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無電源自動ドアとは?どんなときに必要になるのか

自動ドアと聞いて、多くの人が思い浮かべるのは「センサーで人を感知し、モーターで自動的に開閉する電動ドア」でしょう。私たちの身の回りには、商業施設・駅・病院など、至るところにこのタイプの自動ドアが設置されています。確かに便利で、衛生的でもあり、高齢者や車椅子利用者にとってもありがたい存在です。

しかし、こうした便利さの裏で、ひとつの大きな弱点を抱えていることをご存じでしょうか。それは、「電気が止まったら、開かなくなる可能性がある」ということです。災害や停電が起きた際、建物の出入口が閉ざされたままでは、人の安全確保に深刻な影響を与えかねません。

ここで注目されているのが、「無電源自動ドア」です。

このドアは、電気をまったく使わずに、自動的に開閉します。え?電気を使わないのに、どうやって自動で開くの?と思われるかもしれませんが、これは「荷重式」あるいは「踏板式」と呼ばれる構造によって実現されています。人がドアの前に立ち、足元の踏板に体重をかけると、その力を利用してドアが開くという仕組みです。つまり、“人の重さ”が、ドアの開閉の原動力となるわけです。

では、この「無電源自動ドア」は、どのような場面で真価を発揮するのでしょうか。主なポイントは次の3つです。


1. 停電時でも動作する

最大の利点は、電気が必要ないという点です。たとえ建物が停電していても、ドアは踏まれることで確実に開閉します。災害拠点や避難所、自治体施設などで求められる「非常時の出入口確保」という観点から、非常に優れた特性です。近年の大規模災害では、自動ドアが停電で固まり、施設内から人が出られなくなるトラブルが実際に報告されています。


2. 電気配線や設備工事が不要

もうひとつの大きな特徴は、施工がシンプルという点です。通常の電動式自動ドアでは、センサーの配線、モーターの設置、電源確保など、複雑な設備工事が必要になります。これに対して、無電源式は、機械的な構造のみで動作するため、リニューアル物件や配線制約のある古い建物でも導入しやすいというメリットがあります。


3. 維持費・電気代がかからない

電動式と違い、稼働中の電力消費がゼロであるため、電気代が一切かかりません。使用頻度が高くても、光熱費に影響を与えないというのは、長期的な運用面でも魅力的なポイントです。


それでも「なぜ今まで普及してこなかったのか?」

ここまで読むと、「そんなに良いものなら、なぜもっと広く普及していないのだろう?」という疑問が浮かぶかもしれません。実際、その理由にはいくつかの要素があります。

  • 機構がアナログであるため、センサー式のようなスマートな動きにはならない
  • 荷重がないと反応しない(つまり、軽すぎる人には開かない可能性がある)
  • 踏板の設置条件や環境(雨・汚れ・凍結など)に影響を受けやすい

こうした点も含めて、この記事では、無電源自動ドアとはどんなものか?から始まり、仕組み・メリット・注意点・電動式との比較・選び方までを丁寧に解説していきます。

次のセクションでは、実際に「どうやって動いているのか?」をわかりやすく解説します。
見た目はシンプルでも、その中には緻密な機械工学の知恵が詰まっています。

どうやって動くの?仕組みと構造をわかりやすく解説

無電源自動ドアという言葉を初めて聞いたとき、多くの人がまず疑問に思うのは「電気を使わずに、どうやって自動で開閉できるの?」という点でしょう。自動ドアといえば、モーターとセンサーが連動して動くというイメージが強いですが、無電源式ではその常識が大きく覆されます。

このセクションでは、荷重式(踏板式)無電源自動ドアの仕組みを、わかりやすく図解するつもりで、丁寧にご紹介します。


「荷重式」という構造の基本

無電源自動ドアの中でも代表的なのが「荷重式(踏板式)」です。
名前の通り、「荷重=人の重さ」を動力源として使う構造です。

基本の流れは以下の通りです:

  1. 利用者がドアの前に立つ
  2. 足元にある「踏板(ふみいた)」に体重がかかる
  3. 踏板の沈み込みが、レバーやテコの力で「ドア開閉機構」に伝達される
  4. ドアが開く
  5. 人が通り抜け、踏板から荷重が外れる
  6. スプリングや自重で、ドアがゆっくりと閉まる

すべて、人の動作と重力、そして機械構造だけで完結しており、モーターやセンサーは一切使われません。


構成部品とそれぞれの役割

より具体的に、荷重式ドアを構成する主なパーツとその役割を見ていきましょう。

部品名機能・役割
踏板(ふみいた)利用者が立つと荷重がかかる板。荷重をレバー機構へ伝える起点となる
荷重レバー/リンク機構踏板の沈み込みを、物理的な動き(回転・押し出し)に変換し、ドアへ伝える
駆動部(リンクバー)ドアの開閉を実際に動かす部分。リンクやアームで動力を伝達する
ブレーキ・ダンパー機構ドアの閉まり方を緩やかに制御する。勢いよく閉じて挟まれるのを防ぐ
ガイドレール・ヒンジドアの開閉をスムーズに行うための案内部品。摩擦軽減にも貢献

これらの部品がすべて「アナログ・機械的」に連動しており、まさに**機械工学の知恵が詰まった“電気を使わない自動装置”**と言えるでしょう。


イメージしやすく言えば「手押しポンプ」に近い

荷重式自動ドアのしくみを理解するには、昔ながらの「手押し井戸ポンプ」や「踏み込み式ゴミ箱」をイメージするとわかりやすいかもしれません。

どちらも、人が加えた“物理的な力”を、レバーやバネを使って「何か別の動き」に変える装置です。
荷重式ドアもそれと同じで、「人が乗る→ドアが開く→人が降りる→ドアが閉まる」という、自然な一連の動作で完結します。


Newtonドアに見る具体例:安心設計の積み重ね

無電源ドアの中でも代表的な存在が、**Newtonドア(旧ミーモ)**です。
このドアは、建築アルミ専門企業であるミズノ(現Newtonプラス社)が開発した荷重式自動ドアで、20年以上の実績があります。

Newtonドアでは、単に開閉するだけでなく、以下のような「安全配慮」や「安定動作」の工夫が随所に盛り込まれています:

  • 踏板に荷重が残っている限り、ドアが閉まらない構造
     → 小さな子どもや高齢者が立ち止まっている間も、閉まりません。
  • 閉まる動作が非常にゆるやか
     → バネやブレーキダンパーで調整されており、手や足を挟みにくい設計。
  • 電源ゼロでも、何万回という開閉が可能な構造部品
     → 機械的耐久性が高く、劣化も少ない。
  • 踏板下の“汚れ・雨水排出”設計
     → 屋外設置にも耐えられるよう、排水経路が確保されている。

つまり、荷重式だからこその安全性を、きちんと“製品として設計しきっている”ことが、重要なポイントです。


センサー式との大きな違いは「人が主体になる構造」

電動式の自動ドアは、「人が近づく→センサーが検知→ドアが自動で開く」という、ドア側が主体となる動作です。
これに対して荷重式は、「人が動く→その力でドアが開く」という、人が主体で動く構造です。

この違いは、安全性や使い勝手にも直結します。

視点電動式自動ドア無電源(荷重式)自動ドア
開くタイミングセンサーが人を感知したとき人が踏板に体重をかけたとき
開く原動力モーター人の重さ(荷重)
停電時基本的に動かない(手動開放必要)そのまま動作可能
誤作動リスクセンサー誤反応の可能性あり物理的なので誤作動しにくい
安全対策センサー調整や光電管荷重式特有の機械的安全設計

無電源なのに“自動”。この違和感が魅力になる時代へ

「自動=電気で動くもの」という固定観念がある現代において、「人の力で動く自動装置」という仕組みは、一見すると不思議に思えるかもしれません。
しかし、荷重式のような仕組みこそ、電気に頼らずとも高い機能性と安全性を両立できる、シンプルで強靭なテクノロジーです。

特に、災害が増え、BCP(事業継続性)や環境配慮が求められる今の時代において、「電気を使わずに人を守るドア」は、次世代の標準装備のひとつになる可能性を秘めていると言えるでしょう。


次のセクションでは、そうした無電源ドアの「長所」だけでなく、「導入前に絶対に確認しておくべき注意点」についても詳しく解説していきます。

メリットだけじゃない?導入前に知っておきたい注意点

無電源自動ドアは、電気を使わずに開閉できるという点で多くのメリットがありますが、「万能な解決策」というわけではありません。特に、設置を検討している自治体や施設管理者の立場から見ると、**事前に確認しておかなければならない“重要な制約や注意点”**が存在します。

このセクションでは、荷重式ドアの特性とともに、設置後に後悔しないための視点を丁寧に整理していきます。


1. 軽すぎる人には反応しない可能性がある

荷重式ドアは、名前の通り「荷重=重さ」をきっかけに開閉動作が始まります。
つまり、ドアの前に人が立っただけでは開かず、一定以上の体重が踏板にかかったときにしか反応しません。

要点:

  • 製品によって設定されている「最低作動荷重」が存在する
  • 子どもや高齢者、体格が小さい人が通ろうとした場合、ドアが開かない可能性がある
  • 車椅子やベビーカーなど、荷重が踏板にうまく伝わらないケースも考慮が必要

このため、設置環境によっては、「利用者の平均体重」や「通行方法(歩行、車椅子、押し車など)」を確認した上で、作動荷重の調整が可能な製品を選ぶ必要があります。


2. 開閉スピードは基本的に“ゆっくり”

荷重式ドアは、電動式のようなスピーディーな開閉は行いません。
動作そのものが人の体重によって始まり、閉まるときもスプリングやダンパーの力を利用するため、基本的には「穏やかな開閉」が前提の設計となっています。

この“穏やかさ”の意図:

  • 安全性のため(急に閉まって挟まれるのを防ぐ)
  • 故障を防ぐため(機械的な衝撃を抑える)

ただし、この特性が「動作が鈍い」と感じられるケースもあり、利用者のストレスになる可能性があります。
たとえば、通行量が多い場所や、急いで出入りするような場面では、向いていない可能性があります。


3. 設置環境に適合するかの確認が重要

無電源自動ドア、とくに荷重式タイプは「踏板(ふみいた)」を設置することが大前提となります。
このため、物理的な設置条件に次のような制約が発生します:

チェックすべき設置条件:

  • 床の構造:踏板の沈み込みスペースが確保できるか
  • 排水設計:屋外や水がかかる場所では、踏板下に雨水が溜まらない工夫が必要
  • 床レベルの調整:踏板と周囲の床に段差ができないように設計できるか
  • 凍結リスク:寒冷地では、踏板の動作が凍結によって阻害されないよう配慮が必要

屋内施設であっても、床下に空間がない場合や、既設の構造との兼ね合いによっては、「設置そのものが不可能」という判断になることもあります。


4. 定期的なメンテナンスが必要

「電気を使わない=メンテナンスフリー」と誤解されがちですが、それは正しくありません。
荷重式ドアは、機械的な動作部品(リンク機構、踏板、スプリングなど)によって構成されているため、物理的な摩耗は避けられません。

主なメンテナンスポイント:

  • 可動部分のグリスアップ(潤滑)
  • バネやリンクの点検・交換
  • 踏板の汚れ・詰まりの清掃
  • 雨水排水の点検・詰まり除去

つまり、「電気的トラブルはないが、機械的な点検・保守は必要」というのが正しい理解です。
定期的な点検スケジュールや保守契約を見据えて導入を考えるべきでしょう。


5. バリアフリー法やJISへの適合に注意

近年、公共施設・商業施設の出入口には、バリアフリー法(高齢者・障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律)やJIS規格(JIS A 4722等)への適合が求められています。

荷重式ドアも自動ドアの一種であるため、これらの法令や基準への対応が求められます

チェックポイント:

  • 車椅子でも踏板が反応するか
  • ドアが一定速度で閉まるか(急激な挟まれリスクがないか)
  • 子どもや視覚障がい者への配慮(点字誘導・音声ガイドなど)との整合性

特に、公共性の高い建物に設置する場合は、必ず設計段階で「バリアフリー観点からの適合性評価」を行うべきです。
自治体案件であれば、JIS規格に適合した製品かどうか、メーカーに確認することを推奨します。


6. 「電気代ゼロ」に潜むコスト構造の盲点

「電気を使わない=運用コストがかからない」というのは一面の事実です。
ただし、以下のような見落とされがちなコスト構造も存在します。

項目電動式自動ドア無電源自動ドア
初期設置費用電源・配線工事が必要機械構造のみだが踏板加工が必要
保守契約センサー調整・故障対応など機構部の摩耗・清掃対応
ランニングコスト電気代・部品交換基本ゼロ(ただし点検は必要)
故障時対応モーター交換など高額化も部品単位の交換がしやすい傾向

長期視点での費用対効果を見ることが大切であり、「電気代がかからないからお得」と短絡的に判断するのは避けましょう。


「後悔しない選定」には“使う人”と“使う場所”の具体化がカギ

これまでの内容からも分かるように、無電源自動ドアは非常に魅力的な選択肢である一方、
「誰が使うか」「どこで使うか」次第で向き・不向きが大きく変わる製品です。

次のセクションでは、その視点を踏まえながら、どんな施設・どんな使い方に最適なのかを、「適ドア適所」という独自の考え方で整理していきます。
同じ“自動ドア”でも、場所によって“ベストな選択”は変わってくるのです。


ここでは、「すべての場所に万能なドアはない」という前提で、荷重式無電源ドアが最適な場所・用途を具体的に示していきます。

どんな場所に向いている?適ドア適所の考え方

これまでのセクションで、「無電源自動ドアは電気を使わずに動く仕組み」であること、そして「電気を使わないことによる強みと注意点」が理解できたかと思います。
では実際に、このタイプのドアはどんな場所に向いているのでしょうか?

本セクションでは、「適ドア適所(てきドアてきしょ)」という独自の視点から、無電源自動ドアの導入が適しているケース・場所・ユーザーについて整理していきます。


「どこにでも使える」ではなく「どこに最も向いているか」を考える

自動ドアという言葉を聞くと、つい「便利なものだから、どこにでも使えるだろう」と思いがちです。しかし実際には、建物の用途・利用者層・周辺環境・BCP対策の方針などによって、適した自動ドアの種類はまったく異なります。

無電源ドアは、以下のような**“合う場所”と“合わない場所”がハッキリしているドア**です。


無電源ドアが“特に向いている”主なケースと理由

1. 災害拠点や避難所施設

  • 理由:停電時でも確実に開閉できるため、非常時の避難経路を確保できる
  • 例:地域の防災倉庫、自治体の備蓄倉庫、学校の体育館など
  • 導入背景:BCP(事業継続計画)対策として、電源不要の仕組みが求められる傾向が強まっている

▶ 無電源ドアは、「いざという時、動くか?」という視点で最も信頼できる選択肢の一つです。


2. 公共トイレ・授乳室・多目的トイレなどの出入口

  • 理由:電源の配線が難しい場所でも後付け可能/利用者のプライバシー・安全確保に配慮できる
  • 例:公園内トイレ、高速道路SAの多目的トイレ、商業施設の授乳室など
  • 利用者層:ベビーカー、車椅子、高齢者などの利用が多い場所において、挟まれにくさや非接触性が評価されている

▶ 安全性と非電化の両立がポイントです。


3. マンション共用部・ゴミ置き場・駐輪場など

  • 理由:屋外設置に適し、電気工事不要で導入しやすい/無電源で「プライベートエリアの区切り」がつく
  • 例:分譲マンションのゴミ置き場出入口、通用口、自転車置き場の区画ドアなど
  • 管理面:電源トラブルの心配が少なく、居住者の出入りを制限せずに自動開閉できる

▶ リニューアル時の「簡単施工」としても注目されています。


4. 学校施設・公共施設の一部出入口

  • 理由:電源が取りにくい場所でも対応可能/安全配慮型の出入口として活用
  • 例:校舎裏門、体育館通用口、給食搬入エリアなど
  • 保守管理:教育現場では「単純で壊れにくい構造」が好まれる傾向

▶ 子どもが使う場面でも、荷重調整により対応可能です。


5. 電気使用量を抑えたい施設(脱炭素・SDGs対応)

  • 理由:脱炭素化、電力ピークカット、カーボンニュートラル対応の一環
  • 例:ゼロエネルギービル(ZEB)、エコキャンパス、環境配慮型店舗など
  • PR効果:“エネルギーに頼らないテクノロジー”として、企業姿勢を示す装置にもなり得る

▶ 見た目にも「環境配慮を伝えるメッセージ」として機能するのが特徴です。


向いていない場所や条件もある

一方で、無電源ドアの特性上、不向きな場所も存在します。以下は導入を再検討すべき代表例です。

条件なぜ不向きか
通行量が極端に多い場所連続して開閉を繰り返す場面では、荷重式では対応しきれないことがある
短時間での大量通過が必要な入口開閉のタイミングが人によって異なるため、タイムラグが生まれる可能性
車両や台車の出入りが多い場所踏板の反応が鈍くなる/破損リスクがある
極寒地域・凍結リスクがある外部設置踏板や機構部が凍結し、動作が妨げられる場合がある
常時開放を前提とする施設(例:コンビニなど)自動的に開閉する意味がない/むしろ手動や自動開放の方が適している場合もある

利用者別:荷重式に適した人、そうでない人

施設の性質だけでなく、「誰が使うか」も重要な判断軸です。

利用者層適性
健常な成人◎ 問題なく使用可能
高齢者(杖使用)◯ 荷重が踏板にうまく伝われば問題なし/調整次第で対応可能
車椅子利用者△ タイヤの位置や通行角度によっては反応しにくい可能性/試験導入・検証を推奨
小さな子ども△ 荷重不足の可能性あり/複数人通過時には注意
ペット・動物× 反応しない/別途安全対策が必要

【適ドア適所】とは何か?判断基準を言語化する

本記事で提唱する「適ドア適所」とは、次のような問いへの答えを持つことを意味します:

  1. “なぜその場所に自動ドアが必要なのか?”
  2. “誰が、どのように使うのか?”
  3. “停電や災害時、そのドアが機能停止しても問題ないのか?”
  4. “構造的に荷重式がフィットする環境か?”

この4点を自問しながら検討することで、「とりあえず自動ドア」ではなく、最も機能と目的が一致した“ドアの選択”が可能になります。


次のセクションでは、こうした選択肢をより明確にするために、「電動式 vs 無電源」の違いを比較表で整理していきます。
これにより、現場ごとの適合性を可視化し、“納得できる判断”につながるはずです。


「H2-5 電動式と無電源、どちらが正解?“適ドア適所”で見る比較表」の本文を、ただいまよりご提供します。

電動式と無電源、どちらが正解?“適ドア適所”で見る比較表

自動ドアを導入する際に、多くの施設担当者や建築設計者が悩むのが「電動式にするべきか?」「無電源式で十分か?」という選択です。
一見すると、電動式の方がハイテクで万能に見えますが、実際には利用シーン・利用者・設置環境によって、最適解が大きく変わってくるのが現実です。

このセクションでは、両者の特徴を比較しながら、「適ドア適所」の視点で選びやすくするための判断材料を整理していきます。


一目でわかる!比較表

項目電動式自動ドア無電源(荷重式)自動ドア
動力源電気(モーター)人の荷重(体重)
開閉の方式センサー感知で自動開閉踏板に荷重がかかると開く
停電時の対応多くは動作不可(手動切替必要)そのまま動作可能
誤作動リスクセンサー感知ミス、暴風時の誤開閉など機械的動作のため誤作動ほぼなし
設置条件電源・配線・制御盤スペースが必要踏板スペース、床下構造が必要
メンテナンス電気部品(センサー・基板・モーター)の点検が必要機械部品(リンク・踏板・バネ)の点検が必要
バリアフリー対応車椅子や杖でも反応可能荷重が伝われば可能(調整必要)
設置コスト工事内容によって変動(配線工事が負担)電気工事不要だが土間加工が必要な場合も
ランニングコスト電気代、部品交換費用あり電気代ゼロ、摩耗部品交換のみ
環境配慮通常の電力使用電力ゼロ=脱炭素・SDGs対応

判断軸で読み解く「選び方」

比較表を見るだけでは、どちらが良いか迷ってしまうこともあると思います。
ここからは、現場の意思決定に役立つ「判断軸」を設定し、それぞれの軸における適性を見ていきましょう。


1. 停電や災害リスクがあるか?

  • ✅ Yes → 無電源式が圧倒的に有利
    電気が止まっても確実に作動するため、「人命を守るインフラ」として強い信頼性があります。
  • ⛔ No → 電動式でも問題なし
    BCPより利便性や見た目を重視する場合、センサー式の方が適するケースも。

2. 利用者は誰か?(高齢者・子ども・障がい者など)

  • ✅ 幅広いユーザー → 荷重設定と踏板設計に注意が必要(無電源式)
    JIS適合品を選ぶことで、バリアフリー対応も可能。ただし慎重な現地検証が望ましい。
  • ✅ 確実な反応が必要 → 電動式が安心
    センサー調整で反応精度を高められる。

3. 設置場所に電源があるか?取れるか?

  • ✅ 電源なし → 無電源式が有利
    配線不要で、リニューアル現場や仮設にも適しています。
  • ⛔ 電源が確保しやすい → どちらでも可能
    設置費と工事期間の比較で判断。

4. 環境への配慮をアピールしたいか?

  • ✅ Yes → 無電源式が“脱炭素メッセージ”として機能
    ZEBやSDGsに関連づけやすく、企業イメージ向上に貢献。

5. 開閉頻度が多い/連続通行が多いか?

  • ✅ Yes → 電動式の方が高頻度対応に強い
    モーター制御により連続稼働が可能。荷重式は間を空けた通行が基本設計。

導入前の「現地確認チェックリスト」

以下は、無電源自動ドアの導入を検討する際に、最低限確認すべきポイントをリスト化したものです。

  1. 踏板の設置スペースは確保できるか?
  2. 荷重がしっかり伝わる床構造になっているか?
  3. 排水処理・清掃がしやすい環境か?
  4. 想定利用者の体重は最低荷重を満たしているか?
  5. 車椅子やベビーカー通行時の反応確認はできたか?
  6. 周辺施設とのバリアフリー整合はあるか?

これらの項目を丁寧にチェックすることで、**「後からトラブルになる導入」**を防ぐことができます。


次のセクションでは、この記事全体をまとめるとともに、「自動ドアに電気は本当に必要か?」という本質的な問いに立ち返り、選定における思考のヒントをお届けします。
導入判断の背後にある“哲学的な視点”も含めて、納得感ある選び方を提案します。

まとめ:自動ドアに電気は必要か?という問いの先へ

「自動ドア」と聞いて、ほとんどの人が無意識に「電気で動くもの」と思い込んでいます。
確かに、センサーが人を感知して、モーターで滑らかに開閉する電動式は、現代社会の標準として広く普及しています。

しかし今回ご紹介した「無電源自動ドア」は、その常識を根本から見直す存在です。
人の荷重を利用するというシンプルな仕組みで、電気を一切使わずに“自動的に”ドアを開閉するこの構造は、単なる代替案ではなく、使い方次第では最適解となるドアです。


「電気が必要か?」ではなく、「この場所に最適か?」で選ぶ

自動ドア選定の本質は、「ハイテクかローテクか」「最新か古典か」ではありません。
重要なのは、そのドアが“誰のために” “どんな状況で”使われるのか、そしてそのときに“最も安心で、最も合理的な構造”であるかどうかです。

たとえば、

  • 停電時にも使えることが生命線になる場所
  • 高齢者や子どもにとっての安全性が最優先される場所
  • 環境負荷を下げること自体が施設運営の目的である場所

こうした場面においては、電気式よりも「無電源」の方が“正解”になりうるのです。


無電源だからこそ実現する、3つの安心

改めて、無電源自動ドアが提供する価値は、次の3つの「安心」に集約されます。

1. 非常時の安心(停電・災害対応)

  • 電力インフラが停止してもドアが機能し続ける
  • 閉じ込めリスクを根本から排除
  • 非常用電源の設置が困難な施設でも選択可能

2. 日常の安心(機械的な信頼性)

  • 電子部品に頼らないことで誤作動や故障が少ない
  • 動作が穏やかで、安全設計が標準搭載
  • 踏板に乗っていれば閉まらないなど、明確なルールで動作

3. 環境への安心(脱炭素・電力削減)

  • 運用時の電力ゼロ
  • CO₂排出削減に直接貢献
  • エコ建築やSDGs施策との親和性が高い

「適ドア適所」という考え方が、導入後の満足度を決める

私たちが提案するのは、「電動 or 無電源」の二者択一ではありません。
あくまで「その場所に最も合ったドアを選ぶ」という、“適ドア適所”の思想です。

  • 高頻度の通行には電動式を
  • 停電リスクが高い避難所には無電源式を
  • 利用者層に応じて反応荷重を調整できるようにする
  • 導入前に“使う人と環境”を具体的に思い浮かべて判断する

こうした丁寧な選定プロセスが、「導入したけど使いにくかった…」「思ったより反応しなかった」といった**“後悔のない導入”**につながります。


読者の皆さまへ

この記事を通して、無電源自動ドアの仕組み・メリット・注意点・選定基準を一通りご理解いただけたかと思います。
もし今、あなたの施設やプロジェクトで「自動ドアの選定」をご検討中であれば、一度立ち止まって次の質問を自分に問いかけてみてください:

「この場所に求められているドアの条件は何か?」

「それに本当に応える構造は、電動なのか?無電源なのか?」

その問いに対して、納得のいく答えが出たとき、あなたの選択は間違いなく“最適なドア選び”になるはずです。



【適ドア適所】にそった「まとめ」

無電源自動ドアは、従来の電動式自動ドアとは異なり、「電気を使わずに人の荷重で開閉する」という特異な構造をもっています。
そのため、「電気が不要=すごい」「エコだから無条件で良い」という単純な評価ではなく、設置する場所・使う人・使われる状況に応じて最適かどうかを見極める必要があります。

このように、すべての自動ドアは万能ではなく、**「ドアにも適材適所がある」=“適ドア適所”**という視点が不可欠です。

  • 「電気が取れないから」だけではなく、「その場所に最適だから」無電源を選ぶ
  • 「電動式の方が高性能だから」ではなく、「その場に必要な性能かどうか」で選ぶ

自動ドアは、ただの設備ではなく「人の行き来を支える装置」です。
その意味で、人・場所・目的に最もフィットしたドア選びこそが、真の“安心”と“納得”を生むのです。


【出典・参考】

地震など長期停電でも、止まらず動く
「事故が全くおきない」国も認めた安全自動ドア
アナログの特許構造で壊れないから修理費も0円

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