自動ドアというと、多くの人が「電動で開閉する機械的な装置」としてイメージします。しかし、実際には“建築構造の一部”として設計・施工されるものであり、その性能や耐久性を左右するのが「造作(ぞうさく)」です。
この記事では、自動ドアにおける造作の意味から、造作を怠ったことで起こるトラブル事例、そして造作リスクを減らす設計段階での考え方までを整理して解説します。


そもそも「自動ドアの造作」とは何か?

要点:造作とは、自動ドア本体を正しく機能させるために、建築側で行う“下地と仕上げの中間工程”です。

建築の現場で「造作」とは、壁や天井などの内装仕上げを支える構造的な下地や枠まわりの加工を指します。自動ドアにおける造作は、ドア枠を取り付けるための「開口部の整備」や「壁厚・天井高の調整」、「配線スペースの確保」などを含みます。

なぜこれが重要かというと、自動ドアは単に“取り付ければ動く”ものではないからです。センサーや駆動部の位置精度、戸袋の水平、レールの歪みなど、わずかな狂いが動作不良につながります。これらを防ぐために、造作で「正しい取り合い」をつくる必要があります。


造作が必要な理由と具体的な造作内容

要点:造作は、自動ドアが建築に“無理なく”納まるための準備工事です。

たとえば壁が軽量鉄骨(LGS)かコンクリートかによって、ドア枠の固定方法はまったく異なります。天井裏に駆動装置を収める場合には、鉄骨補強や開口高さの余裕も必要です。

代表的な造作内容は以下のとおりです。

造作項目内容注意点
開口寸法調整自動ドア枠を設置するための開口をつくる寸法誤差±3mm以内が理想
枠まわり補強下地材や鋼製下地で枠を固定壁材の種類に応じたビス選定
電源・配線経路センサー・制御盤への電気配線露出配線にならないよう事前計画
天井スペース確保上部駆動部(モーター・ベルト)収納メンテナンス空間を確保
戸袋形成引き込みドアの場合、戸袋内の仕上げ清掃・点検のための開口を設ける

特に注意すべきは「電動式」と「荷重式」の違いです。
電動式はモーターやセンサーを上部に収めるため、天井・梁との取り合いがシビア。一方、荷重式(Newtonドアのような構造)は、床に荷重を分散するため、天井側の造作リスクを最小限にできます。


「造作」は誰が担当する?—自動ドア業者と大工・内装の境界

要点:造作は自動ドア業者ではなく、建築側の大工・内装業者の担当範囲です。

見積書で「造作別途」と記載されている理由はここにあります。
自動ドア業者は“機器取付と調整”を専門とし、建築の造作部分までは請け負わないのが一般的。

以下は担当範囲の目安です。

工事項目主担当
開口形成・補強大工・サッシ業者
配線用スリーブ設置電気工事業者
ドア枠取付・本体設置自動ドア業者
壁・天井仕上げ内装業者

曖昧なまま進めると、「造作が終わっていないから取付できない」と現場で止まるケースが多発します。
トラブルを防ぐには、設計段階で“造作を誰がどの順番で行うか”を明確にしておくことが最重要です。


造作を怠ると何が起きる?—トラブル実例とリスク

要点:造作不良は、開閉不良・異音・漏水など、後戻りできない問題を生みます。

  • 枠のねじれ:施工後にドアが途中で止まる。
  • 天井干渉:上部機構が梁に当たる。
  • 水平誤差:戸当たりがずれて隙間風が発生。
  • 戸袋仕上げ不足:メンテナンスが不可能。

特に防水区画やマンション共用部では、わずかな誤差が雨水侵入につながり、保証対象外となるケースがあります。

造作を軽視した結果、再施工で数十万円の追加コストが発生する事例も珍しくありません。

Newtonドアのように荷重を床で受ける構造の場合、上部への負担がなく造作依存度が低いため、設計自由度が高く、トラブルリスクも減少します。


「造作費用」はどう見積もる?—見積書の読み方と注意点

要点:“造作費別途”の一文は、後からのトラブルを防ぐサインです。

見積書では「自動ドア本体工事」と「造作工事」が別項目になっている場合が多いです。造作費を見落とすと、施工時に追加請求が発生します。

見積書で確認すべきポイント:

  1. 「造作別途」とある場合、誰が行うかを確認
  2. 造作範囲(開口形成・枠補強・仕上げ)を明文化
  3. 下地材や壁構造を現場と照合する

造作費の目安は、木造で3〜5万円/ヶ所、RC構造で5〜10万円/ヶ所程度。ただし下地補強や電源延長を伴う場合は倍近くになることもあります。


【適ドア適所】設計段階から造作リスクを見抜く視点

要点:造作は「後処理」ではなく、ドア選定時点から考える設計要素です。

自動ドアの構造には、「造作への依存度」があります。
つまり、“どれだけ建築条件に影響されるか”という観点です。

構造タイプ造作依存度主な特徴
電動上吊り式高い駆動部を天井に納めるため、開口高さ制約が大きい
床埋込荷重式低い荷重を床で受けるため、壁・天井造作に影響されにくい
手動引戸戸袋形成や枠補強が必要

「適ドア適所」とは、ドアを空間に合わせるのではなく、空間に最も負担をかけないドア構造を選ぶという考え方です。
造作を減らすことは、単にコスト削減だけでなく、建物全体の精度と寿命を守ることにもつながります。


【適ドア適所】にそった「まとめ」

自動ドアの“造作”とは、単なる下準備ではなく、建築と機構を一体化させるための設計要素です。
トラブルの多くは、造作範囲の認識ズレと、選定段階での見落としから生まれます。

最後に要点を整理します。

  • 自動ドアの造作=建築側で行う準備工事(下地・開口・枠まわり)
  • 担当範囲を明確にすることでトラブルを防止
  • 構造によって造作依存度は異なる
  • 設計段階で「適ドア適所」の視点を持つと、リスクを構造的に減らせる

【出典・参考】

  • Newtonドア技術資料『Newtonドアの安全性検証とJIS規格整合性』
  • NドアFAQ「施工・設置に関する質問」
  • Nドア顧客セグメントと導入事例「建築設計・施工現場の声」
  • Nドア自社チャネル資料「荷重式構造の特性と造作リスク低減効果」

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