自動ドアと聞くと、金属の光沢を思い浮かべる方が多いでしょう。
しかし、その「金属」と一口に言っても、アルミ・ステンレス・スチールなど多様な材質があります。さらに最近では、木調やガラスと組み合わせたデザイン性の高い自動ドアも増えています。

ところが、材質を「見た目」で選んでしまうと、思わぬ落とし穴があります。
たとえば、沿岸地域にステンレス以外の材質を使うと、塩害で数年のうちに腐食が進むことがあります。逆に、屋内用途で重いスチールドアを選んでしまうと、開閉の負担やメンテナンスコストが増してしまうこともあります。

この記事では、環境・安全性・デザイン性をふまえた**「適ドア適所」=環境に最もふさわしい材質選定**の考え方を、専門的な視点からわかりやすく解説します。


自動ドアの材質はなぜ重要?見た目以上に差が出る「耐久性と安全性」

自動ドアの材質は、そのまま耐久性と安全性を左右します。
屋外に設置されるドアは、風雨・紫外線・温度変化・塩害などの影響を受け続けます。屋内でも、温度差や結露、開閉回数による摩耗は避けられません。これらの負荷に対してどれだけ長期間、構造を保てるかは材質によって決まります。

また、安全性の観点でも材質は重要です。例えば、重量のあるスチールドアや厚いガラス扉では、万が一の衝突時の衝撃エネルギーが大きくなります。そのため、JIS規格や公共建築仕様書では、材質に応じた安全装置や試験基準が定められています。

さらに、近年増えている「非電動タイプの荷重式自動ドア(Newtonドアなど)」では、電源を使わない分、ドアそのものの質量やバランス設計がより重要になります。軽量で高強度なアルミやステンレス材は、こうした構造上の合理性にも合致しています。


主要な自動ドア材質と特徴【比較表付き】

自動ドアで使われる代表的な材質を比較すると、それぞれに明確な特徴と適性が見えてきます。

材質特徴強み注意点
アルミ軽量で加工しやすく、コストバランスに優れるサビに強く、屋内外どちらにも使用可強度はステンレスより劣る
ステンレス高耐久・高強度・美観性に優れる屋外・沿岸部・公共施設に最適重量があり、価格も高い
スチール非常に強いが、メンテナンス必須防犯性・防火性に優れる錆びやすく、定期塗装が必要
木材/木調仕上げ温かみのあるデザイン性店舗・ホテルなど意匠重視に適する湿気・紫外線に弱く、変色リスクあり
ガラス複合採光性・開放感・デザイン性透明感と高級感を演出衝撃・安全対策(飛散防止フィルム等)が必須

アルミは軽量で加工性が高く、コストも抑えられることから、現在最も広く使われています。
ステンレスは高価ながらも耐久性に優れ、特に屋外や塩害地域で真価を発揮します。
スチールは防犯性や剛性が必要な大型施設で採用されることが多く、定期的な防錆塗装が欠かせません。
木製・木調の自動ドアはデザイン性の高さからホテルや店舗のエントランスで人気ですが、構造的にはアルミフレームの上に木目調シートを貼る「擬似木調」が主流です。
ガラスは採光性に優れ、組み合わせる材質によって印象が大きく変わります。


屋内外・用途別の「最適な材質」ガイド

自動ドアの材質選びで最も重要なのは、設置環境です。
どんなに高価な素材でも、環境に合っていなければ耐久性や安全性は確保できません。

  • 屋外・沿岸部:ステンレス製が最適。塩害・湿気に強く、長期使用に向く。
  • 屋内(店舗・住宅):アルミ製または木調仕上げ。軽量でデザイン性も高く、メンテナンスが容易。
  • 公共施設・病院:ステンレスまたはアルミ複合材。衛生性・耐久性・防火性能を重視。
  • 意匠性重視(ホテル・商業施設):木製または木調+ガラス。温かみとデザイン統一を優先。
  • 非電動式(荷重式Newtonドアなど):アルミまたはステンレス。軽量構造との相性が良い。

「適ドア適所」の思想で言えば、環境条件 × 使用頻度 × メンテナンス体制の三軸で考えるのが基本です。
例えば、屋外で開閉回数が多く、掃除や点検が頻繁にできない環境では、ステンレス製が最も現実的な選択です。


メンテナンス性と寿命:材質でここまで変わる

自動ドアの寿命は「構造体 × 材質 × メンテナンス頻度」のかけ算です。
一般的なアルミドアの耐用年数は約15〜20年、ステンレスは20年以上、木調やスチールは環境次第で10〜15年程度とされています。

腐食やサビが進行すると、センサーやレールよりも先に「枠材」が劣化して交換が必要になります。
特にスチール製の場合、表面塗装が剥げたまま放置すると、内部からサビが進行して開閉不良や騒音の原因になります。
アルミやステンレスはサビに強いものの、汚れや塩分が残ると表面の酸化膜が劣化しやすくなります。
定期的な清掃と水拭きだけで、寿命が3〜5年延びるケースもあります。

また、木調ドアでは紫外線による色あせや膨張が起きやすく、日射対策(ひさし設置など)やワックス処理が有効です。
ガラスの場合は「飛散防止フィルム」の劣化確認も忘れてはいけません。


JIS規格と安全性:公共建築物での材質基準

公共施設で使用される自動ドアは、JIS A 4722(自動ドア装置)などの規格に準じて設計・製造されています。
この中では、ドア材質そのものに関しても、強度・変形・耐火・衛生の観点で基準が定められています。

たとえば、JISでは「構成材が使用環境において変形・腐食・劣化しにくいこと」が求められています。
また、病院などでは、表面材が清掃しやすく、薬品による劣化に耐えることも条件になります。
そのため、アルミやステンレスは公共施設用として最も多く採用されています。

非電動タイプのNewtonドアなどの場合も、同じ基準で材質の安全性が評価されます。
電気を使わないからこそ、構造材の精度・強度・バランスが直接安全性に関わるためです。


適ドア適所で考える「材質選びのまとめ」

材質選びは、デザインだけでなく使用環境・安全性・メンテナンスを総合的に見て判断することが大切です。
たとえば、「見た目が美しい木調仕上げ」も、屋外では短命に終わることがあります。逆に、無機質に見えるステンレスも、環境によっては最も美しく長く保てる選択になります。

「適ドア適所」の観点では、

  1. 環境条件(屋内・屋外・塩害・紫外線)
  2. 使用頻度(人の通行量)
  3. メンテナンス体制(清掃・点検が可能か)
    この3軸を考慮し、最も長く安全に使える材質を選ぶことが理想です。

FAQ

Q: 自動ドアで最も一般的な材質は?
A: アルミ製が主流です。軽量で加工しやすく、屋内外どちらでも使用できます。

Q: 木製の自動ドアはありますか?
A: 実在しますが、多くはアルミ製の構造に木目調シートを貼る「擬似木調タイプ」です。純木製は湿気・紫外線に弱いため、屋外には不向きです。

Q: ステンレスの利点は?
A: サビに強く、塩害や雨風に耐えます。特に沿岸地域や公共施設での採用が多いです。

Q: 荷重式自動ドアではどの材質が向いていますか?
A: Newtonドアでは、アルミ・ステンレス製が推奨されます。軽量かつ剛性が高いため、非電動構造に最適です。

Q: 公共施設の材質基準はありますか?
A: JIS A 4722などで定められています。耐食・強度・衛生性の基準を満たす必要があります。


【適ドア適所】にそった「まとめ」
自動ドアの材質選びは、「デザイン」ではなく「環境適応力」で決まります。
屋外ならステンレス、屋内ならアルミ、デザイン重視なら木調。
そして、非電動のNewtonドアのように構造が軽い場合は、素材選びが安全性を支える最も大切な要素になります。

地震など長期停電でも、止まらず動く
「事故が全くおきない」国も認めた安全自動ドア
アナログの特許構造で壊れないから修理費も0円

お問い合わせ・資料請求は今すぐ
↓↓↓

関連記事一覧

  • 関連記事
TOP