自動ドアと聞いて、どんな構造を思い浮かべますか?
多くの方は「ガラス張りで、電動で開閉するタイプ」を想像するかもしれません。確かにそれが主流ですが、実は「荷重式」や「非電動」で動作する自動ドアも存在します。こうした多様性を踏まえると、ガラスの厚みひとつとっても、設計の正解は一つではありません。

今回のテーマは「自動ドアに使われるガラスの厚み」。
この記事では、実際の製品で使われているガラス厚みの事例、安全性の観点、設計上のポイント、そして「どうやって選ぶべきか」という判断基準まで、体系的に解説していきます。

結論から言えば、自動ドアのガラス厚みは6mm〜12mmが主流ですが、それを「どう使い分けるか」が重要です。ここを理解しておくことで、過剰設計や安全性不足を防ぐことができます。


一般的な自動ドアには、どんな厚みのガラスが使われている?

自動ドアに使われるガラスの厚みは、主に6mm・8mm・10mm・12mmのいずれかです。
どの厚みを選ぶかは、扉のサイズ、設置場所、使用頻度、風圧の有無などによって異なります。

手軽に確認できる「厚み付き製品」の一例

実際のメーカーの製品仕様を見てみると:

  • NABCO ロスカドアⅡ型
     → 選択可能厚み:8mm・10mm・12mm(強化ガラス)
  • 寺岡オート・ドアシステム ガラス引戸
     → 標準仕様:6mm・8mm・10mm(強化ガラス)
  • ガラス専門業者の施工コラム(例:glass-kouji.com)
     → 一般的な自動ドアには「強化ガラス6〜8mm」がよく使われると解説

なぜこの範囲なのか?

  • 6mm以上であれば、ある程度の強度と衝撃耐性が確保できます。
  • 12mmを超える厚さになると、重量が急激に増加するため、扉の駆動力や耐久性に影響が出てきます。
  • 8mm〜10mmは、住宅・施設・商業空間での汎用的な選択肢として、もっともバランスが良いとされています。

ガラスの種類によっても違いがある

種類特徴
フロートガラス(一般ガラス)安価だが割れやすく、自動ドアには不向き
強化ガラス(テンパード)約3〜5倍の強度/割れても粒状になる/6mm以上が多い
合わせガラス(ラミネート)2枚のガラス+中間膜/割れても飛散しにくい/重くなる

自動ドアの厚みを選ぶとき、何を基準にするべき?

厚みの選び方に「これが正解」という数値はありません。重要なのは、「どの条件下で使うのか」という視点です。


扉サイズによる違い

【問いかけ】
大きな扉には、どれくらい厚いガラスが必要?

【答え】
扉が大きくなればなるほど、ガラスにかかる応力が増すため、厚みを増やす必要があります。

【解説】
幅1.2m × 高さ2.2m のガラスドアと、幅0.9m × 高さ1.8m のドアでは、風圧、振動、開閉時のたわみがまったく異なります。特に面積が大きくなると「たわみ=中央部がたるむ力」が増大し、割れやすくなります。

目安として:

  • 幅900mm程度の標準扉 → 6mm〜8mm
  • 幅1200mmを超える広幅扉 → 8mm〜12mm

支持構造(枠あり・枠なし)で必要厚みは変わる?

【問いかけ】
ガラスの支え方で、厚みの必要性は変わる?

【答え】
はい。上下左右でしっかり固定されている場合は薄くてもOK、上下だけの吊り構造では厚くする必要があります。

【解説】

  • 四方枠で囲われたガラス → 外部応力が分散しやすく、比較的薄くても安全。
  • 上下レールのみで吊るタイプ(例:引戸・フロートデザイン)→ 面全体がむき出しになるため、厚みで剛性を補う必要あり。

風圧・衝撃を受けやすい場所での選定基準

【問いかけ】
屋外設置や人通りの多い場所では、厚みは増やすべき?

【答え】
はい。風圧・衝撃・偶発的な打撃を想定して、余裕をもった厚みを設定すべきです。

【解説】

  • 駅のホーム、商業施設の出入口、ビルの風が吹き抜ける通路など、外気の影響を受けやすい場所では、12mm厚の強化ガラスが推奨されることもあります。
  • 一方、屋内空間のパーティションや自動開閉では、6mm程度でも十分なことが多いです。

安全面から見た「ガラス厚み」の決め方とは?

自動ドアに使うガラスは、人の出入りのたびに開閉する「動く壁」であり、衝突や事故のリスクも伴います。
したがって、単なる厚さ以上に、「壊れ方」や「万一の対処」にも気を配らなければなりません。


JISや建築基準法で定められることはある?

【問いかけ】
自動ドアのガラス厚みには、法的な決まりがあるの?

【答え】
明確な「厚さそのものの数値規定」はJISにはありませんが、安全性を確保する構造であることが求められます。

【解説】
JIS A 4722(自動ドア装置)や、JIS R 3205(建築用安全ガラス)などでは、次のような内容が定められています。

  • 強化ガラス・合わせガラスの破損挙動の評価
  • 衝撃試験(軟体物落下法など)で破砕特性の確認
  • 破片の大きさ・飛散挙動の測定基準

また、地方自治体が独自に安全指針を出しているケースもあります(例:東京都の建築物安全条例)。


飛散防止フィルム・中間膜でカバーする選択肢も

【問いかけ】
割れたときに人に危険が及ぶのが心配です。どうすればいい?

【答え】
合わせガラスや飛散防止フィルムを使うことで、「割れても飛び散らない」設計が可能です。

【解説】

  • 合わせガラス:中間に透明の樹脂膜を挟み、割れても一体化して飛散しにくい
  • 飛散防止フィルム:既存のガラス表面に貼り、万一の破損時に飛び散りを抑える

これらは厚みとは別の「安全対策」であり、6mmや8mmのガラスでも安全性を高める補助手段になります。


強化ガラスの破損挙動を知っておく

  • 強化ガラスは割れると「粒状」に砕け、鋭利な破片になりにくい
  • しかし、破損時は一瞬で全面が崩れるため、設置場所・状況をよく選ぶ必要がある
  • 破損後の安全性を考えるなら「合わせガラス」や「飛散防止仕様」が望ましい

厚くすれば安全? それとも重くなるだけ?

「厚いガラス=安全」と思いがちですが、実はそれだけではありません。
厚みによる強度向上には限界があり、それ以上にデメリットが生じることもあります。


厚みと重さ(平方メートルあたりの質量)

【問いかけ】
厚くなると、どれくらい重くなるの?

【答え】
ガラスの重さは厚みに比例して増えます。たとえば、6mmガラスは約15kg/m²、12mmでは約30kg/m²です。

【参考】 強化ガラスの重量の目安:

厚さ重量(kg/m²)
6mm約15kg
8mm約20kg
10mm約25kg
12mm約30kg

1㎡あたりの重量ですから、扉サイズが大きければすぐに数十キロの差になります。


重くするとどこに影響が出る?(駆動機構・モーター寿命など)

【問いかけ】
重くなると、自動ドアのどこに負担がかかるの?

【答え】
駆動部(モーター、吊り金具、ローラーなど)に過大な負荷がかかり、動作不良・寿命短縮・故障リスク増加につながります。

【解説】

  • 重量が増えると、モーターの駆動トルクが不足しやすくなる
  • 開閉速度の遅延、開閉音の増大、異常停止などの問題が発生しやすくなる
  • ヒンジ・吊元・レール部にかかる摩耗も増加
  • 特に電動式の場合は、定格荷重を超えないように設計が必要

コスト面への影響も見逃せない

  • 厚いガラスは、材料費が高くなる
  • 加工費(穴あけ、切断、面取りなど)も厚みに応じて上がる
  • 運搬費・施工費(特に高所作業や重量対応工事)も増加

用途や設置環境別の「適切なガラス厚み」は?

ガラス厚みの最適値は、単なる物理的な強度だけでなく、「その場所でどんな使われ方をするか」によって大きく変わります。
以下に、設置場所別の実用的な厚み選定の例を紹介します。


風圧の強い屋外施設の場合

【問いかけ】
ビルの出入口など風が吹き抜ける場所には、何mmが適切?

【答え】
8mm〜12mmの強化ガラスが一般的です。特に開口部が大きい場合は12mmが望ましいケースも。

【解説】

  • 自動ドアが風の通り道にある場合、ガラス面に「面圧」がかかりやすい
  • ビル風や突風による外力を受け止めるため、剛性を高める必要がある
  • また、ガラス破損時に通行人に危険が及ばないよう、飛散防止策(合わせガラスやフィルム)も考慮すべき

枠なしデザイン(ガラス引戸など)における厚み目安

【問いかけ】
上下レールだけで吊る「枠なしガラスドア」では、何mmが適切?

【答え】
10mm以上の厚みが推奨されます。特に高頻度で開閉する場合や重たい取っ手を付ける場合は要注意。

【解説】

  • 枠なし構造ではガラス自体が「構造体」としての役割を果たす
  • 振動・ねじれ・開閉時の応力がすべてガラスに集中する
  • 強化ガラス10mm以上+吊元の剛性強化がよく使われる仕様

公共施設・マンション共用部など安全優先の場面

【問いかけ】
小さな子どもや高齢者が使う施設では、どう配慮すべき?

【答え】
厚み以上に「破損時の安全性」を重視し、合わせガラスやフィルム付き仕様を選ぶのが理想です。

【解説】

  • ガラス自体の強度も重要だが、万一の割れ方がカギ
  • 自治体や公共工事では「飛散防止フィルムを貼った強化ガラス」の指定があるケースもある
  • 例:Newtonドアの自治体向け実績では、軽量ガラス+安全構造を両立させている(※詳細は関連記事へ)

【適ドア適所】に基づく「ガラス厚みの考え方」まとめ

ここまで見てきたように、自動ドアに使われるガラス厚みの選定には、単なる「数字合わせ」ではなく、使用環境・構造・安全性・コストのすべてを考慮した判断が求められます。


【要点まとめ】

判断軸推奨厚みと注意点
設置場所が屋外・風圧あり8〜12mmの強化ガラス+飛散防止対策
屋内や開口が小さい場所6〜8mmでも十分だが、安全対策を補うこと
枠なし・吊り構造10mm以上の厚みで剛性を確保する
公共施設・弱者利用が多い場所合わせガラスやフィルムで破損時の安全を担保
厚みに頼らない設計をしたい荷重式構造など、構造自体の工夫を視野に入れる

Newtonドアに見る「厚みに依存しない安全性」の考え方

荷重式自動ドア「Newtonドア」では、ガラスを重くしなくても安全性と耐久性を確保できる構造になっています。
たとえば、以下のような工夫があります:

  • ドア自体が床面に乗る構造のため、扉の重量が駆動部に負担をかけない
  • 電力不要なので、停電時の動作停止リスクがない
  • 枠構造・ガイド機構により、薄めのガラスでも必要な剛性を確保可能

つまり、「厚くしなければ安全にならない」という常識そのものを疑う設計思想なのです。


関連記事・知的導線としてのリンク


ガラス厚みの選定は、単なる設計スペックではありません。
人の安全、ドアの信頼性、運用コストまでも左右する戦略的な判断ポイントです。

だからこそ「厚くすればOK」ではなく、「適材適所の厚みと構造設計」を考えていくことが、自動ドア選定における本質といえます。

【荷重式自動ドア】Newtonドアの資料請求はこちらから→https://76auto.biz/newtonplus/registp/p-offer.htm

【荷重式自動ドア】NewtonドアのYoutubeチャンネルはこちらから→https://www.youtube.com/@newton_plus

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