自動ドアが突然開かなくなった、開閉が遅くなった、あるいはギーギーと異音がし始めた…。そんなとき、現場でよく聞くのが「ベルトが切れたのかもしれない」という言葉です。しかし、「自動ドアのベルトってそもそも何?」「本当にそれが原因なの?」と疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。

この記事では、自動ドアの不調が“ベルト”に関係している可能性がある場面に直面した方に向けて、「ベルトとは何か」「どんなトラブルが起こるのか」「交換の目安や修理方法」などを丁寧に解説します。そして後半では、実はベルトが存在しない自動ドア構造もあるという、見落としがちな視点をご紹介します。


そもそも「自動ドアのベルト」ってどんな部品?

一言でいうと: 自動ドアのベルトは、モーターの動力を戸に伝えるための“動力伝達装置”です。スライド式のドアでは、ベルトを使って引き戸を開閉させています。

手順:自動ドアの開閉の仕組み

  1. 人感センサーなどが人の接近を感知
  2. 制御盤(コントローラー)に信号が送られる
  3. モーターが回転し、ベルトを動かす
  4. ベルトが戸車(ローラー)を動かし、ドアが左右に開閉する

この一連の流れのなかで、ベルトはモーターの力をドアに伝える命綱のような存在。素材はゴムにナイロン繊維や金属ワイヤーが組み合わされた「タイミングベルト」型が多く、内部にコブ(歯)があることで、滑りにくく設計されています。

関連部品との関係

ベルト単体で機能するわけではなく、以下のような部品と連携して動作します:

部品名役割
モーター動力の発生源
制御盤センサー信号をモーターに伝達
プーリー(滑車)ベルトの回転方向を変える・支える
戸車(ローラー)ベルトの動きに連動してドアを滑らせる

ベルトに異常があると、こうした部品にも負荷がかかるため、単体の修理だけで済まないケースもあります。


ベルトが原因かも?不調時のよくある症状とは

要点: 自動ドアの「動きが遅い」「途中で止まる」「異音がする」などは、ベルトに起因している可能性があります。

症状別チェックリスト

症状ベルトとの関連度他の原因の可能性
ギーギー・キュルキュルと音がする★★★★☆戸車の摩耗、レールの汚れなど
開閉スピードが極端に遅い★★★★☆モーター不良、電源電圧の低下など
ドアが途中で止まる★★★☆☆センサー不良、ベルトの緩みなど
全く動かない★★☆☆☆電源トラブル、制御基板不良など

注意点:誤診のリスク

自動ドアの不調=ベルト、という思い込みは危険です。特に、開閉にタイムラグがある場合は、センサーや制御基板に問題があるケースも少なくありません。また、レールにゴミや異物が挟まっていても、ベルトが正常に動かなくなることもあります。

点検では、ベルトの「緩み」や「劣化(ヒビ・破断)」を目視で確認することが第一歩。管理者が日常的にできるチェック項目として、「音」「スピード」「揺れ」が急に変わったら要注意です。


自動ドアのベルトは消耗品?交換の目安と寿命

要点: 自動ドアのベルトは経年劣化する消耗部品です。耐用年数の目安を知り、計画的な交換をすることで、突発的なトラブルを防げます。

根拠:ベルトの寿命と交換タイミング

ベルトの寿命は、使用頻度・設置環境・素材によって異なりますが、おおよその目安は以下の通りです。

使用環境推奨交換年数主な劣化要因
オフィスビル(頻繁に開閉)約3〜5年摩耗、引張り疲労、熱
商業施設(長時間稼働)約2〜4年常時使用による伸び・劣化
マンション(比較的少なめ)約5〜7年紫外線、ホコリ、静電気

素材や設置状況によっては、10年以上問題なく動くケースもありますが、「ベルトのヒビ」「部分的な削れ」「スリップ(空回り)」などの初期症状が見られた場合は、早めの交換が望まれます。

交換の目安となる症状

  • ベルト表面にヒビや裂け目がある
  • ベルトのテンション(張り)が緩んでいる
  • ドアの動きが鈍くなり異音が増えた
  • 空回りのような動作をする

なお、ベルトが切れてしまうと、ドアは完全に停止します。部品在庫の有無や業者の都合により、数日間復旧できないケースもあり、予防的な交換が非常に重要です。


自分で直せる?交換・修理の流れと注意点

要点: 自動ドアのベルトは基本的に専門業者による交換が必要ですが、簡易的な点検や応急処置を管理者が行うことは可能です。

1. 自分で対応できるケース

対応内容難易度必要な道具注意点
ベルトの緩み確認特になし(目視)モーターが止まっている状態で行うこと
表面の異物除去エアダスター、布など必ず電源OFF状態で作業

これらの範囲であれば、現場管理者が一次対応として実施可能です。

2. 専門業者が必要なケース

作業内容理由
ベルトの交換高所作業・モーター分解を伴う危険作業
テンション調整適切な張力が必要/機種により専用工具が必要
モーターや制御部品の再設定エラー解除やプログラム再設定が必要なため

修理費用と時間の目安

内容費用の目安(税込)所要時間の目安
ベルト交換のみ約2〜4万円約30〜60分
その他部品も交換あり5万円〜10万円以上1〜2時間以上

メーカーや機種、設置環境により異なります。費用を抑えたい場合は、「定期点検時に一括で交換する」「他部品と同時交換する」などの工夫が有効です。


実は…「ベルトのない自動ドア」もあるって知ってた?

要点: すべての自動ドアにベルトがあるとは限りません。実は、構造的にベルトを使用しない「荷重式(Newtonドア)」というタイプが存在します。

Newtonドアとは?

Newtonドアは、日本で初めて荷重式(Gravity式)という方式を採用した自動ドアです。

特徴は以下の通り:

特徴内容
駆動方式ベルトやモーターを使わず、重力と足圧を利用
構造天井レールではなく床に組み込む「ステップ内蔵型」
エネルギー電気不要(停電時でも動く)
メンテナンス性構造がシンプルで、可動部が少ないため壊れにくい
対象環境マンションのエントランスや自治体・公共施設などに導入実績多数

Newtonドアでは、**「人がドアの前に立ち、軽く荷重をかけるだけでスッと開く」**という仕組みが採用されています。そのため、ベルトそのものが存在しません。

ベルト式 vs 荷重式の比較表

比較項目ベルト式(一般的な自動ドア)荷重式(Newtonドア)
駆動源モーター+ベルト重力+機械的機構
消費電力常時通電が必要不要(ゼロ)
故障リスクベルト・モーターの摩耗可動部が少なく故障しにくい
メンテナンス頻度比較的多め少なめ
停電時の動作基本的に停止問題なく開閉可能

このように、ベルトに頼らない方式を選ぶという選択肢が存在することを知っておくと、長期的な運用面でも有利です。


【適ドア適所】で考える、ベルト式が向く場所・向かない場所

要点: 自動ドアは「どんな構造か」だけでなく、「どこで使うか」によって適した種類が異なります。ベルト式か荷重式かは、施設の用途・利用者層・安全性の要求レベルなどによって判断する必要があります。

使用環境別:おすすめの構造タイプ

利用シーンベルト式が向く理由荷重式が向く理由(Newtonドア)
商業施設(スーパーなど)大量の人が出入りし、センサー式が効率的足元での開閉が馴染まない
オフィスビル両手がふさがった来客の通行に自動開閉が便利安全面での補完機能が必要な場合には不向き
高齢者施設・病院スムーズな開閉、点検頻度を高めることで安全を担保荷重が不安定な高齢者には向かない可能性あり
公共施設・庁舎ベルト切れによる止まりにくさに不安がある停電時でも確実に開閉、維持費を抑えやすい
マンション共用部コストと安全性のバランスが問われる荷重式なら電気不要・壊れにくく、管理コストを大幅軽減可

長期視点での判断基準

  • 停電対応力: 災害時の避難導線として確実に開閉する必要がある場所では、電力に依存しない方式が有利
  • ランニングコスト: 電気代、部品交換、点検頻度の総コストで考えると、荷重式はトータルで安価になるケースが多い
  • 静音性: ベルト摩耗時の異音問題が発生しない点で、静音が求められる環境に強い
  • 高齢者・子どもへの対応: 足元の力だけで開くNewtonドアは、慣れの問題はあるが慣れれば非常に使いやすい

【適ドア適所】にそった「まとめ」

  • 自動ドアの不調時、「ベルトの劣化・破損」はよくある原因の一つです。
  • しかし、構造全体を知らないと、見当違いの修理をしてしまうリスクがあります。
  • 「ベルト式の限界」を知ることは、より適した選択肢(たとえば荷重式=Newtonドア)を見直すきっかけになります。
  • 大切なのは、「その場所にとって適した構造か?」を中立の視点で判断すること。
  • ベルトは、必要な場面には最適な技術。しかし、すべての場面に最適とは限りません。

出典表示

  • Newtonドア製品情報(Newtonプラス株式会社)
  • NewtonドアFAQおよび顧客導入事例資料
  • 一般的な自動ドアメーカーの技術資料(ナブテスコ、三和シヤッターなど)
  • 公開されている修理業者の公式ページ(2025年10月時点でのSERP分析結果に基づく)

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