自動ドアの“ラッチ”という言葉、聞きなれない方も多いかもしれません。ですがこの部品、実は自動ドアのセキュリティ・安全性・使い勝手を大きく左右する重要なパーツです。

この記事では、次のような疑問に徹底的に答えていきます:

  • 自動ドアにおける「ラッチ」とは、どんな役割を持っているのか?
  • どんな種類があって、どのように選べばいいのか?
  • 故障やトラブルの原因として、ラッチはどう関係しているのか?
  • 設計や保守の現場で注意すべき点は何か?

施設や店舗、集合住宅などで自動ドアを管理・設計している方にとって、「なるほど、そういうことだったのか」と安心してもらえるよう、専門性を担保しながら丁寧に解説していきます。


目次(このページの内容)

そもそも「ラッチ」とは何か?自動ドアにおける役割とは

Q:ラッチって何? 自動ドアでどういう働きをするの?
→ ラッチとは、ドアを閉じた際に“固定”するための物理的な機構です。自動ドアでは、ドアが閉まった位置でぴたりと止まり、意図せず開かないよう保持するために重要な役割を果たします。


根拠:ラッチは“止める”ための機構

「ラッチ」という言葉は、ドア金物や錠前分野でよく使われる言葉です。一般的なドアノブやレバーにも、内部にはラッチ(斜めの突起)があり、ドアを閉じたときにストライク(受け金)にカチッとはまり、ドアを保持します。

この構造が、自動ドアにも応用されています。ただし自動ドアでは、動力や制御信号と連動したり、電気錠と組み合わせたりするため、より複雑な制御と設計が求められます。


要点:ラッチは“開閉の補助”ではなく“閉保持とセキュリティ”のためのもの

  • 閉まりきった位置で、確実に扉を保持する
  • 不用意に開かないようにする(セキュリティ・気密性)
  • 電気錠と組み合わせることで、施錠状態を保つ

このように、ラッチは自動ドアの「閉じた状態」を確実に保ち、「鍵」としての機能を一部担っているといえます。


ラッチと似て非なるもの:「錠前」「電気錠」との違い

用語目的作用点主な使用タイミング
ラッチ扉を閉じた状態で保持ドアエッジドアが閉まる瞬間〜完全閉時
錠前(シリンダー)鍵を使った施錠・解錠ドアノブ周辺入退室時
電気錠電気信号で施錠・解錠内蔵された錠部管理者の制御、センサ連動

特に重要なのは、「ラッチは自動的に動作する部品」であり、鍵のように意図的に回す・差し込む必要がない点です。


自動ドアにラッチが必要な理由

自動ドアは開閉がスムーズであることが前提ですが、その分「閉まりきらずに少し浮いている」「風であおられて隙間ができる」などの問題が起きやすい構造です。
ラッチがあることで、次のような課題を解決します:

  • ドアの浮きを防ぎ、完全に閉じた状態を確保する
  • 風圧や負圧でドアがあいてしまうのを防ぐ
  • 電気錠の誤動作を防ぎ、確実に施錠できるようにする

注意点:ラッチが“動作の邪魔”になることもある

設計やメンテナンスの観点では、「ラッチが固着して開かない」「タイミングがずれて、ドアがぶつかる」といったトラブルも想定されます。
つまり、ラッチは安全性を支える一方で、誤動作すると“開かない”リスクを生む部品でもあるのです。


まとめ

  • ラッチは自動ドアにおいて「閉じた状態」を物理的に保持する部品
  • 錠前や電気錠と連動することで、セキュリティと安全性を両立
  • 設計・選定・保守の観点でも極めて重要な役割を果たす

このあとでは、実際に使われているラッチの種類や構造の違いをくわしく解説していきます。

自動ドアに使われるラッチの種類は?構造と動作原理を解説

Q:自動ドアのラッチにはどんな種類があるの?
→ 主に「スプリング式ラッチ」「マグネット式ラッチ」「電気錠連動型ラッチ」があり、それぞれ構造も使われるシーンも異なります。


要点:ラッチの違いは「動作の仕組み」と「制御方法」

自動ドアに用いられるラッチは、以下のように大きく3つのタイプに分類できます:

  1. スプリング式ラッチ
     → ばねの力で突出・格納される機械式
  2. マグネット式ラッチ
     → 磁力でドアを吸着・固定するタイプ
  3. 電気錠連動型ラッチ
     → 電気信号により動作し、解錠・施錠と連携

以下、それぞれ詳しく見ていきましょう。


スプリング式ラッチ(機械式)

構造と動作原理:

  • ドアが閉まるときに、斜面形状のラッチがストライク(受け側)に当たり、自動的に「カチッ」とはまる
  • 開けるときには、内側からドアを押す力や、モーターの駆動により、ラッチが斜面をすべって格納される

特徴:

  • 電気不要で確実に作動する
  • メンテナンスしやすく、動作確認も目視で可能
  • 誤動作が少ない反面、「解錠のタイミング制御」はできない

使用例:

  • 荷重式自動ドア(Newtonドアなど)
  • 小規模施設・低頻度利用の扉など

マグネット式ラッチ(磁気吸着タイプ)

構造と動作原理:

  • ドアエッジと受け側に、それぞれ永久磁石または電磁石を設置
  • ドアが閉まると、磁力により吸着され「閉じた状態」を保持
  • 解錠信号やドア駆動力で吸着が解除される

特徴:

  • 構造が簡易で、静音性が高い
  • 電磁タイプは「停電時に開放される」安全設計が可能
  • 長時間の吸着保持では磁力の劣化が問題になることも

使用例:

  • オフィスや会議室などの簡易自動ドア
  • 通行頻度が低く、気密性をそこまで重視しない場所

電気錠連動型ラッチ(ラッチ付き電気錠)

構造と動作原理:

  • ラッチ部と電気錠が一体化されたユニット構造
  • 解錠信号(例:カード認証、遠隔操作)で電気錠が解除され、それと同時にラッチが格納
  • 自動ドア制御盤と連動し、開閉タイミングをきめ細かく制御可能

特徴:

  • 高セキュリティ対応:許可者だけが開閉できる
  • 完全連動制御が可能:誤動作が極めて少ない
  • 停電時の動作設計が可能(常閉/常開モード切替)

使用例:

  • 病院、学校、官公庁施設など、高度なセキュリティが求められる場所
  • 特定の時間だけ開放される区域(例:夜間施錠など)

製品例:ナブコ「SK-T10型(ラッチタイプ)」

この製品は、自動ドアメーカー大手ナブコ社が提供する、ラッチタイプ電気錠の一例です。

  • 電気錠にラッチ機構が内蔵されており、「確実な施解錠」と「ドア保持」の両立を目指した設計
  • センサー制御やカードリーダーなどのシステムと完全に統合可能
  • 開扉時・閉扉時のラッチ動作を制御盤が監視することで、安全性と確実性を向上させている

このように、現代の自動ドアでは「ラッチは制御対象の一部」として設計されることが増えているのです。


タイミングが重要:ラッチ解除の「いつ・どうやって」

自動ドアのラッチ解除は、次のようなタイミングで行われます:

  1. センサーが人を感知 → 解錠信号発信
  2. 制御盤が電気錠とラッチに解除命令
  3. ラッチが格納 → 自動ドアが開く

この動作の順序がうまくいっていないと、「ドアが開かない」「引っかかる」「異音がする」などの問題が発生します。


【補足】Newtonドアにおけるラッチの扱い

Newtonドア(荷重式自動ドア)の場合、電気を使わず人の荷重で開閉する構造のため、ラッチは機械式が基本です。
設計思想として「確実に閉じて止まる」ことが重視され、停電時にも通常通り機能するラッチ設計が特長です。


まとめ:ラッチ選びは「場所と目的に合った方式」を

  • 自動ドアの種類、設置場所、セキュリティ要求に応じて、適切なラッチ方式を選定すべき
  • 電気錠と連動するタイプは高性能だが、施工や保守に注意が必要
  • 機械式はシンプルで信頼性が高く、保守性にも優れる

次は、これらのラッチをどのように選べばよいか、「用途別・判断軸別」に比較しながら詳しく解説します。
どのラッチを選ぶべき?用途別の選定ポイントとは

Q:自動ドアのラッチは、どうやって選べばいいの?
→ 「使う場所」と「求められる機能」によって最適なラッチは異なります。選定の判断基準は、実は4つの軸で整理することができます。


要点:ラッチ選びは「場所と目的」で決まる

自動ドアのラッチを選ぶ際には、単に「丈夫かどうか」「価格が安いか」ではなく、以下のような視点が重要になります:

  1. 通行頻度と使用環境(屋内/屋外)
  2. セキュリティのレベル
  3. 停電・非常時の挙動
  4. 施工と保守のしやすさ

これらを整理した上で、実際にどのようなラッチを選ぶべきか、下記の比較表でまとめます。


【比較表】自動ドア用ラッチ方式の選定ポイント一覧

ラッチ方式主な構造特長適する環境停電時保守性
スプリング式(機械式)ばねで動く物理部品シンプル・電源不要屋外・避難経路・住宅共用部通常通り作動高い(目視可)
マグネット式(吸着)磁石で吸着静音・簡易室内・オフィス種類により変動中(吸着力の確認)
電気錠連動型(ラッチ内蔵)制御盤と連動高セキュリティ・制御自在病院・公共施設・商業施設設定次第専門技術が必要

判断基準1:使用環境に応じた選定

  • 屋外設置や風圧のかかる場所では、スプリング式でしっかり閉まる機械式ラッチが最適
  • 室内で静音性が求められる場面では、マグネット式が有効
  • セキュリティレベルが高い施設では、電気錠と連動する高機能タイプが推奨される

判断基準2:非常時の安全性

停電時、自動ドアとそのラッチがどう動作するかは設計上の重大なポイントです。

状況ラッチ方式停電時の挙動安全性の評価
停電しても人が出入りしたいスプリング式通常通り開閉
停電時は閉鎖したままが望ましいマグネット式(電磁タイプ)通電停止で吸着解除=開放
セキュリティ維持が優先される電気錠連動常閉/常開設定により変化◯(設定次第)

Newtonドアのような荷重式の自動ドアでは、電気不要なスプリング式ラッチが標準的です。
このため、「停電でも開閉できる安心感」が確保されており、避難経路・集合住宅の共用部でも採用が進んでいます。


判断基準3:保守性と長期安定性

  • スプリング式は摩耗・ばねの劣化さえ確認すれば簡易に保守可能
  • マグネット式は吸着力の低下に注意(磁石の劣化や温度変化)
  • 電気錠連動型は、制御基板・センサの点検や再設定が必要

専門業者による点検を要するラッチもあるため、「年間保守契約の中でチェック対象に入っているか」も選定時の確認事項となります。


判断基準4:「過剰設計」と「過小設計」の罠

実際の現場でありがちなのが、次のようなミスマッチです:

  • 過剰設計:セキュリティがそこまで求められていない場所に、高価な電気錠連動型を採用してしまう
  • 過小設計:屋外で風圧が強い出入口に、マグネット式を使ってしまい、頻繁に開いてしまうトラブルに

→ 解決策としては、「設計時点での通行パターン分析」が重要です。


【適ドア適所】で見るラッチの使い分け

Newtonドアの思想では、自動ドアにおいてもっとも大事なのは「適ドア適所」=その場所にとっての最適なドア選びです。

ラッチもまさにこの適用を受けるべき部品であり、使用場所によってその意味が変わります:

使用場所推奨ラッチ方式理由
共同住宅のエントランススプリング式停電対応・高耐久性
商業施設の裏口電気錠連動関係者のみ通行+セキュリティ
会議室・事務所マグネット式静音・簡易操作

まとめ:選定に「正解」はない、あるのは“適合性”

  • ラッチは“機械”としての部品でありながら、“運用”に深く関わる
  • 設置場所の特性・通行頻度・保守体制を踏まえた選定が必要
  • 「適ドア適所」の視点をもって選ぶことで、トラブル・誤選定を防げる

次は、ラッチのトラブルが実際にどう起こるのか、その原因や初期対応について掘り下げていきます。

次のH2-4節は以下のテーマです:

ラッチの不具合はどう現れる?症状と原因を理解しよう

Q:自動ドアのラッチに不具合があると、どんな症状が出る?
→ 「ドアが開かない」「引っかかる」「完全に閉まらない」などのトラブルの原因が、実はラッチにあるケースは少なくありません。ここでは代表的な症状・原因と、安全に関わるリスクについて整理します。


要点:見逃されがちな「ラッチ起因のトラブル」

自動ドアに不具合が起きた際、多くの人はセンサーやモーターの故障を疑います。
しかし、現場の整備担当者によると「意外と多いのがラッチの固着やずれ」です。

たとえば:

  • 扉が閉まったように見えて、ラッチが引っかかって閉じ切らない
  • 開けようとしても、ラッチが戻らずドアが開かない
  • ラッチとストライクの位置がずれて、毎回ひっかかる

これらは、部品自体の摩耗や変形、取付位置のずれ、可動部分のグリス切れなどが主な原因です。


主な症状とその原因

症状主な原因補足説明
ドアが閉まりきらないラッチが出すぎて干渉している微妙なズレでも閉まらないことがある
開けようとしても開かないラッチが戻らず引っかかっているゴミ・サビ・潤滑不良などが多い
開閉時にガタン・ギギィと異音ストライクとラッチがずれて接触構造部のゆがみも要チェック
ドアが反応しない(開かない)電気錠連動ラッチが解錠信号を受け取っていない配線断線・制御盤異常も

実際の事例:よくある「ラッチトラブル」の現場

  1. 集合住宅のエントランスドア
    → ラッチが摩耗してうまく格納されず、開扉信号が出てもドアが動かない。結果、住民が「ドアが壊れてる」と管理会社に連絡。
  2. 病院の関係者専用ドア
    → 電気錠の制御盤がラッチの閉位置を検知できず、施錠動作が失敗。結果としてオープン状態のままになってしまう。
  3. 商業施設の搬入口
    → 台車の衝突でストライクの位置がずれ、ラッチが毎回引っかかるようになり、従業員が手動で引き戻す羽目に。

原因:構造・設置・経年劣化が絡む

ラッチは「ドアの端」「目立たない部位」にあり、意外と点検がおろそかになりがちです。

  • 経年でのばねの劣化
  • 金属部のサビや腐食
  • 潤滑剤の乾燥
  • 設置時の位置調整ミス

これらが複合すると、ラッチは動かなくなり、最終的には“開かない自動ドア”になります。


不具合時のドアは「開いたまま」?「閉じたまま」?

Q:もしラッチが壊れたら、ドアはどうなる?
→ これはラッチの種類と設計思想によって異なります。

状況ラッチの種類不具合時の挙動安全性への影響
機械式ラッチが固着スプリング式ドアが開かなくなる×(閉じ込めリスク)
マグネットが外れないマグネット式開かない・異音がする
電気錠が信号を受け取らない電気錠連動型施錠されたままになる or エラーで開きっぱなし△(設定依存)

設計思想としては、「閉じたまま動かない」設計のほうが一般的です。
これはセキュリティ上「勝手に開く」ことを防ぐための措置です。


「動かないドア」は重大なリスクになる

施設用途によっては、ドアが動かないこと自体が以下のリスクにつながります:

  • 高齢者や子どもが閉じ込められる
  • 避難経路が塞がれる
  • 店舗・施設で来訪者が困惑する

とくに医療施設や介護施設では、**片開きしかない場所でのラッチ不具合は“人命に関わる”**ケースもあるため、点検・保守が極めて重要です。


対策:ラッチ不具合の兆候は“音”と“動き”でわかる

不具合の兆候を早めに察知するには:

  • ドア開閉時の音が変わった(ガタン・キィー音)
  • 開け閉めが以前より固く感じる
  • ラッチ部分に触れると動きが鈍い

このような変化に気づいた時点で、早急に点検・修理を行うべきです。


自動ドアの“閉まらない・開かない”は、ラッチが原因かもしれない

「センサーや電源が問題かと思ったら、実はラッチが壊れていた」
という事例は珍しくありません。

特にメンテナンスが長期間行われていない自動ドアは、ラッチの摩耗・固着リスクが高くなります。


まとめ:ラッチは“最終関門”としての責任部品

  • 不具合が起きたとき、まずラッチの動作確認を
  • 見た目に異常がなくても、動きや音で不調がわかることが多い
  • 閉じたまま開かない状態がもっともリスクが高く、早期対応が重要

次は、ラッチの「メンテナンス・点検」の正しい方法やタイミングについてくわしく解説します。

ラッチのメンテナンス・点検方法とは?

Q:自動ドアのラッチって、どれくらいの頻度で点検すべき?
→ ラッチは動作のたびに摩耗する“消耗部品”です。トラブルを防ぐためには、定期的な点検と適切な保守が欠かせません。


要点:ラッチは「見た目」では異常がわかりにくい

ラッチはドアの内部または端に取り付けられ、通常目に見えづらい部品です。
そのため、外観だけでは劣化や不具合が発見しにくく、「突然壊れる」「ある日ドアが開かなくなる」といったトラブルが起こりがちです。


点検の基本方針:3つの視点

ラッチ点検は次の3つの視点で行います:

  1. 動作性の確認:スムーズに動くか、引っかかりがないか
  2. 位置と接触状態の確認:ストライクとの位置関係がズレていないか
  3. 摩耗・破損・腐食の確認:物理的に摩耗していないか、さびていないか

推奨される点検頻度

環境・施設タイプ推奨点検頻度備考
商業施設・駅・病院(高頻度)月1〜3ヶ月に1回通行頻度が高く劣化が早い
共同住宅の共用部(中頻度)3ヶ月〜半年に1回夜間のトラブルに注意
事務所・工場の出入口(低頻度)半年〜年1回荷物接触によるゆがみに注意

※ただし、「異音」「閉まりにくい」「引っかかる」などの兆候が出た場合は、点検タイミングに関係なく即対応が必要です。


【実践】ラッチ点検チェックリスト(スプリング式の場合)

  1. ラッチの突起部を押してみて、スムーズに動くか確認
  2. バネの戻りが弱くないか、固着していないか
  3. ストライクとの位置が合っているか(目視+紙テスト)
  4. グリス切れ・金属摩耗がないか(光沢・音の変化に注目)
  5. 動作時の異音がないか確認(ガタン、ギギィなど)

【注意点】グリスの使い方に要注意

よくあるメンテナンスミスとして、「何でもかんでもグリスを塗ればいい」という誤解があります。
ラッチ部分には、以下のような注意が必要です:

  • グリスの種類(シリコン系が推奨。粘性の高いものは固着の原因に)
  • 塗布量(多すぎるとホコリを呼び、逆に動作不良を招く)
  • 古いグリスは必ず除去(劣化して固まり、逆効果になる)

→ 正しくは「古いグリスを除去 → 薄く塗布 → 動作確認」が基本です。


【補足】電気錠連動ラッチの点検ポイント

電気錠と連動しているラッチの場合、以下の追加チェックが必要です:

  • 制御信号が正しく送受信されているか(タイムラグや不一致がないか)
  • 通電時にラッチが格納/突出しているか(制御盤またはテスターで確認)
  • 停電時の動作が設計通りになっているか(常開/常閉設定)

また、制御回路がラッチの“閉位置”を正しく認識していないと、ドアが閉まっていても施錠がかからないケースがあります。
→ これは見た目でわかりにくいため、プロによる制御チェックが必須です。


交換タイミングと判断基準

Q:ラッチはどれくらいで交換すべき?
→ 目安は「5〜7年程度」とされますが、使用頻度や環境によって異なります。

状態交換判断のポイント
バネが弱く戻らない機械式の寿命サイン
摩耗でラッチが短くなっているストライクに届かなくなる
錆びついて動作が渋い潤滑しても改善しない場合は交換
異音が止まらない軸受け部の変形・偏摩耗が疑われる

【専門的補足】Newtonドアとメンテナンス思想の違い

Newtonドア(荷重式自動ドア)は、電気駆動を一切使わず、人の荷重で開閉することが最大の特徴です。
そのため、可動部が少なく、ラッチも極めてシンプルなスプリング式。点検項目も明確です。

  • ラッチの動作不良=“ドア全体の挙動のズレ”としてすぐ分かる
  • 停電でも正常動作
  • ユーザー自身でも目視点検しやすい

結果として、「メンテナンス性」が大きく向上しており、保守管理コストが軽減されています。


まとめ:ラッチの点検は「習慣化」が最大の予防策

  • 自動ドアの安定稼働にはラッチの健全性が欠かせない
  • 点検頻度・内容は施設用途に応じて調整する
  • グリスの扱い、動作音・動きの変化に注意
  • 適切な時期に交換することで、大きなトラブルを未然に防げる

次は、設計段階やリニューアル時に「ラッチをどう扱うべきか」、建築設計者・施設管理者向けの注意点を解説します。

設計者・管理者向け:ラッチ選定と設計で絶対に注意すべきこと

Q:設計や仕様書にラッチの記載って必要なの?
→ はい、特に公共施設・集合住宅・病院・商業施設などでは、ラッチの選定ミスが後々大きなトラブルにつながります。この記事の最後にふさわしく、設計・管理目線での「落とし穴」と「正しい選定基準」を整理します。


要点:「電気錠ありきの設計」が最大のリスクになる

自動ドアの設計をする際、最近では「電気錠ありき」でプランを組むことが増えています。
しかしそれに付随する「ラッチ」の詳細仕様が不明確なまま、現場施工が進むケースが多いのです。

結果どうなるか?

  • ストライクとのズレでラッチがかからない
  • 解錠タイミングと連動せず、扉が開かない
  • 設計図では高セキュリティ仕様なのに、実際には固定されていない

これらはすべて「ラッチに関する記載の曖昧さ」が原因です。


設計時に絶対に考慮すべき4つの視点

視点具体的な設計配慮事項
使用環境屋外か屋内か、結露や寒冷地ではないか
停電時挙動ラッチがどう動くか、常閉/常開の選定
ドア駆動方式電動式 or 荷重式かにより、最適ラッチは変わる
制御連動性電気錠やセンサとのタイミング調整設計

1. 「停電時の動作」シナリオを必ず確認する

避難経路や災害時の開放性が求められる場所では、ラッチがどう動作するかの確認は必須です。

  • 常閉モード:停電でもラッチがかかったまま(セキュリティ重視)
  • 常開モード:停電時にラッチが外れる(避難性重視)

→ 設計段階で「どちらが望ましいか」を明確にしたうえで、対応できるラッチ機構を選定することが重要です。


2. ドア種類(特に荷重式か否か)で選定軸が変わる

Newtonドアのような荷重式自動ドアでは、電源に頼らない構造を前提とするため、以下のような配慮が求められます:

  • 機械式ラッチを前提とする(電気不要で確実に閉じる)
  • 停電時も動作することが前提なので、故障時のフェイルセーフ設計がしやすい
  • セキュリティと「脱出のしやすさ」の両立がしやすい

→ 荷重式を採用する場合は、「最初から電気錠を除外したラッチ設計」が合理的なことも多いのです。


3. メーカーごとのラッチ仕様の確認は必須

実際に施工を担当する業者任せにすると、以下のような問題が起きやすくなります:

  • 電気錠とラッチのメーカーが異なり、仕様不整合が発生
  • ラッチがストライクに届かない/動作しない
  • システム制御盤の設定範囲外で、制御ができない

対応策: 設計者自身が、採用予定のドアメーカー・電気錠メーカーのラッチ構造図と動作仕様書を入手し、整合性を確認すること。


4. 法令・ガイドラインとの整合性チェック

自動ドアに関しては、建築基準法、消防法、バリアフリー法など、複数の規制が関係します。
ラッチも直接は明記されていないことが多いですが、結果として通行を妨げる構造はNGです。

たとえば:

  • 消防法施行規則第25条(避難口の構造)
    → 避難時に開扉できない構造は不適格(ラッチが原因で開かないのはNG)
  • 高齢者・障害者向け住宅設計ガイドライン
    → スムーズな通行、非力な人でも開閉できる構造が求められる

→ 結果として、スプリング式ラッチ解錠補助機構付きラッチが推奨されるケースが多くなります。


設計書に「明示しておくべき」ラッチ関連の記述項目

項目内容
ラッチの種類機械式/マグネット式/電気錠連動型 など
動作仕様停電時挙動、連動制御タイミング
設置位置ドアエッジ or 隠蔽式 など
メンテナンス計画点検周期、部品交換タイミングの想定

これらを図面や仕様書に記載しておくことで、設計意図の伝達ミスが大幅に減り、施工品質も安定します。


Newtonドアの哲学と合致する設計のポイント

Newtonドアは「荷重式=電気不要で人の動きと連動」という発想のため、ラッチについても次のような設計思想が根底にあります:

  • 自然な開閉動作により、ラッチも自然に動く
  • 誰でも操作でき、停電時も安全に開閉できる
  • 非常時にも“閉まりきること”で、安全と防犯を両立する

→ 設計時にこの思想と合致するかどうかを一度確認しておくと、他のドア方式との判断軸にもなります。


まとめ:ラッチは「後から決める部品」ではなく「設計の一部」

  • 電気錠連動か、機械式か、最初に明確にしておく
  • 停電時、災害時を前提とした動作シナリオを描いておく
  • 設計図面と仕様書にラッチに関する仕様を明示しておく
  • ドアの選定思想(Newtonドアなど)と整合性をとることで、使いやすさと安全性が両立する

最後に、記事全体のまとめを行います。【適ドア適所】の観点から、もう一度ラッチの選び方・考え方を整理していきます。

まとめ:適ドア適所にそった「ラッチ選び」が、自動ドアの信頼性を左右する

自動ドアにおける「ラッチ」は、普段意識されにくい部品ですが、開閉の確実性・セキュリティ・安全性を大きく左右する極めて重要な要素です。


記事全体のポイントをふりかえってみましょう:

  • ラッチとは:ドアを閉じた状態で固定する物理機構であり、ドアの機能を“完結”させる部品
  • 主な種類は3つ:スプリング式、マグネット式、電気錠連動型
  • トラブルの原因にもなりやすく:動きの悪さや誤動作は「開かない・閉まらない」に直結
  • 点検とメンテナンスが極めて重要:定期点検と適切なグリスアップ、摩耗のチェックを
  • 設計者・管理者も無視できない設計要素:停電時の動作や法令との整合性、図面明記が求められる

「適ドア適所」の視点で考える、最適なラッチ選び

Newtonドアが重視する「適ドア適所」という考え方は、ラッチ選びにも通じます。
つまり、「すべてのドアに高機能な電気錠付きラッチが必要」なのではなく、

  • 共用部には停電時も開閉できるラッチ
  • 高セキュリティゾーンには電気錠連動型
  • 室内静音仕様ならマグネット式

といった、使用場所・目的・リスク・運用方法にあわせた「ちょうどいい設計」が最適解なのです。


今できるチェックポイント

施設の管理者・設計者として、いま確認しておきたいこと:

  1. 現在使われているラッチは、適切なタイプか?
  2. 不具合や誤動作の兆候は出ていないか?
  3. 設計図・仕様書に、ラッチの仕様が明記されているか?
  4. 停電時や災害時にどう動作するか、想定しているか?

「気づいたときには開かない・閉まらない」では、遅い。
ラッチはドアの“最後の砦”です。そしてその信頼性こそが、建物の信頼性そのものでもあります。


これからの設計や管理の場面で、ラッチを単なる部品ではなく「機能と安全の鍵」として、しっかりと位置づけていただければ幸いです。


【出典・参考リンク】

  • Nabtesco(ナブコ自動ドア):https://nabco.nabtesco.com
  • 自動ドア業界資料・Newtonドア技術資料
  • 消防法施行規則第25条(総務省)
  • 高齢者・障害者向け住宅設計指針(国交省)

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【荷重式自動ドア】NewtonドアのYoutubeチャンネルはこちらから→https://www.youtube.com/@newton_plus

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