自動ドアといえば、開いたと同時に「ピンポン」と音が鳴る――そんな光景を見たことがある方は多いのではないでしょうか。
でも、この音が「どこから鳴っているのか?」「なぜ鳴るのか?」「うるさいときはどうすればいいのか?」といった点は、意外と知られていません。
この記事では、自動ドアから聞こえる「ピンポン音」の正体をはじめ、仕組み、制御の方法、後付け設置の可否、さらに電気を使わない“自然派”の選択肢まで、店舗オーナー・施設担当者の視点から丁寧に解説していきます。
目次(このページの内容)
「ピンポン音」って、どこから鳴っているの?
Q: 自動ドアの「ピンポン音」って、ドア本体が鳴らしてるんですか?
A: 実は多くの場合、「自動ドア本体」とは別のチャイムユニットやセンサーに組み込まれた通知音機能が鳴っています。
手順:鳴る仕組みの基本構造
「ピンポン音」は、以下のような構成で鳴る仕組みになっています:
- 人を検知するセンサー:
入口付近に設置された赤外線センサーやマットスイッチが、人の動きを感知します。 - センサーが信号を送信:
感知されると、センサーは信号を制御盤(またはチャイムユニット)に送ります。 - チャイムユニットが音を発する:
この信号により、ピンポン音が鳴ります。自動ドアの開閉とは別経路で動作することも多く、チャイムだけが鳴るよう設定も可能です。
注意点:すべての自動ドアに付いているわけではない
- チャイム音は、自動ドアの標準装備ではない場合も多く、後付けで設置されていることも一般的です。
- 店舗などの「来客通知」を目的とした設置が主で、防犯・接客の補助として使われています。
現場あるある:「うちは鳴らないけど…?」
実は多くの事業者が、開業後しばらくしてから「やっぱりチャイムがほしい」と思うケースが多くあります。理由はシンプルで、「ドアが開いたのに誰が来たかわからない」「スタッフが気づかない」「万引き防止にしたい」などです。
こうしたニーズに応える形で、簡単に設置できる「来客センサー付きチャイム」が数多く販売されています。
つまり、「ピンポン=自動ドア本体の機能」ではなく、「周辺装置による追加機能」として認識しておくのが正解です。
自動ドアと連動している場合、どういう仕組み?
Q: 自動ドアとピンポン音って、一緒に動いてるように見えるけど?
A: はい、連動しているケースもあります。ただし、仕組みは施設ごとに異なります。
根拠:信号制御の基本構造
連動させるための仕組みは次の通りです:
- 共通のセンサーが「人の接近」を感知
- **制御盤(コントローラー)**がその信号を受ける
- 信号を2方向に分岐:
- ① 自動ドア開閉信号へ
- ② チャイムユニットの起動信号へ
つまり、1つのセンサーが複数の動作を引き起こすのです。
注意点:連動方式はドアメーカーや現場の設計次第
- 大手の電動式自動ドアメーカーでは、チャイム出力端子が制御盤に備わっていることもあります。
- 一方で、現場で後付けされたシステムでは、センサーとチャイムが独立して動作することも多いです。
- センサー出力は「無電圧接点」や「電源付き出力」などがあり、選定ミスによる誤作動や鳴らないトラブルも。
実務的視点:設計段階で意識すべきこと
- チャイムを鳴らす目的は何か?
→ 来客通知/防犯/入退出記録など目的によって設置方法が変わる - 一体型にするのか、独立型にするのか?
→ 初期工事で済むなら一体型も便利。ただし後付けなら独立型が主流 - 電源方式の確認:
→ 電池式/コンセント/ドア制御盤から供給など、配線計画も重要
「音がうるさい」と感じたら? 消音・音量調整はできる?
Q: ピンポン音、ちょっと大きすぎるんですが…調整できますか?
A: 多くの製品で「音量調整機能」や「消音モード」が搭載されています。
要点:製品によって制御方法が異なる
- シンプルなチャイムでは、裏面に音量調整ダイヤルがついています。
- 高機能型では、時間帯ごとに音を切る設定(ナイトモードなど)がある場合も。
- 「メロディ選択機能」が付いており、柔らかい音に変更できるタイプもあります。
手順:実際の設定方法(例)
- チャイムユニットを開ける(電池ケースの横にボタンがある)
- 「音量」「音色」「動作モード」の切替ボタンを順番に操作
- 一部はリモコン付きで遠隔操作が可能
注意点:以下のケースでは調整できない可能性も
- 旧式のモデル(とくに有線型)では音量固定タイプも存在
- 機能なしの簡易型センサーでは、音のON/OFFのみしかできない場合がある
- 電源連動型では、電源が常時オン=鳴動も止められないケースも
現場事例:静かな施設での活用
- 高齢者施設では「チャイム音がストレス」という意見が多く、振動やLEDで通知するセンサーに切り替える例も。
- 美容室・静かなサロンなどでは「昼間は音ON、夜はOFF」という2段階設定が効果的。
「ピンポン」は後付けできる? 配線工事は必要?
Q: 自動ドアにピンポン音を付けたいんだけど、後からでもできますか?
A: はい、後付けは可能です。現在は工事不要で導入できる選択肢も豊富です。
要点:センサーとチャイムは「独立機器」が主流
- 市販されている来客チャイムは、ほとんどが自動ドアと連動させなくても動作する独立型
- 赤外線センサーとチャイムがセットになっており、人を検知すると音が鳴る仕組み
比較:導入タイプ別の特徴
| 種類 | 電源方式 | 工事の必要性 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| ワイヤレス型(電池) | 単三/単四電池 | 不要 | 工事不要・手軽に設置可 |
| 有線型(コンセント) | AC100V | 最小限 | 安定動作・配線が必要 |
| ドア制御盤連動型 | ドア本体から供給 | 配線工事が必要 | ドアと完全連動・導入難度高 |
導入の流れ(ワイヤレス型の例)
- センサー部をドア横の壁面に設置(両面テープ・ビス止め)
- チャイムユニットを店内の聞こえやすい場所に設置
- センサーとチャイムのペアリングを完了
- テスト動作 → 実運用へ
メリット・デメリット
| 観点 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| ワイヤレス | 工事不要・価格が安い | 電池切れ注意・感度にバラつきあり |
| 有線型 | 安定・反応が早い | 配線が見える・工事が必要 |
| 連動型 | ドアと一体感がある | 初期設計が重要・高コスト |
電気を使わずに「入店通知」できる仕組みってあるの?
Q: 停電しても鳴るチャイムってありますか?
A: はい、「電気を一切使わずに動くチャイム」が存在します。その代表例が、**Newtonドア(荷重式自動ドア)**です。
仕組み:人が乗ることでチャイムが鳴る「アナログの知恵」
Newtonドアとは、「床に荷重がかかることで自動で開く」タイプの非電動ドアです。
このドアの最大の特徴は、電気を一切使わずにドアが開閉すること。
そして、さらにここに「機械式チャイム(ベル)」を組み合わせることで、人が通る → ドアが開く → ピンポン音が鳴るという完全な“電気不要型の通知システム”が成立します。
利点:電気不要がもたらす3つの安心
- 停電時にも作動する
→ 災害時でも確実に開く、鳴る - ランニングコストゼロ
→ 電気代もバッテリーも不要、環境負荷もゼロ - 誤作動がない
→ 電子制御ではないため、「鳴らない」「鳴り続ける」などのトラブルと無縁
活用場面:自然でやさしい通知が求められる現場に最適
- 観光施設:電気が使えない文化財など
- エコ施設/ゼロエネルギー建築
- 高齢者向けの住宅やデイサービス施設:電気機器のトラブルを減らしたい
- 自治体の防災対応型の公共施設
注意点:音のバリエーションは限定的
- メロディー選択などはできず、鳴るのは「チーン」というシンプルなベル音
- 音量も調整不可(ただし優しい音質で、不快さは少ない)
【適ドア適所】現場の目的に合わせて「鳴らし方」を選ぼう
自動ドアの「ピンポン音」――一見シンプルな仕組みに見えて、実はその背景には多様な選択肢と設計意図が存在します。
適ドア適所の視点から見た「チャイム付き自動ドアの選び方」
| 使用環境 | 推奨タイプ | 理由 |
|---|---|---|
| コンビニ・ドラッグストア | 電動式+センサー式チャイム | 来客頻度が多く、通知精度が重要 |
| 静音を求めるサロン・医院 | 音量調整可能なチャイム | 環境音への配慮が必要 |
| 自然との共生を重視する施設 | Newtonドア+機械式ベル | 電気不要、安心・安全で永続性が高い |
| 災害時の非常口・避難導線 | 荷重式ドア(Nドア) | 電源がなくても動作・鳴動する |
| 高齢者・障害者施設 | 明瞭な通知音+誤作動防止設計 | ストレスなく、安全性を高めるため |
要点まとめ
- 「ピンポン音」は、自動ドアそのものではなく、センサーやチャイムユニットによって鳴っている
- 目的や環境によって、「どんな音が必要か」「そもそも音が必要か」は変わる
- 電気を使わない「荷重式×機械式チャイム」は、最もシンプルで信頼性の高い仕組み
- 検討の際は、**導入のしやすさ(後付け)**だけでなく、長期運用・トラブル対策も視野に入れると安心
あなたの施設や店舗にとって、「本当にちょうどいい“音の鳴り方”」とは何か?
それは、単に音が鳴るかどうかではなく、その音が「なぜ必要なのか」「どんなタイミングで役に立つのか」によって決まります。
ピンポン音ひとつにも、“適材適所”がある。
それを見極める視点を持つことが、最終的に快適で安全な空間づくりへとつながっていきます。
❓FAQ(よくある質問)
Q: 自動ドアの「ピンポン音」はどのような仕組みで鳴るの?
A: センサーが人の動きを検知すると、その信号がチャイムユニットに送られ、音が鳴ります。ドア本体とは別の仕組みです。
Q: 「ピンポン音」がうるさい場合、音量を下げることはできますか?
A: はい。音量調整や消音モードがある機種もありますが、製品によってはできない場合もあります。
Q: 後からピンポン音を鳴らす装置を取り付けることはできますか?
A: はい、後付け可能なセンサー付きチャイムが市販されています。配線不要なワイヤレス型もあります。
Q: 自動ドアとチャイムは必ず連動していないといけませんか?
A: いいえ。独立して動作するタイプが一般的です。連動タイプは初期設計や追加配線が必要になります。
Q: 停電時でも鳴るチャイムはありますか?
A: はい、Newtonドアのような荷重式自動ドアに機械式チャイムを組み合わせれば、電気を使わず音を鳴らすことができます。
Q: 電池式のチャイムはどのくらい電池が持ちますか?
A: 製品によりますが、1日数十回程度の使用で半年~1年程度持つ設計が多いです。
Q: 音の種類を変えることはできますか?
A: メロディー選択機能がある機種では可能です。ただし機械式チャイムでは変更できません。
Q: 自動ドアを開けずに「音だけ鳴らす」設定もできますか?
A: 一部のチャイムは、センサーが人を感知してもドアは動かず、音だけを鳴らすことができます。
📚出典情報
- 自社ナレッジベース:「Newtonドア」「NドアFAQ」「Nドア導入事例・セグメント資料」
- 自社技術資料:「Newtonドアの安全性検証とJIS規格整合性」
- 公開資料:「Nドア チラシ(マンション・自治体向け)」
- 公開情報:「自動ドアとセンサーの連動設計」(機器メーカー公式サイトより)
- その他公開資料:「人感センサー付きチャイム製品仕様」など