自動ドアというと、「電気で動く扉」として、モーターやセンサーの仕組みに目が向きがちです。
しかし実際の自動ドアの性能や寿命、美観、安全性を決定づけるのは、どんな「材料」でつくられているかです。

扉の素材は、金属・ガラス・樹脂・木材など多様で、設置場所や環境によって「正解」が異なります。
屋外に設置する場合は風雨や塩害に耐える必要があり、屋内では意匠や軽量性が重視されます。
また、同じアルミでも、仕上げや構造設計次第でまったく異なる性質を持ちます。

この記事では、

  • 自動ドアに使われる主要な材料の種類と特徴
  • 設置環境ごとの選び方のポイント
  • 材料による耐久性やメンテナンス性の違い
  • 安全性・JIS規格との関係
    を総合的に整理します。

さらに最後に、Newtonドアが提唱する【適ドア適所】の考え方から、
「材料と方式の関係」=**“軽さと安全のバランス設計”**を学びます。


目次(このページの内容)

自動ドアの「材料」とは何を指すのか?

自動ドアの“材料”というと、扉の表面パネルだけを思い浮かべる方も多いでしょう。
しかし、実際には次のように複数の構成部材が関係しています。

扉本体・枠・カバー部品など、材料が関わる部分

  1. 扉パネル(ドア本体)
     主にガラス、アルミパネル、または複合構造(アルミ枠+ガラス)で構成。
  2. ドア枠(フレーム)
     建物の壁体に固定される部分で、剛性が必要。
  3. レール・ガイド部材
     扉を支え、滑らせるための金属部品。
  4. カバー・見付け部品
     意匠上の仕上げ材。アルミ押出形材やステンレス板などが使われる。

これらが一体となって、自動ドアの「耐久性」「静粛性」「安全性」を決めています。


電動式と荷重式で求められる材料特性の違い

自動ドアには大きく分けて「電動式」と「荷重式(Newtonドアなど)」があります。
材料選定の観点から見ると、以下のような違いがあります。

方式特徴材料に求められる条件
電動式モーターで開閉する強度よりも軽さが重要。駆動モーターへの負荷を減らすため。
荷重式扉の荷重バランスで開閉する機構全体の安定性が重要。歪みに強く、精度を保つ剛性が必要。

つまり、「どんな方式を採用するか」で適した材料が変わります。
特に荷重式では、材料の重さと変形率が開閉性能に直結するため、
アルミや複合構造が多く採用されます。


素材によって変わる“見た目”と“耐久性”の関係

素材選びは、単なるデザインの問題ではありません。
例えば、ステンレスは高級感がありますが、指紋や汚れが目立ちやすく、
屋内向けに使うか、表面仕上げで質感を調整する必要があります。

一方、木目調パネルは温かみを与えますが、実際の木材を使う場合は、
湿度変化による反りや変色が起きやすいため、**“木目調アルミ”“木質化粧板”**が代替材料として用いられます。

素材は、見た目・機能・環境負荷・維持コストのすべてを左右する“根幹要素”です。


自動ドアに使われる主な材料の種類と特徴

ここでは、実際に自動ドアに使われる代表的な材料を紹介します。
素材ごとの特徴・耐久性・コスト感を比較してみましょう。


アルミニウム ― 軽量で加工しやすく、最も一般的

最も多くの自動ドアに採用されているのがアルミニウムです。
軽く、加工性が高く、耐食性にも優れています。
電動式でも荷重式でも扱いやすく、再塗装や交換も容易です。

長所:

  • 軽量でモーター・機構への負担が少ない
  • 錆びにくく、屋外使用にも対応可能
  • カラーアルマイト処理などで意匠性も高い

短所:

  • 表面が柔らかく、傷がつきやすい
  • 長期的には紫外線や酸化による色褪せあり

用途例:
オフィス、店舗、住宅エントランスなど、最も汎用的。


ステンレス ― 耐食性が高く、屋外や公共施設に適する

ステンレスは「高耐久」「高意匠」を両立できる素材です。
鉄にクロムを加えて耐食性を高めており、海沿いや屋外に強い特徴があります。

長所:

  • 錆びにくく、長期的な美観維持が可能
  • 表面仕上げでデザインの幅が広い(鏡面・ヘアラインなど)
  • 衝撃や擦れに強い

短所:

  • 重量があるため、開閉負荷が増す
  • 指紋や水垢が目立ちやすい

用途例:
病院・駅・ホテル・屋外施設など、耐候性が求められる場所。


鉄(スチール) ― 高強度だが、錆びに注意

スチールは高い剛性と安価なコストで利用されますが、腐食に弱いため塗装や防錆処理が欠かせません。

長所:

  • 構造体として非常に強く、大型ドアに適する
  • コストが比較的安い

短所:

  • 錆びやすく、塗装の劣化で耐久性が低下
  • 重量があり、駆動負荷が大きい

用途例:
倉庫・工場・高強度を必要とする産業施設。


ガラス ― 採光・意匠性に優れ、組み合わせ次第で高機能化可能

ガラスは自動ドアの象徴的素材といえます。
透明感があり、開放的な印象を与えるため、商業施設やオフィスのエントランスに多く使われます。

長所:

  • 採光性・視認性に優れる
  • 防犯・断熱・遮音など、複層ガラスや合わせガラスで機能拡張可能
  • デザイン性が高く、印象を大きく左右する

短所:

  • 重量があり、駆動方式に負担をかけやすい
  • 衝撃に弱い。安全ガラスを採用しないと破損リスクが高い

用途例:
商業施設・オフィス・公共施設の入口など、意匠性重視の空間。


樹脂・複合材 ― 軽量・断熱性に優れる新素材

近年増えているのが、樹脂や金属とのハイブリッド素材です。
アルミ複合板やFRP(繊維強化プラスチック)など、軽くて強い新素材が、軽量化とデザイン性の両立を可能にしています。

長所:

  • 軽量で加工自由度が高い
  • 熱伝導率が低く、断熱性能に優れる
  • 表面仕上げで多様なデザインに対応可能

短所:

  • 紫外線による劣化(黄ばみ・硬化)が起きることがある
  • 高温や薬品に弱い場合がある

用途例:
住宅・学校・小規模施設など、軽量化を重視する現場。


木材 ― 温かみを持たせる特殊用途、耐久性の課題と工夫

木材は自然素材ならではの温かみと柔らかい印象を与えます。
しかし、自動ドアの構造としては湿度や気温変化に影響を受けやすく、
そのまま使用するのは難しいとされます。

長所:

  • デザイン性・温かみが高く、空間演出に優れる
  • 表面温度が低く、手触りが柔らかい

短所:

  • 湿気や紫外線で反り・変色が生じやすい
  • 定期的な再塗装・防腐処理が必要

工夫:

  • 「木目調アルミ」や「木質化粧パネル」で見た目を再現
  • 内部構造は金属、表面のみ木仕上げにする複合設計が主流

用途例:
ホテル・福祉施設・公共建築など、“印象づくり”を重視する空間。


素材ごとの“重さ”と駆動負荷への影響

素材の「重さ」は、ドア方式に直接関係します。
電動式ではモーター出力とセンサー制御で対応できますが、
荷重式(Newtonドアなど)では、扉の重量がそのまま開閉エネルギーとなるため、
軽く・剛性の高い素材が理想です。

素材比重(参考)備考
アルミ約2.7軽量・汎用的。荷重式に最適。
ステンレス約7.9重量大。主に電動式に採用。
約7.8同上。防錆塗装必須。
ガラス約2.5厚みで重量変化。安全ガラス採用推奨。
木材約0.5〜0.8軽いが反りに注意。複合化が前提。

環境別にみる「最適材料」の考え方

屋内(商業施設・オフィス)に向く素材

屋内では、雨風や塩害の影響が少ないため、
意匠性とメンテナンス性のバランスが重要です。
→ アルミ、木質パネル、樹脂複合材が多く採用されます。

屋外(店舗・病院入口など)に向く素材

屋外では、紫外線・湿気・気温差・砂塵などによる劣化が進みやすく、
耐候性を最優先に考えます。
→ ステンレス、アルミ+耐候塗装、複層ガラスなどが適します。

海沿い・寒冷地・高湿度環境での注意点

塩害・結露・凍結などが発生しやすい環境では、
錆びない・腐らない・膨張収縮に強い素材を選ぶことが重要です。
→ ステンレス(SUS316)、フッ素樹脂コートアルミなど。

意匠重視の施設(ホテル・公共施設など)での選び方

デザイン性が求められる場所では、「素材の質感」そのものが空間印象を決めます。
→ 見た目を重視しつつ、構造は金属、表面は木質仕上げという複合構造が有効です。


材料によるメンテナンス性・寿命・コストの違い

素材の選び方は、「初期費用」よりも「維持コスト」で差が出ます。

素材耐用年数(目安)主な劣化メンテナンス頻度
アルミ10〜15年色褪せ・細かい傷
ステンレス15〜25年指紋・水垢低〜中
7〜12年錆び・塗膜剥離
ガラス10〜20年汚れ・飛散
木材5〜10年変色・反り

コストを考える際のポイント:

  • 初期費用が安くても、メンテナンス頻度が高いと総コストは上がる
  • 耐久年数が長い素材ほど、修繕時期を延ばせる

安全性とJIS規格からみた材料の注意点

安全ガラスの基準と衝突リスク対策

JIS R 3206(安全ガラス)では、破損時に鋭利な破片が飛散しないよう「合わせガラス」や「強化ガラス」を使用することが求められています。
自動ドアでは特に、歩行者の衝突リスクを考慮し、透明部には安全ガラスを採用するのが標準です。

材料強度と変形に関するJIS要件

JIS A 4722(自動ドア装置)では、ドアの構造部材に対して一定の強度・剛性が求められます。
これは、扉がたわんだり歪んだりして開閉に支障をきたさないようにするためです。

荷重式ドアにおける「安全・軽量バランス」の設計思想

荷重式では、扉の質量が直接開閉力として作用するため、軽量化と剛性の両立が重要です。
Newtonドアでは、構造を徹底的に解析し、**「変形しない軽さ」を追求しています。
その結果、停電時でも安全に手動開閉できる、
“人にやさしい材料設計”**が実現しています。


【適ドア適所】に学ぶ、材料選定の新しい視点

「電動式」と「荷重式」で異なる“材料選定の正解”

電動式:モーター制御で開閉するため、やや重い素材でも運用可能。
荷重式:扉自体が駆動源となるため、軽量・高剛性素材が理想

→ つまり、「どの方式を選ぶか」で“最適素材”は変わります。

「軽さ×耐久性×環境順応性」の最適化という考え方

Newtonドアの設計思想は、この三軸に集約されます。

  • 軽さ:操作性と安全性の両立
  • 耐久性:構造変形を防ぐ剛性設計
  • 環境順応性:外気・湿度・気温差に耐える材料選定

この思想は「材料」だけでなく、「構造・機構・安全性」すべてに通じています。


Newtonドアが重視する“人にやさしい素材選定”の哲学

Newtonドアは、単に「軽くする」ことを目的としていません。
軽さの裏には、「より多くの人が、より安全に使える」ための合理性があります。
力の弱い高齢者や子どもでも扱いやすく、停電時にも開閉できる。
その背景には、「重すぎない材料」「構造的なバランス」「摩耗を抑える設計」が共存しています。


【適ドア適所】にそった「まとめ」

  • 自動ドアの材料は、金属・ガラス・樹脂・木材など多様で、それぞれ特性が異なる
  • 設置環境(屋内/屋外/海沿い/寒冷地)で、最適素材は変わる
  • 材料選定の判断軸は「見た目」「耐久」「安全」「コスト」「環境順応性」
  • 荷重式と電動式では、重さ・剛性のバランス設計が異なる
  • Newtonドアの思想「適ドア適所」は、素材選びにも通じる「最適解の設計思想」

出典一覧

  • JIS A 4722(自動ドア装置)
  • JIS R 3206(安全ガラス)
  • Newtonドア技術資料「Newtonドアの安全性検証とJIS規格整合性」
  • Nabtesco「自動ドアの仕組み」
  • Manusa「Materials used in automatic doors」

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