自動ドアが急に反応しなくなったり、誤作動を起こしたとき、まず頭に浮かぶのは「リセットボタンはあるのだろうか?」という疑問ではないでしょうか。スマホや家電のように、再起動すれば直るのでは…と考えるのはごく自然なことです。
この記事では、「自動ドアのリセットボタン」にまつわる素朴な疑問に、わかりやすく専門的にお答えします。実は、自動ドアには「物理的なリセットボタンがない機種」も多く、誤った操作がトラブルを悪化させることもあります。
以下では、リセット操作の有無や仕組みだけでなく、「自分でできる対処法」「やってはいけない操作の境界線」「業者に依頼すべきタイミング」など、困っている人が安心して読める構成でお届けします。さらに、荷重式(Newtonドア)のように「そもそもリセットが不要な設計」のドアについても触れますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次(このページの内容)
自動ドアに「リセットボタン」はあるのか?
まず結論からお伝えすると、「すべての自動ドアにリセットボタンがあるわけではありません」。そして、多くの場合、いわゆる“リセット”という操作は「電源を切って再投入し、初期動作を行わせる」ことで代替されています。
手順:リセットボタンの代わりに行う基本操作
- 自動ドアの主電源(制御盤に付いているスイッチ)を一度OFFにする
- 5〜10秒ほど待ってから再度ONにする
- ドアが「初期開閉動作(=学習作動)」を始める場合あり
これは、制御盤が「正常に起動しなおす」ことを目的としています。これだけで正常動作に戻ることもあります。
注意点:ボタンが見当たらなくても焦らない
よくある誤解として、「どこかに隠しボタンがあるはずだ」と探してしまうケースがありますが、機種によってはリセットスイッチ自体が存在しません。また、ボタンがあっても専門業者しか操作できない「設定モード」用である場合もあり、安易に触ると故障コードが記録されたり、安全装置が働いてドアがロックされたりするリスクもあります。
荷重式(Newtonドアなど)はそもそも構造が異なる
ここで重要な視点が、「荷重式自動ドア」の存在です。これは、電源を使用せず、床の荷重(=人が乗る重さ)によって開く特殊なドアで、Newtonプラス社が提供する「Newtonドア」などが代表例です。
このタイプのドアは、電動制御や制御盤が存在しないため、当然ながら「リセットボタン」も不要です。トラブルの発生自体が非常に少なく、構造的にも「リセット」という概念が適用されない設計となっています。
反応しないとき、まず何を確認すべき?
自動ドアが開かない、反応しないといったトラブルに直面したとき、多くの方が「故障かも?」と考えがちですが、実は簡単な確認作業だけで解決できるケースも少なくありません。ここでは、専門業者を呼ぶ前に「必ずチェックしてほしい」ポイントを整理します。
要点:確認すべき基本ポイント
- 電源が入っているか(ブレーカー落ち、スイッチOFF)
- センサーの前に障害物がないか(傘、荷物、看板など)
- レールやドアの可動部分に異物がないか
- 非常解放スイッチ、安全装置が作動していないか
これらの確認は、自分でも安全に行える範囲であり、操作を誤っても故障に直結することは基本的にありません。
手順:トラブル時の初期対応(安全範囲)
- 電源の確認:ブレーカー、制御盤の主電源スイッチを確認(ONになっているか)
- センサーの清掃:レンズや周辺部に汚れ、ほこり、虫がついていないか拭く
- レール周辺の確認:石やごみ、カードなどが挟まっていないか
- 再起動操作:一度電源をOFFにし、5〜10秒後にONで再起動(学習作動確認)
注意点:これ以上は触らないほうがいいサイン
以下のような症状が見られた場合、それ以上の操作はせず、専門業者に連絡することを強くおすすめします。
- ドアが途中で止まる、何度も開閉を繰り返す
- モーター音はするがドアが動かない
- エラーコードが表示されている(制御盤に表示灯がある場合)
- 操作後も動かず「ガタガタ」「ブー」という異音が出る
「なんとなく触ってみた」で問題が悪化すると、内部機器の破損やセンサーの再調整が必要になり、かえって高額な修理になるリスクもあります。
リセット操作で直る?それとも業者を呼ぶべき?
「リセットすれば直るのでは?」という希望を抱いて操作する方は多いですが、実際には状況に応じて適切な判断が必要です。ここでは、自分で対応して良いケースと、専門業者に依頼すべきケースを明確に分けて解説します。
判断軸1:電源を入れてもまったく動かない
→【業者を呼ぶべき】
制御盤や基板、電源系統に問題がある可能性が高く、素人対応は危険。放置すると電気火災などのリスクも。
判断軸2:ドアは動くが、異常動作する
→【要注意】
センサーの不具合や設定のズレが原因かもしれません。センサーのレンズ清掃や再起動で直らなければ、業者に調整を依頼すべきです。
判断軸3:たまに反応しない/反応が悪い
→【自分で対応可能】
まずはセンサー部やレールの清掃、センサー前の障害物排除、簡易的な再起動操作を試してOK。
自分でやっていい範囲/ダメな範囲の線引き
| 操作内容 | 自分でやってOK | 業者に依頼すべき |
|---|---|---|
| 電源のON/OFF | ◯ | – |
| センサーの清掃 | ◯ | – |
| レールの異物除去 | ◯ | – |
| 配線の確認・修理 | × | ◯ |
| 制御盤の設定変更 | × | ◯ |
| リセットスイッチの操作(特殊機種) | ×(※) | ◯ |
※業者用の設定スイッチや特殊操作は、誤操作で状態が悪化するため厳禁
「押すだけで直る」は都市伝説?
実際、家庭用機器のように「ボタン一発で全て元通り」というケースは、自動ドアでは稀です。“押すことで設定が壊れる”ことの方が多いという認識が重要です。
とくに、NABCOやTORMAXなどの高機能ドアでは、リセット操作に設定コードやタイミングが関わってくる場合があり、専門知識なしでの操作はリスクが伴います。
メーカー別の初期化/リセット手順は?
自動ドアのリセット方法は、メーカーや機種ごとにまったく異なります。ここでは、よく使われている主要メーカーの代表的なパターンを紹介します。
NABCO(ナブコ)
- リセットボタン:原則なし
- 主な操作:電源再投入による「学習作動」
- 主電源を切ってから再投入すると、ドアが一度開閉して「可動範囲を再学習」します。
- これがいわゆるリセット代わりになります。
🔧 補足:「学習作動」とは
ドアが自分で動きながら、開閉の位置や速度を記憶する動作です。障害物などがあれば途中で停止することもあります。
TORMAX(トーマックス)
- リセットボタン:一部の機種にあり
- ただし、リセットボタンはカバー内や設定画面上などにあり、業者専用として設計されていることが多いです。
- 手動でのリセットは、専門知識がないと誤操作の原因になりやすいため、非推奨。
その他メーカー(MIWA、ナブテスコなど)
- 設定スイッチ/ディップスイッチ方式が多い
- 制御盤内部にあるスイッチやキー設定を変更して初期化するタイプ
- 間違った設定をすると安全センサーが無効になる可能性があるため、こちらも基本的に専門業者の作業領域
荷重式ドア(Newtonドア等)
- リセット機能:不要
- 電気制御を使用していないため、そもそも「リセット」や「初期化」という概念が存在しません。
- トラブル自体が少なく、部品も非常にシンプルな構造で、誤動作のリスクが低いのが特長。
このように、メーカーや方式によって対応方法がまったく異なるため、「ネットで見た方法」が必ずしも当てはまるとは限りません。
リセット後に確認しておくべき安全項目は?
仮に自動ドアが正常に動き始めたとしても、そのまま放置するのは危険です。とくに、リセットや再起動後は、安全機能やセンサーが正しく動作しているかどうか、必ず確認する必要があります。
チェックリスト:リセット後に確認すべき5項目
- 開閉動作がスムーズか?
- 途中で引っかかりや異音がないか、動きがスローすぎたり、勢いが強すぎないか
- 人感センサーの反応が正確か?
- 人が近づいたとき、自然に反応して開閉するか(左右の範囲を含めて確認)
- ドアがしっかり閉まるか?
- 閉まった状態で隙間がないか、すぐに再び開いたりしていないか
- 安全装置(挟み込み防止など)が機能しているか?
- ドアが閉まる瞬間に物を置いてみて、きちんと停止するか(※小さなダンボールなどでテスト)
- エラーランプや異常表示が出ていないか?
- 制御盤に異常コードやランプが点灯していないか確認
手順:確認作業の流れ(安全な監視)
- 一度人の出入りを数回行う
- 開閉の動きや反応を観察する
- 不自然な動作があれば電源をOFFにし、業者に相談する
🔍 専門家の視点
「動いた=直った」と安心する前に、“動き方が正しいか”を確認することが最も大切です。人の安全に関わる機械だからこそ、慎重すぎるくらいがちょうどよいのです。
自動ドアのトラブルを防ぐには?予防と点検のすすめ
リセットや再起動によって一時的に直っても、「また同じトラブルが起きるのでは?」と不安になる方も多いはずです。実は、自動ドアの不調は日々の環境とちょっとしたメンテナンス不足が大きな原因になっていることが少なくありません。
原因:トラブルの多くは「使用環境」にあり
- 風雨やホコリが多い出入口に設置されている
- センサー部がよく虫に覆われる、くもる
- 店舗の荷物搬入時にぶつかる、強い衝撃が加わる
- 連日深夜まで使用され、可動部が疲労している
こうしたケースでは、構造自体が壊れていなくても誤作動や動作不良を引き起こすリスクが高まります。
対策:自分でできる予防策3つ
- 月に1回はセンサー周辺とレールを掃除
- 汚れや蜘蛛の巣、落ち葉などを取り除く
- ドアの開閉を観察する習慣をつける
- 日々の動作のクセを把握しておくと異常に気づきやすい
- ドア付近に障害物を置かない
- 荷物や看板がセンサーを遮ると誤作動の原因に
年1回以上の定期点検が長寿命化の鍵
特に公共施設やマンションなどで使われる自動ドアでは、専門業者による年1〜2回の定期点検をおすすめします。プロによる点検では:
- センサーの感度調整
- モーターの状態チェック
- 可動部のグリスアップ
- 制御盤の異常履歴確認
などが行われ、突発的な停止を未然に防ぐことができます。
✅荷重式自動ドア(Newtonドア)は予防がさらにシンプル
電気を使用せず、構造がシンプルな荷重式では、こうした点検の手間がほとんど不要。環境を選ばず、トラブルが発生しづらいため、高齢者施設や無人運営施設などの“保守が手薄になりがちな場所”でも安心して使えるという強みがあります。
【適ドア適所】にそった「まとめ」
ここまで、自動ドアの「リセットボタン」に関するあらゆる疑問や対処法を解説してきました。
この記事で伝えたかったこと(要約)
- 自動ドアにリセットボタンが「必ずあるわけではない」
- 多くは**電源のON/OFF操作による初期動作(学習作動)**がリセット代わり
- トラブル時はまず**自分で確認できる範囲(電源・センサー・レール)**をチェック
- 無理な操作や誤ったリセットは、かえって状況を悪化させる
- 業者を呼ぶべきかの「判断軸」を持つことが重要
- 荷重式自動ドア(Newtonドアなど)には、そもそもリセットという概念が不要
- 日常点検と年1回の定期点検がトラブル防止のカギ
適ドア適所の視点から見た「リセット」の本質
今回のテーマである「リセットボタン」という概念は、実は電気制御前提の自動ドアに限った話です。つまり、以下のように整理できます:
| タイプ | リセットの必要性 | 主なリスク | 管理のしやすさ |
|---|---|---|---|
| 電動式(一般的な自動ドア) | 必要あり(制御盤あり) | 誤作動・故障・設定ミス | 専門知識が必要 |
| 荷重式(Newtonドア等) | 不要(電気制御なし) | 構造的にトラブルが起きにくい | 点検ほぼ不要で簡単 |
したがって、トラブルが頻発しやすい場所や、人の出入りが不安定な環境、またメンテナンスに手が回らない現場では、そもそも「リセットがいらない構造」を選ぶという発想が重要になります。
次のステップに進むために
トラブルに困ったその時だけでなく、「次にどんな自動ドアを選ぶべきか?」を考えるときにも、この記事が「リセットの仕組み」から逆算した最適な選択肢を見つけるヒントになれば幸いです。
出典・参考リンク
- NABCO公式:制御盤操作・学習作動に関する解説ページ
- ナブテスコ:トラブル事例と対応フロー
- 自動ドア専門業者ブログ(中部自動ドア 他)
- Newtonプラス公式サイト:https://newton-plus.co.jp
- Newtonドアの安全設計・構造資料(社内資料)
【荷重式自動ドア】Newtonドアの資料請求はこちらから→https://76auto.biz/newtonplus/registp/p-offer.htm
【荷重式自動ドア】NewtonドアのYoutubeチャンネルはこちらから→https://www.youtube.com/@newton_plus