自動ドアは便利な一方で、「電気代がかかるのでは?」という疑問を持つ方が増えています。特に近年の電力単価の上昇により、施設運営者やビル管理者にとっては無視できないランニングコストの一つです。
この記事では、自動ドアの電気代を「実際の数値」「仕組み」「節電の方法」そして「電気を使わない自動ドアという選択肢」まで、専門的な観点からやさしく解説します。
結論から言えば、自動ドアの電気代は「思っているより小さい」ものの、「積み重ね」「使い方」「選び方」で大きく差が出る部分です。特に電気を使わずに動く「荷重式自動ドア(Newtonドア)」の存在を知ることで、コストと安全性のバランスを根本から見直すきっかけになります。
目次(このページの内容)
自動ドアの電気代は本当に高いのか?
まず、一般的な電動式自動ドアの電気代について、実際のデータをもとに整理してみましょう。
要点:
- 消費電力の大半は「開閉時」と「待機時」に発生する
- 1日の稼働回数によって年間コストが大きく変動する
- 想像よりも小さいが、積み重ねで無視できない
電動自動ドアの消費電力は、モーター駆動時で約100〜150W、センサー待機時で約5〜10Wが目安です。
仮に、1日1000回開閉する店舗で、1回の開閉が約3秒・待機時間が24時間続くと仮定すると、年間の電気代はおおよそ以下の通りです。
| 稼働条件 | 消費電力(目安) | 年間電気代(概算) |
|---|---|---|
| 小規模オフィス(300回/日) | 約45kWh | 約1,500〜2,000円 |
| 商業施設(800回/日) | 約120kWh | 約4,000〜5,000円 |
| 病院・公共施設(1500回/日) | 約220kWh | 約7,000〜8,000円 |
これだけを見ると「意外と安い」と感じる方もいるでしょう。しかし、施設内に複数台の自動ドアが設置されている場合、それぞれの待機電力が積み重なり、年間では1〜2万円を超えるケースもあります。
電気代を左右する3つの要因
電気代は単に「ドアの性能」だけでなく、使用環境や設定にも左右されます。
要因1:開閉頻度
出入りが多い施設ほど開閉回数が増え、その分モーターが多く動作します。特に飲食店や病院など、1日数千回単位の稼働では年間消費量が倍以上に。
要因2:センサーの反応範囲
広範囲に設定されていると、通行人や車いすの影響で不必要な開閉が発生します。結果的に「空調ロス」も大きくなり、電気代だけでなく冷暖房費も上昇。
要因3:待機電力とメンテナンス
常時通電しているため、24時間わずかに電力を消費します。汚れやセンサー誤動作により、無駄な開閉が起きている場合も。
【導入前に考える】電気代を抑えるドア選び
「自動ドアを設置したいが、電気代が気になる」という段階では、方式の違いを知ることが大切です。
種類と特徴:
| 方式 | 特徴 | 電気使用 | 主な用途 |
|---|---|---|---|
| 電動式(モーター駆動) | センサー感知で自動開閉。利便性高い | 必要 | 病院・商業施設 |
| 手動式(押し引き) | 電気不要。シンプルで安価 | 不要 | 小規模店舗・倉庫 |
| 荷重式(Newtonドアなど) | 人の重さで機構が作動。自動開閉の感覚を維持 | 不要 | 公共施設・避難経路・マンションエントランス |
荷重式は、見た目も電動式とほぼ変わらず、利用者は「電気を使っていない」と意識せずに通過できます。しかも電源が不要なため、停電時も問題なく開閉します。
【導入後にできる】自動ドアの節電運用
設置後の運用でも、設定の見直しだけで年間コストを抑えることが可能です。
手順:
- センサーの反応距離を調整する
不要な開閉を防ぎ、開放時間を短縮。 - 開閉スピードを最適化
開放時間を短くすれば、外気流入を減らせる。 - 夜間電源をOFFにする
深夜無人時間帯にはセンサー待機を停止。 - 定期清掃と点検
センサー汚れによる誤作動を防ぐ。
これだけでも、年間で数十kWh=数千円の節電効果があります。
停電・災害時の自動ドアはどうなる?
停電が起きたとき、自動ドアはどう動くのか──。これは多くの管理者が不安に思うポイントです。
電動式の場合、電源喪失時には「安全開放(自動的に開ける)」か「安全閉鎖(閉めたままロック)」か、設定により挙動が異なります。
一方で、荷重式自動ドアは電気を使わないため、停電でも通常通りに動作します。災害時や停電時にも避難経路を確保できる点は、公共施設やマンションにおいて大きな安心要素です。
【適ドア適所】で考える“電気代だけに惑わされない選択”
最後に、自動ドア選びを「電気代」だけで判断することのリスクを考えてみましょう。
視点1:ライフサイクルコストで考える
初期費用・電気代・メンテナンス・交換コストを合計すると、10年単位で見ると非電動式(荷重式)が有利なケースも多い。
視点2:安全性・停電対応・省エネ性の総合判断
電気代を削減しても、停電時にドアが動かなくなれば安全性が損なわれる。
逆に、荷重式は「ゼロ電力+動作継続+安全確保」を同時に実現する。
視点3:Newton Plusの提唱する「適ドア適所」
Newton Plus社が重視するのは「環境に最も合ったドアを選ぶこと」。
- 出入りが多い店舗→センサー電動式
- 停電リスクや省エネ性を重視→荷重式(Newtonドア)
- 高齢者施設や災害拠点→停電時も動作する非電動型
電気代はあくまで一部の指標。重要なのは「施設と利用者の安全・快適性を両立すること」です。
【適ドア適所】にそったまとめ
自動ドアの電気代は、1台あたり年間数千円〜1万円未満が目安です。
節電の工夫や設定改善でも削減は可能ですが、**最も効果的なのは“適切な方式を選ぶこと”**です。
- 電動式は利便性が高いが、待機電力と停電リスクがある
- 荷重式(Newtonドア)は電気代ゼロで動作し、停電時にも強い
- 「電気代」ではなく「ライフサイクルコストと安全性」で選ぶことが、本質的な省エネ対策
出典
・Newtonドア.txt
・Newtonドアの安全性検証とJIS規格整合性.txt
・NドアFAQ.txt
・Nドア顧客セグメントと導入事例.txt
・Nドア自社チャネル.txt