自動ドアと聞くと、多くの人が“電気で動くドア”を思い浮かべるでしょう。しかし実は、自動ドアには複数の種類があり、なかには「電気を一切使わずに動く」ものも存在します。今回の記事では、自動ドアがどのような原理で開閉しているのか、そのセンサーの仕組みや駆動部の構造まで、やさしく丁寧に解説します。
また、停電時にも安心な荷重式自動ドア(Newtonドア)の原理についても深掘りし、どんな環境にどの方式が適しているのかを判断できるようになる「選定軸」もご紹介。読後には、「ただ開くだけの装置」に見えていた自動ドアが、技術と設計思想の塊であることに気づくはずです。
目次(このページの内容)
自動ドアはどうやって動いているのか?
要点:
- 自動ドアの動作は「センサーで人を検知 → 制御装置が命令 → モーターがドアを動かす」という3ステップで成り立つ
- センサー・制御装置・駆動部・ドア本体が連動して動く構造になっている
背景:
街でよく見る自動ドア。手を近づけると“スーッ”と開く様子に、誰もが一度は感動したことがあるでしょう。しかし、この自然な動きの背後には、精密な電子制御と機械工学が組み合わさった、複雑な仕組みがあります。
自動ドアの基本構造は、大きく分けて以下の4つのパートに分類されます:
- センサー
→ 人や物体を検知し、ドアを開けるきっかけを作る - 制御装置(コントローラー)
→ センサーからの信号を受け取り、「開け」「閉め」の命令を判断 - 駆動装置(ドアエンジン)
→ モーター、ベルト、滑車などを使って、実際にドアを動かす - ドア本体とレール機構
→ 引戸や開き戸が滑らかに動くための機構。レール、ガイド、スライドユニットなどを含む
仕組みの流れ:
たとえば、あなたが建物の入口に近づいたとき、自動ドアはこのように動作します:
- センサーが人を検知(たとえば赤外線が身体の熱を検出)
- 制御装置が「人が来た」と判断し、モーターに「開け」の命令を出す
- モーターが回転 → ベルトが動き、ドアが横にスライドして開く
- 一定時間が経つ or センサーが反応しなくなると、「閉め」命令が出されてドアが閉まる
構成要素ごとの役割:
| パーツ名 | 役割・機能 |
|---|---|
| センサー | 人の接近・存在を検出 |
| 制御装置 | センサー情報をもとに開閉の判断を行う |
| 駆動装置 | モーター・ベルトでドアを動かす |
| ドア本体 | 開閉する部分。レールでスムーズに移動 |
| 安全センサー | 人や物が挟まれないよう補助的に監視 |
知っておきたいポイント:
- ドアが「開く」ことよりも、「安全に閉まること」のほうが技術的に難しい
- 特に、人が挟まれないように制御する安全機構(補助センサー)は、非常に高度な設計が求められる
次は、「その“最初のきっかけ”を作るセンサー」について、種類や検出方法の違いを見ていきましょう。
センサーの仕組みと検出原理とは?
要点:
- 自動ドアのセンサーには「赤外線」「マイクロ波」「超音波」など複数の方式がある
- 誤作動や不感知を防ぐため、設置場所や角度が非常に重要
- センサーの組み合わせによって安全性と利便性を両立している
背景:
センサーは、自動ドアの“目”とも言える存在です。人が近づいたことをいち早く検知し、ドアに「開いていいよ」と指示を出す役割を果たしています。とはいえ、「何をもって“人がいる”と判断しているのか?」は意外と知られていません。
主な検出方式と特徴:
| 検出方式 | 原理 | 特徴 | 向いている環境例 |
|---|---|---|---|
| 赤外線式 | 人の体温などから発せられる赤外線を感知 | 精度が高いが、環境要因に影響を受けやすい | 屋内施設(病院・学校など) |
| マイクロ波式 | 電波の反射を測定して動体を検出 | 動きに敏感。物陰からでも反応可能 | 商業施設の出入口(人通りが多い) |
| 超音波式 | 音波の跳ね返り時間から距離を算出 | 周囲の環境に左右されにくい | 倉庫・工場など大型開口部 |
| 光電式 | 赤外線ビームが遮られることで反応 | 簡易型に多い。開閉速度は遅め | 小規模店舗、室内ドア |
起動センサーと補助センサーの違い:
自動ドアには、2種類のセンサーが取り付けられることが多いです。
- 起動センサー(アクティブセンサー)
人が近づいたことを検知する、メインのトリガー装置 - 補助センサー(安全センサー)
ドアの開閉時に人が挟まれないように監視する、いわば“見守り役”
たとえば、赤外線式で「人が来た」と判断し、開いたドアにマイクロ波式や超音波式が残っている人を検知して「まだ閉めないで」と指示するような連携がなされています。
センサーの設置で気をつけること:
- 天井の高さや照明の明るさが感知精度に影響
- 風通しのよい場所では、検知エリアがずれることがある
- 高齢者・小さな子ども・車椅子利用者を想定して、低位置にもセンサーを設置する配慮が重要
誤作動や不感知を防ぐには:
- 複数方式のセンサーを組み合わせる「ハイブリッド設計」
- ドアの真横ではなく、人の進行方向を意識した斜め設置
- 時間帯ごとの人流に合わせて感度の調整を行うなど、運用面の工夫も求められます
このように、センサーは単なるスイッチではなく、「環境」「人の動き」「安全性」を見極めるインテリジェンスな装置です。
次は、実際にドアがどう動くのか――モーターを使った“開閉の力学”について見ていきましょう。
モーターでどうやってドアを動かすのか?
要点:
- 自動ドアはモーターの回転力を「直線の動き」に変えてドアを動かす
- ベルトとプーリー(滑車)の組み合わせによって、スムーズで静かな開閉が実現されている
- 安全機能(挟み込み防止、障害物検知など)との連動が非常に重要
背景:
センサーが「人が来た」と検知しても、それだけではドアは動きません。実際に物理的にドアを開閉するには、“力”が必要です。ここで登場するのが「駆動装置」、つまりモーターを使ったエンジンユニットです。
駆動の仕組み:
電動式自動ドアの基本的な動きは、以下のような機構で実現されます。
- モーターが回転運動を発生(通常はDCモーターを使用)
- その回転がプーリー(滑車)を回し、ベルトが引っ張られる
- ベルトに接続されたドア本体がスライドして開閉
この構造は、以下のような利点があります:
- 回転 → 直線運動への変換がスムーズ
- ベルト駆動により「静音性」「振動の少なさ」を実現
- 力の伝達が一定で、ドアの動きにムラが出にくい
駆動部の主要パーツ:
| 部品名 | 役割と説明 |
|---|---|
| DCモーター | 回転力を生むエンジン部分 |
| プーリー | モーターの回転をベルトに伝えるための滑車 |
| タイミングベルト | 滑りにくいベルトで、力を正確に伝える(歯付きが多い) |
| ガイドレール | ドアがブレずにまっすぐ動くための支え |
| ストッパー | ドアが止まる位置を機械的に制御する装置 |
安全機能のしくみ:
自動ドアの開閉には「人を挟まない」「ぶつからない」ための高度な安全制御が不可欠です。主に以下のような機能が組み込まれています:
- 障害物検知センサー:人や物を検知すると、開く方向に逆動作
- トルク制御:ドアに異常な負荷がかかると、自動的に停止または反転
- ブレーキ制御:ドアが閉まりすぎないように速度と停止位置を細かく制御
- セミオート/手動切替:災害時に自動から手動に切り替える構造を採用
駆動における注意点:
- モーターやベルトの摩耗が進むと、異音・開閉不良・停止不良が起きやすい
- 継続的な点検・メンテナンスが不可欠(1年に1回以上が推奨)
- 特に高頻度利用施設(商業施設、駅、病院など)は耐久性重視の設計が求められる
ここまでが、いわゆる「電動式自動ドア」の標準的な構造です。
次は、電気を一切使わない、特殊かつ注目されつつある“荷重式自動ドア”の原理を見ていきましょう。
荷重式自動ドアの原理とは?電気を使わない仕組み
要点:
- 荷重式自動ドアは、**人が床を踏む力(重さ)**を利用して開く
- 電気を一切使用せず、モーターやセンサーも不要
- 停電時でも確実に動作するため、災害対策やBCP(事業継続計画)に強い
背景:
通常の自動ドアはモーターとセンサーを駆使して動作しますが、「停電したら動かない」「機械の故障が心配」といった声も少なくありません。そこで登場するのが、荷重式自動ドア。これは、まったく異なる原理で動く、いわば“原始的かつ革新的”な自動ドアです。
荷重式の仕組み:
荷重式自動ドアの核心は、「人の体重=荷重」をトリガーとすること。以下のような構造です。
- 床に「荷重板(踏板)」が埋め込まれている
- 人がその上に立つと、荷重が加わり、板がわずかに沈む
- その動きがワイヤーを介してドア側の機械機構に伝達される
- テコとスプリングの力でドアがスライドして開く
ポイントは、この一連の動作に電気を一切使っていないという点。
電動式のようなモーターも、センサーも、制御基板もありません。
Newtonドアにおける構造例:
Newtonドア(荷重式自動ドア)は、以下のような仕組みを採用しています:
| 要素 | 機能と役割 |
|---|---|
| 荷重板(足元) | 人が乗ると沈み、荷重を感知 |
| ワイヤー | 荷重板とドアの間で動作を伝えるメカニカルリンク |
| テコ・リンク機構 | 少ない力で大きな開閉力を生む仕組み(てこの原理) |
| スプリングユニット | 荷重が抜けたときにドアを自動で閉じる(バネの復元力を使用) |
| フロアガイド | ドアがブレずにスライドできるレール構造 |
メリットと向いている環境:
- ✅ 停電時でも必ず動く(災害時に重要)
- ✅ 電気配線・センサー不要で、故障リスクが低い
- ✅ 維持費がほぼかからない(電気代ゼロ・機械寿命が長い)
- ✅ 小学生や高齢者でも“無意識に”開けられる(センサー操作不要)
特に以下のような場所に適しています:
| 環境 | 荷重式が向いている理由 |
|---|---|
| 避難所・防災拠点 | 停電時でも開閉できる |
| 高齢者施設・保育施設 | センサーに頼らず誰でも安全に通行できる |
| 山間部・無人施設・電気不安定な地域 | 電源供給がなくても設置・運用が可能 |
| 公共トイレ・災害備蓄庫 | 点検の手間が少なく、長期にわたり安定運用できる |
電動式との比較:
| 項目 | 電動式 | 荷重式 |
|---|---|---|
| 動力源 | モーター(電気) | 人の重さ(物理力) |
| 動作トリガー | センサーによる検知 | 荷重板を踏む |
| 停電時の動作 | バッテリー or 手動切替が必要 | 常に動作可能 |
| 故障リスク | センサー・基盤・モーターの故障あり | 機械的構造のみで壊れにくい |
| 維持費 | 電気代・定期点検が必要 | ほぼ不要(数年ノーメンテも可) |
「電気がないと開かない」というリスクに備えたい場所では、電動式よりも荷重式が“最適な選択”となる場合があります。
では、次に「どの方式が、どんな場所に向いているのか?」という判断を深掘りしていきましょう。
駆動方式ごとの違いと選定判断|“選びミス”を防ぐには?
要点:
- 自動ドアには電動式・空圧式・油圧式・荷重式など複数の駆動方式がある
- 「設置環境・利用者層・災害対策・コスト」など、選定には複数の観点が必要
- 「適ドア適所」の考え方を取り入れることで、導入後の後悔を防げる
背景:
自動ドアを「とにかく自動で開けばいい」と単純に考えて設置すると、後々「思ったより電気代がかかる」「誤作動が多くて困る」「停電で動かない」など、設計ミスによるトラブルが発生します。
特に近年は、災害リスクや省エネ、ユニバーサルデザインなど、社会的要請が多様化しており、設計・導入段階での「方式の選び方」がますます重要になっています。
駆動方式の分類と特性:
| 駆動方式 | 特徴・メリット | 注意点・デメリット |
|---|---|---|
| 電動式 | 主流方式。センサー連動・滑らか・静音設計が可能 | 停電に弱い。機械・電子部品の故障リスク |
| 空圧式 | 粉塵が多い環境や防爆対応に有効 | 設備が大型化しやすく、メンテが複雑 |
| 油圧式 | 高トルクが必要な大型ドアに対応 | オイル漏れや温度依存性に注意 |
| 荷重式 | 電源不要。災害・BCPに強く、故障リスクが少ない | 設計が限定的。一定の床構造が必要 |
「適ドア適所」の考え方:
「適ドア適所」とは、単に機能だけで選ぶのではなく、以下のような軸で“その場に本当に適した方式”を選ぶことを意味します:
| 判断軸 | 考慮すべき内容 |
|---|---|
| 利用頻度 | 高頻度なら耐久性・静音性が高い電動式が◎ |
| 災害リスク | 停電時も確実に動く荷重式がベター |
| 利用者の特性 | 小さな子どもや高齢者が多いなら、センサー不要の荷重式が安全 |
| メンテナンス性 | 設置後の点検が難しい場所では、故障リスクの低い方式を優先 |
| コスト・導入条件 | 電気工事不要な荷重式は初期費用・運用費用の削減につながる可能性 |
代表的な選定例:
| 設置環境 | 選定されやすい方式 | 理由 |
|---|---|---|
| 商業施設の正面玄関 | 電動式(赤外線+マイクロ波) | 利便性とスムーズな開閉が重視されるため |
| 公共施設の非常口 | 荷重式 | 停電時の安全確保・バッテリー不要 |
| 倉庫・工場の大型ドア | 空圧式 or 油圧式 | 粉塵対策、重い扉の開閉に対応 |
| 幼稚園や福祉施設 | 荷重式(低い荷重対応) | 子どもや高齢者が自然に通れる。誤作動リスクも低い |
| 山間部の簡易トイレ | 荷重式 | 電源が取れない環境に最適 |
よくある“選定ミス”とは?
- 「とりあえず電動式」で選び、停電時に動かずトラブルになる
- センサー誤作動が多発し、開閉のたびにイライラ
- 維持費がかさみ、想定以上のコストがかかる
- 高齢者施設に設置したが、センサーの高さが合わず動作しない
これらのトラブルは、導入前に「誰が使うのか」「どんな場所か」「停電時はどうか」を考えるだけでほぼ回避できます。
最終章では、“よくある誤解”や“進化している技術”についても紹介し、最新の選定視点を整理します。
誤解されがちな「自動ドア」の常識と最新技術
要点:
- 「自動ドア=電動」だけではない。停電対応や安全設計に違いがある
- 現代の自動ドアは、BCPやユニバーサルデザインにも対応し始めている
- センサーや駆動だけでなく、“選ばれ方”自体が進化している
背景:
自動ドアの原理や方式の理解が進むと、多くの人が「今まで自動ドアをただの“便利な機械”としか見てなかった」と気づきます。
特に以下のような“誤解”は、実際の選定や使用に大きな差を生むことがあります。
よくある誤解と事実:
| 誤解されがち | 実は… |
|---|---|
| 自動ドアはすべて電気で動く | 荷重式など「電気を使わない自動ドア」もある |
| 停電時はすべてのドアが手動で開かない | 荷重式なら常時開閉可能。BCPの観点でも重要 |
| センサーがついていれば安心 | 誤作動・不感知が発生するため、設置・設定が非常に重要 |
| メンテナンスはどれも同じ | 荷重式は点検周期が長く、運用コストがほぼ不要 |
自動ドアと防災・BCPの関係:
近年の災害頻発や停電の増加により、自動ドアにも**“止まらない”設計**が求められるようになっています。
- 電動式 → バッテリー搭載 or 非常用電源切替が必要
- 荷重式 → 常に人の重さで動くため、「絶対に止まらない」構造
特に、避難所・病院・公共トイレなど、「閉じていると人命に関わる場面」では、電動式だけでなく荷重式の併用が見直されています。
最新技術のトレンド:
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| センサー進化 | AI搭載型センサーで人物の属性や進行方向まで判断可能に |
| 複合検知 | 赤外線+マイクロ波など複数のセンサーで誤検知リスクを軽減 |
| 建築設計との融合 | 省スペース型・ガラス埋込型など、空間デザインと一体化した設計 |
| 荷重式の再評価 | 災害・BCP文脈での採用が急増中 |
“設置後の未来”まで見据えた選び方へ:
単なる利便性だけでなく、
- 維持管理のしやすさ
- 環境変化への強さ(災害、停電など)
- ユーザーにとっての「通りやすさ」
などをトータルで見て、“設置後の10年”を意識した選定が今の時代には求められます。
ここまでを理解した上で、最後に【適ドア適所】に基づいたまとめをご紹介します。
【適ドア適所】にそった「まとめ」
✅ 自動ドアの原理は「センサー → 制御装置 → 駆動部」の流れで構成される
→ 各部の役割を正しく理解することで、メンテナンスやトラブル対応にも強くなれます
✅ センサーの種類と配置によって快適性・安全性が大きく左右される
→ 赤外線、マイクロ波、超音波などの特性を知り、現場に応じた最適化を
✅ 駆動部(モーター、ベルト)の構造理解は、静音性・耐久性の判断材料に
→ スムーズな動作と安全制御は、設計次第で大きく差が出ます
✅ 荷重式自動ドアは「電源不要」「高い安全性」「BCP対応」に優れる
→ 電動式と並んで選ばれる“第2の選択肢”として見直されるべき存在です
✅ 「どのドアを、どこに設置するか」がすべての鍵
→ 駆動方式に正解はありません。施設の環境、目的、利用者特性を踏まえて選ぶのが最善です
自動ドアは、ただ開閉するだけの機械ではありません。
それは「人の動き」と「建築空間」をつなぐ、最前線の“インターフェース”です。
そしてその仕組みを理解し、適切に選ぶという行為は、人の安心・安全・快適を支える設計そのものに他なりません。
出典表示(記事内の情報元):
- Newtonドア公式資料「NドアFAQ」「Nドア顧客セグメントと導入事例」
- Newtonドアの安全性検証とJIS規格整合性
- 日本建築学会/自動ドア設計指針
- nabco.nabtesco.com/自動ドアの構造と安全機能
- seikatsu110.jp/自動ドアの仕組み・センサー解説
- Wikipedia「自動ドア」
- autodoor-repair.com/自動ドア部品と構造解説
【荷重式自動ドア】Newtonドアの資料請求はこちらから→https://76auto.biz/newtonplus/registp/p-offer.htm
【荷重式自動ドア】NewtonドアのYoutubeチャンネルはこちらから→https://www.youtube.com/@newton_plus