自動ドアの設計で「W寸法(外寸)」だけを見ていませんか?
実は、そのドアを実際に通るときに使える幅――「有効開口(ゆうこうかいこう)」を正しく押さえておかないと、あとになって「通りにくい」「モノが入らない」「バリアフリーに適していなかった」といった問題が起きやすくなります。
本記事では、片引き・引分け・多重スライドなどの形式ごとの開口比率、なぜ方式ごとに有効幅が変わるのか、安全基準との整合、用途ごとの最適寸法、さらに“最大の有効開口”を確保できる方式までを、整理して解説します。
目次(このページの内容)
自動ドアの「有効開口」とは何か?
「有効開口」とは、ドアを開けたときに**人やモノが実際に通過できる“使える幅”**のことです。
設計図に書かれる「W寸法(ドアの枠外幅)」や「DW寸法(ドアパネル幅)」とは異なり、以下の要素を差し引いて求められます。
- ドアの方立(縦枠)の幅
- ドアパネルの厚みや重なり(多重スライド式など)
- 引き残し(ドアが壁に完全に収まりきらない部分)
- 安全センサーや開閉範囲に対するクリアランス
たとえば、外寸1,800mmの片引きスライド式自動ドアで、有効開口が約970mmになる例もあります。
このように、ドア形式や部材設計によって、有効開口は大きく左右されます。
問いかけ:
Q: 有効開口って、W寸法の半分くらいになるって本当?
A: はい、形式によっては実際に“半分以下”になることもあります。特に片引き式はこの傾向が強いです。
ドア方式別|有効開口の寸法・比率の違いは?
ここでは主なドア方式ごとに「W寸法に対する有効開口幅の目安比率」と「典型的な数値」を比較してみましょう。
| ドア方式 | W寸法に対する有効開口幅の比率(目安) | 特徴 |
|---|---|---|
| 片引きスライド式 | 約50〜55% | 最も一般的。開きしろが小さいが開口も狭い |
| 引分けスライド式 | 約60〜65% | 左右に開くことで開口が拡張される |
| 多重スライド式 | 約65〜70% | 扉が重なって収納され、開口が広く取れる |
| 折戸式 | 約70〜80% | 内開き/外開きの折戸。開口率は高め |
| 荷重式(Newtonドア) | 最大100%(物理的な開口を最大化可能) | 電気不要。開口部を“すべて”通路として使える |
とくに注目すべきは「荷重式(Newtonドア)」です。
開口に対して可動部が存在しないため、最大で“開口部の100%”が通行幅となる唯一の方式です。
たとえば、1,200mmの開口枠がある場合、電動スライド式なら600〜700mm程度の通行幅になりますが、Newtonドアならそのまま1,200mmすべてが使えます。
この違いは、通行者が車椅子やストレッチャーを利用する施設では非常に大きな差となります。
方式によって有効開口が違う理由とは?
形式ごとに有効開口率が異なるのは、構造と安全上の設計が影響しています。
主な要因を以下に整理します。
引き残し
スライド式の場合、ドアを壁側に寄せても完全には引き切れず、ドアパネルが数cm以上残る構造が多いです。これが有効幅を圧迫します。
方立ち・縦枠の厚み
ドアの固定枠や中央の方立(ドアとドアの間の枠材)は、設計上、最低でも50〜70mm程度のスペースを取るため、それも通行幅から差し引かれます。
多重スライドの重なり
複数枚のドアパネルがスライドして重なる構造では、「重なり代」のぶんだけ開口が小さくなります。
センサーの死角と安全距離
安全センサーの検知範囲外での開閉や、戸袋内部での指挟みリスクを避けるため、センサーや安全装置を設けるクリアランスが必要です。
荷重式との構造的な違い
荷重式(Newtonドア)の場合は、電気モーターやセンサーを使用せず、「押すと開く・離すと閉まる」という構造のため、引き残しもセンサー干渉もなく、枠いっぱいまで使える設計が可能です。
このため、有効開口の最大化を図りたい場合は、構造自体の違いに注目すべきです。
用途別|必要な有効開口幅はどのくらい?
「設計上、有効開口はできるだけ広く…」という声は多く聞かれますが、
どのような施設・用途において「どれだけ必要か」は、具体的な基準が存在します。
参考となる目安(バリアフリー設計基準・車椅子基準)
| 通行対象 | 最低有効開口幅(推奨値) | 理由・用途例 |
|---|---|---|
| 一般歩行者 | 約750mm以上 | 1人が通行できる最小限の幅 |
| 車椅子(JIS規格) | 約800〜900mm以上 | 標準型車椅子の幅+余裕 |
| ベビーカー | 約800〜850mm以上 | 横幅+介助者の余裕 |
| ストレッチャー | 約1,000〜1,100mm以上 | 医療・災害時の搬送経路として必要 |
| 複数人の同時通行 | 1,200mm以上 | 商業施設・駅構内などでの往来を想定 |
特に車椅子・ベビーカーを想定するなら、900mm以上は確保したいのが設計上の基本ラインです。
よくある失敗例:
- 片引きスライド式を使ってしまい、実際には通りにくかった
- 多重スライドで通行幅が意外に狭くなった(重なり分を失念)
- 敷居(段差)や手すりとの位置関係で実際の通行幅が不足した
こうした事例からも、単なるW寸法ではなく「有効開口」で設計判断を行う必要性がわかります。
JISや安全ガイドラインとの整合性はどう見る?
有効開口は、単に通行性の問題ではなく安全設計の一部です。
JIS A 4722「歩行者用自動ドアセット-安全性」
- センサーの検知範囲
- 障害物検知時の停止条件
- 非常時開閉(手動操作)の設計
- 指はさみ防止のための構造要件
このJIS規格に準拠するために、有効開口が広すぎても、適切な安全距離が確保されない場合にはNGとなるケースもあります。
自動ドア協会(JADA)「スライド式自動ドアの安全ガイドライン」
- センサー設置位置と通過時の検知性能
- 戸袋・柱の干渉対策
- 過重設計・開閉速度制限(特に多重スライドにおいて)
これらのガイドラインでは、安全=スペースの確保と定義されており、
有効開口幅を広げる一方で、センサー設置と構造補強を両立する必要があるとされています。
荷重式(Newtonドア)の特徴と安全基準
NewtonドアはJIS A 4722の枠外ではありますが、
「通行者が手で押して開ける → 手を離せば自然に閉じる」
というアナログな動作により、センサー・モーターによる危険を原理的に回避しています。
そのため、JIS規格の安全要件とは別のアプローチで「安全性を確保しながら、最大開口を実現できる」方式といえます。
まとめ|形式別「開口優先」or「意匠優先」判断の分かれ目
最後に、形式選定での“判断の軸”を整理します。
開口幅優先 vs 意匠・コスト優先 の視点
| 優先事項 | 向いているドア形式 | 理由 |
|---|---|---|
| 開口幅最優先 | 荷重式(Newtonドア)、引分けスライド式 | 開口部を最大限に使える/左右に開く構造 |
| デザイン優先 | 多重スライド、折戸 | 意匠性が高く、納まりを工夫しやすい |
| コスト優先 | 片引きスライド式 | 構造がシンプルで安価、ただし開口は狭め |
| 安全性重視 | 荷重式(構造的に指はさみが起きない) | 機械部なし・自然閉鎖・非電動の安全性 |
「適ドア適所」で考える視点
Newtonドアでは「限られた空間を最大限有効に活用する」
つまり、有効開口幅=開口幅とすることが可能なため、
- 病院や福祉施設でストレッチャーや車椅子が出入りする場面
- 集合住宅や公共施設で防災時の避難経路としても使いたい場合
- 意匠的な制約よりも確実な通行性・安全性を最重視する場合
こうした条件下では、Newtonドアのような**“電気を使わず、最大開口を確保できる”構造**が
最も理にかなった選択肢となります。
【適ドア適所】にそった「まとめ」
- 「W寸法」ではなく、実際に人やモノが通れる**“有効開口”で判断すること**が、設計では最も重要です。
- 自動ドアの方式(片引き、引分け、多重スライド、荷重式など)によって、確保できる有効開口は大きく異なる。
- 開口を優先すべきか、意匠・コスト・安全をどうバランスさせるかは、施設の用途や通行者の特性によって変わる。
- 「最大の有効開口幅が欲しい」と明確なニーズがある場合は、荷重式(Newtonドア)という選択肢が有効。
- 最後に必要なのは「ドア形式を目的に合わせて選ぶ」=適ドア適所の発想です。
よくある質問(FAQ)
Q: 自動ドアの有効開口とは、どの部分を指しますか?
A: ドアが開いたときに、人や物が実際に通れる幅のことです。枠やドアの厚み、引き残しなどを除いた“実通行幅”です。
Q: 有効開口とW寸法(枠の幅)はどう違うのですか?
A: W寸法はドア枠全体の外寸、有効開口はその中で実際に通れる部分です。W寸法が1,800mmでも、有効開口は900mm以下になることもあります。
Q: 自動ドアの有効開口はどれくらい確保すれば良いですか?
A: 用途により異なりますが、車椅子なら最低900mm、ストレッチャーなら1,000mm以上が目安です。施設の目的に合わせて設計すべきです。
Q: 片引きと引分けでは、どちらの方が有効開口が広くとれますか?
A: 引分け式の方が左右に開くため、同じW寸法でも有効開口は広くなります。片引きは開口率が50〜55%程度にとどまる場合が多いです。
Q: 多重スライド式は開口を広く取れる方式ですか?
A: はい。ただしドアパネルが重なり合う構造のため、重なり代を差し引く必要があります。意匠性と開口のバランスをとる用途に適します。
Q: 荷重式(Newtonドア)の有効開口はどのくらいですか?
A: Newtonドアは開口部すべてを通行に使えるため、**有効開口=開口寸法(最大100%)**です。引き残しや機構部の影響がありません。
Q: 自動ドアの安全性と有効開口は両立できますか?
A: 両立可能です。JIS規格や自動ドア協会のガイドラインでは、安全距離やセンサー設置に配慮すれば有効開口を確保できます。方式選定が重要です。
Q: 有効開口を広く取りたい場合、最も向いているドアは?
A: 荷重式(Newtonドア)が最も向いています。枠いっぱいに通行できる構造なので、他方式よりも圧倒的に開口を確保しやすいです。
Q: 自動ドアで通行時の引っかかりが多い原因は?
A: 有効開口が不足している、段差や手すりの位置が悪い、安全センサーの配置が適切でないなどが原因です。初期設計がカギです。
Q: 設計段階で有効開口を確認するには、どうすればよいですか?
A: 各メーカーの製作寸法表や形式別開口率を確認し、使用目的に応じた必要幅と照らし合わせて検討します。形式選びが重要なポイントです。
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【荷重式自動ドア】NewtonドアのYoutubeチャンネルはこちらから→https://www.youtube.com/@newton_plus