自動ドアというと、動作の起点になる“起動センサー”にばかり注目が集まりがちですが、安全性を支えるもう一つの存在に「補助センサー」があります。

とくに、高齢者施設や病院、店舗、マンションのエントランスなどで「人が立ち止まったまま動かない」「ゆっくり歩いている」ケースがあると、補助センサーの有無が事故リスクを大きく左右します。

この記事では、「補助センサーとは何か?」から、「どんな構成で設計すべきか?」「本当に必要か?」という判断軸、そして「導入後の注意点」まで、現場目線で丁寧に解説していきます。


目次(このページの内容)

補助センサーとは?どんな役割を持つのか

Q:そもそも補助センサーとは何をするもの?

A:補助センサーは、自動ドアの開閉タイミングで起きる“見落とし”をカバーし、ドア周辺の人や障害物を検知して事故を防ぐためのセンサーです。


役割:開閉時の「見逃し」を防ぐ“安全補助”

自動ドアには、動作を始めるための「起動センサー」がついています。これは、主に人の動きを感知して「開ける」指令を出すものです。しかし、次のようなケースでは、起動センサーだけでは十分な安全性を確保できないことがあります:

  • 子どもや高齢者がドア付近に立ち止まっている
  • ベビーカー・車椅子の人がドア前で一時停止している
  • 通過中に急に止まる・戻るなど、非定型な動きがある

こうした「停止状態」や「低速移動」「異常動作」に対しては、起動センサーが反応できずに、ドアが閉まりかけることがあります。
補助センサーは、そのような“検知漏れ”を補う役割を担っています。


起動・補助・保護センサーの関係性

自動ドアに搭載されるセンサーは、基本的に以下の3種類に分類されます:

センサー種別主な役割主な設置位置
起動センサー人の動きを検知し、ドアを開く無目・天井面など
補助センサー起動センサーが見落とす人・物を検知し、ドアの閉鎖を一時中止させるドア付近・縦枠・側面など
保護センサードアの閉動作中に障害物があった場合、停止・逆転させる戸先や床下など

つまり補助センサーは、「起動」と「保護」の中間に位置する安全装置です。
動作の起点ではなく、「開閉動作の補助と安全確保」を目的としています。


技術方式の違い:光線式/超音波/レーザー式

補助センサーには、以下のような技術方式があります。

  1. 光電式(ビーム式)
     ・光の遮断で対象を検知
     ・狭い範囲に有効、誤作動が少ない
     ・反射型・受光型がある
  2. 超音波式
     ・人や物体に超音波を当てて反射波を検知
     ・広範囲で柔軟な検出が可能
     ・周囲のノイズや素材に影響されやすい
  3. レーザー式(ToF・LIDAR)
     ・飛行時間を測定して距離・位置を高精度で検出
     ・ゾーンを細かく指定可能で誤検知が少ない
     ・高価で設置調整がやや難しい

どの方式も、「用途と場所に合わせて選定する」ことが重要です。
詳細な比較は後述のセクションで解説します。


なぜ今、「補助センサー」が注目されるのか?

近年は、施設の利用者層に「高齢者」「障がい者」「子ども」などが増えており、単純な開閉タイミングでは安全が担保できない場面が増えています。
また、バリアフリー設計や福祉施設の義務化が進む中で、“立ち止まり”や“戻り動作”などをどう安全に処理するかが、設計側に求められています。

補助センサーは、こうした「多様な動きに対する検知力」を強化し、事故のリスクを下げる上で欠かせない要素となってきました。


自動ドアに補助センサーは必要?導入判断の考え方

Q:補助センサーを導入すべきかどうか、どう判断すればいいの?

A:補助センサーが必要かどうかは、「動線」「利用者の特性」「既存センサーの配置」「過去のトラブル歴」などをもとに判断すべきです。単なる“保険”ではなく、“構成設計”として導入可否を見極めましょう。


導入検討の出発点:「ドア周辺で人が立ち止まるか?」

まず最初に確認すべきは、「ドアの前後で人が立ち止まる状況があるかどうか」です。

たとえば以下のようなケース:

  • インターホンや受付パネルがドア横にある(立ち止まる)
  • 高齢者がゆっくりと通行する
  • 子どもがドア前で遊んだり、戻ったりする
  • 車椅子や歩行器使用者の通行が多い
  • 重い荷物を運ぶスタッフが一時的に停滞する

このような「通行者がドア前で停止する可能性がある」場合、補助センサーは事故防止のために有効です。


「補助センサーが必要かどうか」を判断する5つの基準

以下の5つの視点で、自動ドアの現場環境を評価してみましょう。

観点判断のヒント
① 通行量通行者が多く、同時に複数人が行き交う場合、起動センサーだけでは検知しきれない可能性がある
② 利用者の属性高齢者・子ども・車椅子利用者が多い施設では、補助センサーで動きの“変化”に対応しやすくなる
③ 動線と構造L字動線・傾斜・段差があると、センサー死角が生まれやすくなるため、補助センサーが有効
④ 過去のトラブル歴過去に接触事故や誤作動があった場合は、補助センサーによる補完を検討する価値がある
⑤ 設置スペース補助センサーの設置に適したスペース(縦枠・側方・床下など)が確保できるかを確認

「補助センサーがなくて起きる事故」の典型パターン

ここで、実際に現場で見られる事故例を1つ紹介します。

事例:高齢者施設での接触事故
ある高齢者施設では、入居者がゆっくりと自動ドアを通過していた際、ドアが閉まりかけて腕に接触してしまいました。
この施設では起動センサーは正常に稼働していたものの、「人が通過途中で立ち止まった場合」を検知する機能が不足していたのです。

補助センサーがあれば、「ドア前の静止」を検出し、ドアの閉動作を一時停止させることができたと考えられます。


「保険」ではなく「設計」──補助センサーの本質

多くの人が、補助センサーを“念のための安全装置”と考えがちですが、それは誤解です。
実際には、「構成として考えるべき」重要な要素です。

  • どのような動線か
  • どのような通行者か
  • 起動・保護センサーでは補えない“盲点”があるか

これらをもとに、「安全性に穴があいている箇所」を構成としてどう埋めるか──これが補助センサーの設計思想です。


補助センサーの種類と選び方(光線・超音波・レーザー)

Q:補助センサーにはどんな種類がある?どうやって選べばいい?

A:主に「光電式(ビーム式)」「超音波式」「レーザー式(ToF)」の3方式があります。それぞれに特徴と向き不向きがあり、環境や用途によって最適解が異なります。


センサー方式の基本理解

補助センサーが「何を、どのようにして検知するか」は、採用されている方式によって大きく変わります。以下に主要な方式を比較します。


【比較表】補助センサーの方式と特徴

方式検知原理特徴向いている用途
光電式(ビーム)赤外線ビームの遮断で検出・誤作動が少ない
・狭い範囲の検知に適す
・通路が直線的な場所
・一定位置を守りたい施設(例:マンションのエントランス)
超音波式超音波の反射を距離で検出・広い検知範囲
・柔軟な感知ゾーン設定が可能
・人の動きが読みにくい場所
・店舗・病院など多用途施設
レーザー式(ToF)光の飛行時間を計測して距離を検出・高精度・誤検知が少ない
・ゾーニングが詳細
・高セキュリティエリア
・複雑な動線の施設(例:病院、役所など)

用途別の選定イメージ

  • マンションのエントランス
     →【光電式】が主流。直線的な動線に最適で、過剰検知が起きにくい。
  • 高齢者施設・病院
     →【超音波式】が多用される。動線が多様で、静止状態やゆっくり動く人を広く検知できる。
  • 役所・行政施設・金融機関
     →【レーザー式】の導入も増加中。ToF方式により、複数ゾーンの設定・人物の輪郭検知が可能。

導入実例から学ぶ選び方のコツ

事例①:超音波式→誤検知多発→光電式に交換
ドラッグストアの出入口で、超音波センサーが歩道を通る通行人や車両の影響で頻繁に誤作動。結果として、狭角な検知ができる光電式に交換したところ、誤作動が大幅に減少。

事例②:光電式→レーザー式にグレードアップ
自治体庁舎で、人の横歩きや車椅子の“回転動作”などでビームが遮られず事故発生。ToFレーザー式に変更して、「ゾーン単位での距離・動き検知」により安全性を向上。


センサー選定時に必ず考慮すべきポイント

  1. 死角になりやすい位置があるか?
     → ドアの中間方立や、枠の死角は要注意。
  2. 照明・反射・騒音などの影響要素は?
     → 光反射や金属面の多い場所では光電式が不安定になることも。
  3. 設置スペースの余裕はあるか?
     → 縦枠に装着するタイプはドア構造によって選定制限あり。
  4. 動線の多様性・混在性は?
     → 多世代・多用途が交錯する場所では、レーザー式が有利。

最適な補助センサーの設置場所と構成パターン

Q:補助センサーは、どこにどう設置するのが正解なの?

A:補助センサーは「単体」で機能するものではなく、「起動・補助・保護」のセンサーを組み合わせて“死角のない構成”を作るのが基本です。設置場所は、ドアのタイプ・動線・利用者に応じて最適化する必要があります。


補助センサーの設置パターン

補助センサーの設置位置は、主に以下のような箇所に分類されます。

設置位置特徴主な活用シーン
無目上部(上枠)起動・補助兼用が可能
設置がしやすい
店舗・施設の標準設計
縦枠人の横移動を正確に捉える
近接検知がしやすい
車椅子利用・高齢者施設
中間方立/戸先側通過途中・死角への対応に有効L字通路・視界が遮られる動線
床下・ドアレール付近通過中の足元を検知
車輪や歩行補助具も感知
福祉施設・幼児施設
戸袋側引き込みドアに対応
挟み込みリスク軽減
自動引戸全般

【構成例】センサーの組み合わせパターン

以下は、自動ドアを安全に運用するための“構成設計”の例です:


構成パターン①:最小限構成(一般用途)

  • 起動センサー(無目上部):動体検知で開閉
  • 補助センサー(縦枠):静止人を検知

→ 小規模店舗や事務所など、人の動きが比較的単調な環境に向く。


構成パターン②:安全重視構成(バリアフリー施設)

  • 起動センサー(無目上部)
  • 補助センサー(縦枠+戸先)
  • 保護センサー(ドア下部・戸袋)

→ 車椅子や歩行器、視覚障がい者など、多様な通行者を想定する施設で有効。多層的な検知により、誤動作リスクを軽減。


構成パターン③:高精度構成(行政・公共施設)

  • 起動センサー(無目+レーザー型)
  • 補助センサー(ゾーン分割型ToFレーザー)
  • 保護センサー(CAN通信対応)

→ 高精度のゾーン設計が可能で、人物の移動パターンや滞留にも反応。誤作動率が極めて低い構成。


【注意点】構成の失敗例から学ぶ

ケース①:補助センサーが高すぎて、子どもを検知できなかった
→ センサーの高さが大人基準で設定されており、子どもや低い物体が感知されなかった。→再設定で改善。

ケース②:起動センサーと補助センサーの検知範囲が被って、ドアが開閉を繰り返す
→ 設定が不適切で、ゾーン重複が原因。検知エリアの再設計で解決。

ケース③:屋外設置で誤検知多発(反射・風・虫)
→ 特に光電・超音波式は、環境変化に弱い。屋外にはレーザー式や環境補正機能付き機種が有効。


設計の考え方:すべてをカバーするのではなく、「危険な空白」を埋める

「ドアまわりを全方位で囲んでしまえば完璧だ」と思われがちですが、それは非効率であり、過剰検知による誤作動のリスクを増やします。

本当に大切なのは、“人の動き”を想像して、「どこで事故が起きそうか」というリスクベースの設計を行うことです。


補助センサー導入後に起こりがちなトラブルと対策

Q:補助センサーを導入したら終わり?運用で注意することは?

A:補助センサーは導入しただけでは安全性は保証されません。「感度設定」「検知範囲」「設置環境の変化」に応じた調整が不可欠です。定期点検と初期調整のノウハウこそが、事故を防ぐカギになります。


トラブル例①:ドアが頻繁に開閉する(誤作動)

原因

  • 検知エリアが通行ゾーン外まで広がっている
  • 風で揺れる植木、のぼり、カーテンなどを検知している
  • 設置場所が照明の点滅・反射と干渉している

対策

  • 検知ゾーンの絞り込み(角度・距離・方向)
  • 環境物の遮蔽・配置見直し
  • 感度レベルを再設定し、近距離重視に変更

トラブル例②:人が立ち止まっているのに反応しない

原因

  • 補助センサーの設置高さが適していない
  • 静止人物への感度が低く設定されている
  • 子ども・車椅子など、低い位置の検知が不足

対策

  • センサーの取り付け角度・高さの再調整
  • “静止モード”の感度を高める
  • 必要に応じて補助センサーの追加設置(縦枠・床下)

トラブル例③:環境変化で反応しなくなった(季節・時間帯)

原因

  • 季節による日照角度の変化(赤外線干渉)
  • 冬場の反射率変化(コート・傘・雪)
  • 植栽の成長や照明の新設などによる新たな影響物

対策

  • 年2回程度の定期点検(夏・冬)を実施
  • 新たな“動くもの”が近くにないかを確認
  • センサーの診断機能を活用し、誤検知ログをチェック

導入時・保守時におすすめのチェックリスト

1. 取り付け角度・高さが環境に合っているか?
2. 人の動きに対する反応速度は適切か?
3. 検知範囲が必要なゾーンを確実にカバーしているか?
4. 誤検知が起きそうな要素(風、反射、振動)はないか?
5. 初期設定のままになっていないか?カスタマイズは済んでいるか?


センサーの“自己診断機能”を活用しよう

近年のセンサーには、自己診断・異常検知の機能を搭載した製品も増えてきました。
定期点検の際には、以下のようなチェックが可能です:

  • 検知ログの確認(反応回数・パターン)
  • 異常信号の履歴表示
  • オンライン/CAN通信による集中監視

特に、Newtonドアと連携できるネットワーク対応の補助センサーは、異常時に自動で制御ユニット側に通知を送る設計も可能で、事故未然防止につながります。


“導入後の調整”こそ、最も重要なフェーズ

補助センサーに限らず、センサー機器のほとんどは「出荷時の初期設定」ではなく、「現場調整」を前提に作られています。

「補助センサーをつけたのに事故が起きた」といった事例の多くは、“設置したまま放置”されていたケースです。
設置→調整→検証→微調整→定期点検というサイクルを作ってこそ、安全性は持続します。


【適ドア適所】補助センサーの“使いどころ”を見極める

Q:補助センサーは、すべての自動ドアに必要なの?

A:すべての自動ドアに補助センサーが必要なわけではありません。重要なのは「どこに・なぜ・どう使うか」を見極めること。つまり【適ドア適所】の判断軸です。


「つけること」が目的ではない──補助センサーの“適所”とは

現場によって、自動ドア周辺に求められる安全性の基準は異なります。

  • 病院や福祉施設:安全性>利便性。過検知でもよい
  • 商業施設やマンション:バランス重視。誤作動は避けたい
  • オフィスビルや事務所:利便性>安全性(過検知によるストレス回避)

このように、施設の性質・来訪者層・通行頻度によって、「どこまでの安全性を構成として担保すべきか」が変わってきます。


【適ドア適所】を見極める判断基準

補助センサーの導入を検討する際は、以下の5つの観点を使って、**「本当に必要か」「どこに必要か」**を見極めましょう。

判断軸チェックポイント
① 利用者属性高齢者・障がい者・子どもが主な利用者か?
② 動線構造L字型・段差あり・死角が発生しやすいか?
③ 過去のトラブルドアでの接触・閉じ込み事故が発生したか?
④ 設置環境照明、植栽、看板など誤作動要素があるか?
⑤ 既存センサー構成起動・保護だけで死角なくカバーできているか?

Newtonドアにおける“構成としての補助センサー”設計

Newtonドア(荷重式自動ドア)は、人がドアに力を加えると開く“電気を使わない”方式の自動ドアです。
そのため、そもそも「起動センサーが不要」という特徴を持っています。

しかし、状況によっては次のような補助センサー活用が有効です:

  • 視覚障がい者や高齢者の接触防止のため、静止検知センサーを追加する
  • 通行方向が偏っている施設で、ドア開放時間を最適化するため
  • 施設の既存構成との整合性をとるため(例:一部は電動式で一部は荷重式)

Newtonドアは「電気を使わないことで安全が担保される」と思われがちですが、実際は「構成全体での安全性」を見なければなりません。
とくに高頻度施設や福祉施設では、補助センサーを“構成要素”として最適化することが、Newtonドアの実力を最大限に活かすポイントです。


【チェックリスト】補助センサー導入を判断するための最終確認

導入の意思決定に入る前に、以下を確認してください:

✅ ドア周辺で人が立ち止まることがある
✅ 起動センサーでは反応できない“滞留”や“戻り動作”がある
✅ 接触や誤動作のリスクがあった・ある
✅ 調整・点検を含めた運用体制を持てる
✅ 利用者の属性に安全配慮が求められる(福祉・教育など)


【適ドア適所】にそった「まとめ」

補助センサーは、単なる“追加装置”ではなく、自動ドアの安全性・快適性を構成するための判断ベースで導入すべき装置です。

全体を通じて言えるのは:

  • 補助センサーを導入するべきかどうかは、「施設の特性」「動線」「通行者の動き」で決まる
  • 単体で完結する機器ではなく、「起動・補助・保護のセンサー構成」として考える必要がある
  • 設置後の調整・メンテナンス体制を含めて運用設計すべき
  • Newtonドアのような“起動センサー不要型”でも、補助センサーは構成の一部として検討に値する

「とりあえず補助センサーをつけよう」ではなく、「この場所に必要か」「この構成で最も安全か」という【適ドア適所】の視点を持って、安全設計を行っていきましょう。


【出典・参考リンク】

【荷重式自動ドア】Newtonドアの資料請求はこちらから→https://76auto.biz/newtonplus/registp/p-offer.htm

【荷重式自動ドア】NewtonドアのYoutubeチャンネルはこちらから→https://www.youtube.com/@newton_plus

地震など長期停電でも、止まらず動く
「事故が全くおきない」国も認めた安全自動ドア
アナログの特許構造で壊れないから修理費も0円

お問い合わせ・資料請求は今すぐ
↓↓↓

関連記事一覧

  • 関連記事
TOP