自動ドアというと、電動式でボタンやセンサーに反応して開閉する、というイメージが一般的です。しかし、世界を見渡せばその利用状況や種類、技術の進化は国や地域によって大きく異なります。日本では当たり前のようにある自動ドアも、他の国ではまだ普及途上だったり、逆に日本では見かけない最新技術が導入されていたりすることもあります。

この記事では、**「世界では今、自動ドアはどう使われているのか?」**という問いを起点に、世界市場の成長動向、安全規格の違い、技術の進化、そして主要な国ごとの比較までを網羅的に解説します。

読み終える頃には、グローバルに通用する自動ドアとは何か、そしてどのように日本の技術や思想が海外に活かせるのか、俯瞰的な理解が得られるはずです。


目次(このページの内容)

世界ではどんな場所に自動ドアが使われているのか?

問いかけ:どの国で、どんな施設に自動ドアが設置されている?
簡潔な答え:空港や鉄道を起点に普及した国もあれば、商業施設を中心に導入が進んでいる国もある。用途は文化や政策、インフラ整備の段階に左右される。


用途別の普及傾向:

自動ドアの設置箇所は、地域ごとにその優先順位が大きく異なります。以下に、主要国・地域ごとの用途別導入傾向を示します。

地域主な導入先傾向と背景
日本商業施設、病院、駅、マンション高齢社会とバリアフリー政策が普及の土台。
アメリカ病院、ショッピングモール、空港ADA(障害者法)によるアクセシビリティ推進。
中国駅、空港、大型モール、公共施設国策による都市開発と監視技術との統合。
欧州(ドイツ・フランス)オフィス、公共施設、病院EN規格に基づく安全・省エネ志向。
中東・アフリカ空港、政府関連施設一部エリアで急成長中、セキュリティ起点。

導入傾向を分ける3つの視点:

  1. 「法制度」起点:アメリカのADA法やEUのEN規格のように、安全性やバリアフリーが法的に義務化されている国では、医療・公共施設への導入率が非常に高い傾向があります。
  2. 「商業発展」起点:中国のように大型商業モールの発展をきっかけに導入が急増する地域も。
  3. 「防犯・セキュリティ」起点:中東や南米では「出入り口管理」としての自動ドア導入が進んでいます。

日本との違いが示す示唆

日本の自動ドアは「優しさ・配慮」に根ざしたバリアフリー思想から発展してきましたが、海外では「効率化」「セキュリティ」「都市設計」といった観点が強く反映されている傾向があります。つまり、導入目的が国ごとに異なるという事実が、設計・選定の違いにもつながっているのです。


世界の自動ドア市場規模と成長率は?

問いかけ:グローバルで見た自動ドア市場の大きさと成長性は?
簡潔な答え:2020年代に入り、自動ドア市場は年平均6〜8%で成長。アジアと北米が成長ドライバー。


世界市場の全体像

複数の業界調査レポートによると、世界の自動ドア市場規模は2022年時点で約160億米ドル(約2.4兆円)。2030年には260〜300億ドル規模に到達すると見込まれています。
成長率(CAGR)は年平均6〜8%。これは一般的な建材市場の平均を上回る水準です。


地域別の成長ドライバー

地域市場規模(推定)成長要因
アジア太平洋(特に中国・インド)最大シェア(約35〜40%)都市開発・インフラ整備・スマートシティ化
北米(アメリカ・カナダ)約25〜30%ADA法による義務化、病院・大型施設の改修
欧州約20%エネルギー効率重視とEN規格推進
中東・南米・アフリカ約10〜15%空港・商業施設の新設による新規需要

成長を支える背景には何があるか?

  1. 人口動態の変化
    • 高齢化によるバリアフリー化の加速(日本・欧州)
    • 都市人口の急増による人流管理(アジア)
  2. 衛生意識・タッチレス需要の増加
    • COVID-19以降、非接触型のドアシステムの需要が世界的に拡大。
  3. 建築物のスマート化・IoT連携
    • ビルディングオートメーションやアクセス管理との統合が進行中。
  4. 規制強化と安全性の標準化
    • 規格適合(ADA、CE、ISOなど)が製品選定の要件に。

注目すべき今後の市場変化

  • 「更新需要」の波が来ている:とくにアメリカでは、既存建築のADA対応の遅れが指摘されており、今後5年で大規模な更新が予想されています。
  • 「スマートドア」カテゴリーの急成長:顔認証、アプリ解錠、自動閉鎖制御などを備えた製品群が、新たなカテゴリとして注目されています。

重要なのは「数字をどう読むか」

たとえば「アジアが成長している」と聞くと単純に販路を伸ばしたくなりますが、実際には「どの用途に、どんな規格で、どの価格帯の製品が選ばれているのか」を読み解かねばなりません。
グローバル市場は一枚岩ではなく、**「用途別の主戦場が国によって違う」**という事実を踏まえることが、正しい市場参入戦略の第一歩となります。


各国の「安全基準・規格」にはどんな違いがある?

問いかけ:自動ドアに関する安全基準は、国ごとに違うの?
簡潔な答え:はい。各国で適用される規格は異なり、設置基準や作動条件も独自に定められています。国際展開ではこの違いが最大のハードルの一つになります。


安全規格は「ドアの性能条件」を左右する

自動ドアの安全性は、単なる「開閉の正確さ」だけでなく、「挟まれ・衝突リスクの最小化」や「緊急時の脱出性能」「電源喪失時の対応力」など、広範囲に及びます。
そのため、自国で使われていた製品をそのまま他国で使えるとは限りません。


主な国際規格・地域別規制の比較

規格名称主な適用国・地域特徴
ADA(Americans with Disabilities Act)アメリカ障害者の通行を妨げない開閉速度・タイミング、ボタン配置の規定が厳格
EN 16005(欧州規格)EU加盟国センサー感知範囲・ドアの開閉圧・非常時の自動開放など詳細に規定
ISO 9386世界標準(採用国により義務化)主に垂直移動装置だが、建築物内の可動設備全般にも影響
JIS A4722(日本産業規格)日本「戸先の押圧力」「引き戸型の閉じ速度」などを明記。建築基準法とも連動
GB/T 14294(中国国家規格)中国高温多湿下での耐久性、寒冷地対応などの地域特性に配慮された構成

安全性だけでなく「文化や期待値」も異なる

規格は数字で示されるものですが、その背景には国ごとの文化や生活習慣が色濃く反映されています。たとえば:

  • アメリカでは「完全自動・非接触」こそがアクセシビリティの理想形。
  • 欧州では「必要なときだけ開き、余計な動作をしない」ことが省エネの前提。
  • 日本では「人に優しく・静かに開閉する」ことが基本的な価値観。
  • 中国では「大量移動に耐える速度と耐久性」が重視される。

このように、「安全」そのものの定義が違うということを、輸出・導入の際は見落としてはなりません。


国際対応を目指すなら「多規格整合」が前提に

製品としてグローバル展開を考える場合、「どの国の基準を満たせるのか」「それを証明できる書類があるか」が問われます。
とくに公共施設や医療機関への納入では、CEマーク(EU)やUL(米国)など第三者認証の有無が導入可否に直結するケースもあります。


実際、日本製品はどこまで整合できている?

※詳細は出しませんが、Newtonドアは「荷重式自動ドア」として、電力を使わずに「扉の閉じ速度」や「非常時の開放性」といったJIS基準に適合しており、EN16005の一部要件とも整合性があります。

このように、自動ドアの「機構」そのものが国際規格と整合しているかどうかは、今後の普及において決定的に重要なファクターです。


主要国ごとの自動ドアメーカーと導入の特長

問いかけ:どんなメーカーが世界で活躍していて、どう選ばれている?
簡潔な答え:世界には各地域で信頼されている主要メーカーが存在し、その選定理由は「規格対応」「設置実績」「メンテ性」など、国ごとに異なります。


欧州(ドイツ・フランス)|「規格と安全性」の国

主要メーカー:GEZE、DormaKaba、Record
特長

  • EN16005準拠が必須のため、「センサー精度」「開閉制御の細やかさ」が非常に重視される
  • 病院やオフィスビルへの導入が中心で、「スマートビル連携」が評価ポイントに
  • 古い建物に後付け設置するケースも多く、「静音性・省電力」への関心も高い

導入の判断軸

  • 製品カタログのスペックよりも、「認証マーク」や「試験合格証明」の信頼性

アメリカ|「アクセシビリティと耐久性」の国

主要メーカー:Stanley、Assa Abloy(NABCO)
特長

  • ADA(障害者法)対応が義務のため、「ボタンの位置」「開く速度と反応」など細かな設計が求められる
  • 郊外の病院や大型モールでの導入が多く、耐候性・耐衝撃性が求められる
  • 鍵付きアクセスや監視カメラとの連携など「セキュリティ性」にも強いニーズ

導入の判断軸

  • 「保証期間」「耐久試験の成績」「メンテナンス契約の可否」などの総合性能評価

中国|「規模とスピード」で突き進む国

主要メーカー:BEA、HUAYU、地場ブランド(地方政府指定)
特長

  • 大規模都市整備に伴い、駅・空港・行政施設への一括導入が進行中
  • 顔認証システムや防犯ゲートとの統合が進み、「自動ドア」ではなく「入口管理システム」の一部として扱われる
  • 製品そのものよりも「導入後の保守契約力」「パーツ供給網」が重視される

導入の判断軸

  • 政府プロジェクトとの連携実績、現地子会社の存在、即時対応力

日本|「調和性と繊細さ」を求める国

主要メーカー:NABCO(日本自動ドア)、フルテック、ナブコシステム、その他
特長

  • 音の静かさや動作のなめらかさ、気流のコントロールなど、感覚的な快適さを重視
  • 建築家や設計士とのコラボレーション設計が多く、「見えない存在」として調和することが多い
  • 「開閉の丁寧さ」や「指はさみ防止」など、ユーザーへの気配りが進化

導入の判断軸

  • 建築意匠との統合性、施主(オーナー)の印象、長期使用における信頼性

まとめ比較表

地域主要メーカー選定の視点主な用途評価軸
欧州GEZE, DormaKabaEN規格対応、安全制御精度病院、オフィス認証/静音性
米国Stanley, Assa AbloyADA対応、耐久性病院、商業施設保証/衝撃試験
中国HUAYU, BEA導入スピード、統合型制御空港、公共施設保守力/規模対応
日本NABCO他快適性・調和性駅、マンション、病院意匠連携/信頼性

自社にとってのヒントとは?

日本の自動ドアメーカーにとって、「技術力が高い」だけでは不十分です。
その国が重視する価値観に合わせて、自社のどんな強みが生きるのか?
これを冷静に見極めることが、グローバル展開での第一歩となります。


海外で進む「自動ドア技術の進化」とは?

問いかけ:自動ドアの技術は、世界でどのように進化している?
簡潔な答え:IoT、顔認証、アクセス制御などと融合し、自動ドアは「入口管理デバイス」へと変化している。非接触・スマート化がグローバル共通のトレンドです。


技術進化の方向性は「3つの融合」

  1. IoT×自動ドア
    • スマートビルの一部として、建物全体の空調・人流・防犯と連動
    • データログ収集により「出入り管理の可視化」が可能に
    • クラウド経由でリモート監視・制御も
  2. バイオメトリクス認証との連動
    • 顔認証や指紋、虹彩認証による「通過認証型ドア」
    • 中国・中東では監視と連動したセキュリティ強化策として急速に普及
    • プライバシー規制の強い欧州では慎重導入(GDPR対応)
  3. タッチレス&非接触対応の進化
    • COVID-19以降、センサー起動の範囲と反応性が急進化
    • 足で操作するフットセンサー、スマホで操作するBluetooth連携型も登場
    • 空気圧制御による「静音開閉」も評価されるポイントに

世界で使われている「スマート自動ドア」事例

導入国技術名特徴・ポイント
ドイツエネルギー最適化ドア入退室センサーと空調連動で無駄な開閉を抑制
中国顔認証ゲート政府系施設・駅・マンションで義務的に導入が進行
UAEバイオメトリクス連携型自動ドア空港や高級ホテルで非接触×高セキュリティを両立
アメリカクラウド接続型スマートドア企業受付・医療施設で入退室ログ管理が標準化

技術進化の根底にある「価値観の違い」

  • 欧州:**「省エネ・環境配慮」**が軸。空気の出入りを抑える自動制御が高評価。
  • アメリカ:「情報管理・合理性」。データによる入退室管理が重要。
  • アジア:「便利さと監視性の両立」。顔認証や住民管理との統合が前提。
  • 日本:「自然な動作と安心感」。技術より「快適性・気配り」が重視される。

【設計思想の地域適応性】という視点

自動ドアというのは、ただの「開閉装置」ではなく、
その国の社会が入口に何を求めるかという価値観の現れでもあります。

つまり、「海外展開をする=現地の期待と文化を読み取ること」。
単に規格を満たすだけでなく、「その地域で自然に受け入れられる設計思想」を組み込むことが、真に信頼されるドアになる鍵です。


【比較表】国別の規格・導入傾向まとめ

問いかけ:国ごとに、どんな規格や導入特性があるの?
簡潔な答え:規格、安全性、導入先、選ばれるポイントなどは各国で大きく異なり、グローバル展開には「国別の適合戦略」が不可欠です。


国別の導入傾向・規格・主な用途を俯瞰する

以下の表に、主要な国・地域ごとの自動ドアに関する情報を比較形式で整理しました。

地域/国主な規格導入が進む施設重視される項目技術的トレンド導入障壁
アメリカADA, UL医療、商業施設アクセシビリティ、耐衝撃性IoT、スマートロック連携州ごとの建築法差異、認証取得の煩雑さ
ドイツ・フランス(EU)EN 16005, CE病院、公共施設、オフィスセンサー精度、省エネ、安全設計空調連動、静音制御認証必須、環境規制の厳格さ
中国GB/T規格駅、空港、行政施設、集合住宅大量通行対応、監視システム統合顔認証、非接触制御政府認可、地場パートナーの確保
日本JIS A4722商業施設、マンション、病院快適性、配慮、静音性静音開閉、センサー緻密化国際規格との整合課題
中東(UAEなど)各国個別対応空港、ホテル、政府施設高セキュリティ、デザイン性バイオ認証、リモート制御製品信頼性と対応スピード

【導入戦略のヒント】

  1. 規格の整合だけでなく「文化適応性」を考慮する
     → たとえば、静かに閉まることが評価される日本と、素早く開くことが重要な中国では求められるスペックが正反対です。
  2. 「どこで、どんなふうに使われるか」までを視野に入れる
     → 自動ドアは単体製品ではなく、「建物や用途の一部」として評価されます。
  3. 現地法人や提携業者の有無が鍵になる地域も多い
     → 中国や中東では特に、現地対応能力が導入可否を左右します。

自社技術の「どこが通用するか」を逆算する

自動ドアを世界に展開するには、
「どこで、どんな規格があるか?」だけでは不十分です。

「その国では、何が“良い自動ドア”とされるのか?」
「その期待に、自社製品はどの軸で応えられるか?」

この問いへの答えが明確であることこそが、海外展開成功の第一歩となるのです。


【適ドア適所】にそった「まとめ」


世界で自動ドアが求められる理由と地域差

グローバルにおいて自動ドアは、単なる利便性の提供ではなく、「安全性の確保」「衛生環境の向上」「人流の制御」「建物の品格の演出」など、複数の価値を担う存在です。
しかし、各国・地域でその目的は異なり、文化、制度、技術インフラの違いによって「最適なドアのあり方」がまったく変わってきます。


「適ドア適所」という視点が必要な理由

国内の技術や製品をそのまま輸出するだけでは、「通用しない」ケースが増えています。
なぜなら、**自動ドアは「その国の価値観や社会設計を映す鏡」**だからです。

  • アメリカでは、「誰でも使えるように」が価値。
  • 欧州では、「無駄なく、制御されている」ことが好まれる。
  • 中国では、「大量の人が早く通れて、顔も覚えてくれる」ことが評価される。
  • 中東では、「セキュリティと豪華さを両立すること」が求められる。

こうした違いを理解し、「その国にとっての“いい自動ドア”」とは何かを定義した上で、
自社製品のどこが、どのように適しているかを見極めることが最も重要です。


「適ドア適所」は、海外展開の羅針盤になる

Newtonドアが掲げる哲学のひとつが、まさにこの「適ドア適所」。
場所にふさわしいドアを。人にふさわしい開き方を。状況にふさわしい静けさを。

グローバルでの展開も、その原則は変わりません。
むしろ、他国の規格や文化を尊重し、なおかつ「らしさ」を伝えることで初めて、信頼される製品となりえます。


最後に

「グローバル 自動ドア」というテーマは、一見すると市場や技術の話に聞こえますが、
本質は**「どういう社会の中で、どんな配慮や価値観を持って、人が移動するのか」**を読み解くことです。

その上で、自社のどの技術・思想が、どの国のどんな施設にふさわしいのか。
そうした視点からの海外展開が、これからの時代にふさわしい選択だといえるでしょう。

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【荷重式自動ドア】NewtonドアのYoutubeチャンネルはこちらから→https://www.youtube.com/@newton_plus

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