自動ドアというと、センサーで自動開閉する便利さばかりに目が行きがちですが、意外と見落とされがちなのが「水返し」の設計です。特に雨の日や台風時、建物の中に水が入り込んでしまうと、床が滑って危険だったり、設備に支障をきたしたりとトラブルの元になりかねません。

そこで今回は、自動ドアにおける「水返し」とは何か?どんな役割があり、どのように設計すべきなのか?といった実務に役立つ情報を、建築の基本から詳しく解説していきます。この記事を読むことで、以下のようなことが分かるようになります:

  • 「水返し」の定義と、自動ドアに必要な理由
  • 設計における寸法や勾配の考え方
  • トラブルの防ぎ方と代替策
  • 施工チェックリストや、実例に基づく注意点
  • 電気を使わないドア(Newtonドアなど)における止水の考え方

雨風を遮る「見えないバリア」としての水返しについて、いっしょに理解を深めていきましょう。


目次(このページの内容)

水返しとは何か?建築用語としての基本から確認

要点:
「水返し」とは、雨水の侵入を防ぐためにドア下部や敷居に設ける、わずかな段差や立ち上がりのこと。とくに開口部周辺では、水の流れを制御する重要な役割を持っています。


建築・サッシ用語としての「水返し」の意味

建築用語でいう「水返し」とは、外部からの水(主に雨水)の建物内部への侵入を防ぐために設けられる構造上の工夫を指します。多くは以下のような部位に見られます:

  • サッシ枠の立ち上がり部分(アルミサッシ下部)
  • タイルの勾配設計(外構アプローチ)
  • ドアの敷居部分(Threshold)

具体的には、以下のような形状で設計されることが一般的です:

形状タイプ説明
立ち上がり型金属やモルタルで2〜5cm程度立ち上げて水をせき止める
折り返し型板金などで水が折り返して流れ落ちる構造
段差・スロープ型内側に水が入りにくい勾配をとる

いずれも目的は共通しており、「水を外で止める」「屋内に水が侵入する前に排水へ誘導する」ことです。


なぜ開口部(自動ドア)に「水返し」が必要なのか?

自動ドアは、その開閉構造から気密性が高くありません。通常のドアのようにガスケット(気密ゴム)で密閉されるわけではないため、外からの風や水に対して脆弱な面があります。特に以下のような条件下では、雨水の侵入リスクが高まります:

  • 建物の向きが風雨の吹き込み方向にある場合
  • 外部に庇やひさしがない
  • ドア下に勾配や排水がない(平坦なタイル)

そのため、自動ドアまわりでは「水返し」を設計段階から計画することが重要です。小さな立ち上がりがあるだけで、雨水の侵入が大きく軽減されることは少なくありません。

また、床材や内装が水に弱い施設(商業施設、医療機関、マンションエントランスなど)では、止水対策が施設全体の安全性・快適性に直結します。


このように、「水返し」は単なる段差ではなく、建物の性能を支える重要な要素です。次のセクションでは、自動ドアに特化した「水返し設計」の具体的な目安や考え方を見ていきましょう。

続けて、次のセクション「自動ドアにおける水返しの設計ポイントとは?」を約3,300文字で作成していきます。


自動ドアにおける水返しの設計ポイントとは?

要点:
自動ドアの「水返し」は、ただ段差をつければいいわけではありません。使いやすさと防水性を両立するためには、寸法・勾配・材質などに細やかな配慮が必要です。


水返しの高さ、勾配、寸法の目安は?

自動ドア周辺の水返しは、バリアフリー・動線の安全性と、雨水の遮断性能のバランスが重要になります。設計にあたっては、以下のような寸法と勾配が基準として使われます:

項目一般的な設計目安
水返しの立ち上がり高さ10〜30mm程度
排水に向けた勾配1/50〜1/100(20〜10mm/m)
ドア敷居部分の深さ20〜50mm程度(雨仕舞部材と連携)

特に勾配については、外構タイル面を「外側→排水方向」へ自然に流れるように設計する必要があります。これは水返しとセットで機能する考え方です。水を受け止めて→逃がす、という「止水→排水」の連携こそが、防水対策の基本となります。


材質・形状のバリエーションと選定基準

水返しの材質や形状は、建物の用途や意匠、予算によって変わります。代表的なバリエーションと特徴は以下の通りです。

材質特徴と注意点
アルミ加工性が高く、サッシ一体型として設計しやすい。耐候性も良い。
ステンレス耐久性と高級感あり。公共施設や高耐久が求められる箇所に適する。
モルタル外構一体型で施工しやすいが、経年で割れやすい。防水処理が必須。
樹脂系軽量で安価。短期利用施設や仮設などには向くが、耐久性は劣る。

形状も、以下のような観点で選定します:

  • 滑りにくさ(ノンスリップ加工)
  • 雨だれを受け流す傾斜形状
  • 視認性(段差の境界が分かりやすい色・素材)

これらの配慮がなされていないと、雨の日に「水は防げたが転倒事故が起きた」ということにもなりかねません。


板金・サッシ・タイルなど、納まりとの相性は?

水返しの「納まり設計」は、施工現場での調整が非常に重要です。設計図通りでも、実際の施工時に以下のようなズレが起きやすいからです:

  • タイル目地と水返しの段差が不連続になる
  • サッシ下枠とモルタル立ち上がりの取合いが甘く、隙間ができる
  • 排水桝の位置と勾配が合わず、水が溜まる

これらは「納まりミス」によるトラブルの典型です。

設計段階では、以下のようなポイントを必ず押さえるべきです:

  1. タイルの端部を水返しと一体化させる
  2. サッシ下端と水返しが連続するように、製品寸法を正確に反映する
  3. ドアを開けた時、車椅子や台車の進入経路が妨げられないよう設計する

設計図と製品カタログの寸法表、施工現場の実測値。この三者を正確にすり合わせることが、トラブルを防ぐ最大のポイントです。



「水返し」でよくあるトラブルと限界

要点:
水返しを設けても、すべての雨水を完全に遮断できるわけではありません。構造上の限界や、使い方との相性により、予期せぬトラブルが発生することもあります。


毛細管現象と水跳ねは防げるのか?

設計上の「水返し」があっても、それだけでは雨水の侵入を完全に防げないケースがあります。その代表例が「毛細管現象」と「水跳ね」です。

  • 毛細管現象:細い隙間(サッシ下や敷居のすきま)から水がじわじわと吸い上げられ、室内に侵入する現象。止水材で塞いでも、極小の隙間から伝って入り込むことがあります。
  • 水跳ね(しぶき):地面に当たった雨がはね返って、立ち上がりを超えて室内側に入ること。これは、勾配や立ち上がりが不十分な場合に起きやすいです。

また、強風が伴う雨では「水が風に乗って押し込まれる」ような現象も起き、立ち上がりの内側に雨が吹き込んでしまうケースもあります。

これらの現象は、下記のような複合対策で軽減することが可能です:

  • サッシ下に止水パッキンを追加
  • 水切り金物を設置(跳ね返りを防止)
  • ドアの内側にもう1段階の防水ガードを設置(2段止水)

バリアフリー(車椅子、ベビーカー)との両立は?

水返しの最大の悩みは「段差をつけると、通行に支障が出る」という点です。
特に以下のような施設では、バリアフリー性との両立が求められます:

  • 高齢者施設(車椅子・歩行器)
  • 子育て施設(ベビーカー)
  • 商業施設(カート・台車)

こうした施設では、「段差をつけない水返し設計」が求められ、次のような工夫が行われています:

対応策内容
傾斜型水返し勾配を使って水を外側に逃がす。段差を感じさせない設計。
排水溝一体型水返しと排水グレーチングを一体化。水が溜まらず、通行の妨げも少ない。
可動式止水板台風や豪雨時のみ取り付ける方式。日常は段差ゼロを維持。

つまり、常時の使いやすさと非常時の防水性のバランスを、施設の利用状況に応じて設計する必要があります。


水返しの劣化や詰まりへの対策

水返しは「メンテナンスフリー」ではありません。施工当初は機能していても、時間が経つにつれ以下のような問題が起こります:

  • 立ち上がり部にゴミが溜まり、水の流れがせき止められる
  • パッキンが劣化し、隙間から水が漏れる
  • モルタル部分が欠けて段差が消える
  • 板金部分が腐食・変形して機能しなくなる

特に、落ち葉や砂が集まりやすい場所では、定期的な清掃と目視点検が欠かせません。以下のようなメンテナンススケジュールを推奨します:

項目頻度チェックポイント
水返し清掃月1回ゴミ詰まり、砂の堆積
パッキン点検半年に1回亀裂、硬化、縮み
立ち上がり部材点検年1回割れ・欠け、腐食、接着のはがれ

メンテナンスが不十分だと、水返しの「見えない部分」で水が漏れ、内部の床や設備が損傷するリスクが高まります。


水返しだけじゃない!自動ドア周りの止水・防水対策アイデア

要点:
「水返し」単体では防げない雨水の侵入もあります。そこで、防水性能を高めるために「水返し+α」の複合的な対策を取り入れることが、現場でのトラブルを最小化する鍵になります。


止水シート・ゴムパッキンなどの併用策

水返しの立ち上がりだけでは、以下のような理由で雨水が侵入する可能性があります:

  • 地面から跳ね返った雨水が立ち上がりを超える
  • 強風で水が吹き込む
  • 隙間から毛細管現象が起きる

これを防ぐために、有効なのが「ゴム製の止水アイテム」や「可動式止水具」の併用です。

対策アイテム特徴・適用場面
止水シート台風や豪雨時にドア前に敷く。防水マットとして有効。
止水パッキンドア下部に設置して隙間からの浸入をブロック。弾力性があり密着性が高い。
簡易止水板施設入り口に脱着可能な防水プレートを設置。高さ5〜15cm程度。
防水テープモルタルや板金部の補修に使用。水返しの隙間埋めに使える。

これらは「後付け可能」であり、設計段階での対策が難しい場合や既存施設への対応策として非常に有効です。


段差・勾配による自然排水との組み合わせ

防水対策は、基本的に「水を止める」より「水を逃がす」方が有効です。そのため、水返しとともに「段差」と「排水勾配」を組み合わせることで、以下のようなシナジー効果が生まれます:

  1. 立ち上がりで水をせき止める
  2. 床面を勾配で排水方向へ導く
  3. 排水溝へ確実に流す

この一連の流れが設計・施工で確保されていれば、多少の吹き込みや跳ね水は問題になりません。

設計ポイント:

  • 排水溝は入口のすぐ前に設け、目詰まり防止用のグレーチングを設置
  • 勾配は1/50以上を確保し、施工時に「水平」にならないよう注意
  • タイルの貼り方(目地方向)も水の流れを意識して配置

排水が機能しない場合、「水返しがあっても水たまりができてしまう」という本末転倒な状態になるので、要注意です。


台風・集中豪雨時の臨時止水法

通常の雨であれば問題がなくても、集中豪雨や台風の際には「想定外の降雨量」が短時間に押し寄せます。そのような非常時に備えて、臨時の止水方法を準備しておくのが安全管理上のリスクヘッジになります。

代表的な方法は以下の通りです:

臨時対策特徴
簡易止水板の設置普段は撤去しておける。災害発生時に数分で設置可能。
防水バッグ水を吸って膨らむ土のう代替品。軽くてストックしやすい。
止水シート+吸水マットドア前に重ね敷きし、水が室内に流れ込むのを防止。
ブロック材で囲うモルタルやコンクリートでドア前を囲む。常設が難しい場合は仮設も可能。

このような臨時対応策は、防災マニュアルや施設の緊急対応手順に組み込んでおくことで、被害を最小限に抑えることができます。



設計・施工でチェックすべき「水返し」10の確認ポイント

要点:
水返しの設計と施工では、「できているつもり」が最も危険。現場での微妙なズレや見落としが、雨漏りや浸水トラブルの原因になります。以下のチェックポイントを活用して、確実な止水を目指しましょう。


設置前に見るべき項目

  1. 施設の用途と利用者の特性を把握しているか?
     → 高齢者・車椅子利用者が多い場合は、段差や傾斜に細心の注意が必要です。
  2. ドアの設置位置に風雨が直接当たるか?
     → 方位や建物の庇の有無によって、水返しの重要性は大きく変わります。
  3. 排水経路の確保があるか?
     → せっかく水返しを設けても、水が逃げる先がなければ機能不全になります。
  4. 床材とサッシの納まりがスムーズか?
     → 床タイルと水返しの立ち上がりが不連続だと、思わぬすき間が生まれることも。
  5. 屋外・屋内の勾配は適切か?
     → 勾配不足や逆勾配(屋内に水が流れ込む状態)は設計段階で防ぐべき致命的ミスです。

施工後のチェック方法とメンテナンスのコツ

  1. 立ち上がりの寸法が図面通りか?
     → 現場でよくある「仕上げ高さのズレ」によって、水返しの高さが足りないケースもあります。
  2. 水返しと排水口の位置関係が整っているか?
     → 水がたまって排水されず、水返しの内側から溢れてしまうようでは本末転倒です。
  3. ドアの下部に隙間はないか?(毛細管現象対策)
     → サッシの立ち下がり部、パッキンの密着性などを水かけテストでチェックしましょう。
  4. 水返しまわりにゴミ・落ち葉が溜まっていないか?
     → 定期清掃をしないと、機能低下だけでなく美観にも悪影響を及ぼします。
  5. 止水機能を維持するための定期点検・記録をしているか?
     → 清掃・点検を誰がいつやるのか、明確にスケジューリングされていなければ形骸化します。

【施工前に確認したい!A4印刷用チェックリスト(例)】

チェック項目確認済(✔)備考
勾配が屋外に向かっているか
水返しの高さ・形状は用途に適しているか
排水設備との連携が取れているか
自動ドア下部に止水対策がなされているか
メンテナンス方法と頻度が設定されているか


【適ドア適所】水返しの工夫で、暮らしと建物の安心感を高める

要点:
「水返し」は見えにくい存在ですが、その役割は雨の日にこそ試されます。施設の用途やドアの種類に合わせて最適化することで、見た目も使い勝手も損なうことなく、建物全体の安心感を高めることができます。


用途別(水返しの必要度と設計観点)

施設ごとに「水返し」の意味合いや設計条件は異なります。以下に代表的な用途別の判断軸をまとめました:

施設タイプ水返しの重要性設計の工夫ポイント
高齢者施設バリアフリー勾配+止水板の併用
医療機関清掃性と衛生面を重視(ステンレス)
商業施設中〜高見た目と安全性の両立(ノンスリップ)
マンションエントランス水跳ね対策+定期メンテの計画
自治体・庁舎中〜高災害対策・避難導線との整合性

用途に応じて「段差をつけるのか」「勾配で逃がすのか」「可動式止水を併用するのか」という判断が異なります。まさに【適ドア適所】の視点が求められるポイントです。


「電気を使わない自動ドア」では水返しの工夫が特に重要になる理由

Newtonドアのような荷重式・非電動型の自動ドアでは、一般的な電動式ドアと構造が異なります。そのため、水返しの設計にも独特の注意点が生まれます。

Newtonドアの構造的特徴:

  • センサーやモーターがないため、ドア下部に余計な機械部品が存在しない
  • 床面とレールが「完全フラット」で段差がない(バリアフリー)

この構造上、雨水が流れ込みやすいという課題があります。なぜなら、ドアの下部に隙間がある=水の通り道が開けているためです。つまり「水返しが最後の砦になる」構造とも言えます。


Newtonドアの「段差ゼロ×止水対策」はどう考えるべきか?

段差を極力つけないNewtonドアでは、以下のような代替手法が現場で活用されています:

  1. 床面全体をわずかに勾配で設計(1/100程度でも効果あり)
  2. 排水グレーチングを手前に設置し、流れ込む前に受け止める
  3. 可動式止水板で豪雨時だけ対応する
  4. ドア下部に専用の止水パッキンを取り付ける

このように、段差をつけない=防水できない、ではありません。むしろ、「段差なしでどう止水するか?」という設計的な問いに、応えられるノウハウがあるかどうかが問われます。

Newtonドアは、建物の意匠性や安全性といった観点で高い自由度を持ちますが、それゆえに「止水性能は設計者の手に委ねられている」とも言えるのです。


【適ドア適所】にそった「まとめ」

  • 「水返し」は単なる段差ではなく、建物の止水性・安全性・バリアフリー性を左右する重要な設計要素である
  • 自動ドアの構造に合わせて、勾配・材質・納まりを細かく設計する必要がある
  • 毛細管現象や水跳ねなどの現象には、水返し+パッキン・排水・止水板などの複合対策が効果的
  • Newtonドアのような「非電動型」では、段差がないために水返しが特に重要な機能となる
  • 用途・施設の特性に合わせて、最適な設計を判断する【適ドア適所】の視点が不可欠である

出典一覧(参考資料・ナレッジベース)

  • 『Newtonドア』製品資料/Newtonプラス株式会社
  • 『NドアFAQ』社内ナレッジファイル
  • 『Nドア顧客セグメントと導入事例』
  • 『Nドア(チラシ)マンション』『Nドア(チラシ)自治体』
  • 『Newtonドアの安全性検証とJIS規格整合性』

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【荷重式自動ドア】NewtonドアのYoutubeチャンネルはこちらから→https://www.youtube.com/@newton_plus

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