自分のお店を持つ——それは、多くの人にとって夢のある挑戦です。そして物件を見つけたあとに直面するのが、「設計」というプロセス。
このとき、はじめて「店舗設計」という言葉に向き合い、戸惑う人も少なくありません。まして金沢市のように歴史的景観が色濃く、商圏も複雑なエリアでは、ただの内装工事とはまったく違う視点が求められます。

本記事では、「金沢市で店舗設計を考えはじめた方」が最初に知っておくべき5つの分岐点(分かれ道)を整理しながら、
専門用語を極力使わずに、設計というプロセスの本質と考え方をお伝えします。


目次(このページの内容)

店舗設計って、そもそも何をしてくれるの?

Q: 設計って、ただ図面を引いてくれるだけ?
A: いいえ。店舗設計とは、「お店の体験価値を空間として形づくる」プロセスです。


要点:設計は「空間戦略」そのもの

「設計」と聞くと、多くの方は「内装のレイアウトを決める」「図面を描く」ことを連想するでしょう。確かにそれも設計の一部ですが、店舗設計はもっと広い領域をカバーします。

具体的には、

  • お店のコンセプトをどう空間に落とし込むか
  • 顧客の動線(入口→注文→着席→退店)の設計
  • 視認性と導線による集客効果
  • スタッフの使いやすさ(オペレーション動線)
  • 地域や建物との調和
    までをトータルで設計します。

つまり設計とは、「営業開始後に売上や評判に直結する空間の戦略づくり」なのです。


設計士と内装業者の違い

ここで混同されやすいのが、「設計士」と「内装業者」の役割の違いです。

比較軸設計士内装業者
主な仕事図面の設計、空間構想、法規対応実際の工事、施工管理
提案力コンセプトやブランディングに基づく設計提案工法や材料に基づく仕様提案
費用の内訳設計監理費、図面作成費など材料費、施工費など

内装業者はあくまで「工事のプロ」であり、「設計の専門家」ではないケースが多いです。
自分の「想い」や「お店の特徴」をきちんと空間に反映したいなら、設計士や設計事務所の力を借りることが重要です。


デザイナーと設計士の違い

もうひとつ混乱しやすいのが、「デザイナー」との違い。こちらも一部オーバーラップしますが、役割は異なります。

  • デザイナーは、主に見た目の美しさ・ブランド性を重視
  • 設計士は、構造・法規・動線・安全性なども踏まえた総合提案

見た目だけでなく「使いやすくて、法律にも適合して、安全性も担保された設計」が求められる店舗には、建築士資格を持つ設計者の関与が非常に重要です。


このように、店舗設計とは単なる「デザイン」でも「工事の前準備」でもなく、あなたの事業の価値を形にするための最初の一歩なのです。


どこに頼むべき?業者の違いと選び方

Q: 店舗設計って、設計士・内装業者・デザイナー、誰に頼むのが正解?
A: 正解は「目的による」。それぞれの特徴と限界を理解することで、最適な選択が見えてきます。


要点:業者ごとに「できること」と「得意なこと」が違う

「店舗設計」と一言でいっても、実際に請け負う業者の種類はさまざまです。代表的なのは次の3つです。

業者タイプ得意なこと弱い点・注意点
設計事務所空間コンセプト・図面・法規対応工事費が割高になりがち(施工別発注のため)
内装施工会社工事、コスト調整、施工期間短縮設計力が弱く、空間提案は限定的
デザイン会社見た目の美しさ、ブランド演出実施設計や法規対応に弱い場合も

それぞれに「強み」と「限界」があるため、「何を重視するか」によって選び方は変わります。


こんな人はどのタイプが向いている?

  • おしゃれな雰囲気を重視したい → デザイン会社
  • 使いやすさや回遊動線を重視したい → 設計事務所
  • とにかく費用を抑えて最短で仕上げたい → 内装業者

しかし実際には、これらが完全に分かれているわけではなく、

  • 設計事務所が工事まで請け負う場合
  • 内装業者に設計士が在籍している場合
    など、ハイブリッド型も多く存在します。

複数業者が絡む場合の発注リスク

「設計だけA社に頼んで、工事はB社でやる」という分離発注は、理論上はコストや品質のコントロールができる利点があります。
しかし現実には以下のようなリスクも:

  • 設計と施工で「責任のなすりつけ合い」が起きる
  • 工期や仕様に食い違いが出て、予算超過や遅延の原因に
  • 小規模店舗ではそもそも分離発注がコスト増になりやすい

1社完結型のメリットと注意点

最近増えているのが、「設計から施工、什器選定まで一括対応」という1社完結型の会社。

【メリット】

  • コミュニケーションが一本化される
  • 予算管理がしやすい
  • 工期が短縮されやすい

【注意点】

  • 設計の自由度が低いこともある(既製仕様に限定される)
  • 提案内容の偏り(利益率の高い仕様をすすめられることも)

この方式を選ぶ場合は、「その会社が自社設計か外注設計か」「事例の幅があるか」などをよく確認しましょう。


判断のコツ:目的→手段で考える

「良い業者を探す」前に、「自分がどんなお店にしたいか」を整理するのが最初のステップ。
それによって、「提案力のある設計が必要か」「スピード重視か」など、選ぶべき軸が見えてきます。

次は、その選択に影響する「地域特性(=金沢ならではの注意点)」に移ります。

続いてのトピックは「金沢市で設計を考えるときの地域特性とは?」です。

金沢市で設計を考えるときの地域特性とは?

Q: 金沢市での店舗設計って、他の地域と何が違う?
A: 歴史ある街並みと観光・生活エリアの複合性が共存する「都市特有の制約と可能性」があります。


要点:金沢らしい空間をどうデザインに活かすか

金沢市は「歴史的な景観」「観光都市としての魅力」「ローカル住民の生活動線」など、複数の性格を併せ持つ都市です。
そのため、店舗設計でも一般的な都市とは異なる配慮が求められます。


景観条例・伝統的町並み地区の制約

金沢市には景観を保全するための**「金沢市景観計画」**が存在し、エリアによって以下のような規制があります:

  • 看板のサイズや色彩の制限
  • 外観の形状・屋根勾配の規制
  • 材料(木材・漆喰・瓦など)の使用推奨

特に「ひがし茶屋街」「長町武家屋敷跡」などの周辺は、歴史的建築物に調和する設計が必要になります。


狭小地での設計対応力

金沢市の中心部や旧市街地では、「間口が狭く奥行きのある土地」が多く見られます。
こうした狭小地では、以下のような設計工夫が求められます:

  • 限られた面積での回遊動線の確保
  • 照明・採光の工夫で開放感を演出
  • ファサード(外観)での「引き込み」デザイン

→ 設計の段階から「狭さを活かす」発想が非常に重要になります。


商圏の特性:観光客/地元客のどちらに向けるか

金沢の商圏には、以下のような二面性があります:

顧客層特性設計上のポイント
観光客回遊性重視・短時間利用・「映え」重視外観、照明、視認性、写真映え
地元客日常利用・リピート重視・動線効率居心地、利便性、機能性

「どちらを主軸に据えるか」によって、設計の優先事項は大きく変わります。


地域文化に合わせるという発想

金沢には、伝統工芸、和の意匠、町家文化といった要素が根付いています。

それを空間づくりに活かすことで、

  • 観光客には「金沢らしさ」の訴求
  • 地元客には「懐かしさ・親しみ」を
    提供できます。

→ 単なるデザインではなく、**地域に根ざす“意味のある空間”**としての設計視点が問われるのです。


業種別に異なる設計の考え方

Q: 飲食・美容・物販で、設計ってそんなに違うの?
A: はい、それぞれの業種には特有の「動線」と「優先すべき機能」があります。


要点:業種ごとの「空間の使い方」がまったく違う

一見、どの業種も「店舗」ですが、その目的や空間の使い方は大きく異なります。
ここでは、代表的な3業種における設計の違いとポイントを紹介します。


飲食店の設計ポイント

要素内容
動線厨房→配膳→客席の動線がクロスしないように
衛生厨房と客席のゾーニング、換気・排煙・臭気対策
雰囲気ファサードから内装まで一貫した世界観が重要
回転率席数と快適性のバランス設計

特に金沢市では、地元食材を使った小規模飲食店町家を改装した和カフェが多いため、建物との親和性や導線が重要視されます。


美容室・サロンの設計ポイント

要素内容
プライバシーカットスペースの視線設計、仕切りの高さ
導線受付→待合→施術→会計の流れをスムーズに
設備電源・水回り・排水などインフラ設計の精度
リピート性居心地・安心感を与える空間演出が鍵

美容業は「技術提供+空間体験」という複合価値なので、設計の段階で“癒しの動線”をどう描くかが問われます。


物販店の設計ポイント

要素内容
視認性商品をどう「見せる」かが空間設計の主眼
動線一筆書きで商品を見せられるレイアウト設計
在庫管理ストックヤードの導線設計と使い勝手
ブランド性店舗の世界観=ブランディングの一部として機能

観光地型の物販では「入りやすさ」と「写真映え」、ローカル密着型では「使いやすさ」が重視されます。


規模別の設計観点(坪数による違い)

坪数特徴と設計課題
〜10坪動線が重なりやすく、用途ごとの明確なゾーニングが必要
10〜20坪最も選択肢が広く、コンセプトによる差別化が重要
20坪〜専用スペースの確保(ストックルーム、スタッフエリアなど)による導線分離

規模に応じて、「顧客の流れ」と「オペレーション効率」の両立をどう図るかが鍵です。


設計費っていくら?費用の内訳と注意点

Q: 店舗設計って、どれくらいお金がかかるの?
A: 設計費の目安はありますが、業務内容・規模・依頼先によって大きく変わります。見積もりの内訳を理解することが大切です。


要点:設計費は「固定費」ではなく「価値に応じて変わる」

店舗設計の費用は一律ではなく、次のような要素によって変動します:

  • 設計の範囲(図面だけ?現場監理も?)
  • 規模(坪数が多いほど費用も増える)
  • 業種(専門的な設備が必要かどうか)
  • 設計者の実績・ブランド

設計費の相場感(目安)

内容相場(目安)
基本設計5〜15万円/坪
実施設計3〜10万円/坪
設計監理工事費の5〜10%

たとえば、15坪の店舗で基本+実施設計を依頼すると、合計で100〜200万円前後になることもあります。
これに設計監理(現場監督・調整)を含めると、さらに上乗せされることがあります。


「設計+施工」のパッケージとその落とし穴

最近は「設計と施工をまとめてやります」という会社も増えています。
これは一見便利そうですが、以下のような注意点があります:

  • 設計の自由度が限定される(標準仕様に固定される)
  • 工事費とのバランスで「儲かる設計」が優先されやすい
  • 「設計監理」が曖昧になる(施工会社の都合が優先されがち)

→ 特にこだわりのある店舗づくりをしたい場合は、設計と施工を分けるか、「設計に強い施工会社」を選ぶ必要があります。


見積もりを比較するときのチェックリスト

チェック項目見るべきポイント
設計の範囲図面、現地調査、法規対応、3Dパースなどが含まれているか
設計監理工事中の立会い回数、報告の方法は明確か
修正対応変更や要望に対する費用と対応回数は?
契約形態どこまでが基本契約か、追加費用の条件は?

→ 設計費は「高い・安い」よりも、「何が含まれているか」の内訳で比較すべきです。


失敗しないための考え方まとめ【判断軸の整理表つき】

Q: どう選べば、自分に合った店舗設計パートナーと出会える?
A: 「自分が何を重視したいのか」を明確にし、それに合った業者を選ぶことが最も重要です。


要点:判断軸がぶれない人ほど、成功しやすい

設計で失敗する多くのケースは、「よくわからないまま依頼し、あとから不満が出る」という流れです。
その原因は、「自分が重視したいポイント」が明確でないこと。

まずは以下のような質問に、自分で答えてみましょう。


自分にとって何が大切か?判断のための問いかけ

  1. 自分の店舗に、どんな体験を提供したいか?
  2. 見た目の美しさと、使いやすさ、どちらを重視したいか?
  3. 設計の自由度と、コストの安さ、どちらを取るか?
  4. どのくらい自分で設計に関与したいか?
  5. オープン後の修正や相談を、誰に頼みたいか?

この答えによって、依頼すべき相手が大きく変わってきます。


判断軸整理:どのタイプの業者が向いているか

思考タイプおすすめ業者備考
自分の想いを丁寧に形にしてほしい設計事務所打ち合わせ時間や提案の質重視
おしゃれな空間を短期間で作りたいデザイン会社世界観構築が得意
コストを抑えて早くオープンしたい内装業者標準仕様中心、設計の自由度は低め
すべて丸投げしたいワンストップ業者要件明確化と相性確認がカギ

よくある設計トラブルとその回避策

トラブル原因予防策
イメージと違う仕上がりに打ち合わせ不足、確認不足3Dパースや模型などで事前に確認
予算オーバー初期の見積もりが甘い初回から「希望総額」を提示する
追加料金が発生契約範囲が曖昧設計契約の内容を文書で明確に

最後に:設計は「意思決定の積み重ね」

設計とは「空間をつくる」仕事であると同時に、「たくさんの決断を一つひとつ重ねていく」プロセスでもあります。
だからこそ、一緒に考えてくれるパートナーを選ぶことが何より重要なのです。


設計と「動線設計」から考える、適切な自動ドアの選び方

Q: 自動ドアって、設計と関係あるの?
A: 入口は“体験のスタート地点”。動線設計と連動して考えることで、店舗の使いやすさと印象は大きく変わります。


要点:入口設計=店舗の価値を左右する「動線の起点」

店舗設計でよくあるのが、「内装や配置にばかり意識が向き、入口はとりあえず引き戸か自動ドアで…」という考え方。
しかし実際には、入口こそが「動線設計」の出発点であり、顧客体験を最も左右するポイントのひとつです。


動線設計とは?

動線とは、「人の流れ(動く線)」のこと。

  • 顧客が店に入り、移動し、商品を見て、会計して、出ていく
  • スタッフが厨房と客席を往復する
  • 店外から見て入りやすい、出やすい

こうした流れをスムーズに、かつストレスなく進めるためには、入口の位置・開き方・開く速度や反応までを設計の段階で考える必要があります。


自動ドアの種類と特徴

種類特徴向いている場面
電動式(センサー型)センサー感知で開閉、電源が必要大型商業施設、バリアフリー重視
荷重式(Newtonドア)足を踏み入れるだけで開閉、電源不要小規模店舗、省スペース、省エネ

荷重式自動ドア(Newtonドア)という選択肢

「自動ドア=電気で開くもの」と思われがちですが、電源不要で開閉できる荷重式自動ドアも存在します。

【特徴】

  • ドアの前に足を置くと、足元の圧でドアが開く(力は不要)
  • 電源不要なので、停電時も使用可能
  • 扉の開閉速度が自然で、安心感がある
  • 閉まると自動でロックされるため、防犯性も高い

【設計上のメリット】

  • 狭小店舗でも電源工事なしで設置可能
  • 商店街などで「常に開いているわけではない」設計が可能
  • 景観配慮が求められる金沢のようなエリアで使いやすい

「適ドア適所」という考え方

Newton社が提唱するのが「適ドア適所」という考え方。

  • 店舗の業態
  • 立地(路面か、テナントか)
  • 想定される顧客層(年齢・属性)
  • 空間の広さ
  • バリアフリー対応の有無

これらの要素をすべてふまえて、最適な開閉方法を選ぶ——それが、設計のプロセスで考えるべき「入口設計の正解」です。


設計段階で相談しておくと良いこと

  1. 自動ドアが本当に必要か
  2. バリアフリー対応が求められるか(地域条例など)
  3. 電源工事をどこまで行えるか(コスト)
  4. ドアのデザインが景観にどう影響するか(金沢では特に重要)

→ 設計者に「入口も動線として設計したい」と伝えるだけで、店の“顔”が変わります。


【適ドア適所】にそった「まとめ」


金沢市で店舗設計を考えるとき、単に「見た目を整える」こと以上に大切なのは、

  • お店の目的や顧客に合わせた動線設計
  • 地域特性を踏まえた外観や設計の配慮
  • 設計者や施工者の得意分野の見極め
  • 自分に合った判断軸を持つこと
    です。

その中でも、「入口=自動ドア」の設計は極めて重要な一手です。
店舗の雰囲気、安全性、動線の快適さすら左右するため、「とりあえず電動ドア」ではなく、**用途・目的・立地に応じたドア選び(=適ドア適所)**を意識することが、設計の成功に直結します。


【出典一覧】(記事本文の情報根拠)

  • 金沢市公式サイト「景観条例・まちづくりの方針」
  • Newtonプラス株式会社「Newtonドア(荷重式自動ドア)」製品資料
  • 設計事務所・施工会社インタビュー記事(金沢市内)
  • 店舗設計の相場解説記事(全国設計士ネットワーク)

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