「自動ドアって、電動の設備なんだから機械と同じように減価償却すればいいんでしょ?」
そう思って処理したら、後から税務署に指摘される――そんなケースは決して少なくありません。

そもそも「法定耐用年数」という言葉自体が、少しややこしい概念です。
それは「物の寿命」ではなく、「税務上、何年で減価償却できるかのルール」を意味するからです。

そして自動ドアは、建物の一部とも言えるし、電気設備とも見なせる複雑な立場にあります。
この記事では、自動ドアの法定耐用年数について、税法上の扱いから実際の寿命の目安、会計処理や見積書との関係、そして最も重要な「見落としがちな判断軸」まで、徹底的に解説します。



目次(このページの内容)

自動ドアの「法定耐用年数」とは?

自動ドアの耐用年数を語る前に、まず「法定耐用年数」とは何かをしっかり押さえておきましょう。

Q: 法定耐用年数とは?
A: 税法に定められた、減価償却のための耐用年数のことです。

この年数は、「何年で資産価値がゼロになるか」という“税務上のルール”であり、実際に壊れる年数とは違います。

たとえば、自動ドアが15年使えていたとしても、法定耐用年数が12年であれば、13年目以降の減価償却は基本的にできません。
つまり、税務上の耐用年数とは「帳簿の上での寿命」と考えるとよいでしょう。

この法定耐用年数は、「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」という政令で決まっており、建物や設備、機械ごとに一覧で定められています。
実務では、固定資産台帳の登録や、償却費の計算、決算書類や法人税申告などにも関わるため、極めて重要な要素です。

自動ドアは「建物」か「設備」か?法定分類の基準を整理

法定耐用年数を調べようとした時、多くの人が最初に迷うのが、「自動ドアは建物として扱うのか、それとも設備なのか?」という点です。

Q: 自動ドアは建物に含まれますか?
A: 条件によって「建物附属設備」または「建物本体」の一部として扱われます。

実は、自動ドアの扱いには2つの選択肢があります。
それぞれの分類によって耐用年数が大きく異なるため、誤った判断をすると、償却期間のずれから帳簿が不正確になる可能性もあります。


「建物附属設備」としての扱い(耐用年数:12年)

多くの自動ドアがこちらの区分に該当します。
「建物附属設備」とは、建物に付随するけれど、建物本体とは異なる設備で、独立して機能するものを指します。

国税庁の定めた「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」では、

建物附属設備 → ドア自動開閉設備:耐用年数12年

と明記されています。
モーター、制御装置、センサー、駆動装置などがこれに該当します。


「建物本体」に含められるケース(耐用年数:建物と同じ)

ただし、自動ドアの「ドア本体(ガラス部分や枠)」が建物と一体的に設置されており、かつ開閉装置とは別の明細で処理されている場合、これを「建物本体」として扱うことができます。

この場合、耐用年数は以下のように建物の構造によって変わります:

建物構造耐用年数(法定)
鉄筋コンクリート造(RC造)50年
鉄骨造(S造)38年
木造22年

国税通達の補足:どこまで分けられるかが鍵

国税庁通達では、自動ドアのように建物と密接に関わる設備について、

「ドアの開閉装置とドア本体が明確に分けられれば、それぞれ別の資産として計上可能」

としています。
つまり、「一体か分離か」が、税務上の耐用年数判断の分岐点となります。



見積書で変わる?耐用年数の判断を左右する実務ポイント

法定耐用年数の判断において、最も現場で重要になるのが「見積書や契約書でどのように記載されているか」です。

Q: 自動ドアの見積内容によって耐用年数が変わるのですか?
A: はい、装置と本体が別明細であれば、税務上も別々の耐用年数を適用可能です。


一体で見積もられている場合 → 基本は「12年」

もっとも多いのが、「自動ドア一式」として見積書に記載されているケースです。
この場合、以下のような表記が一般的です:

  • 自動ドア本体・開閉装置一式:○○円
  • 取付費・電気工事:○○円

このようにドア本体と自動開閉装置が明確に分けられていない場合、税務上は**一体の「建物附属設備(耐用年数12年)」**として扱うのが一般的な処理になります。


装置と本体が分かれている場合 → 分離計上が可能

一方、設計段階や見積書において、以下のように細かく分けて記載されている場合には、それぞれに異なる耐用年数を適用することができます。

例:

項目金額耐用年数分類
自動ドア本体(ガラス・枠)¥500,000建物本体(50年等)
自動開閉装置(モーター・制御盤)¥300,000建物附属設備(12年)

このように明細分けされていれば、建物本体と附属設備に分けた減価償却が可能となり、財務的な見通しがより正確になります。


実務上の注意:将来の税務調査にも影響

税務署は、契約書・見積書・工事内訳書などをもとに資産の性質を判断します。
したがって、将来的な税務調査に備えても、「見積内容を明確に分けておく」ことが極めて重要です。

見積書の設計次第で「法定耐用年数が変わる」ことは、あまり意識されていない盲点の一つです。



建物構造(RC造/S造など)による耐用年数の影響とは?

自動ドアが「建物本体の一部」として扱われる場合、その耐用年数は建物自体の構造によって決まります。

Q: 建物構造によって耐用年数はどのように変わるのですか?
A: 鉄筋コンクリート(RC造)と鉄骨(S造)などで大きく異なり、22年〜50年まで幅があります。


建物の構造別・法定耐用年数一覧(法人の場合)

建物の構造区分耐用年数(法定)用途分類の例
鉄筋コンクリート造(RC造)50年商業ビル、マンションなど
鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)47年高層ビルなど
鉄骨造(骨格材厚3mm超)34年工場、倉庫など
鉄骨造(骨格材厚3mm以下)19年軽量鉄骨の簡易建築など
木造・合成樹脂造22年平屋店舗、事務所など

この一覧は、「法人が所有する建物」の場合の耐用年数です。
個人所有や用途によって若干の違いがある点にはご注意ください。


耐用年数が「短い附属設備」と「長い建物本体」

すでに述べた通り、自動ドアを「建物附属設備」として扱うと耐用年数は12年、
一方で建物本体と見なされると上記の年数(例:RC造なら50年)になります。

この差が実務にどう影響するかというと、

  • 税務的に早く償却したいなら「附属設備」として扱うのが有利
  • 長期的な財務安定性やバランスシートの維持を考えるなら「建物本体」に含めるのが有利

という2つの視点で戦略的判断が求められます。


実務上の提案:建物構造と見積明細をセットで確認

結局のところ、どの耐用年数を適用するかは「建物の構造 × 自動ドアの内訳」によって決まります。

  • ドア本体がRC造の壁と一体設計されているか?
  • ガラスドアが後付けで装置と一緒に更新されているか?
  • 新設かリニューアルか?

こうした要素が重なり合うため、導入時には建築・経理・施工それぞれの視点を整理しておく必要があります。



実際の寿命と「交換タイミング」の目安は?

法定耐用年数は帳簿上のルールですが、実際に使っていて「壊れた・動きが悪い・音がうるさい」など、物理的な寿命を迎えるのは、また別のタイミングです。

Q: 自動ドアの実際の寿命は何年くらいですか?
A: 一般的には10年〜15年とされますが、設置環境や使用頻度によって大きく異なります。


自動ドアの平均寿命は「10年〜15年」

多くのメーカーや修理業者は、自動ドアの寿命をおおむねこの範囲で見積もっています。
ただしこれは、「全体としての目安」であり、個別の部品によって劣化の速度は異なります。


消耗部品ごとの交換時期の目安

以下は、実際のメンテナンスでよく交換対象となる部品と、その推奨交換時期の目安です。

部品名推奨交換年数備考
モーター約7年動力源。焼き付きや異音が出やすい
制御盤(コントローラー)約7年配線劣化や基盤トラブルが起こる
センサー(開閉検知)約5年誤検知・反応鈍化などが発生しやすい
駆動ベルト・チェーン約5年摩耗・ゆるみが原因で開閉遅延に
ローラー・ガイド約3〜5年ガタ付き・振動・騒音の要因に

これらの部品は、使用頻度や環境(屋内/屋外、ホコリ・湿気・温度差など)によって寿命が大きく左右されます。


交換のサイン:「音・速度・反応」で判断

見た目は問題なくても、以下のような兆候があれば「交換の検討時期」と考えた方が良いでしょう。

  • 開閉時に「ガーガー」「ウィーン」と異音がする
  • ドアの開閉速度が明らかに遅くなっている
  • 反応が鈍く、何度もセンサーに近づかないと開かない
  • 一時的に動作が止まる、挙動が不安定

これらのサインは、部品の劣化や摩耗によるトラブル予兆であることが多いため、
放置せず早めに業者に点検を依頼するのが安全です。


法定耐用年数を過ぎても使える場合の注意点

自動ドアの物理寿命が15年だとしても、税務上は12年で帳簿価値がゼロになります。
この時、**「会計上は償却済でも、現場では動いている」**というギャップが生じます。

この状態で重大トラブルが起きた場合、修理費や交換費が突発的に発生し、
予算計上や資金繰りに悪影響を及ぼすこともあります。

そのため、会計上の耐用年数と現場での使用実態をセットで管理し、
定期点検と計画的な更新を推奨します。



【会計処理】減価償却と仕訳の具体例

ここでは、自動ドアの購入・設置にかかる費用を、税務上どのように処理するのか。
実際の仕訳や耐用年数の適用パターンごとに、わかりやすく整理します。

Q: 自動ドアはどう仕訳処理されますか?
A: 「建物附属設備」か「建物本体」かの分類に応じて処理方法が変わります。


ケース1:一体で「建物附属設備」として処理(12年)

前提: 自動ドア一式が「開閉装置+本体」で明細分けされておらず、一体で見積計上されている場合。

  • 取得価額:800,000円(工事費込み)
  • 耐用年数:12年
  • 減価償却方法:定額法(簡便的に例示)

仕訳例(取得時)

借方:建物附属設備 800,000円  
貸方:普通預金 800,000円  

仕訳例(毎年の減価償却)

借方:減価償却費 66,667円  
貸方:減価償却累計額 66,667円  
(800,000円 ÷ 12年)

ケース2:本体と装置を分けて計上(建物50年+設備12年)

前提: 本体(ガラス・枠)と開閉装置が分かれて見積もられており、それぞれ別資産として登録するケース。

  • 自動ドア本体:500,000円 → 建物扱い(RC造=50年)
  • 開閉装置:300,000円 → 建物附属設備扱い(12年)

仕訳例(取得時)

借方:建物 500,000円  
借方:建物附属設備 300,000円  
貸方:普通預金 800,000円  

減価償却(毎年)

建物:500,000円 ÷ 50年 = 10,000円/年  
附属設備:300,000円 ÷ 12年 = 25,000円/年  

このように、見積や資産登録を分けることで、より実態に近い形での資産管理と減価償却が可能となります。


注意点:修繕費との区別も重要

自動ドアの修理や部品交換(例:モーター交換)については、

  • 資産価値を増さない修理=「修繕費」扱い
  • 新たな機能追加・全体交換=「資本的支出」扱い

となります。
この区別も税務処理では重要です。



【注意点まとめ】税務調査・見積り時の3つの落とし穴

自動ドアの法定耐用年数や減価償却を正しく理解していても、実務上では「やってしまいがちな落とし穴」があります。

Q: 自動ドアの会計処理で見落としがちな点はありますか?
A: 見積明細の不備、分類ミス、そして税務調査での説明不足が主な落とし穴です。


落とし穴1:見積書が「一式」になっていて区分できない

最も多いのがこれです。
「自動ドア一式(開閉装置含む)」という記載だけでは、本体と設備を分けて処理することができません。

結果的に、本来は建物本体として扱える部分まで、短期で償却される附属設備扱いになってしまい、

  • 資産の過小評価
  • 将来の再評価トラブル
    につながる可能性があります。

落とし穴2:設備扱い・建物扱いの分類を誤る

建物と一体となっているか否かの判断を間違えると、耐用年数の適用ミスとなります。
特に、建築会社や施工業者からの情報だけに頼ると、設備と本体の区分が曖昧になることも。

適切な処理のためには、税理士・経理担当者・施工側で情報を共有し、明確に定義しておく必要があります。


落とし穴3:税務調査時に説明資料が残っていない

耐用年数の区分処理をしていても、その根拠が見積書や設計図、打ち合わせメモなどに残っていなければ、
税務調査で指摘されるリスクがあります。

  • 証拠書類がない
  • 担当者が退職してしまった
  • メモやメールが見つからない

といった場合、処理の正当性を証明できず、修正申告を求められることにもなりかねません。


これらの落とし穴を防ぐには、「分類基準を明文化する」「見積り・設計段階から区分意識を持つ」ことが不可欠です。



【適ドア適所】にそった「まとめ」

ここまで、「自動ドアの法定耐用年数」について、税法上の扱いから実務的な対応、見積書の影響や会計処理、さらには現実的な寿命や落とし穴まで、幅広く解説してきました。

では最終的に、どのような視点で「自動ドアの更新や導入」を判断すべきなのでしょうか?


「耐用年数」だけで判断するのは、正しくても不十分

たしかに、税法上の耐用年数は重要です。
しかし、それが「ドア選定の判断軸」になってしまうのは本末転倒です。

ドアは単なる会計資産ではなく、「人の動線を支える入口のインフラ」であり、「安全・快適・効率」を左右する重要な構造物です。
そのため、「法定耐用年数」と「物理的な寿命」だけではなく、次の視点が欠かせません。


判断軸として取り入れるべき3つの視点

  1. 設置環境に応じた適正性能(耐久・安全・開閉頻度)
  2. 将来の更新コスト・メンテナンス性まで含めたトータルライフ設計
  3. 建物用途・利用者属性に応じた適ドア適所の選定

これらは、Newtonドア(荷重式自動ドア)の導入哲学でもあります。
同じ「自動ドア」でも、電動式・荷重式・センサー制御式など、それぞれ特性が大きく異なるため、「耐用年数の数字だけ」で比較しても、正しい選定はできないのです。


「会計」から「目的」へ視点をシフトする

もし今、「自動ドアを更新すべきかどうか」を検討しているなら、
次の問いかけから始めるのが最も実務的です。

  • この出入口は、誰のためのものか?
  • 何を守るための自動ドアなのか?
  • 今の使い方に、本当に最適なドア方式なのか?

法定耐用年数の正しい理解をふまえつつ、
【適ドア適所】という視点での見直しが、長期的には最も損の少ない選択になるはずです。


出典一覧(本記事で参照した文献・サイト)

  • 国税庁|減価償却資産の耐用年数等に関する省令
  • Zeiri4.com「自動ドアの減価償却と建物・附属設備の区分」
  • Seikatsu110.jp「自動ドアの寿命・交換サイクル」
  • ナブコシステム株式会社「部品別の耐用年数と交換時期」
  • Newtonドア関連資料一式(NドアFAQ、構造・チャネル資料、導入事例など)

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【荷重式自動ドア】NewtonドアのYoutubeチャンネルはこちらから→https://www.youtube.com/@newton_plus

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