自動ドアが「ピーピー」と鳴る音。普段は気にも留めないような小さな音かもしれませんが、それが何分も何時間も続けば、利用者にとってはストレスの元にもなり得ます。そして、何より気になるのが「この音、放っておいて大丈夫なのか?」という不安。今回は、自動ドアが鳴る理由とその背景にある仕組み、そしてどう対処すべきかを、現場視点と専門知見を織り交ぜて徹底解説していきます。さらに、記事後半では「こうした通知音そのものが不要な設計の自動ドア」についても触れていきます。
目次(このページの内容)
そもそも「ピーピー音」は何を知らせているの?
Q: 自動ドアの「ピーピー音」にはどんな意味がある?
A: 多くの場合、それは何らかの「異常状態」や「注意喚起」を知らせるための警告音・通知音です。
要点:音の存在=自動ドアが異常を検知している証拠
自動ドアの「ピーピー音」は、無意味な音ではありません。メーカーごとに仕様は異なりますが、基本的にこれは「自動ドア自身が何か異常を検知した」ことを、周囲に伝えるためのサインです。具体的には、以下のような意味を持つことがあります。
パターン1:センサーが常に反応し続けている
センサーの前に常時人や物がある、あるいは誤反応している場合、ドアは常に開閉を続ける状態になります。その結果、制御基板が「正常な開閉動作ができていない」と判断し、エラーとして音を発するケースがあります。
パターン2:内部的なエラーや故障を検知している
ドアの動作を制御する基板やモーターに異常があると、内部でエラーコードを出力し、それに連動して音が鳴る仕様になっている場合があります。これは「早く点検してほしい」というドアからのSOSです。
パターン3:開閉を妨げる何かがある
物理的に扉の開閉が妨げられている(障害物、ドアレールの異物、ガイドローラーのズレなど)ときも、「ピーピー」といった警告音が鳴ることがあります。この場合、音を止めるためには原因物を取り除く必要があります。
なぜ誰もいないのにピーピー鳴る?よくある原因リスト
Q: 人がいないのに音が鳴るのはなぜ?
A: 多くの場合は「センサーの誤反応」や「扉周辺の物理的な問題」が原因です。
原因1:センサーの誤反応
自動ドアのセンサーは、赤外線やマイクロ波を用いて人の動きや存在を検知しています。しかし、これらのセンサーは非常に敏感であるため、以下のような状況でも反応してしまうことがあります。
- センサーに虫が止まっている
- 近くの反射物(鏡、ガラス、車のボディなど)が光を反射
- 風に揺れる植栽や垂れ幕が検知範囲に入っている
- ゴミや埃がセンサー表面に付着し、誤作動を引き起こしている
原因2:扉の開閉途中で引っかかり
自動ドアの開閉が途中で止まると、ドアは「異常」と判断し、音で知らせることがあります。引っかかりの原因は、以下のようなものが多いです:
- ドアレールの中に小石や砂が溜まっている
- ガイドローラーの歪み
- 建物の歪みによる扉とフレームの擦れ
原因3:障害物による動作停止
目視では気づきにくいですが、ドアの下部や上部の隙間に異物が挟まっているケースもよくあります。特に店舗前の落ち葉やゴミなどが風で運ばれてきて、動作の邪魔をすることがあります。
原因4:制御盤の異常
制御盤内の電子部品やリレーの不具合も、原因の一つです。これは経年劣化や水気(結露など)が原因となって発生することが多く、部品交換や点検が必要になります。
自分でできる確認・対処法は?
Q: 業者を呼ぶ前に、自分で確認できることはある?
A: はい。センサーや扉の周囲を簡単にチェックすることで、音の原因が特定できる場合があります。
確認1:センサー周辺の清掃とチェック
まずは最も簡単にできる対応から。センサー部分にゴミやホコリ、虫の死骸などが付着していないかを確認し、軽く拭き取ってください。乾いた布でやさしく拭くのが基本ですが、センサーのレンズが曇っている場合はメガネクリーナーなども使えます。
**ポイント:**センサーの反応が過敏になっていた場合、これだけで音が止まることもあります。
確認2:扉の動き・障害物の有無を目視チェック
ドアの開閉時に引っかかる様子がないか、またはドアレールの中に異物が落ちていないか確認しましょう。とくに業務用の自動ドアでは、荷物搬入時に包装ゴミなどが挟まっていることもあります。
チェックする場所の例:
- ドアの上部レール
- ドア下部のガイドレール
- ドア周囲の壁や床面
確認3:一時的なリセット(電源OFF→ON)
制御基板に一時的なエラーが発生している場合は、主電源をいったん落としてから数秒後に再投入することで、リセットされて音が止まることがあります。ただし、制御盤の扱いに慣れていない場合や、感電の危険がある場合は絶対に無理をしないようにしてください。
注意: ここでの電源操作は「リセット」という意味で、根本的な故障を解決するものではありません。再発する場合は業者に相談を。
注意点:絶対に無理をしない
自動ドアは電気製品であり、モーターや制御基板には高圧がかかっている部分もあります。素人判断で分解したり、配線に触れたりすると感電や火災のリスクも。手が届く範囲で確認し、それでも原因が分からない場合は、無理せず専門業者に相談するのが安全です。
放置しても大丈夫?それとも危険信号?
Q: ピーピー音は放っておいても問題ないの?
A: 放置すべきではありません。自動ドアにとっての「ピーピー音」は、異常検知のアラートであることが多く、早めの対応が重要です。
判断基準:こんな症状があると要注意
- 音が数時間以上止まらない
- ドアの開閉に時間がかかる、途中で止まる
- センサー反応にズレを感じる
- 音が以前と違うパターンで鳴る(間隔・高さ)
こうした症状がある場合は、単なる誤作動ではなく、機械的な不具合や経年劣化の可能性が高まります。早期に点検・修理することで、大きなトラブルを防げます。
利用者のストレスや印象も見逃せない
とくにオフィスビル、クリニック、店舗などで自動ドアの音が鳴り続けていると、訪問者や利用者にとって不快感や不安感を与える原因になります。
- 「なんか壊れてるみたいで不安…」
- 「この会社、大丈夫かな…」
というように、無意識のうちにネガティブな印象を持たれてしまうことも。施設の印象管理の観点からも、音の放置は避けたいところです。
業者を呼ぶべきタイミングとポイントは?
Q: 自分では止められない場合、どのタイミングで専門業者に依頼すべき?
A: 以下の3つの基準に該当する場合は、早めに業者へ連絡するのが安心です。
判断基準1:音が止まらない/リセットしても再発する
もっとも明確な基準が「何をしてもピーピー音が止まらない」という状態です。清掃や電源リセットを試してもすぐに再発する場合は、内部的な故障やセンサー自体の不具合が疑われます。
判断基準2:開閉動作に異常がある
ドアの動作に以下のような症状が見られた場合、制御システムや機械的構造に問題が発生している可能性があります:
- 開きっぱなしになる/閉じっぱなしになる
- 開閉の途中で引っかかる
- 動作音が以前より大きい・異音がする
このような動作異常と「ピーピー音」がセットになっているときは、要注意サインです。
判断基準3:定期点検を長らく受けていない
自動ドアも他の設備と同様、定期点検が必要です。設置から年数が経っていたり、最後のメンテナンスから1年以上空いていたりする場合、内部の摩耗や電子部品の劣化によってエラーが発生しやすくなります。
目安:
- 年1回の点検を推奨(高頻度で使う施設なら半年に1回)
- 音が出たのをきっかけに、点検を依頼するのも有効
【専門視点】実はこういう音がない自動ドアもある?
Q: 「ピーピー音」が鳴らない自動ドアなんてあるの?
A: はい。実は「エラー音が不要な仕組み」を持つ、まったく異なる構造の自動ドアも存在します。
荷重式自動ドアは音による通知が不要
多くの自動ドアが「電気式」「センサー式」であるのに対して、「荷重式自動ドア(Newtonドア)」は電気を使わずに、人が乗ったときの荷重によって開閉する機械式の構造です。
その結果:
- 電気的なセンサー誤作動が起こらない
- エラーコードのような電子的トラブルがない
- モーターや基板がないため、音で異常を知らせる必要がない
つまり、「ピーピー音」が鳴るような異常検知そのものが設計上存在しません。
電源トラブルとも無縁な構造
- 停電でも動作する
- 自然災害時も機能する
- 誤作動によるドアの停止が起きない
こうした特徴により、病院・高齢者施設・自治体施設・災害拠点など「常に確実に動作すること」が求められる場所で注目されています。
【適ドア適所】の考え方で選ぶことが重要
すべての自動ドアが荷重式である必要はありませんが、「音がストレスになる」「誤作動が頻発して困る」「メンテナンスコストを抑えたい」といったニーズがあるなら、荷重式という選択肢が根本解決につながる場合もあります。
【適ドア適所】にそったまとめ
自動ドアが「ピーピー鳴る」理由とは?
自動ドアの「ピーピー音」は、基本的には何らかの異常や注意喚起を知らせるサインです。センサーの誤作動、ドアの引っかかり、障害物、制御盤のエラーなど原因は多岐にわたります。
特に誰もいないのに鳴る場合は、センサーの誤反応や内部エラーが疑われます。
自分で確認できること、やっていいこと
- センサー周辺の簡易清掃
- ドアレールや周囲の障害物チェック
- 電源リセット(可能な場合)
無理な対応や機械内部の操作は避け、原因が分からない・再発する・動作異常がある場合は専門業者に相談を。
放置のリスクと業者を呼ぶべきタイミング
「鳴ってはいるけどドアは動くから」と放置していると、部品劣化や利用者の不安感、施設の印象低下につながることもあります。再発・異音・開閉の違和感がある場合は、早めの点検が安心です。
音の出ない自動ドアもあるという選択肢
今回の主題でもある「ピーピー音」は、電気制御による自動ドア特有のものです。荷重式自動ドア(Newtonドア)のように、そもそも電源を使わない機械式であれば、こうした通知音の問題自体が発生しません。
つまり「音を止める」よりも、「音が鳴らない自動ドアを選ぶ」という根本解決が可能な場合もあります。
【出典情報・参考資料】
- Newtonドア(荷重式自動ドア)製品資料
- 自動ドアのセンサー構造と誤作動パターン(JIS規格準拠資料)
- NドアFAQ集・導入事例資料(自治体・マンション)
- Newtonプラス公式サイト:https://newton-plus.co.jp