自動ドアの“足元センサー”?マットセンサーとは何か
Q: マットセンサーとは何ですか?
A: 足元に敷かれた「圧力感知型スイッチ」で、人が乗ると圧を感知して自動ドアを開ける仕組みです。
自動ドアと聞くと、多くの人が天井に設置されたセンサーを思い浮かべるかもしれません。
人が近づくと扉が開く、というこの日常的な体験の裏には、赤外線やマイクロ波など、様々なセンサー技術が使われています。
しかし実は、自動ドアには**「足元に敷かれたマットを踏むことで作動する」方式**が存在します。
それが「マットセンサー(マットスイッチ)」です。
これは、圧力感知マットと呼ばれるもので、一定の荷重がかかったときにスイッチとして作動する非常にシンプルな仕組みです。
このマットセンサー、実は自動ドア黎明期には主流の検知方式として使われていました。
それだけでなく、現在でも一定のニーズを保ちながら、**「環境に強く誤作動が少ない」**という特性を持つセンサーとして再評価されつつあります。
目次(このページの内容)
- 1 手順:マットセンサーの仕組みをやさしく解説
- 2 注意点:天井型センサーとの違い・構造
- 3 要点:センサーを踏むことで反応する圧力式センサー
- 4 要点:技術革新による赤外線・マイクロ波センサーの普及
- 5 背景:バリアフリー義務化との関係
- 6 注意点:見落とされがちな「風」「雨」「誤作動」耐性の優位性
- 7 比較表:主要センサー方式の違い
- 8 判断軸:誤作動、反応速度、施工条件、保守性、安全性
- 9 適ドア適所:選び方の「基準」が見えてくる
- 10 事例1:工場・倉庫|騒音・粉塵・過酷環境下
- 11 事例2:自治体施設|小規模かつ安全性優先の設計
- 12 事例3:マンション・高齢者施設|反応タイミングの制御
- 13 手順:設置構造・配線方式・接点形式
- 14 注意点:設置面の凹凸、経年劣化、断線リスク
- 15 要点:JIS規格との整合性、安全設計とその背景
- 16 判断軸の再提示:場所・予算・安全性のバランスで選ぶ
- 17 誤作動しにくいという特性は、むしろ「現代の盲点」
- 18 専門家視点:「感覚ではなく、環境で選ぶ」ために
手順:マットセンサーの仕組みをやさしく解説
マットセンサーの構造は至ってシンプルです。
- 踏むとスイッチが入る:
センサーマットの中には導電性の層が組み込まれており、上からの圧力によって電極が接触。スイッチが入る仕組みです。 - スイッチ信号が自動ドア装置に送られる:
マットが押されることで通電し、その信号が自動ドア制御盤に伝わり、開閉動作を開始します。 - 離れるとスイッチが切れる:
人がマットから降りると圧力が解除され、スイッチがオフになり、ドアが閉まります(※設定によりタイマー制御も可能)。
このように、「人がマットに乗っている=開ける」「誰もいない=閉じる」という直感的で信頼性の高い作動条件が特徴です。
注意点:天井型センサーとの違い・構造
マットセンサーは、検知範囲が限定的で、基本的に「マットの上に誰かがいるかどうか」のみを判断します。
これに対して、赤外線やマイクロ波センサーは、人の動きや接近を距離・角度・スピードで感知します。
つまり、マットセンサーは「確実に存在する」ことの検知には非常に優れていますが、接近中の人には反応しません。
そのため、「人が立ち止まっている状態を正確に検知したい現場」には最適ですが、
「素早く近づいてくる人をあらかじめ検知してドアを開けたい」ような場面には不向きとされる場合があります。
また、設置も物理的に床を加工してマットを敷設する必要があり、センサー単体よりやや手間がかかります。
要点:センサーを踏むことで反応する圧力式センサー
このようにマットセンサーは、
- 「反応するかしないか」が明確
- 天候や光、環境ノイズに左右されにくい
- 「人が本当にその場にいる」ことだけを検知するため、誤作動が少ない
という機能上の特性を持っています。
特に誤作動や環境変化が気になる場面では、その「シンプルな検知」が最大のメリットとなるケースも多く、
「最新ではないが、最適」という場面が確かに存在するのです。
なぜマットセンサーは使われなくなったのか?
Q: 自動ドアのマットセンサーはなぜ主流ではなくなったのですか?
A: バリアフリーの普及と赤外線・マイクロ波センサーの技術進化により、非接触での検知が求められるようになったためです。
要点:技術革新による赤外線・マイクロ波センサーの普及
マットセンサーは、かつて自動ドアの標準的な検知方式でした。
しかし現在、ほとんどの新設現場では赤外線式・マイクロ波式、あるいはベクトルセンサー方式といった「非接触型」のセンサーが採用されています。
その理由は、テクノロジーの進化により検知範囲の柔軟性・応答性が飛躍的に向上したからです。
特にマイクロ波センサーは「動き」に反応し、赤外線センサーは「熱」を感知するため、
人の接近や移動を離れた場所からでも把握でき、ドアを事前に開けることができます。
これにより、スムーズな動線確保が可能となり、店舗や駅など「人の流れ」が重要な場所で特に有効となったのです。
背景:バリアフリー義務化との関係
もう一つ大きな転機となったのが、バリアフリー基準の法制化です。
2000年の「交通バリアフリー法」、2006年の「バリアフリー新法(現・高齢者等の移動等の円滑化の促進に関する法律)」により、
公共施設・商業施設などにおいて、身体障害者や高齢者への配慮が求められるようになりました。
その中で「踏まないと開かない=マットセンサー」は、車椅子や杖を使う人にとって不便な場面が生じやすいという指摘がなされ、
非接触で反応するセンサーへの転換が進みました。
また、衛生面での意識向上(特に近年の感染症対策)も、「非接触」の価値を押し上げる結果となっています。
注意点:見落とされがちな「風」「雨」「誤作動」耐性の優位性
ただし、マットセンサーが「使われなくなった=劣っている」わけではありません。
赤外線やマイクロ波センサーは、光の反射や気温、風の影響で誤作動することがあります。
特に屋外設置や強風の吹き込みがある場所、光の変化が激しい出入り口では、
- 開きっぱなしになる
- 通る人がいないのに開く
- 通った人に反応しない
といった誤動作や検知ミスが発生しやすくなります。
一方、マットセンサーは「踏まれたときだけ反応する」という明確なトリガーがあるため、
このような環境要因に影響されることが極端に少ないのが特長です。
現代では選ばれにくくなったものの、
「環境によっては、むしろマットセンサーが最適」という現場は確実に存在するということを、
ここでぜひ頭に入れておきたいところです。
他のセンサー方式とどう違う?特性比較と適所
Q: 自動ドア用のセンサーにはどんな種類があり、それぞれ何が違うの?
A: マットセンサーは誤作動が少なく信頼性が高い一方、他方式は非接触で広範囲・高速検知が可能です。それぞれ向いている環境が異なります。
比較表:主要センサー方式の違い
| センサー方式 | 反応方式 | 特徴 | 主な適用現場 | 誤作動の可能性 |
|---|---|---|---|---|
| マットセンサー | 踏圧感知 | 誤作動少ない/天候に強い/設置に加工必要 | 倉庫・工場・屋外施設/自治体施設 | 非常に低い |
| 赤外線センサー | 熱感知・存在検知 | 非接触/静止状態も検知/逆光や反射に弱い | 店舗・オフィスビル・病院など | 中程度(環境要因) |
| マイクロ波センサー | 動体検知 | 非接触/素早い動きに強い/風や天候に弱い | 駅・商業施設・人通りの多い場所 | やや高い(外的影響大) |
| ベクトルセンサー | 接近方向検知 | 高度な制御/出る人には反応しない/高コスト | 空港・大型施設の出入口/セキュリティ重視環境 | 低〜中(設定次第) |
判断軸:誤作動、反応速度、施工条件、保守性、安全性
自動ドアにおけるセンサー選定は、「新しいかどうか」ではなく、どんな環境かで決まります。
以下の観点で、センサー方式を比較してみましょう。
1. 誤作動の少なさ
→ 最も少ないのは「マットセンサー」。
赤外線・マイクロ波は、気温、光、風、虫、車のライトなどで誤検知しやすい。
2. 反応速度と範囲
→ 最速・最大範囲なのは「マイクロ波センサー」。
人の接近をかなり手前で感知して、スムーズにドアを開けられる。
3. 設置と施工の容易さ
→ 最も楽なのは「天井設置型センサー(赤外線・マイクロ波)」。
マットセンサーは床に加工が必要で、設置場所によっては難しい。
4. 安全性(JIS整合性)と誤閉じリスク
→ 誤って閉じてしまうと危険な場所では「検知残り」のある方式(赤外線)が有利。
ただし、JIS A 4722では「開閉動作時に人体を傷つけない構造」が求められており、
すべてのセンサー方式は「ドアの安全制御との連動」が前提。
5. 保守のしやすさ
→ センサー本体が露出している天井型の方が点検は容易。
マットセンサーは踏まれ続ける部材のため、劣化チェックが必要。
適ドア適所:選び方の「基準」が見えてくる
ここまでの比較からわかるように、センサー方式には一長一短があります。
では、どうやって選べばいいのでしょうか?
その答えが、**「適ドア適所」**という考え方です。
つまり、場所・使用者・目的に合わせて最適なセンサーを使い分けるという判断軸です。
例えば:
- 強風や雨が直接当たる屋外施設 → 赤外線やマイクロ波は誤作動が出やすい → マットセンサー
- 車椅子利用者や高齢者が多い施設 → 非接触・反応早い方が良い → 赤外線センサー
- 高セキュリティで出入口の制御が重要な現場 → 出る人を検知しないベクトル方式 → ベクトルセンサー
- 人の往来が非常に多く、スピード感重視の現場 → 早期検知が可能なマイクロ波 → マイクロ波センサー
最新の方式が最適とは限りません。
それぞれのセンサーが持つ特性を正しく理解したうえで、現場に最適な選択をすることが求められます。
マットセンサーが今でも選ばれている現場とは?
Q: 現在でもマットセンサーが選ばれるのはどんな現場ですか?
A: 誤作動を防ぎたい環境や、静止状態の検知を優先する施設で重宝されています。特に倉庫、自治体施設、高齢者施設などが該当します。
「マットセンサーって、もう時代遅れじゃないの?」
と思われがちですが、実は今でも積極的に採用されている現場が存在します。
なぜなら、**「他方式では対応しきれない課題をマットセンサーが解決できる」**ケースがあるからです。
以下に、代表的な採用事例と選ばれる理由を紹介します。
事例1:工場・倉庫|騒音・粉塵・過酷環境下
課題:
- マイクロ波や赤外線センサーは、埃・振動・照明干渉などにより誤作動を起こしやすい
- 車両や搬送物が激しく動き回る環境では、常に誤検知のリスクがつきまとう
マットセンサーが選ばれる理由:
- 誤作動の原因となる要素(粉塵・音・風・温度)に影響されない
- 踏まれたときだけ確実に作動するため、「意図しない開閉」を避けられる
- 床面に敷設するだけで、騒がしい現場でも安定運用が可能
事例の補足:
一部の工場では、**「マットセンサー+天井センサーの併用」**により、
より確実な検知システムを構築しているケースもあります。
事例2:自治体施設|小規模かつ安全性優先の設計
課題:
- 設備更新にあたって、限られた予算で信頼性の高い自動ドアを求めている
- 小規模施設で、検知範囲の広さより「誤動作しないこと」が優先される
マットセンサーが選ばれる理由:
- 設置面積が限られていても運用可能
- 周辺環境の変化(木漏れ日、車のライト、強風など)による誤作動を防げる
- 地元業者でも施工・保守がしやすく、導入コスト・運用コストの抑制ができる
事例の補足:
「Nドア(自治体版)」では、荷重式の利点を活かし、弱電制御で電源不要な構造を採用しており、
防災拠点や公共施設で高評価を得ています【出典:Nドア(チラシ)自治体.txt】。
事例3:マンション・高齢者施設|反応タイミングの制御
課題:
- 赤外線センサーだと、「人が来るだけで勝手に開いてしまう」ことが多く、
防犯面やエネルギーロス(空調効率の低下)につながる - 高齢者がセンサー前でゆっくり動く場合、タイミングが合わず扉に挟まれるリスク
マットセンサーが選ばれる理由:
- 足元の検知により、「本人がドアの前に立ったとき」だけ開くため、意図した開閉が実現
- 立ち止まっても検知し続けるため、閉じるタイミングも安定しやすい
- 防犯的にも「ドアが開きっぱなしになる時間が短い」
事例の補足:
マンションのエントランスでは、**「床のデザインと一体化したセンサー」**を採用することで景観も損なわず、
結果として利用者満足度の向上にもつながっています【出典:Nドア(チラシ)マンション.txt】。
マットセンサーは決して「古いから使われない」のではなく、
**「適した現場には、今も非常に有効である」**という事実が、ここから見えてきます。
マットセンサーの基礎知識|寿命・設置条件・保守対応
Q: マットセンサーを導入するとき、どんな点に注意すべきですか?
A: 設置場所の床面状態や経年劣化、断線リスクへの配慮が必要です。寿命や保守の考え方も含めて、事前に把握しておくことが重要です。
手順:設置構造・配線方式・接点形式
マットセンサーの導入には、以下の3つの基本設計が関係します。
1. 設置構造
- 通常、床面を彫り込んでマットを埋設するか、上から貼り付ける形で設置します。
- 屋内設置が基本ですが、防水加工がされたものは屋外でも使用可能。
- 転倒リスクや段差の発生を防ぐため、マットの厚みと周囲のバリアフリー設計が重要になります。
2. 配線方式
- 多くは有線式で、マット→制御盤→自動ドア本体へと接続。
- ケーブルは床下やモールで配線され、断線防止措置が必須。
- 「非常解放」や「電気不要」のタイプでは、電源を使わずリレー信号で作動するものもあり、避難動線を妨げないよう設計されています【出典:NドアFAQ】。
3. 接点形式(ノーマルオープン/ノーマルクローズ)
- 検知動作時の信号形式は「ノーマルオープン(通常開)」「ノーマルクローズ(通常閉)」のどちらか。
- 設置する自動ドア制御機器の仕様に合わせて選定が必要です。
- 誤作動防止のため、**断線時に異常信号が出る構成(安全設計)**が求められます。
注意点:設置面の凹凸、経年劣化、断線リスク
マットセンサーの弱点として、物理的な部材であるがゆえの摩耗・劣化・故障リスクが挙げられます。
1. 設置面の凹凸や浮き
- 床面の状態が不安定だと、反応ムラが生じる可能性があります。
- 段差やズレがあると、車椅子・キャリーカートでの通行時に不安定さが出てしまうため、施工段階での精度が非常に重要です。
2. 経年劣化による感度低下
- 連続踏圧によって、マット内部の導電層が摩耗し、感度が落ちて反応しなくなることがあります。
- 特に通行量の多い現場では、数年単位での点検・交換計画が必要です。
3. 断線リスクと安全対策
- ケーブルが踏まれ続ける構造のため、断線による故障が比較的起きやすい。
- そのため、製品によっては「断線検知回路」が組み込まれており、異常があれば即座に警報が出るようになっています。
要点:JIS規格との整合性、安全設計とその背景
自動ドアに使われるセンサーには、JIS A 4722:自動ドアセットの安全基準が適用されます。
その中では、
- 「開閉動作によって人を傷つけないこと」
- 「センサーの誤動作によって人が閉じ込められたりしないこと」
- 「異常時には動作を停止させること」
といった安全項目が明記されており、マットセンサーを含めすべての方式で対応が求められます。
つまり、「マットセンサー=旧式で不安」というのは誤解であり、
正しく設計・設置されたものであれば、JIS整合のもと十分に安全な運用が可能なのです【出典:Newtonドアの安全性検証とJIS規格整合性.txt】。
【適ドア適所】にそった「まとめ」:マットセンサーは“あり得る選択肢”である
Q: マットセンサーは、これからの自動ドアにも選択肢として残るのでしょうか?
A: はい、特定の環境や条件では「最も適した選択肢」となるケースが今でも確実に存在します。
マットセンサーは、時代遅れの技術ではありません。
たしかに、赤外線やマイクロ波などの非接触センサーが主流となってきた背景には、バリアフリーや感染症対策といった社会的要請があります。
それは事実です。
しかし、環境・用途・利用者層によっては、「マットセンサーでなければならない」現場も存在します。
判断軸の再提示:場所・予算・安全性のバランスで選ぶ
このように、センサー選定においては以下のような軸で考えることが重要です。
- 誤作動を極限まで減らしたい現場か?
- 設置場所に強風や粉塵などの影響があるか?
- 高齢者や障害者が多く利用する施設か?
- 出入り口の反応タイミングを厳密に管理したいか?
- 限られた予算の中で、信頼性の高い選択肢を探しているか?
このような判断軸に照らし合わせたとき、マットセンサーは「いま選ぶ理由」がはっきりある技術であることが見えてきます。
誤作動しにくいという特性は、むしろ「現代の盲点」
現代のセンサー技術は、高度化している一方で**「環境ノイズへの脆弱性」**を抱えています。
そのなかで、環境要因の影響を受けにくいマットセンサーは、ある意味で「原点に立ち返った安定性」を持つ存在です。
センサーを「目や耳」と捉えるなら、マットセンサーは「確実に押されないと反応しない、筋肉のような存在」。
これは「確信のある動作」だからこそ、信頼性が求められる場面において力を発揮するのです。
専門家視点:「感覚ではなく、環境で選ぶ」ために
多くの選定は「なんとなく非接触の方がスマートだから」という感覚的な理由で行われがちです。
しかし、私たちが伝えたいのは、**「性能で選ぶのではなく、環境で選ぶ」**という【適ドア適所】の視点です。
- 安全性を重視するなら?
- 保守のしやすさを考えるなら?
- 設置条件や用途に合わせるなら?
そのすべてを考慮したときにこそ、本当にふさわしいセンサー方式が見えてきます。
マットセンサーは、そのような「適した現場」では、
今も、そしてこれからも、しっかりとその役割を果たす力を持った選択肢です。
【荷重式自動ドア】Newtonドアの資料請求はこちらから→https://76auto.biz/newtonplus/registp/p-offer.htm
【荷重式自動ドア】NewtonドアのYoutubeチャンネルはこちらから→https://www.youtube.com/@newton_plus