらの事例に共通するのは、「ドアとしての構造」ではなく「空間制御の道具」として使われている点です。


ロールカーテンと自動ドア、どう違う?選定軸で徹底比較

一言でいうと?
ロールカーテン式と自動ドアは、見た目は似ていても「構造・機能・安全性」が大きく異なります。ここでは、導入判断の軸となる8項目で両者を徹底比較します。


比較表:8つの選定軸で違いを明確に

比較項目ロールカーテン式一般的な自動ドア(電動式)
開閉方式上下巻き取り式横スライド or スイング
設置スペース非常に小さい(省スペース)スライド式は左右に空間が必要
開閉速度速い(1秒前後も可)標準的(2〜4秒)
気密性低め(風や隙間あり)高い(密閉性に優れる)
耐風性弱い(屋内向け)強い(風除室付きも可)
安全性センサー未搭載製品も多いJIS規格で高い基準あり
初期費用比較的安価高額になりやすい
維持管理メンテナンス少なめ定期点検が推奨される

ポイント①:設置スペースの有無が初期判断のカギ

ロールカーテン式は「扉の開閉スペースが取れない場所」に圧倒的な強みを持ちます。
→ 廊下が狭い、天井に設備がないといった場合でも設置可能。

一方、自動ドアは「戸袋(扉の収納部)」のために横方向にスペースが必要になるため、改修コストが高騰するケースもあります


ポイント②:「開けっぱなしを避けたい」ならロールカーテンが有利

空気の出入りを極力減らしたい現場では、開閉のスピードが重要です。
ロールカーテン式は瞬時に開閉可能で、開口時間を最小限にできるため、
冷暖房効率・虫の侵入防止に効果的です。


ポイント③:「人が多く通る」「安全性が最重要」なら自動ドア

自動ドアは、JIS A 4722に基づいた挟まれ防止/非常時の手動開放/異常検知など、総合的な安全対策が前提です。

一方で、ロールカーテン式にはこれらの安全要素が製品ごとに大きく異なるため、注意が必要です。


【適ドア適所】の視点:「ドアではない方がいい」状況とは?

どちらが優れているか?ではなく、「どちらがその空間に適しているか?」で考えるのが正しい選び方です。以下のようなケースでは、ロールカーテン式が有効です。

  • ドアの設置に構造的な制限がある(壁や柱が近い、天井高が取れない)
  • 「一時的な間仕切り」として使いたい(可動性を重視)
  • 開閉速度を最優先したい(虫・温度・粉塵対策)
  • 設備の初期コストや工期を最小限にしたい

逆に以下のようなケースでは、自動ドアの方が望ましい選択となります:

  • 非常時の避難経路として使用する
  • セキュリティ(施錠・監視)が必要
  • 一般利用者が頻繁に出入りする(公共施設など)
  • 気密性が求められる(空調管理・冷凍庫など)

自動化するには何が必要?センサーや開閉ユニットの仕組み

一言でいうと?
ロールカーテン式を自動化するには、「動力(開閉ユニット)」と「制御(センサー)」の2つの要素が必要です。現場環境に応じて、それぞれの方式を選ぶことが重要です。


構成要素①:開閉ユニット(駆動方式)

ロールカーテンを自動で上下に動かすためには、**巻き取り機構(開閉ユニット)**が必要です。以下のような方式があります。

駆動方式特徴主な用途注意点
電動モーター式安定動作、コスト効率が良い倉庫・工場・厨房など電源工事が必要、火気使用には注意
エアモーター式防爆性・衛生性に優れる食品工場、医療施設エア配管が必要、導入ハードル高め
スプリング巻き上げ式(簡易)手動式と自動復帰の中間小規模空間、間仕切り自動開閉ではないため別途補助必要

構成要素②:センサー(開閉トリガー)

自動開閉を成立させるには、「いつ開けるか/閉めるか」を判断するセンサーが必要です。以下のような種類があります。

センサー種類反応方式特徴
人感センサー赤外線感知最も一般的。歩行者に反応
近接センサー電磁感知/静電手をかざす、物を近づけると反応
押しボタン物理スイッチ明示的な操作が必要。誤作動なし
タイマー式制御開放後一定時間で自動閉鎖開けっぱなしを防ぐ設定が可能

センサー選びの注意点

  • 反応範囲と設置高さを考慮(荷物・台車に反応させたい場合など)
  • 動線との干渉に注意(不要な反応で開閉が頻発すると故障リスク)
  • **防水・防塵性(IP等級)**の確認(厨房や水回りでは必須)

制御盤(コントローラ)の設置が必要な場合も

複数のセンサーを使ったり、安全装置(光電センサーなど)を組み合わせる場合は、**制御盤(コントロールユニット)**が必要になります。
これは、各センサーの信号を一元管理し、開閉命令をモーターに伝える役割を果たします。


電源まわりの注意点

  • モーター式はAC100Vまたは200Vの電源が必要(電工工事が必要になることも)
  • エアモーター式はコンプレッサー(空気源)とエア配管が必要
  • バッテリー式は長時間稼働に向かず、業務用には不向き

施工・設置時の実務ポイント

  1. 既存構造との干渉チェック(梁、配線、レールなど)
  2. センサーの動作テスト(想定外の物体に反応しないか)
  3. 非常時の手動開放方法(災害・停電時にも対応できるか)

✅ まとめ:現場に合わせた「動力+センサー」の最適組み合わせがカギ
→ 安全性と利便性のバランスを考えた設計が、トラブル防止の第一歩です。


導入前に必ず確認すべき注意点(耐久性・基準など)

一言でいうと?
ロールカーテン式の自動開閉装置は、導入後に「思っていたのと違う…」というトラブルも起こりがちです。ここでは、よくある失敗とその防止策をまとめました。


注意点①:耐久性の過信は禁物

ロールカーテンは柔らかい素材(PVC、軟質ビニールなど)を使用しているため、物理的なダメージに弱い傾向があります。

  • 台車やフォークリフトによる「接触・引っかけ」
  • 強風や陰圧による「バタつき・巻き込み」
  • 巻き上げ機構への「巻きズレ・偏摩耗」

これらは日常の中で想定以上に起こりやすく、耐久性を評価するには「通行頻度×接触リスク×環境要因」の3軸で考える必要があります。


対策:使用頻度と動線を見た現場評価を行う

  • 「日に何回開閉するか」「台車・搬送物の通過があるか」
  • 「カーテンの接触保護(ガイドレールや補強)」の有無
  • 「代替案としてドアが設置できないか」の再確認

注意点②:安全基準への理解不足

ロールカーテン式の自動開閉装置は「ドア」としてのJIS規格対象外であることが多く、安全に関する設計が製品ごとにバラバラです。

特に次の点に注意が必要です:

  • 挟まれ防止センサーがない/反応が遅い
  • 停電時に開放できない(手動装置なし)
  • 災害時の避難経路に指定できない

対策:「建築基準法・消防法」の観点も踏まえて相談を

  • 消防署との事前協議(避難経路で使用予定の場合)
  • 避難・手動開放の機能の有無の確認
  • 設置業者に「用途地域ごとの制約」を確認

特に「厨房の出口」や「倉庫の通用口」などで、避難経路に該当する場所に設置する場合は、重大なリスクとなります。


注意点③:素材や施工方法によって寿命に差が出る

カーテンの素材、巻き取りシャフト、ガイドの有無、施工の精度など、構成部品の品質差が耐用年数に直結します

  • 材質が安価なもの(薄手PVC)は紫外線や油に弱い
  • 巻き取り装置の中にはベルト駆動や樹脂ギアが劣化しやすいものもある
  • 天井や壁面の施工精度によって、「巻きズレ」が生じる

対策:信頼できる施工業者と製品選定を

  • 「導入実績のある業者」を選ぶ(現場を見て提案できる)
  • 「保証」「保守プラン」の有無を確認
  • 製品カタログに記載されている**試験データ(開閉回数、風圧耐性)**を確認する

注意点④:メンテナンス頻度の見積もり不足

簡易な構造とはいえ、ロールカーテン式も可動装置である以上、定期的な点検が不可欠です。
特にモーター部・カーテン巻き取り軸・センサー部は、日常的に影響を受けやすいパーツです。


対策:点検頻度とメンテ費用も事前に確認

  • 年間の点検回数の目安(例:年1~2回)
  • 故障時の対応スピードと費用感
  • カーテンの張り替えや交換サイクル

【適ドア適所】まとめ:ロールカーテン式が「最適」となるのはどんなとき?

一言でいうと?
ロールカーテン式の自動開閉装置は「すべての現場に適しているわけではない」が、ある条件を満たす現場では、他の選択肢にはない合理的な解決策となります。


✅ ロールカーテン式が「最適」となる条件

  1. 省スペースで設置したい
     → 扉の開閉スペースが取れない、既存間仕切りに後付けしたい
  2. 開閉頻度が非常に多い
     → 食品工場、倉庫などの高頻度通行を前提とした運用に強い
  3. 空気の流入・虫の侵入を最小限にしたい
     → 開口時間を最小化でき、非接触センサーと組み合わせて衛生管理に最適
  4. コストと導入スピードを重視したい
     → 自動ドアに比べ、施工が簡易で短期間導入が可能
  5. 簡易な間仕切りやゾーニングを自動化したい
     → 構造が柔軟で、将来的なレイアウト変更にも対応しやすい

❌ ロールカーテン式が「不向き」となる状況

  • 風が吹き込む出入口(屋外直通の箇所など)
  • 気密性や防音性が必要な空間
  • セキュリティ(施錠・監視)が必須の場所
  • 避難経路や非常口として使用する場所

🧭 「適ドア適所」の考え方が失敗を防ぐ

最も重要なのは、「ロールカーテンか、自動ドアか」の二択ではなく、
「その空間と運用にとって、どちらが最適か?」を冷静に見極める視点です。

現場の制約・目的・利用頻度・安全要件を一つ一つ明らかにしながら、
「適ドア適所」の原則にそって選ぶことが、長期的な満足度とトラブル防止につながります。


📚 出典表示:本記事の参照・根拠資料一覧

  • Newtonドア:自社公式資料『Newtonドア.txt』
  • 自社FAQ:『NドアFAQ.txt』
  • 顧客セグメント・導入事例:『Nドア顧客セグメントと導入事例.txt』
  • JIS対応・安全性に関する資料:『Newtonドアの安全性検証とJIS規格整合性.txt』
  • 自社チャンネル紹介資料:『Nドア自社チャネル.txt』

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