自動ドアと聞くと「電気で動くドア」だけを思い浮かべる人が多いかもしれませんが、それと同じように「店舗設計」と聞くと、つい「専門資格が必須なんじゃないか?」と思ってしまう方も多いでしょう。しかし実際のところ、店舗設計の現場では、必ずしも資格を持っていなくても活躍している人がたくさんいるのです。

この記事では、そんな「資格がなくても始められる?」「何の資格が必要?」「どんなキャリアにつながる?」といった疑問をお持ちの方に向けて、店舗設計に関わる資格の役割と、無資格でもできる仕事や現実的なキャリアのつくり方を詳しく解説していきます。


目次(このページの内容)

店舗設計に資格は必要?まず押さえておきたい前提

問いかけ: 店舗設計の仕事をするには、やっぱり資格が必須なんでしょうか?
答え: 一部の業務では必要ですが、ほとんどの実務では「資格がなくても対応できる範囲」が広く存在します。


根拠:建築士の独占業務と設計提案の違い

まず整理しておきたいのは、建築基準法における「設計」の意味です。法律上の“設計”とは、建物の構造・安全性・防火・避難など、命や安全に関わる設計を行う行為のこと。これらは「一級建築士」「二級建築士」などの有資格者でなければ行えません。

一方、店舗設計という言葉が日常的に使われる場面では、内装・什器の配置・照明計画・動線設計などを含む「空間づくり全般」のことを指すケースが多く、この範囲は資格がなくても対応できる場合があります。


要点まとめ:

  • 法的に「建築士」の資格が必要になるのは、建物の構造や安全面を変更するような工事に関わるとき。
  • それ以外の「内装デザイン」「レイアウト提案」「イメージづくり」などは、無資格でも対応可能。
  • 業務範囲が資格の必要性を左右する。

具体例:

  • 資格が必要なケース:スケルトン物件に新しく建物内の構造壁を設計する、耐震補強の計算を行うなど
  • 資格が不要なケース:既存テナントに棚を置く、什器レイアウトを考える、照明プランを組む、イメージパースを描くなど

業界内でも意識のズレがある

「設計」という言葉が、建築業界・インテリア業界・店舗プロデュース業界それぞれでニュアンスが異なるため、誤解が生じやすいのもこの分野の特徴です。特に中小規模の飲食店や物販店では、クライアントとの会話の中で“設計”が“提案・デザイン”の意味で使われているケースが非常に多く、この点を正確に理解しておくことが重要です。


補足:役所への届け出に必要な「設計者」は建築士

仮に内装であっても、「建築確認申請」や「用途変更届出」が必要な工事を行う場合、建築士のサインが必要です。ただし、それらの書類作成は外部の建築士に委託することが多く、現場担当者自身が資格を持っている必要はない場合もあります。


資格がなくても店舗設計の仕事はできる?その実態とは

問いかけ: 資格を持っていなくても、店舗設計の仕事って実際にできるんでしょうか?
答え: はい、一定の範囲なら無資格でも現場に関わることは十分可能です。多くの現場では、資格よりも「提案力」や「現場理解力」が重視されます。


現場で活躍している“無資格者”のリアル

現場を見渡すと、設計やインテリアの専門資格を持っていなくても、以下のような形で店舗設計に携わっている人は非常に多くいます。


よくある無資格者の職種例:

職種実際の仕事内容
営業職クライアントとの打ち合わせ、要望ヒアリング、初期提案
デザインアシスタント図面作成補助、素材提案、パース制作
現場監督工事工程の管理、設備との連携、仕上がり確認
家具・什器メーカーのプランナーオリジナル什器の提案、レイアウト調整
フリーランスのインテリア提案者パース作成や照明計画などのビジュアル提案

こうした職種では、「建築士」のような法的資格が求められるわけではなく、「空間をどうつくるか?」という視点と実務スキルが重要視されます。


制限はあるが、自由度も高い

たしかに、建築確認申請が必要なレベルの「設計」はできませんし、法的な責任者にはなれません。しかし、多くの現場では、「施工会社と連携して設計士に図面を引いてもらう」「提出書類は建築士に任せる」など、チームで分業されています。

つまり、「すべてを一人で完結できる必要はなく」「自分の強みを活かせるポジションがある」のが店舗設計の実情です。


要点まとめ:

  • 設計全体を担うには資格が必要だが、「一部の工程」や「提案」は無資格でも関われる
  • クライアントとのコミュニケーション、初期提案、素材提案などは資格より実務経験が重視される
  • 資格は“必要条件”というより“選択肢のひとつ”という立ち位置

「店舗設計に資格が必要」と思われやすい背景

この誤解の背景には、日本の資格重視文化と、業界内の言葉の使い方のズレがあります。「設計」と言われると、なんとなく資格がなければいけないように思えてしまう。でも、実際は“設計”という行為にもグラデーションがあり、資格でしかできない部分は意外と限られています。


店舗設計に役立つ資格一覧とその特徴を整理する

問いかけ: 店舗設計に関連する資格って、具体的にどんなものがあるのでしょう?
答え: 主な資格は「建築士」「商業施設士」「インテリアプランナー」「インテリアコーディネーター」などがあり、それぞれの役割や得意分野が異なります。


比較でわかる「店舗設計に関わる主要資格」

以下の表で、代表的な資格を比較してみましょう。

資格名主な領域資格の特徴資格が活きる場面
一級・二級建築士建築全般国家資格。法的な設計や申請に関わる独占業務あり建築確認申請を要する設計、構造設計
商業施設士商業施設・店舗特化民間資格。店舗づくりに必要な企画・設計・運営を学ぶ商業施設の設計企画や、店舗プロデュース業務
インテリアプランナー空間デザイン全般建築士協会認定。内装設計・空間構成に強いオフィスや店舗の内装設計・リノベーション設計
インテリアコーディネーター家具・内装提案民間資格。提案力や素材知識、スタイリングに強い個人店舗や住宅の提案・営業ツールとして活用

各資格のポイント解説

建築士(1級・2級)

  • 「設計者」として建築確認申請に名前を出すことができる国家資格。
  • 店舗の新築・大規模改修など、構造に関わる場合は必須。
  • 学科・製図試験ともに難易度は高く、実務経験も必要。

商業施設士

  • 商業施設の開発・運営・企画・デザインをトータルに理解できる民間資格。
  • 設計図を書くというよりは「全体の設計企画」を担当する立場。
  • 店舗のコンセプト設計やゾーニング、VMDなどにも活かせる。

インテリアプランナー

  • 建築士会が主催する、内装設計に強い専門資格。
  • 技術的な設計要素とデザインの両立を学べる。
  • オフィス・店舗・住宅の空間設計に役立つ。

インテリアコーディネーター

  • 家具・照明・素材などの選定や空間演出に関わる知識が学べる。
  • 接客スキルが求められるため、営業職や販売職にも人気。
  • 店舗のイメージ提案・スタイリング業務に最適。

要点まとめ:

  • 「建築士」は法的に設計業務が可能な唯一の国家資格
  • 「商業施設士」は商業施設全体の設計・運営を学ぶ資格
  • 「インテリアプランナー」は空間設計の実務に即した技術資格
  • 「インテリアコーディネーター」は演出や提案に強く、資格としての入り口に適している

よくある誤解:「建築士しか意味がない?」

これは誤解です。建築士でないとできないこともありますが、それ以外の資格も「業務範囲に応じて効果的に活用できる」ため、目指す仕事の方向性によって最適な資格は異なります。

次は、その「目的別」の選び方を詳しく見ていきます。

目的別に考える「どの資格が向いているか」

問いかけ: たくさんある資格の中で、自分にはどれが合っているんでしょうか?
答え: 資格選びは「何を目的にしているか」によって大きく変わります。自分のキャリアゴールを起点に考えるのが正解です。


目的1:独立して店舗デザインの仕事をしたい

この場合、クライアントからの信頼を得るための“名刺代わり”としての資格が有効です。法的責任を持つ可能性もあるため、建築士を目指すのが王道ですが、すぐに取れない場合は商業施設士やインテリアプランナーから実務スキルを磨くのも現実的。

向いている資格:

  • 建築士(一級/二級)
  • 商業施設士
  • インテリアプランナー

目的2:転職・キャリアアップを狙いたい(特に設計職・企画職へ)

資格は“即戦力”の証明として機能します。業界で一定の評価があり、履歴書に書いてアピールできる資格を選ぶのが有効です。

向いている資格:

  • 商業施設士
  • インテリアプランナー
  • インテリアコーディネーター

目的3:営業・販売など現場職での「知識武装」がしたい

必ずしも設計に携わるわけではないが、提案力を高めたい、クライアントとの会話に深みを出したいという人におすすめ。勉強のハードルが比較的低く、現場ですぐ使える知識が学べる資格が適しています。

向いている資格:

  • インテリアコーディネーター
  • 商業施設士(基礎理解のために)

難易度と学習時間の目安

資格名難易度(主観)学習期間の目安
建築士(1級)非常に高い1年〜2年(実務経験必須)
建築士(2級)高い半年〜1年(実務経験必須)
商業施設士やや高い3ヶ月〜6ヶ月
インテリアプランナーやや高い3ヶ月〜半年
インテリアコーディネーター中〜やや易しい2ヶ月〜半年

要点まとめ:

  • まず「なぜ資格を取りたいのか?」を明確にすることが重要
  • 資格はキャリアの武器にもなるが、目的に合っていないと無駄になる可能性も
  • 資格の難易度・勉強時間・費用感なども含めて“自分に合った戦略”を持つことが重要

実務で求められる力と資格のギャップに注意

問いかけ: 資格を取れば、店舗設計の現場で即戦力になれるのでしょうか?
答え: 資格があっても、「現場で必要な力」とは別物であることが多いです。資格は入り口、実力は現場で磨かれます。


実際に現場で評価される力とは?

店舗設計の現場では、資格よりも次のようなスキルや姿勢が求められることが多いです。


現場で重視されるスキル一覧

スキル/力説明
ヒアリング力クライアントの言語化されない要望を引き出す力
提案資料の作成力パース・図面・マテリアルボードなどで魅力を伝える力
空間センスデザイン性、動線計画、照明の使い方など
コミュニケーション力現場・施工業者・クライアントとの円滑なやり取り
柔軟な対応力現場で起こるイレギュラーに即応できる力

「資格があるから安心」は幻想?

店舗設計の仕事は「企画→提案→設計→施工→引き渡し」とフェーズが長く、かかわる人も多岐にわたります。そのため、“資格がある=すべてできる”と誤解されやすいですが、実際はチームでの連携や、経験値の方が評価される場面が多いです。

たとえば、建築士の資格があっても、現場調整が苦手だったり、顧客対応ができなければ「使えない人」と見なされることも…。


要点まとめ:

  • 資格はあくまで「専門知識があることの証明」
  • 実務では「人とやりとりする力」や「柔軟な発想」がより重要
  • 経験や作品(ポートフォリオ)の方が、仕事につながることも多い

資格とスキルの“順序”に気をつける

資格の勉強を始める前に、「実務でどんなことが求められるのか?」を体験しておくのがおすすめです。たとえば、店舗の設計アシスタントとして現場に入ったり、業界のセミナーに参加したりしてみると、自分にとって本当に必要なスキルや資格が見えてくるでしょう。


次は「資格取得の前に知っておきたい、最初の一歩」に進みます。

資格を取る前に知っておきたい、はじめの一歩

問いかけ: 店舗設計に興味はあるけれど、いきなり資格取得に進むのは不安です。まず何から始めればいいですか?
答え: 資格はあくまで“手段”です。まずは無料や低価格の学びを通じて、自分に合うかを確かめるのが賢明なスタートです。


資格は「キャリア形成の手段」にすぎない

多くの人が、資格を「ゴール」と勘違いしてしまいがちです。しかし現場では、資格を持っていることよりも「何ができるか」「どうやって価値を出すか」が問われます。

そのため、資格の勉強を始める前に、まずは「店舗設計とはどんな仕事なのか」「自分に向いているのか」を把握するプロセスが非常に重要です。


独学でできるおすすめの入り口

スタート方法内容・メリット
YouTubeで施工・デザイン動画を見る施工現場のリアル、設計の流れが視覚的にわかる
CADやSketchUpなどの基本操作を学ぶ無料ソフトを使って、簡単な図面やパース作成に挑戦
店舗デザインの本を読むアイデアの引き出しになる+用語に慣れる
業界セミナー・展示会に参加する最新トレンドに触れ、人脈や仕事のチャンスにもつながる

無料・低コストでの学びを優先すべき理由

  • 自分に合っているかを確かめるリスク回避になる
  • 「やりたいこと」と「求められること」のズレに気づける
  • 小さな成功体験を積み重ねてから資格勉強に進むと理解が深まる

要点まとめ:

  • 資格取得に飛びつく前に「実際の仕事を体験」することが成功の鍵
  • 無料・低価格の学習ツールや現場体験の活用が、遠回りに見えて一番の近道
  • 自分の方向性が見えてから資格を選ぶと、失敗や後悔が少なくなる

【適ドア適所】になぞらえた「まとめ」

── 自分の目的にあわせて「適資格適所」を見極めよう


「資格がないと店舗設計の仕事はできない」と考えている方は多いかもしれません。しかし実際は、業務の範囲や自分の立ち位置によって、資格が必須かどうかは大きく変わります。

この記事では、資格の種類や役割を比較しながら、無資格でも現場に関わる方法、そして本当に必要なスキルについて丁寧に解説してきました。


✔ 重要なのは、「自分がどの領域で店舗設計に関わりたいのか?」というビジョンを持つこと。
✔ そのうえで、「必要な知識やスキルは何か?」「資格はそれを助けるものか?」を見極めること。


私たちNewtonドアが提唱している【適ドア適所】の思想と同じように、店舗設計における資格選びも「自分に合った場所・段階・目的」を踏まえて行うべきものです。

最初から完璧な選択をする必要はありません。まずは無料の学びや現場体験からスタートして、経験とともに必要な資格を判断する。その方が、結果として“自分にぴったりのキャリア”につながるはずです。


資格はキャリアを支える「道具のひとつ」でしかありません。
大切なのは、どの道具を、いつ、どう使うか──
その選び方こそが、プロとしてのスタートラインなのです。

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