自動ドアにモヘアは使える?
気密性を高めたい、冷暖房の効率を上げたい、防音・防塵対策をしたい――そう考えて「モヘア」という選択肢にたどり着いた方も多いはず。でも、ちょっと待ってください。モヘアは確かに“すき間対策”として優秀ですが、自動ドアに使うにはいくつか慎重に検討すべきポイントがあります。

この記事では、モヘアの基本から、自動ドアに使えるかどうかの判断軸、安全性への影響、製品選び、施工の注意点まで、すべてを丁寧に解説していきます。

「なんとなく良さそう」で取り入れる前に、この記事を通じて“使える条件”と“やってはいけない落とし穴”を理解し、安心して判断できる知識を手に入れてください。


目次(このページの内容)

そもそも自動ドアには「すき間」ができやすい?

Q: 自動ドアにすき間って本当にできるの?

A: はい。とくに引戸やスライド式の自動ドアは、機構上すき間ができやすい構造になっています。


背景:なぜ自動ドアは密閉されていないのか?

一見、完全に閉じているように見える自動ドア。特に商業施設やオフィスビルのような場所では、見た目もスマートで密閉性が高そうに思えます。しかし、現実には「ドアの縁」や「戸当たり部」「上部レールまわり」など、わずかなすき間が存在します。

これはなぜでしょうか?

主な理由は以下の通りです:

  1. スムーズな開閉を優先した設計
    • 自動ドアは電動モーターによりスライドするため、部材同士が密着しすぎると開閉時に大きな抵抗が生まれます。
    • また、少しの歪みや気温変化による膨張にも対応する余裕を持たせる必要があります。
  2. 安全性の確保
    • 指や物が挟まれないように、あえて「すき間」や「柔らかい戸当たり材」が設けられるケースもあります。
    • Newtonドアのような荷重式の自動ドアでは、ユーザーの力で開けられる構造のため、センサー誤動作や誤開閉を避ける工夫として「微細なすき間」が設計的に必要です。
  3. 規格や保守性との兼ね合い
    • JIS A 4722(自動ドアの安全性規格)では、安全な動作や異常時の復元力が求められます。そのため、あえて緩衝性をもたせるパーツ構成になっている場合もあります。

「気密性」は二の次にされやすい

つまり、自動ドアの設計思想では「密閉性」よりも「スムーズな動作」と「安全性」が優先されているのです。

しかし実際に現場では、以下のような悩みが多く寄せられています:

  • 「夏は熱気が入ってきて冷房が効かない」
  • 「冬はすき間風で入口が寒い」
  • 「すき間からホコリや虫が入り込んで困る」

特に、気密性を求めるような用途(飲食店、クリニック、静音性が重要な施設など)では、この“わずかなすき間”が大きな問題になりがちです。


対策としての「後付けシール材」

こうした悩みを解消するために、多くのユーザーが「モヘア」や「気密パッキン」「すき間テープ」の導入を検討します。

ただし――
自動ドアは「ただの引戸」ではありません。モーターやセンサー、安全装置が複雑に絡み合う“制御機構”であることを忘れてはいけません。

次のセクションでは、モヘアとはそもそも何なのか? どんな用途で使われているのかを整理し、自動ドアに使えるのかを見極めていきましょう。



「モヘア」ってどんな素材?どんな用途に使われてるの?

Q: モヘアってそもそも何?

A: モヘアとは、ドアやサッシなどの“すき間”に貼って気密性や遮音性を高める、繊維状のシール材のことです。


定義:モヘアとは?

建材業界でいう「モヘア」とは、ナイロンなどの合成繊維を用いた**ブラシ状のパッキン材(すき間シール材)**のこと。動作時の干渉を最小限に抑えつつ、すき間にフィットして空気や音、ホコリの侵入を防ぐ役割を果たします。

名称の由来は、天然繊維「モヘア(アンゴラヤギの毛)」に似た風合いを持っていることにありますが、実際の製品は工業用合成繊維でできています。


主な用途・設置場所

モヘアはさまざまな場面で使われています。代表的なのは以下のとおりです。

設置対象用途・目的設置場所の例
窓サッシ防風・防音・防塵窓の上下左右のすき間
引戸・室内ドア気密性・虫の侵入防止開口部まわり
クリーンルーム気密・防塵ドア周囲の気密強化
冷蔵庫やショーケース冷気の保持開口部周辺

特徴と効果

モヘアのメリットには以下のようなものがあります。

  • 柔軟性・復元性:毛足がしなやかで、ドアや窓の動きにフィットする
  • 摩耗耐性:開閉を繰り返しても毛がへたりにくい
  • 気密性アップ:すき間からの空気の出入りを最小限に抑える
  • 静音性・防音性:空気の振動(音)を毛が吸収・遮断する
  • 防虫・防塵:外部からの侵入を物理的にシャットアウト

モヘアの種類と選び方

モヘアには多くの種類があります。選ぶ際のポイントとなるのは、以下の3つです。

  1. 毛足の長さ
    • すき間の大きさに応じて調整(例:3mm~12mmなど)
    • 長すぎると引っかかり、短すぎると隙間が埋まらない
  2. ベース幅と材質
    • ベース幅:5mm、7mm、9mmなどドアの溝幅に合ったものを選ぶ
    • 材質:柔軟なプラスチックベース、硬質のポリプロピレンなど
  3. 固定方式
    • 粘着テープタイプ:手軽に貼り付けられるが、耐久性に課題
    • 嵌め込みタイプ:ドアの溝に差し込んで固定。耐久性は高いが設置が難しい

注意点:良くも悪くも“ドアの動きに影響する”素材

モヘアは空気や音を止めるには非常に効果的ですが、一方で「抵抗を生む」という性質も持ちます。毛足がドアに触れ続けるため、開閉にわずかに摩擦が発生します。

この「わずかな摩擦」が、自動ドアの動作制御やセンサー反応に影響を及ぼす可能性があるのです。



モヘアは自動ドアにも使える?【前提としての注意点】

Q: 自動ドアにモヘアを貼っても大丈夫?

A: 条件を満たせば使えることもありますが、構造や制御方式によっては“使わない方が安全”なケースもあります。


自動ドアにとっての“動作抵抗”とは?

自動ドアは、内部のモーターがドアを開閉させる「機械制御」で動いています。そのため、モヘアによって生まれる「ごくわずかな摩擦」でも以下のような影響を与えることがあります。

  1. 動作が重くなる
    • 毛足が長すぎる/硬すぎると開閉時にドアの動きが鈍くなる
    • モーターに負荷がかかり、誤作動や故障の原因になることも
  2. センサーの誤作動・停止
    • ドアの閉まりが不完全になると、センサーが“障害物”と認識し、再開閉を繰り返す
    • センサーが想定した閉まり位置とズレが出てくることがある
  3. 安全基準の逸脱
    • 荷重式でない電動ドアでは、JIS A 4722の「戸当たり部の柔軟性」に違反する恐れも

「使える」ケースとは?―判断ポイント

以下の条件に当てはまる場合は、モヘアの使用が現実的に可能とされています。

条件説明
ドアの動作抵抗に余裕があるモーターが強力な場合/スライド軌道が直線的でスムーズな構造
センサーの感度調整が可能センサー制御が柔軟で、閉まり幅に余裕がある機種
毛足が短く柔らかいタイプを使う3~5mm程度で柔らかいナイロン素材が推奨される
実際の使用前に「動作確認」を行える仮施工してセンサーや開閉速度に影響がないか検証できる環境

「使わない方がいい」ケースもある

逆に、以下のような条件に当てはまる場合は、モヘアの使用は避けるべきです。

避けるべき条件理由
高感度センサー搭載のフルオートドア微細な抵抗でも異常判定される可能性あり
アルミ建具で枠が細い/変形しやすい嵌め込み式のモヘアがズレやすく、干渉リスクが高い
すでに動作が重めの古い機種モヘアの抵抗がさらに負担を増やす
火災時の避難導線に関わるドア素材追加による開閉遅延がリスクになることも

導入前に確認すべきこと

  1. 自動ドアの仕様書をチェック
    • モーター出力、センサー感度、レール構造などを確認
  2. ドアメーカーや保守会社に相談
    • 「モヘアを貼っても大丈夫か?」を事前に聞く
  3. 短期間の仮設置で様子を見る
    • 両面テープでの仮止め施工で1~2日様子を見ることで安全確認が可能

このように、モヘアは“どの自動ドアにも万能に使える”わけではありません。
重要なのは「自分のドアには使えるのか?」をしっかり見極めることです。


「どのモヘアを選べばいい?」判断軸と選び方

Q: モヘアの種類が多すぎて、どれが良いのか分かりません…

A: 自動ドアに使用する場合は、「毛足の長さ」「ベースの幅と柔軟性」「固定方式」の3点が判断軸になります。



「どのモヘアを選べばいい?」判断軸と選び方

Q: モヘアの種類が多すぎて、どれが良いのか分かりません…

A: 自動ドアに使用する場合は、「毛足の長さ」「ベースの幅と柔軟性」「固定方式」の3点が判断軸になります。


判断軸1:毛足の長さは“すき間”に合わせる

モヘア選びの最初のポイントは「毛足の長さ」です。すき間より短すぎると気密性が得られず、長すぎるとドアに干渉して開閉不良を引き起こします。

すき間の大きさ推奨毛足長さ
2〜3mm3〜4mm
4〜6mm5〜6mm
7〜9mm8〜10mm

ポイント: 毛足はすき間より「+1〜2mm」程度が目安。長すぎると毛がつぶれて摩擦が増える。


判断軸2:ベース幅と柔軟性のバランス

ベースとは、モヘアの「土台部分(テープやプラスチック部)」のこと。これが自動ドアの縁にうまくフィットしないと、浮きやズレが発生します。

  • 幅の選び方:5mm/7mm/9mmなど、ドア枠の形状に合ったサイズを選ぶ
  • 材質の選び方
    • 柔軟なPVCベース:軽いカーブや歪みにもなじむ
    • 硬質ベース:剛性は高いが、曲がり角では浮きやすい

注意: 自動ドアは“動きながら密着”するため、やや柔軟性があるベースの方が適していることが多いです。


判断軸3:固定方式で施工性と耐久性が変わる

モヘアの取り付け方式には大きく分けて「粘着テープ式」と「嵌め込み式」の2つがあります。

固定方式特徴向いている場面
粘着テープ式手軽に貼れる/剥がせる/ズレやすい仮設置・DIY用途・短期間の確認
嵌め込み式ズレにくい/枠に加工が必要/施工がやや難しい長期使用・商業施設・業者施工向け

現場の判断ポイント:

  • 自分で施工する場合は、まず粘着式で仮設置し、後から嵌め込み式に切り替えるのも一つの方法です。
  • 特に商業施設では「見た目」や「安全規格」も重視されるため、プロによる施工を検討すべきです。

よくある誤選定と失敗例

  • 毛足が長すぎた:ドアが閉まり切らず、センサーが誤作動を起こした
  • ベースが硬すぎた:取り付け部が浮いて、開閉のたびに異音が発生
  • 粘着が弱くて剥がれた:使用半年で剥がれ、再施工が必要になった
  • サイズが合っていなかった:ドア枠より大きいモヘアを切って貼ったら、見た目が悪くなり、耐久性も下がった

モヘアはシンプルに見えて、適切な選定がとても重要な部材です。
「ただ貼る」だけでは済まされない自動ドアだからこそ、自分の用途とドアの特性を正しく把握した上で、最適な仕様を選びましょう。


実際に使うときの施工・メンテナンスポイント

Q: 自動ドアにモヘアを取り付けるには、どんな手順と注意点があるの?

A: 「仮設置で様子を見る」→「干渉を確認」→「本施工」の順が基本です。さらに、メンテナンスを怠ると逆効果になることもあります。


手順:基本の施工ステップ(粘着式の場合)

  1. 取り付け場所の清掃
    • ドア枠のホコリ・油分を中性洗剤などでしっかり除去
  2. 仮合わせ(位置確認)
    • モヘアを仮にあてがい、干渉箇所やすき間の追従具合を確認
  3. 仮固定(軽く貼り付け)
    • 数時間〜1日運用して、実際の開閉に支障が出ないか観察
  4. 本固定(圧着)
    • 問題がなければ、ローラーなどで強く押し付けて圧着
  5. 端部処理・余りのカット
    • はみ出しや角部分を丁寧に処理して見た目と安全性を確保

注意点:施工で失敗しやすいポイント

よくあるミス原因対処法
開閉時に引っかかる毛足が長すぎる/ずれて貼った3mm程度短めで貼り直す
モヘアがすぐ剥がれる脱脂不足/粘着力が弱い接着面の洗浄+強粘着タイプに変更
ドアが重くなった摩擦増大/ベース硬すぎ柔らかめの毛材と柔軟ベースに変更
見た目が悪くなった端部処理不足/斜め貼り端部をハサミで整形、ガイド治具を活用

メンテナンスポイント:長く安全に使うために

モヘアは消耗品です。使用頻度や設置環境により、劣化や摩耗が徐々に進行します。

日常的なチェック項目:

  • 毛がつぶれていないか(=密着力の低下)
  • ホコリが溜まりすぎていないか(=通気性悪化、見た目悪化)
  • ベースが浮いていないか(=粘着力低下)
  • 静電気による細かいゴミの吸着が多くないか(=清掃の目安)

清掃方法:

  • 乾いたやわらかいブラシで優しくほこりを払う
  • 静電気対策スプレー(市販のOA機器用)でゴミの付着防止
  • 変色や硬化があれば「早めの交換」を検討

「貼った後に不具合が出た」場合の対処法

ケース1:閉まりきらずセンサーが誤作動する
→ 一度モヘアを剥がして開閉状況を確認。短毛タイプへ交換。

ケース2:見た目が悪い/はみ出しが気になる
→ 長さを再調整し、ベース幅を細めに変えると改善される。

ケース3:動作に明らかな負荷を感じる
→ モーター負荷が増している可能性があるため、すぐに専門業者に相談を。


施工やメンテナンスでの“ちょっとした差”が、長く安心して使えるかどうかを大きく左右します。


安全性・規格との整合は大丈夫?【JISとの関係】

Q: モヘアを自動ドアに使って、安全性の基準から外れたりしないの?

A: 使用方法によっては、JIS A 4722などの安全基準に抵触する可能性もあります。特に注意が必要です。


JIS A 4722とは?自動ドアの安全を守る基準

JIS A 4722は、「自動ドア装置」に関する日本工業規格です。
この中には、以下のような安全性能に関する項目が含まれています:

  • 戸当たり部の柔軟性:指を挟んでも大きな怪我につながらないよう、緩衝材の柔らかさ・復元性が求められる
  • 非常時の復元性:電源が切れた際でも容易に手動で開けられる
  • 動作抵抗の制限:ドア開閉時に過剰な力を要しないこと

モヘア追加による“安全基準逸脱”のリスク

モヘアを追加することで、次のような影響が出る可能性があります:

安全項目リスクの内容
開閉力の増加毛足が長すぎると開閉時に抵抗が増え、基準を超える力が必要になる
復元性の低下固いベース材を追加することで、閉まりきらない・戻りにくい現象が出る
センサーとの干渉閉まりきらず誤動作 → センサーが「人がいる」と誤認識して止まる

Newtonドアとの整合性:センサーフリー設計と柔軟性

Newtonドア(荷重式自動ドア)は、電動式のようなモーター駆動ではなく、人の荷重で動作する「センサーレス構造」が特徴です。

このような構造では以下の利点があります:

  • センサー誤動作のリスクがない
  • 自分の力で開けるため、動作抵抗がわかりやすい
  • 「戻りの力」を設計段階で吸収できる構造を採用している

つまり、毛足の短い柔軟なモヘアであれば、安全性を損なうことなく“適所に応じて使う”ことができるケースもあります。


導入前の確認項目【安全性チェックリスト】

チェック項目チェック内容
モヘア素材が柔らかいか押してつぶれる程度の柔軟性があるか
毛足が長すぎないかすき間に対して「+1〜2mm以内」に収まっているか
戸当たり材の上に追加していないか本来の安全緩衝材の性能を損なっていないか
センサー反応に影響しないかモヘア追加後に再調整・点検済みか
開閉時の動作抵抗は増えていないか手や荷重で動かすときに重く感じないか

自動ドアは「人の通行」に関わる重要な設備です。
モヘアを使うことで、かえって安全性や利便性を損なってしまっては本末転倒です。

最後に、自動ドアの種類と目的に応じた「適ドア適所」の観点から、全体のまとめに入ります。


【適ドア適所】にそった「まとめ」


モヘアは“どの自動ドアにも使える”わけではない

  • 自動ドアの多くは、構造上わずかなすき間を持っており、気密性や防音性に課題があります。
  • モヘアはその対策として有効な素材ですが、「電動モーター式の自動ドア」には注意すべきポイントが多く存在します。
  • 摩擦やセンサー誤作動、安全基準(JIS A 4722)との整合性まで考慮する必要があります。

判断軸は「ドアの構造×使用目的」

ドアの種類モヘアの使用適性備考
電動式(センサー開閉)△〜×誤作動・抵抗増の懸念あり
荷重式(Newtonドアなど)柔らかい毛材なら適応可能
手動引戸一般的に多く使用されている
高速開閉ドア×摩擦・安全規格違反のリスク大

使用目的ごとの注意点

  • 気密性を上げたい:すき間幅と毛足の関係を正確に測定
  • 防音性を高めたい:モヘアだけでなく、ドア材質や建物構造も影響
  • 防虫・防塵:入口下部に施工する場合は掃除・毛詰まりにも注意

判断に迷ったら「貼る前に知る」が最優先

  • 自動ドアの施工マニュアルを読む
  • モヘアメーカーやドア業者に相談する
  • 「仮設置→様子見→本施工」の順を守る
  • 不安があれば、Newtonドアのようなセンサー不要で安全性を確保できる構造のドアを参考に

気密性と安全性、そのどちらも妥協しないために。
適ドア適所――それが、自動ドアと補助材を正しく活用するための、最も大切な判断基準です。


出典一覧を表示して記事を締めくくります。続けます。


出典一覧

以下は本記事の作成にあたり参照・活用した公式情報・一次資料です。

【荷重式自動ドア】Newtonドアの資料請求はこちらから→https://76auto.biz/newtonplus/registp/p-offer.htm

【荷重式自動ドア】NewtonドアのYoutubeチャンネルはこちらから→https://www.youtube.com/@newton_plus

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