自動ドアが開閉するたびに聞こえる「ギーッ」という異音。建物を訪れる人にとっては、小さな不快感や不安につながり、施設管理者にとってもメンテナンスの必要性を感じさせるサインです。そんなとき、多くの人が考えるのが「グリスを塗れば直るのでは?」という対策。しかし、自動ドアは電動機構やセンサーが組み込まれた精密な設備。潤滑剤の使い方を間違えると、かえって故障や事故につながるリスクもあります。

この記事では、自動ドアの異音や不調に対する「潤滑処理(グリス塗布)」について、方式別・構造別・箇所別に徹底的に解説します。どこに・何を・どうやって塗るべきか、そして塗らないほうがよい場所はどこか。さらに、荷重式自動ドア(Newtonドア)のように、構造的にグリスの使用頻度を抑えられるタイプの特徴や判断軸についても詳しくご紹介します。

読み終える頃には、自動ドアにおける「グリスを使うべきかどうか」を、自信を持って判断できるようになります。あなたの施設の自動ドアが、より安全に、静かに、そして長く稼働し続けるために、まずは正しい潤滑知識を手に入れましょう。


日々何気なく通り抜ける自動ドア。異音や引っかかりが出てからあわてて対応するのではなく、トラブルを未然に防ぐ「予防保守」の一環としての潤滑処理を考える方も増えています。とくにマンションや学校、医療施設、図書館など、継続的に人の出入りが多い建物では、日々の手入れがトラブルの芽を摘む最良の手段となります。

予防的な潤滑処理には、いくつかの基本条件があります。まず前提として、自動ドアの「可動部」には摩擦が生じやすいという性質があります。特に吊り車(戸車)やガイドレールといった部分は、日常的な開閉によって少しずつ摩耗し、潤滑が不十分になると異音や動作不良の原因になります。そこで、あらかじめ適切な潤滑を行っておくことで、これらの部品の摩耗を抑制し、トラブルの予防につながるのです。

しかし一方で、「潤滑すれば必ず良い」とは限りません。潤滑剤の種類や塗布箇所を誤れば、逆に汚れを吸着しやすくなり、異物の混入によって機械の動作に悪影響を及ぼすケースもあります。とくに外気にさらされる場所や砂ぼこりの多い環境では、過度なグリスがかえってトラブルを招くリスクにもなり得るのです。

そのため、予防保守としての潤滑処理は、「どこに」「どれだけ」「何を使って」行うかという判断が重要です。むやみにグリスを塗るのではなく、点検や清掃とセットで「必要な場所だけに、最小限の潤滑」を行うのが基本姿勢といえるでしょう。

また、自動ドアの方式によっても、予防保守のアプローチは変わります。たとえばNewtonドアに代表される「荷重式自動ドア」は、戸車に重量をかけてレールを滑らせる構造のため、電動モーターに依存しない分、グリスの必要性がそもそも低いという特徴があります。これに対して、電動式の自動ドアは、モーターやセンサーなどの部品が連動して動作しており、それぞれの部品ごとに定期的な潤滑や点検が必要になります。

自動ドアの異音や引っかかりを未然に防ぐためには、「いま異常が出ていないから放置する」のではなく、正常なうちに軽い手入れをすることが非常に効果的です。特に吊り車の回転がスムーズか、レールに異物がないかなど、目視と簡単な清掃を組み合わせた定期チェックと、「必要に応じた潤滑」が、長期的に安定した稼働を支えます。

次のセクションでは、実際に「異音や不調が起きたあと」に焦点を当てて、自動ドアにグリスを使ってよいのか、どのように使うべきかについて詳しく見ていきます。

続いて「自動ドアにグリスは必要なのか?」という本質的な問いについて解説します。


自動ドアから「ギー」「キュルキュル」といった異音がするようになったとき、多くの人が真っ先に思い浮かべる対策が「グリスを塗る」ことです。たしかに、グリスは金属部品同士の摩擦を減らし、動作をスムーズにする効果があります。しかし、それはあくまで「適切な場所に、適切な量を、適切な種類で」使った場合の話。自己判断でのグリス使用が逆効果になることも、実は少なくありません。

まずは「グリスが本当に必要な状態か」を見極めることが重要です。異音がする原因は、潤滑不足とは限らず、以下のようなさまざまな可能性があります。

  • 吊り車(戸車)の摩耗や破損
  • ガイドレールに異物(砂・石・ゴミ)が詰まっている
  • ドア本体の変形や歪み
  • 電動式の場合は、モーター部やセンサーの故障

つまり、異音=グリス切れではなく、まずは「清掃」と「観察」が最優先の対処法です。特に多いのは、ガイドレール内にホコリや砂、小石などが詰まり、それを戸車が乗り越えることで「ギーッ」とこすれる音が出ているケース。この場合、グリスを塗っても根本的な解決にはなりませんし、逆に汚れがグリスにまとわりついて悪化することもあります。

では、どのようなときにグリスが有効なのでしょうか。判断の目安としては、以下のような条件が揃っている場合です。

  1. レールや戸車を清掃したにもかかわらず、動きが硬い・異音が残る
  2. 吊り車やレールの接触面に摩耗や乾燥が見られる
  3. 戸車が回転しているが動作が重く、滑りが悪い感覚がある

これらの場合、摩擦低減のためにグリスを少量使用することで、動作が改善する可能性があります。

ただし、ここでも注意が必要です。たとえば、戸車のベアリング部分に過剰なグリスを詰めてしまうと、内部にホコリが吸着してかえって回転不良を起こすリスクがあります。また、ゴム製のガイドやストッパーにグリスが付着すると、素材が劣化したり、すべりすぎて開閉動作に異常をきたす恐れもあります。

そのため、潤滑の前提として「基本の手入れ」が極めて重要です。具体的には以下のような手順が推奨されます:

  1. 視覚的な点検:異常な摩耗や変形がないか確認する
  2. 清掃:ガイドレール・戸車周辺の砂やゴミを取り除く(乾いた布や掃除機)
  3. 観察:清掃後に動作確認し、異音や引っかかりが残るかチェック
  4. 必要に応じて潤滑:上記で改善しない場合に限り、指定された箇所に少量のグリスを塗布する

このように、グリスは「最後の仕上げ」であり、最初に手を出すものではありません。とくに近年の自動ドアは精密で、誤ったメンテナンスがかえって故障や事故につながるリスクもあります。管理者としては、清掃と点検の精度を上げることが、長く安全に使うための第一歩といえるでしょう。

次は、より実践的な視点として「どこに塗っていいのか、どこはNGなのか」という判断を、構造別・方式別に解説していきます。ここが潤滑処理の最も重要な分かれ道になります。

次に、「どこにグリスを塗ってよくて、どこに塗るべきではないのか」という判断を、電動式/荷重式それぞれの構造もふまえて解説していきます。


グリスを塗布する上で最も重要なのは、「塗ってよい場所」と「塗ってはいけない場所」を明確に区別することです。自動ドアは可動部品だけでなく、電気制御部品、センサー、ゴム製ガイドなど、グリスとの相性が非常にシビアなパーツで構成されています。間違った場所に潤滑剤を使うと、正常な動作を妨げたり、重大なトラブルにつながることもあるため、必ず「構造理解」と「方式別の判断」が必要です。

まずは、塗布が推奨される主な箇所を見てみましょう:

【グリス塗布が可能な箇所】

  • 吊り車(戸車)の軸受け部分(※一部ベアリング式の場合、指定グリスのみ)
  • ガイドレールと戸車が接触する摺動面(ただし汚れがないことが前提)
  • 鋼製のガイドレールの摺動抵抗が高い箇所(静音・摩耗対策として)

逆に、以下の箇所には絶対にグリスを塗ってはいけません:

【グリス塗布が禁止される箇所】

  • ドアセンサー、制御盤、配線付近(感電・誤作動リスク)
  • ゴム製部品(劣化や密着性の喪失を引き起こす)
  • ストッパーやクッション材(衝撃吸収能力の低下)
  • モーター駆動部(専用グリス以外での潤滑はNG)

これらのルールを押さえたうえで、「方式別」の注意点も理解しておく必要があります。


【電動式自動ドアの場合】

電動式は、モーターと制御装置でドアを開閉する方式です。駆動部やセンサー、電子制御盤など電気系の部品が多く、グリスの誤使用によって電気系トラブルや感電の危険が生じるリスクもあります。

とくに注意が必要なのは、吊り車とレールの間にグリスがたまって異物を巻き込むケース。グリスが砂埃やゴミを吸着し、それが戸車の回転を妨げ、余計に異音やガタつきの原因となることがあります。よって、潤滑処理は「清掃と脱脂を完全に終えた状態で、必要最小限」に留めることが鉄則です。

また、電動式は「駆動方式の仕様」がメーカーによって異なるため、メーカーの取扱説明書や点検要領書で指定されたグリス以外を使うと、保証対象外となるケースもあります。施設管理者は、必ず型番や仕様書を確認したうえで、対応可否を判断してください。


【荷重式自動ドア(Newtonドア)の場合】

荷重式は、戸車に扉の重さをかけて自重で滑らせる仕組みです。電源を必要とせず、構造が非常にシンプルなため、可動部が少なく、グリスの使用量自体が大幅に少なくて済みます。

Newtonドアでは、あらかじめ「潤滑剤なしでも滑りやすい専用レール」「特殊コートを施した戸車」などが採用されており、通常使用であれば原則として潤滑処理は不要という設計になっています。これは、長期的なメンテナンス性や耐久性、安全性を高めるための思想設計でもあり、むしろ安易にグリスを塗布することで、素材のバランスを崩してしまう恐れもあります。

ただし、屋外設置や風雨の吹き込みが激しい環境、塩害地域などでは、「最小限の潤滑処理が望ましい」という例外もあります。この場合も、Newtonドアの設計仕様に合った潤滑剤(非鉱物系、非油脂性)を、あくまで「ごく薄く」使うというのが基本スタンスです。


このように、潤滑処理を行う際は「方式別・箇所別・材質別」による可否判断が不可欠です。安易に「どこでも塗れる」と考えるのではなく、製品の設計思想と安全性を尊重した対応こそが、長期運用のカギになります。

次のセクションでは、「そもそもどのグリスを選べばよいか?」という種類別の特徴と選定ポイントについて解説します。リチウム系、ウレア系、シリコン系など、見た目は似ていても性質は大きく異なります。

続いて、グリスの「種類」と「選び方」について詳しく解説していきます。


グリスとひとくちに言っても、その種類は実に多様で、それぞれの特性に応じて使い分けが求められます。自動ドアの潤滑処理においても、「どのグリスを選ぶか」は、安全性や耐久性、清掃性などを左右する重要な判断要素です。

ここでは、自動ドアに使われることの多い代表的なグリスの種類と、それぞれの特徴を整理します。


【グリスの種類と特徴比較】

種類特徴自動ドアとの相性注意点
リチウム系グリス汎用性が高く金属部の潤滑に優れる。耐水性はやや弱い雨風の吹き込む屋外設置には不向き
ウレア系グリス高温・高耐久で、長期間潤滑性が持続するやや高価。樹脂部品には相性注意
シリコングリス耐熱・耐水・耐薬品に優れ、ゴムや樹脂にも使用可滑りすぎる・埃が付きやすい点に注意
モリブデングリス重荷重・高摩耗部用。黒色で高耐久粘度が高く、微細部には不向き
フッ素系グリス極限環境でも使用される超高耐久タイプ非常に高価。一般使用には過剰性能

※Newtonドアでは基本的に潤滑処理が不要な設計となっており、使用する場合も「低粘度・非鉱物系グリス」が望ましいとされます。


【環境条件で選ぶべきポイント】

潤滑剤の選定は、使用環境の条件によっても大きく左右されます。以下の観点で適合性をチェックすることが重要です。

  • 設置場所が屋外か屋内か:雨風やほこりの影響が強い場合は、高耐水・低粘着性のグリスが望ましい
  • 寒冷地か常温地か:氷点下に対応できる低温始動性グリスが必要(シリコン系・ウレア系が有利)
  • 粉塵・砂ぼこりが多いか:グリスが異物を吸着しやすいため、乾式潤滑や最小塗布が推奨される
  • 屋内でも利用頻度が極端に高いか:頻繁な開閉があるなら、長寿命グリスの使用でメンテナンス回数を減らせる

【材質別の相性:素材との適合チェック】

自動ドアには、金属だけでなく、プラスチック、ゴム、シリコンといったさまざまな素材が使われています。素材との「相性」は潤滑処理の盲点になりがちですが、これを無視するとトラブルの原因になります。

たとえば、ゴム部品に鉱物系グリスを塗布すると、膨張・劣化・密着不良を引き起こし、ドアの閉まり方に大きな影響を与えることがあります。とくに注意すべきポイントは以下の通りです:

  • ゴムパッキン:鉱物油× → シリコン系○(ただし最小限に)
  • 樹脂レール:摩擦低減で効果あり。ただし変色や滑りすぎに注意
  • 金属戸車:リチウム系・ウレア系○(粘度調整が重要)

潤滑剤の選定は、単に「油を塗ればいい」では済まされません。使用目的と素材、環境に合わせて選ぶことで、安全性と性能の両立が可能になります。

このあと、実際の潤滑作業を行う場合の「具体的な手順」や「やってはいけないこと」について解説していきます。潤滑はあくまで“正しく行ってこそ”意味を持つ作業です。

続いて、実際に潤滑処理を行う際の「正しい手順」と「NG行動」について解説します。


グリスの選定が終わったら、いよいよ実際の作業に入る…と思うかもしれませんが、潤滑処理は「塗る前の下準備」が9割と言っても過言ではありません。汚れたままの状態にグリスを塗布すると、効果が薄れるばかりか、逆効果になるケースも多いため、作業前には段階的な準備が必要です。

ここでは、施設管理者や保守担当者が行う際に知っておくべき「安全で正しい潤滑の手順」と、「絶対に避けるべきNG行動」を解説します。


【正しい潤滑処理の手順(電動式・荷重式共通)】

  1. 点検と異音の確認
     ドアの開閉動作を何度か行い、「異音」「引っかかり」「動作の重さ」が出ているかを確認します。明らかに音が出ている箇所を特定できれば、塗布場所の候補を絞り込めます。
  2. レール・戸車まわりの清掃
     まずはガイドレール内や吊り車周辺を清掃。乾いた布、細いブラシ、掃除機などで「固形ゴミ」「ホコリ」「砂」などの異物を取り除きます。
  3. 脱脂処理(必要に応じて)
     以前に塗られた古いグリスや油分が残っている場合は、アルコールや専用の脱脂スプレーでふき取ります。脱脂を怠ると新しいグリスが定着しにくくなります。
  4. グリスの少量塗布
     適切な種類のグリスを「必要な部分」にだけ薄く塗布します。目安は“うっすら膜が張る程度”で、ベタ塗りは厳禁です。スプレータイプの場合は周囲に飛散しないようマスキングを行いましょう。
  5. 余分なグリスのふき取り
     塗布後に周囲にはみ出したグリスは乾いた布で拭き取ります。とくに屋外設置では、グリスに砂ぼこりが吸着しやすいため、仕上げの処理が重要です。
  6. 再点検と動作確認
     作業後は再度ドアを開閉し、異音が解消されたか、動きがスムーズかを確認します。塗布前との変化を記録しておくと、次回の判断材料になります。

【よくあるNG行動と失敗例】

  • 異音の原因を特定せずにいきなりグリスを塗る
     原因が摩耗や破損だった場合、グリスでは解決せずトラブルを長引かせます。
  • レールの上に直接スプレーを多量に噴射する
     過剰塗布でグリスがたまり、埃・砂が付着しやすくなり、異物混入や詰まりの原因に。
  • 戸車全体をグリスでベタ塗りする
     戸車が逆に滑りすぎて異常動作したり、グリスが遠心力で飛び散って他部品を汚染。
  • センサー部や制御装置の近くにグリスがかかる
     故障や誤作動のリスク。電気系統には絶対に塗布しないこと。
  • ゴムパッキンにもグリスを塗る
     素材劣化の原因となることが多い。密着性の低下で風圧対応力が弱くなる場合も。

潤滑処理は、適切な知識と手順に基づいて行えば、非常に効果的なメンテナンス手法です。しかし、グリスは「塗ればOK」ではなく、「どこに、どれだけ、何を使って、どう塗るか」という判断があってこそ、はじめて安全で有効な手入れになります。

次は、「自分でできる範囲」と「業者に任せるべき範囲」を、安全基準と保守契約の観点から明確にします。ここを誤ると、思わぬ事故や法律リスクにもつながるため、重要なポイントです。

次は、「どこまでを自分で行い、どこから先は業者に任せるべきか?」という境界を明確にするために、安全性や保守契約の観点から解説します。


自動ドアは、単なる可動装置ではなく、「建築設備の一部」としての側面を持つ設備です。とくに人が出入りする場所に設置されている以上、「安全確保」は最も重要な要件であり、安易な自己判断による作業が重大なリスクに繋がることもあります。ここでは、潤滑処理を含めた保守点検に関して、「自分たちでやっていいこと」と「業者に任せるべきこと」を整理しておきましょう。


【法律・規格が求める安全確保】

自動ドアの保守には、建築基準法やJIS(日本産業規格)が関係しています。たとえばJIS A 4722では、「自動ドアの設置・保守・点検・安全性能」に関する指針が示されており、以下のような項目が求められています。

  • 開閉中に人が挟まれないよう、十分な感知範囲と復帰性能が確保されていること
  • 点検・整備が定期的に行われ、適切な動作状態が維持されていること
  • 点検記録の保持(事故や不具合時に重要な証明となる)

これらを踏まえると、「潤滑処理自体が安全性維持の一部である」とも言えます。つまり、いいかげんなグリス塗布は、単なる誤作動を引き起こすだけでなく、「保守責任の不履行」として建物所有者・管理者の責任を問われかねない行為になるのです。


【自分でできる作業範囲】

管理者や施設担当者が、安全に実施できる基本作業は以下の通りです:

  • レール周辺の簡易清掃(ほこり・砂・髪の毛・紙くずの除去)
  • 吊り車やレールの目視点検(摩耗・異音・傾きのチェック)
  • メーカーや業者から指定された「潤滑可能部位」への最小限のグリス塗布
  • ドアの開閉動作の記録(引っかかり・遅延などの兆候把握)

これらの作業でも、「正しい知識」と「適切な判断基準」があってはじめて“できる”ものです。


【業者に任せるべき作業範囲】

以下の作業は、原則として「専門業者に委託すべき領域」です:

  • 吊り車・駆動ユニット・モーター・センサー等の分解整備
  • 電源・制御盤に関わる作業(感電リスク、制御不良の恐れ)
  • 自動ドアの構造変更・開閉速度の調整・ソフトウェア更新
  • JIS基準に準拠した「安全点検・性能確認」全般

業者による保守契約においては、潤滑処理も「点検項目の一部」として含まれている場合が多く、契約内容により「自分で潤滑してはいけない」ケースもあります。誤ってユーザーがグリスを塗った結果、汚染や動作不良を引き起こした場合、保証対象外となる可能性もあるため注意が必要です。


【保守契約の確認ポイント】

  • 現在契約している保守業者が、「潤滑処理」をどのように行っているか
  • 潤滑処理の対象箇所・使用するグリスの種類・頻度
  • 「自己作業が許容される範囲」についての明確な説明があるか
  • 契約書に「ユーザーによる潤滑処理が原因で故障が起きた場合の対応」が記載されているか

潤滑処理は一見シンプルな作業に見えても、その背景には「安全」「法規」「製品設計」など、多くの重要な要素が絡んでいます。よって、「どこまでを自分たちで対応し、どこから先を専門業者に任せるのか」を判断する視点を持つことは、管理者としての非常に重要な責務です。

次は、荷重式のNewtonドアにおける“潤滑処理の考え方”について、他方式と比較しながら紹介します。グリスの最小化を設計思想としたNewtonドアの特長が際立ちます。

次に、Newtonドアに代表される「荷重式自動ドア」が、潤滑処理においてどのような思想と設計を持っているかを解説します。他方式との違いも比較しながら、潤滑処理を最小限に抑える設計哲学に迫ります。


自動ドアと聞いて多くの人がまず思い浮かべるのは「電動モーターで自動開閉する方式」でしょう。しかし、それとはまったく異なるアプローチを取っているのが、Newtonドアなどの荷重式自動ドアです。

荷重式とは、電気の力ではなく、「ドア自体の重み」を利用して開閉を行う仕組みであり、その構造上、非常にシンプルかつ高耐久な特性を持っています。この構造の大きなメリットの一つが、「潤滑処理の必要性を大幅に減らせること」です。


【Newtonドアにおける潤滑思想:潤滑レス構造】

Newtonドアでは、次のような特徴が組み合わさることで、一般的な自動ドアとは異なる潤滑管理が実現されています。

  • 高性能な戸車(荷重を分散する設計)
     高剛性な素材と広めの接触面で摩耗を抑制。潤滑剤がなくてもスムーズに滑走。
  • 専用レールの摺動性向上処理
     潤滑剤を用いなくても低摩擦が保てるよう、表面処理や素材選定がなされている。
  • 密閉型ガイド設計
     砂やホコリの侵入を抑え、グリスに頼らなくても異物混入による異音や摩耗が起こりにくい。
  • 静音性を追求した構造設計
     潤滑による消音ではなく、「最初から音が出にくい構造」で対応している。

このように、Newtonドアでは「必要だからグリスを使う」のではなく、「そもそもグリスを使わなくても済む」ように設計されているのです。


【比較表:電動式 vs 荷重式(Newtonドア)】

比較項目電動式自動ドア荷重式自動ドア(Newtonドア)
開閉方式モーター駆動重力+機械バランス
可動部の潤滑必須(戸車・レール・駆動部)原則不要(清掃のみで可)
潤滑トラブルのリスク高(異物吸着・誤塗布)低(塗布箇所が限定的)
清掃の頻度月1~2回以上推奨環境により半年~年1回程度でも可
長期運用の安定性潤滑剤の劣化で変化しやすい潤滑剤の影響が少なく安定

【Newtonドアで潤滑処理が必要になるケース】

基本的には潤滑処理を必要としないNewtonドアですが、以下のような環境下では「最小限の潤滑処理」が有効な場合もあります。

  • 海沿い・塩害エリア(塩分による摺動抵抗の増加防止)
  • 風が強く、砂ぼこりが頻繁に舞う環境(摩耗リスク低減)
  • 頻繁な開閉が続き、軸受に軽度な乾燥音が生じた場合

その場合も、メーカー指定の非鉱物系・低粘度の潤滑剤を「点で薄く塗る」ことが推奨されます。むやみにスプレーして全体をベタ塗りするような潤滑は、Newtonドア本来の性能を損なう可能性があるため、避けましょう。


Newtonドアは「潤滑ありきの対処」ではなく、「潤滑に頼らない構造」を追求してきた稀有な存在です。グリスを塗ることで性能を維持するのではなく、グリスに頼らずとも安定性を保てる――この考え方こそが、荷重式自動ドアの本質です。

最後に、これまでの内容を踏まえて「どんなケースに、どんな判断をすればいいのか?」という実践的なまとめを行います。

最後に、この記事全体の内容を総括し、「適ドア適所」の観点から、潤滑処理に対する判断軸を整理してお届けします。


【適ドア適所】にそった「まとめ」

自動ドアに異音や引っかかりが出たとき、すぐに「グリスを塗れば解決」と考えるのは、必ずしも正解ではありません。まずは「なぜ異音が出ているのか」「本当に潤滑が必要なのか」という“原因と必要性”を丁寧に見極めることが、最も重要な第一歩です。

とくに以下の3つの軸で考えることが、正しい潤滑判断の土台となります。

1. 方式別の判断:電動式か、荷重式か?

  • 電動式自動ドアでは、可動部への潤滑がある程度必須になりますが、部位と方法を誤ると誤作動や安全性の低下を招きます。
  • 一方、荷重式(Newtonドア)では、潤滑に頼らない構造設計がなされており、原則として潤滑処理は不要。むしろ安易な潤滑が性能を損なうリスクもあるため、明確な判断基準が必要です。

2. 環境条件での判断:屋内か屋外か?粉塵か湿気か?

  • 屋外設置や砂・埃の多い環境では、過剰なグリスがトラブルを増やす要因になりかねません。
  • 逆に、寒冷地や塩害エリアでは「最小限の潤滑」が動作安定につながるケースもあるため、環境ごとのリスクと対策をバランス良く見極めることが重要です。

3. 保守範囲の明確化:自分でやるか、任せるか?

  • 自動ドアは建築設備としての安全性が求められる装置であり、むやみな自己整備はかえって管理者責任を問われる結果になりかねません。
  • 潤滑処理も、契約している保守業者の点検範囲に含まれていることが多いため、まずは契約内容を確認し、作業範囲を明確にしましょう。

ケース別・潤滑の判断フロー(簡易チャート)

状況潤滑の要否実施方法
室内/静かな異音/清掃後も継続△(要検討)指定箇所に薄く塗布
屋外/雨風あり/砂ぼこり多い◯(最小限)低粘度・防塵性グリスを点塗布
Newtonドア/異音なし✕(不要)清掃のみで対応
グリス塗布済/異音継続✕(別原因)業者点検を依頼

グリスは、あくまで「潤滑の手段」であり、目的ではありません。自動ドアという設備の特性、設置環境、そして構造方式に応じて「適切に使う」ことが、安全で静かな出入口空間を維持する鍵となります。

とくに、Newtonドアのように、そもそも潤滑剤に頼らずに性能を発揮する構造を持つ場合は、「塗らない判断」こそが最適な選択になることもあるのです。

あなたの施設や建物の自動ドアが、今後もトラブルなく、快適に使い続けられるように――
正しい知識と判断力を身につけることで、「売らない」潤滑のプロフェッショナルに一歩近づけるはずです。


📝出典一覧(確認・引用元)

  • NABCO公式:自動ドアの保守点検項目一覧
  • JIS A 4722:自動ドアの安全性能規格
  • Newtonドア技術資料(Newtonプラス社)
  • monotaro:潤滑剤の種類と選び方
  • send-freedom:DIY潤滑例とグリス比較
  • autodoor-repair.com:自動ドア異音トラブル事例

【荷重式自動ドア】Newtonドアの資料請求はこちらから→https://76auto.biz/newtonplus/registp/p-offer.htm

【荷重式自動ドア】NewtonドアのYoutubeチャンネルはこちらから→https://www.youtube.com/@newton_plus

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