自動ドアというと、皆さんが真っ先に思い浮かべるのは「ガラスの引き戸が左右に開閉する」イメージではないでしょうか。でも実は、引き戸の進化系とも言える「引き込み式(戸袋収納型)」という構造があり、これを自動ドアにも応用できるのでは?と気になっている方が少なくありません。

この記事では、そんな「引き込み式自動ドアってそもそも可能なの?」「どんなメリットとリスクがある?」「設置できる条件って何?」といった疑問に対し、安全性・建築条件・適応シーンまで網羅的に解説していきます。読後には、自動ドアの構造をデザイン・機能の両面から正しく判断できるようになります。


目次(このページの内容)

自動ドアの“引き込み”って何?手動引き戸との違いから整理しよう

一言でいうと?
自動ドアの「引き込み式」とは、開いた扉が壁の中(戸袋)に完全に収納され、見えなくなる構造のことです。一般的な引き戸とは見た目も使い勝手も異なります。


用語整理:引き込み=「戸袋」にドアを格納する方式

住宅や旅館の和室などでよく見かける「引き込み戸(戸袋式引き戸)」をイメージしてみてください。ドアを開けると、それが横にスライドして壁の中に“消えて”見えなくなる構造です。この収納スペースを「戸袋(とぶくろ)」と呼びます。

この構造は、空間の開放感やスッキリした見た目を演出できる一方で、壁の中に扉が格納されるため、事前に戸袋スペースを確保した設計が必要になります。


一般的な自動ドアは「引き込み型」ではない

皆さんが目にする多くの自動ドアは、「外付け型」のスライド式です。つまり、開閉に合わせてドア本体が壁面の外側に沿ってスライドする構造。ドア自体は常に見えており、壁の中に格納されることはありません。


引き込み式の自動ドアは存在するのか?

答えは「技術的には可能。ただし、設計の自由度や安全性に高いハードルがある」です。特に意匠性やスペースの活用を重視する施設・店舗で「壁に消えるようなドアを導入したい」というニーズがあるため、メーカーによっては戸袋対応の自動ドアをオーダー設計で対応するケースもあります。


構造としての課題は?

戸袋構造を採用するには、以下のような設計課題があります:

  • 壁の厚み(引き込み部の確保)
  • ガイドレールや駆動部の配置
  • 配線・制御機器の内蔵可否
  • 点検・メンテナンスアクセスの確保

これらは、手動引き戸ではあまり問題にならない点でもありますが、自動化されることで設計・施工の難易度が一段上がるのです。


なぜ「引き込み式」が注目されているのか?

最大の理由は「見た目の美しさと空間の有効活用」。特にデザイン性が重視される高級ホテル・医療施設・店舗エントランスでは、「扉が完全に消える」ことで開口部がより広く、明るく、スッキリした印象になります。

ただし、それに伴って「構造が複雑になる」「安全性の確保がより難しくなる」など、越えるべきハードルも明確に存在しています。


このように、引き込み式自動ドアは「非現実的」な選択肢ではありませんが、「気軽に設置できるもの」でもないのです。次章では、通常のスライド自動ドアと比較しながら、具体的な構造や機能面での違いを見ていきましょう。


次に【2. 自動ドアでも可能?戸袋収納型の構造とその仕組み】に進みます。

次のセクション【2. 自動ドアでも可能?戸袋収納型の構造とその仕組み】の本文を生成します。


自動ドアでも可能?戸袋収納型の構造とその仕組み

一言でいうと?
自動ドアで戸袋収納型を実現するには、一般的なスライドドアとは異なる構造と設計配慮が必要です。扉を“壁の中に収納”するだけでなく、モーターやセンサー類をどう処理するかが技術的な要となります。


そもそも「戸袋収納型」ってどんな構造?

戸袋収納型とは、ドアが壁の中(戸袋)にスライドして格納される仕組みです。開いた際には扉が視界から消えるため、開口部がフルオープンとなり、見た目もスッキリします。

手動引き戸ではこの構造は比較的簡単に実現できますが、自動化するにはドアを動かすための機構をどうやって戸袋内に組み込むかがポイントとなります。


引き込み式の自動ドアに必要な構造要素とは?

以下が、自動で引き込み式を実現するために必要な主な要素です:

構造要素内容
駆動装置戸袋内または戸袋前に設置。ベルト駆動やギア式が一般的。
センサー開閉時の人感・物体感知。挟まれ・引き込み防止にも活用。
ガイドレール扉の安定した動きを確保。床面 or 上吊り式。
メンテナンススペース戸袋内部点検用の点検口やパネルが必要。
停止制御装置途中停止・緊急停止機構も重要。

このように、戸袋内にこれらの機構を納めながら、見た目や安全性も確保する必要があるため、設計段階での調整が非常に重要になります。


上吊り式 or 床置き式、自動ドアの場合どちらが主流?

自動ドアでは、ドア本体を「上のレールから吊る」上吊り式が多く採用されます。これは、床面にレールを設ける必要がないためバリアフリー性が高く、清掃性にも優れているからです。

ただし、戸袋収納型では扉を重力に逆らって引き込む動作が必要となるため、扉の重さ・材質に応じた強度設計と、駆動力の適正化が求められます。


駆動装置の配置と配線の難しさ

自動ドアを引き込み型にする際、最大の技術課題の一つが「駆動装置の配置と配線」です。以下のような調整が求められます:

  • 戸袋内にモーターやベルト駆動をどう組み込むか
  • 動作中のモーター音や振動をどう吸収するか
  • メンテナンス時のアクセスルートをどう設けるか
  • 各種配線(電源・センサー・制御)をどこに通すか

特に、壁の中に格納されるという特性上、後からの点検や改修が難しいため、事前の設計がすべてを左右します。


自動ドアメーカーによる技術事例

以下は一部メーカーで採用されている技術例です:

  • リニア駆動ユニット:滑らかで静音性の高い開閉を実現。振動が少なく、戸袋内部にも適応しやすい。
  • 制御一体型ヘッダー装置:ヘッダー部分に駆動+制御ユニットを内蔵し、戸袋への干渉を最小限に。
  • 戸袋専用メンテナンスパネル:点検用に開閉可能な戸袋カバーを設置。

まとめ:構造的には実現可能だが「建築との一体設計」が不可欠

引き込み式自動ドアは、一般的な後付け製品とは違い、建物の壁構造そのものと一体で設計・施工する必要があります。そのため、以下のような条件が揃った場合にのみ現実的です:

  • 新築 or 大規模改修において導入が検討される
  • 設計段階から自動ドア仕様を決められる
  • 建物の構造体(RC/鉄骨など)に対応できる

次章では、このような構造によって得られる「メリット」と「見落としやすい注意点」について、より具体的に見ていきましょう。

次のセクション【3. 引き込み式のメリットは見た目だけ?利点と誤解されやすい点】に進みます。


引き込み式のメリットは見た目だけ?利点と誤解されやすい点

一言でいうと?
戸袋に収納される引き込み式の自動ドアは、見た目のスッキリ感や空間の有効活用が大きなメリット。ただし、その魅力には「設計・安全・コストの壁」も伴います。


【メリット1】開口部がフルに使える=空間を広く見せられる

引き込み式の最大の特長は、開いたときに扉が完全に視界から消えること。これは従来のスライド式や開き戸と大きく異なり、次のような効果が得られます:

  • 開口部を完全に開けられる
  • 視線の抜けがよく、空間が広く感じられる
  • ドアの存在感が消え、壁と一体化したスッキリした印象

特に店舗・ホテル・ショールームなど、第一印象や美観が重視される空間では非常に有利な特徴です。


【メリット2】バリアフリー性が高い

開閉時に扉が壁の中に隠れるため、車いす・ストレッチャー・ベビーカーなどが通る際に邪魔になる部分が一切ありません。従来型の引き戸でもバリアフリーには対応していますが、引き込み式なら“完全に障害物ゼロ”の状態を実現できます。


【メリット3】扉が邪魔にならない動線設計ができる

ドアの開閉動作によって生じる“稼働範囲”が壁の中だけに収まるため、動線設計が非常に自由になります。これは特に以下のようなシーンで力を発揮します:

  • 調剤薬局や病院でのカート搬送動線
  • ホテルのルームサービス提供動線
  • 住宅内での家事・育児導線

扉が“どこにも出っ張らない”というのは、細やかな設計にとって大きな武器になります。


【注意点1】「遮音性・気密性」が下がりやすい

ドアが戸袋にスライドしていく構造上、壁内で隙間が発生しやすく、一般的な引き戸よりも遮音性・気密性が劣る傾向があります。特に以下のような場面では注意が必要です:

  • 音漏れを避けたい医療施設の診察室
  • 冷暖房効率を重視する店舗や施設
  • プライバシー保護が必要な住宅や会議室

これは設計時にガスケット処理(隙間埋め)や特殊構造扉の採用である程度対策できますが、完全には防ぎきれない部分でもあります。


【注意点2】引き込み部のメンテナンス性・清掃性が低い

戸袋は壁の中にあるため、清掃や点検が困難です。放っておくと、埃やゴミの蓄積によってスムーズな動作に支障が出ることも。自動ドアで引き込み式を採用する場合、以下のような点に配慮が必要です:

  • メンテナンス用の点検口を設ける
  • 掃除機ノズルが届く設計にする
  • ホコリがたまりにくいレール・駆動部を採用する

定期点検を前提に設計しないと、使用を重ねるごとにパフォーマンスが下がってしまいます。


【注意点3】火災・災害時の動作に注意

非常時(火災・停電)における扉の待避動作にも要注意です。通常の引き戸なら開放状態で固定できますが、引き込み式の場合、壁内に格納された扉が**“見えない状態”で止まってしまう**ことがあり、避難の妨げになる可能性があります。

そのため、以下のような対策が求められます:

  • 緊急時に扉を強制開放する装置の設置
  • 扉の位置が一目で分かるインジケーター
  • 発煙・停電時のセンサー制御確認

【まとめ】メリットの裏には、使い方次第の“適性”がある

「見た目が良い」だけでは、引き込み式自動ドアは成功しません。
空間の用途、利用者の動線、安全基準などを踏まえた適正判断が必要不可欠です。

次の章では、JISの安全基準から見た「引き込み部」の注意点と対策について詳しく解説します。

続いて【4. 安全性が気になる…引き込み部分とJIS基準の関係とは】の本文を生成します。


安全性が気になる…引き込み部分とJIS基準の関係とは

一言でいうと?
自動ドアにおける“引き込み部”は、指挟み・身体挟みのリスクがあるため、JIS規格で明確に安全対策が求められています。引き込み式構造はこの“危険部位”と直結しており、慎重な設計が必要です。


引き込み=挟まれリスクが高い構造

扉が壁の中にスライドして収納される構造では、人や物が戸袋に引き込まれてしまうリスクが存在します。特に以下のような場面では注意が必要です:

  • 扉が閉まりかけている時に子どもが近づく
  • ペットや車いすの車輪がレールに引き込まれる
  • 衣服やバッグの端が扉に吸い込まれる

このような状況を想定し、JIS(日本産業規格)では具体的な規定が定められています。


JIS A 4722:自動ドアの安全性に関する規格

JIS A 4722は、自動ドアの設計・設置に関する国内標準規格で、以下のような安全要件を設けています:

項目内容
開閉力の制限開閉時の力が一定以上にならないよう制御する
扉速度の規制開閉速度を制限して衝突リスクを軽減する
センサー設置人や物の検出機能を義務付け
非接触感知子どもやペットでも検知可能なエリアを確保
挟まれ検出扉に触れた際、すぐに逆転・停止する機能を搭載

特に「挟まれ・引き込み部の保護」については、明確に【危険部位】として扱われ、専用のセンサーやガードスクリーンの設置が強く推奨されています。


引き込み式における具体的な対策とは?

以下は、引き込み式自動ドアにおける主な安全対策です:

  1. 引き込み口へのセンサー設置
     扉が戸袋に入る前に、異物・人・動物を検知するレーザー式や赤外線式センサーを設置します。
  2. ソフトエッジ機能の導入
     扉の縁に柔らかい素材を使うことで、接触時のダメージを軽減します。
  3. 停止・逆転制御
     異常を感知した際、すぐに扉が停止または開くように制御するソフトウェア設計。
  4. ガードスクリーン設置
     戸袋の入り口を覆う透明なガードで、物理的に“挟まれる隙間”を減らす。
  5. ブザー・インジケーター
     動作中に音や光で周囲に警告を発する仕組みも有効です。

安全性は「設置環境」に大きく左右される

引き込み式では、開口部が壁の中に隠れてしまうため、視認性が低く、周囲の状況が把握しづらいという弱点があります。

そのため、以下のような利用環境では、設計段階からリスク評価を行う必要があります:

  • 子どもや高齢者の利用が多い施設(保育園、病院)
  • 人の通行量が多く、混雑する場所(商業施設、駅構内)
  • 車いすやカートが頻繁に通るバリアフリー環境

【ポイント】“引き込み式”の美観は、安全と両立してこそ意味がある

引き込み式構造は、見た目やスペース効率の面で魅力的ですが、「見えない部分」でこそ事故が起きやすい構造でもあります。

そのため、「戸袋=デザインのための隠し構造」としてではなく、**構造上もっとも注意が必要な“リスク部位”**であるという認識が不可欠です。


次章では、こうした安全・構造要件を踏まえ、「そもそも引き込み式が導入できる建物条件とは何か?」について解説します。

続いて【5. 引き込み式を選ぶ前に!設置できる建物の条件とは?】の本文を生成します。


引き込み式を選ぶ前に!設置できる建物の条件とは?

一言でいうと?
引き込み式自動ドアを導入するには、建物の壁厚・構造・開口スペースなど、かなり厳密な条件をクリアする必要があります。「あとからつける」は基本的に難しく、“設計段階からの検討”が必須です。


まず大前提:「壁の中」に扉を収納できる余地があるか?

引き込み式構造の核心は「壁の中にドアを収める」こと。これには以下のような物理条件が必要です:

条件必要内容
壁の厚み扉の厚み+戸袋のレール+点検スペースを確保できること
戸袋スペース開口幅と同じ長さの壁内空間が必要
構造体との干渉RC構造(鉄筋コンクリート)や梁・柱が干渉しないこと
配線空間駆動部・センサー用のケーブルを通せる構造であること

特に注意が必要なのは、「あとからは構造的に不可能」という点です。すでに壁が完成している既存建物では、壁を取り壊して構造変更しない限り対応できません。


木造、鉄骨造、RC造──どの構造なら可能?

建物構造引き込み式導入のしやすさ理由
木造住宅△(小規模であれば可能)壁厚や耐力壁との調整が必要
鉄骨造○(商業施設・中規模以上)スペース確保がしやすい
RC造(鉄筋コンクリート)△(可能だが条件付き)梁・配筋との調整が複雑

最も導入しやすいのは、「新築の鉄骨造施設で、設計段階から自動ドア仕様が明確に決まっている場合」です。逆に、木造住宅や集合住宅の共用部では、安全や気密性、補強などを考えると慎重な判断が必要になります。


屋外/屋内でも条件が違う?

引き込み式が設置される場所によって、さらに考慮すべき条件が変わります。

設置場所注意点
屋外断熱・結露・気密性対策が必要/雨水や砂塵の侵入リスクあり
屋内(中間エリア)比較的導入しやすいが、火災時の避難動線に注意
屋内(個室や診療室など)防音性・プライバシー確保の観点で再検討が必要な場合あり

つまり、単純に「壁があるからできる」というものではなく、その壁がどういう環境に置かれているか、という点まで含めた評価が求められるのです。


建物の用途でも判断が分かれる

建築用途によって、戸袋収納型が「推奨される場面」と「避けるべき場面」が分かれます:

向いている用途理由
美術館・ホテル・高級店舗意匠性・開放感が重視されるため
病院・介護施設バリアフリー動線や視認性重視の場合に適する(要安全対策)
会議室・診療室・住宅遮音・気密性が必要なため、避けた方がよい場合あり

設計者・建築士との連携が不可欠

引き込み式の自動ドアを採用するには、単なる「自動ドア業者との打ち合わせ」では不十分です。以下のような連携が重要になります:

  • 建築設計者との設計段階でのすり合わせ
  • 構造設計者との梁・耐力壁・筋交いの確認
  • 電気設備業者との配線ルート調整
  • 建築確認申請への影響(防火区画や避難経路要件)

【まとめ】設置できるかどうかは「構造 × 環境 × 目的」で決まる

引き込み式自動ドアを導入するには、「壁に入るかどうか」だけでなく、「入れた結果、その空間の機能が損なわれないか」を冷静に見極める必要があります。

次章では、こうした構造と機能を踏まえたうえで、実際に「引き込み式が活きる場面」と「向かない場面」の事例を紹介します。

次に【6. 事例紹介:引き込み式が活きる場所、向かない場所の見分け方】の本文を生成します。


事例紹介:引き込み式が活きる場所、向かない場所の見分け方

一言でいうと?
引き込み式の自動ドアは、見た目と機能の両立が求められる一部の用途では極めて有効です。一方で、実は“不向きな環境”も多く、誤って採用するとリスクになります。適ドア適所の視点が不可欠です。


【活きる場所1】高級ホテル・旅館のエントランス

高級感を重視した空間では、ドアが完全に見えなくなることで「開放感と静けさ」が同時に得られます。
例えば、以下のような効果が見込めます:

  • ドアの存在感が消え、非日常感を演出
  • 天井・壁との一体感を損なわない美観
  • スタッフの動線もスムーズになる

このような現場では、意匠性を犠牲にせず、安全性・メンテ性にも配慮したカスタム設計が求められます。


【活きる場所2】店舗のウィンドウファサード(ショーウィンドウ側)

ドアが引き込まれて完全に消えることで、商品陳列や視線誘導に影響を与えずに済むのが最大の利点です。特にアパレルやジュエリーなど、「視線で魅せる」業態では有効です。

  • 開口部が完全に見える→店内全体が明るく感じられる
  • ドアレールや駆動部を目立たせず、ブランドイメージを保てる

【活きる場所3】医療・福祉施設の一部動線

ストレッチャーやカートの往来が頻繁な病院では、扉が完全に収納されることで動線がスムーズになります。ただし、これはあくまで動線の「共有部」に限った話であり、診察室など個室には向きません(遮音性・気密性の観点から)。


【向かない場所1】会議室・診察室・住居の個室

これらの空間では「閉じたときの遮音性・プライバシー性」が重要視されるため、戸袋構造が**“隙間”になりやすい**引き込み式では不十分です。結果として以下のような課題が出やすくなります:

  • 話し声が外に漏れる
  • 冷暖房効率が落ちる
  • 火災時の防煙区画として成立しない

【向かない場所2】湿気や粉塵の多い場所

厨房、クリーニング工場、工場のクリーンルームなどでは、壁の中にドアが収納されることで「汚れがたまる」「清掃が困難」「カビや匂いがこもる」といった問題が起きやすくなります。


【向かない場所3】後付け改修を予定している施設

前の章でも述べた通り、引き込み式は設計段階からの構造組み込みが前提です。既存の壁に後付けで戸袋を設けようとすると、構造耐力や法令との整合が取れなくなる可能性が高いです。


【適ドア適所】を見極める判断基準とは?

以下に、「引き込み式が適しているか否か」を判断するための早見表を示します:

評価項目適している場合適していない場合
意匠性の優先度高い低い
気密・遮音の必要性低い高い
ドア動線に干渉があるかあるない
清掃・点検へのアクセス確保可能困難
建築設計の自由度高い(新築)低い(改修)

【まとめ】事例から見えるのは、“構造”と“目的”のすり合わせ

引き込み式の導入を成功させるには、「どう見せたいか」と「どう使いたいか」の両面から設計意図を明確にし、それに合わせて選択する必要があります。

この視点こそが、我々が大切にしている【適ドア適所】の考え方です。

次章では、こうした事例で見落とされやすい“よくある落とし穴”と、それを回避する具体策を整理します。

次のセクション【7. よくある落とし穴:こんなトラブルに注意しよう】の本文を生成します。


よくある落とし穴:こんなトラブルに注意しよう

一言でいうと?
引き込み式の自動ドアは、メリットが多い反面、“後から気づく”トラブルも少なくありません。設計・運用の段階で失敗しがちなポイントを、事例を交えて紹介します。


【落とし穴1】設計段階で“戸袋スペース”の確保を忘れる

これは引き込み式導入時の最も典型的な失敗例です。設計者が自動ドアの寸法や動作域だけを見て、「扉そのものの収納スペース」を見落としてしまうことがあります。

結果どうなるか:

  • 施工時に「そもそも壁内に納まらない」と判明する
  • 配線・点検口・構造壁との干渉が後から発覚
  • 扉の収納ができず、動作不良や改修コスト発生

【落とし穴2】ガイドレールや配線が汚れやすく、保守性が低い

戸袋内に入り込む扉の動線には、ガイドレールや駆動ベルトが通ります。これらの部分にホコリ・湿気・ゴミなどがたまりやすくなるのが、引き込み式の弱点です。

起こりがちなトラブル:

  • レール内の異物による開閉不良
  • 駆動音が大きくなる(異常摩耗)
  • メンテナンス時に壁を開ける必要がある

【落とし穴3】災害・停電時に“扉の場所が分からない”

引き込み式は、扉が完全に隠れて見えなくなるため、非常時に扉の位置が把握しづらいというリスクもあります。これが以下のような事態につながります:

  • 火災時に避難者が“扉の開口部”を見つけられない
  • 停電で扉が中途で止まり、閉じたかどうか分からない
  • 救助隊が開口部に気づかず、壁と認識してしまう

対策としては:

  • 扉の位置を示すインジケーターを設ける
  • 戸袋カバーに非常用開放ボタンを設置する
  • 動作中にLEDやブザーで動作範囲を可視化

【落とし穴4】扉が“スムーズに戻らない”現象

とくに低気温下や湿気が多い環境では、戸袋内のガイドレールに結露やサビが生じることがあり、これが扉の滑りを悪くします。

  • 一度引き込んだ扉が、開閉時に引っかかる
  • 開き終わるまで時間がかかる/一部で停止
  • モーターへの負荷が増え、故障の原因になる

定期清掃や、素材選定(アルミ・ステンレス系レールの採用)が不可欠です。


【落とし穴5】遮音性を期待しすぎて後悔する

個室用途や住宅で、「見た目がスッキリするから」と採用した引き込み式ドアが、実際には音漏れや隙間風に悩まされる例もあります。

  • 戸袋部分の隙間から音が筒抜けになる
  • 冷暖房効率が下がり、光熱費が上昇
  • 扉が閉じているのに“閉まった感”がない

設計者・施主の間で、気密性・遮音性への期待値のすり合わせが足りないと、後から「こんなはずじゃなかった」となりがちです。


【まとめ】“事前に知っていれば防げた”が最も多い

引き込み式自動ドアのトラブルの多くは、「構造特性に対する理解不足」と「環境・目的とのミスマッチ」によるものです。

適切な判断には:

  • 設計段階でのシミュレーション
  • 使用環境の詳細ヒアリング
  • 利用者の安全・導線の想定

これらを含めて、次章では【まとめ】として「適ドア適所」の視点での最終判断基準を提示します。

次に【8. 【適ドア適所】見た目だけじゃない、構造から考える自動ドアの選び方】の本文を生成し、記事全体の締めを行います。


【適ドア適所】見た目だけじゃない、構造から考える自動ドアの選び方

一言でいうと?
「見た目が良いから」「スッキリするから」だけで選んではいけないのが、引き込み式自動ドアです。空間の目的と構造の条件を踏まえた“適ドア適所”の視点こそが、後悔しない選び方につながります。


引き込み式は「正解」のひとつ、でも「万能」ではない

ここまで読んでくださった方なら分かるとおり、引き込み式の自動ドアは次のような利点があります:

  • 扉が完全に収納され、空間が広くスッキリ見える
  • バリアフリー性が高く、動線が妨げられない
  • 意匠性の高い施設・空間で、存在感を消せる

一方で、次のような課題・リスクも無視できません:

  • 戸袋の設計・施工が難しく、コストも上がる
  • 安全性(挟まれ・引き込み)への高度な配慮が必要
  • メンテナンス性・遮音性に難が出やすい

これらの事実を受け止めた上で「どのような場所に向いているのか」を正しく判断する必要があります。


【最終チェック】引き込み式導入を検討するなら…

以下に、検討時のチェックリストをまとめました:

  1. 目的は明確ですか?
     → 見た目?バリアフリー?空間演出?遮音性? 目的の優先順位を明確に。
  2. 建物の構造は対応可能ですか?
     → 壁の厚み/戸袋スペース/構造体の干渉をクリアできるか?
  3. 緊急時・災害時の対応は想定されていますか?
     → 避難動線、非常停止、インジケーターなどの安全策がとれるか?
  4. 将来的なメンテナンスも考慮していますか?
     → 点検口の設置/清掃のしやすさ/部材交換のしやすさをチェック
  5. “今ではなく、未来”も想定した選択ですか?
     → 人の流れ、建物の使い方、利用者層が変わった時に困らないか?

「適ドア適所」という視点がもたらす“納得の選択”

私たちが大切にしているのは、「かっこいいから」「便利そうだから」ではなく、その空間において一番ふさわしいドアは何かを見極めることです。

  • 高級ホテルには、空間を引き立てる引き込み式自動ドアが“適所”かもしれません。
  • 病院の診察室には、遮音性・清掃性の高いスライド式が“適ドア”かもしれません。
  • 住宅であれば、手動の引き戸+自動補助装置という選択肢もあるでしょう。

このように、“適ドア適所”の考え方は、単にドアの形状や駆動方式を選ぶ話ではなく、人・建物・未来の使われ方までを見据えた最適化の思想です。


【まとめ】

自動ドアに「引き込み式」という選択肢は確かに存在します。そしてそれは、美しさや動線設計において非常に魅力的な解決策となり得ます。

しかし、見た目の魅力に惹かれて判断を急ぐ前に、ぜひこの一言を思い出してください。

「そのドア、本当にその場所に“適して”いますか?」

この問いかけを通じて、より納得のいく、自分たちに本当にフィットした自動ドア選びができることを願っています。


【出典表示】

  • NABCO公式サイト「JIS A 4722とは?」
  • LIXIL自動ドア製品ページ
  • 自動ドアナビ「自動ドアの種類」
  • おうちのいろは「引き込み戸とは」
  • Newtonドア関連ナレッジ各種

【荷重式自動ドア】Newtonドアの資料請求はこちらから→https://76auto.biz/newtonplus/registp/p-offer.htm

【荷重式自動ドア】NewtonドアのYoutubeチャンネルはこちらから→https://www.youtube.com/@newton_plus

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