自動ドアと聞いてまず思い浮かぶのは、ガラス張りのスライド式の電動ドアでしょう。オフィスビル、病院、商業施設など、あらゆる場面で目にするこのタイプの自動ドアは、視界が開けていて開閉の様子がよく見える設計が一般的です。しかし、近年の建築設計では、機能性と意匠性の両立が求められ、「外部からの視線を遮りたい」「直射日光を防ぎたい」「通風も確保したい」といった要望が増えてきています。

こうした課題に対してよく使われるのが「ルーバー」です。では、自動ドアにこのルーバーを組み合わせることは可能なのでしょうか?この記事では、自動ドアとルーバーを組み合わせる際の現実的な選択肢とその注意点を、建築設計・安全基準・構造・法令・施工の各視点から総合的に解説していきます。



そもそも自動ドアにルーバーって必要?何のために使う?

ルーバーとは、細い羽板(スリット)を一定の角度で並べることで、通風や採光を保ちながら視線や直射日光を遮る建材です。ルーバー付きのドアは、手動ドアや勝手口、機械室の扉などでは昔からよく使われており、通風や排気、目隠しが必要な場面で非常に実用的な存在です。

しかし、これが「自動ドア」となると、事情が少し変わってきます。


問いかけ:自動ドアにルーバーを組み合わせたい場面って、実際どんなとき?
答え:多くは「外部からの視線を遮りたい」「直射日光や熱を防ぎたい」「でも開閉性は自動で確保したい」という場面です。


建築の現場では、特に以下のようなケースで、自動ドアとルーバーの併用を検討する声が上がります。

  • 公共施設や役所のエントランス:外から丸見えにならないようにしつつ、開閉のバリアフリー性は確保したい
  • 病院やクリニックの出入口:プライバシー性が求められるが、手を使わずに出入りしたい
  • 南面に面した出入口:直射日光が強く、熱がこもりやすいため遮熱性が必要
  • セキュリティゾーンとの境界:中の様子を隠す一方で、人の動線はスムーズにしたい

つまり、ルーバーには「通風・採光・遮熱・視線カット・防犯」などの機能が期待されており、これを自動ドアの機能と一体化または併設で実現したいというニーズが見えてきます。

とはいえ、自動ドアは開閉部が可動するため、ルーバーをどのように組み合わせるかには注意が必要です。


自動ドアにルーバーは取り付けられるのか?【構造面から検討】

「ルーバー付きのドア」と聞くと、ドアの面材そのものにスリットが開いていたり、扉の上部や下部に固定の格子がついていたりするものを想像するかもしれません。しかし、自動ドアはその開閉機構の特性上、固定された装飾や付加物を持たせるのが難しい場合があります。では、どうすれば自動ドアにルーバー機能を持たせられるのでしょうか?


問いかけ:自動ドアに直接ルーバーをつけるのって、現実的に可能?
答え:開閉の妨げにならず、安全性を損なわない構造であれば、併設型・周辺設置型という形で実現可能です。


可動部分と干渉しない構造が大前提

自動ドアはその名の通り、センサーや押しボタンなどで作動し、自動で開閉するドアです。開閉に使われる機構(モーター・ガイドレール・吊り金具など)は、ドア本体の上部や内部に組み込まれているため、そこにルーバーのような構造物が接触すると、故障や事故につながる可能性があります。

つまり、可動域に干渉しない形でのルーバー設置が大前提となります。


ルーバーの配置:一体型・併設型・後付け型の違い

ルーバーと自動ドアの組み合わせには、以下のような構成が考えられます。

タイプ概要メリット注意点
一体型ドア本体にルーバー意匠が組み込まれている見た目がすっきり、建築意匠に一体感可動部との干渉リスク、安全基準に適合させるのが難しい
併設型ドアの横や上部にルーバーを固定設置するドア機構に影響を与えにくい、安全性が高いドアとのバランス、視線の抜け感、デザイン統一に配慮が必要
後付け型既存の自動ドアに後からルーバーを追加する施工コストが抑えられる安全確認・開閉動作の妨げにならないか事前検証が必要

現実的に最も多く採用されているのは併設型です。とくに、ドアの上部や側面に、独立したルーバー格子やブラインドパネルを設置することで、ドア本体には一切手を加えずに、視線カットや遮熱効果を得るという手法が一般的です。



法令・安全性から見る「ルーバー付き自動ドア」の実現可能性

どんなにデザイン的・機能的に優れていたとしても、自動ドアは公共性の高い設備であるため、法令・安全基準への適合が欠かせません。とくにルーバーのように、目隠しや意匠のための要素を追加する場合は、その構造が安全を脅かさないことが求められます。


問いかけ:自動ドアにルーバーを加えると、法的にNGになることはある?
答え:あります。とくにJIS基準、消防法、バリアフリー法、建築基準法に抵触する可能性があるため、設置には注意が必要です。


JIS基準(自動ドアの安全性に関する規格)

日本工業規格(JIS)では、自動ドアの安全性に関する詳細な基準が定められています。具体的には、以下のような要件があります:

  • 人の動線を妨げない開閉動作
  • ドアに挟まれた際の挟まれ防止措置(センサーやバンパー)
  • 視認性や可視性(安全ピクトグラムやガラス部分の透明性)

ルーバーがこれらの動作領域に入り込む、あるいは視認性を下げるような配置だと、**JIS A 4722(自動ドア装置の安全要求事項)**に違反する可能性があるため注意が必要です。


消防法・建築基準法との関係

公共建築物や避難経路となる部分では、消防法および建築基準法で以下のような制約が加わります:

  • 避難の妨げになるような構造物の禁止
  • 煙や火の拡散を助長しない構造であること(防煙区画)
  • ガラスの飛散防止対策・開放性確保

ルーバーの材質や位置によっては、防火設備の条件を満たさないことがあります。特にルーバーが金属製で火災時に高温を保ちやすい構造である場合などは、防火性能に影響するため注意が必要です。


バリアフリー法・高齢者対応設計

さらに重要なのが、**バリアフリー法(高齢者・障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律)**です。自動ドアは、その設置目的自体が「手を使わずに出入りできること」にあります。

しかし、ルーバーの配置が通路幅を狭くしたり、視認性を下げて高齢者の移動を妨げたりする場合は、このバリアフリー設計の原則に反することになります。



意匠性・機能性を両立するには?設計上の工夫ポイント

自動ドアにルーバーを組み合わせたいと考える背景には、機能的な理由だけでなく、「外観の統一感」や「建物としての美しさ」への配慮があるはずです。しかし、前述したように安全性や法令の制約も無視できません。ここでは、意匠性と機能性の両立を目指す際に押さえておきたい設計上のポイントを整理します。


問いかけ:ルーバーと自動ドア、両方のメリットを引き出すにはどうすればいい?
答え:ドア本体ではなく、周囲の「フレーム」「外装」「天井設計」を使って、意匠としての一体感を構成するのが現実的です。


ファサード一体型設計と格子状外装

近年の建築では、建物全体のファサード(外観設計)において「格子状」や「スリット状」のデザインが主流になりつつあります。ルーバーという名称が使われない場合でも、実質的に同様の意匠が取り入れられているケースが多くあります。

  • 自動ドアの両側のガラス部分や袖ガラスに格子状のデザインを入れる
  • 天井から吊り下げる形でルーバーパネルを配置する(非接触型)
  • 建物の構造体の一部としてルーバーを用いる(ドアの構成物ではない)

こうした工夫をすることで、「自動ドアにルーバーをつける」のではなく、「ルーバーで囲まれた出入口として演出する」という設計が可能になります。


視線カットと明るさ確保のバランス

ルーバーの目的の一つが「目隠し」や「直射日光の遮蔽」である場合、光の取り入れ方とプライバシー保護のバランスをとる設計が求められます。

  • 羽根角度を調整できる可動式ルーバー
  • 内部からは見えやすく、外部からは見えにくい素材や角度設計
  • 「縦ルーバー」「横ルーバー」の選択による視線制御の工夫

また、**通風機能を持たせたい場合は、開口率と風の通り道を意識する必要があります。**換気扇や空調設備との連携も重要な要素です。


雨風・汚れ・メンテナンスの視点も忘れずに

ルーバーは建物外部に取り付けられることが多いため、以下のような点も考慮すべきです:

  • 風圧・風切り音の発生リスク
  • ほこり・砂・鳥の巣などの蓄積による汚れやメンテナンス性
  • ルーバーとガラス間の水滴や結露による視認性の低下

特に自動ドアの可動部周辺に取り付ける場合、落下や干渉の危険性を防ぐ設計・施工方法が求められます。



「電源がいらない自動ドア」で、ルーバー併設の自由度が変わる?

これまで解説してきた通り、自動ドアにルーバーを併設したいというニーズは実際に多くありますが、電動式の自動ドアでは「開閉装置が天井部に集中している」という構造上の制約がありました。そこで、意匠設計の自由度を大きく広げる可能性を持つのが、「荷重式=電源不要」の自動ドアです。


問いかけ:ルーバーと自動ドアの組み合わせ、もっと自由にできる方法は?
答え:天井に装置を持たない荷重式自動ドア(Newtonドア)なら、意匠設計の自由度が飛躍的に高まります。


電動式自動ドアの制約:天井スペースが占有される

一般的な電動式自動ドアでは、モーターや制御装置、ガイドレールなどがドアの上部、つまり天井部に集中して設置されます。これにより、次のような制限が発生します:

  • 天井にルーバーや装飾を自由に設置できない
  • 天井を意匠的に演出したい場合に干渉が発生
  • メンテナンス時にルーバーを取り外す必要が出る可能性

その結果、意匠性やファサードとの一体感を求める設計者にとって、設計の自由度が大きく制限されることになります。


荷重式(Newtonドア)なら、天井が完全に自由になる

Newtonドアに代表される荷重式の自動ドアは、電気を使わず、床面に設置された仕組みで開閉動作を実現します。これにより、以下のような大きなメリットがあります:

  • 天井スペースが完全に自由になる(何も設置しなくてOK)
  • 天井からルーバーや装飾を吊るすことが可能
  • 壁・天井・床の連続性を保ったまま設計できる

つまり、「開閉機構の制約から解放されることで、意匠設計の自由度が格段に高くなる」わけです。


ルーバー付きファサードと相性がよい理由

荷重式自動ドアは、建物の外観設計にこだわる施設と非常に相性がよく、以下のような場面で力を発揮します:

  • 美術館・図書館・公共施設など、文化性の高い建築
  • 省エネ・脱炭素に配慮した「電源不要」設計を求める施設
  • 通風・遮熱・視線コントロールを建材で実現したい場面

加えて、災害時にも停電の影響を受けずに動作するという副次的なメリットもあり、防災の観点からも注目されています。



実現したいなら、誰に相談すればいい?【専門家の役割】

「自動ドアにルーバーを取り入れたい」と考えたとき、それを現実に形にするためには、複数の専門家の知見が必要になります。意匠だけでなく、構造、安全性、法令順守までを見越して、適切な判断を下す必要があるからです。


問いかけ:ルーバー付き自動ドアを実現したいとき、最初に相談すべきは誰?
答え:設計事務所、自動ドアメーカー、建築施工会社の3者連携が必要ですが、まずは「目的を明確に伝える」ことが最優先です。


設計事務所・サッシ業者・自動ドアメーカーの役割分担

専門家担当領域注意点
設計事務所建物全体の意匠・機能計画、法令対応意匠性と安全性のバランスをどう設計に反映するかがポイント
サッシ業者・建具業者ルーバーの材質・形状・取り付け方法など自動ドアの可動部と干渉しないような設計が必要
自動ドアメーカー開閉機構の選定、安全基準への適合、メンテナンス性荷重式・電動式の選択と、その制約を明確に伝えることが重要

この3者が連携し、「意匠的な狙い」と「機能的な制約」のすり合わせを早期に行うことで、後戻りのない計画が可能になります。


“グレーゾーン”を判断できるのは現場経験のあるプロ

ルーバーと自動ドアの組み合わせは、規格化されたパッケージ商品ではなく、個別に判断が必要な「グレーゾーン」の設計要素です。そのため、単純に製品情報だけを集めるのではなく、現場での経験が豊富なプロに相談することが不可欠です。

例えば、

  • 法令的には問題ないが、実際の施工で不具合が出やすいケース
  • 意匠的には成立するが、強風や気圧差で動作不良を起こす可能性
  • 施工後にメンテナンス性が悪くなってしまう配置

こうしたリスクを想定し、**「できる/できない」ではなく、「どうすればできるか」**を模索する姿勢が、専門家には求められます。


「目的と優先順位」を言語化してから相談しよう

最後に最も大切なのは、依頼者であるあなた自身が「何のためにルーバーを使いたいのか?」を明確にしておくことです。例えば:

  • 外からの視線を遮ることが最優先なのか?
  • 採光・通風などの快適性を保つことが目的なのか?
  • 建物全体のデザイン統一が重要なのか?

これらの**「目的と優先順位」を明確にすることが、設計・施工側の判断をスムーズにし、最適解へ導く第一歩**となります。



【適ドア適所】にそった「まとめ」

「自動ドアにルーバーを組み合わせたい」というニーズは、これまであまり表に出てきませんでしたが、実際には多くの施設設計や改修の現場で求められているテーマです。ただし、それは単なる建材の組み合わせではなく、安全性・機能性・法令順守・意匠性など、あらゆる要素を横断的に考慮した「総合判断」が求められる領域です。

この記事では、以下のような流れで読み手の理解を深めてきました:

  • ルーバーには「視線カット」「遮熱」「通風」など複数の役割がある
  • 自動ドアと組み合わせるには、構造・法令・安全性の制約をクリアする必要がある
  • 特に天井設計の自由度が求められる場合には、「電源がいらない荷重式自動ドア」という選択肢が大きな意味を持つ
  • 実現には、複数の専門家の知見をつなぐ調整と、依頼者自身の目的の明確化が重要

そして、この記事の核心は「適ドア適所」という考え方にあります。


自動ドアは、出入口の“用途”や“設置環境”によって、最適な方式が異なります。

  • 開閉の自由度が最優先なら「荷重式」
  • 意匠制限が少ない設計をしたいなら「天井不要型」
  • 法令に厳しく対応する必要があるなら「専門家の連携による判断」

といった具合に、「電動か非電動か」「見た目か機能か」「工事のしやすさか将来のメンテナンス性か」といった複数の軸から、**“この場所にはこのドアが合っている”という視点(=適ドア適所)**で選定していくことが、最も重要な判断基準となります。


ルーバーと自動ドア、そして建築意匠と安全性。
この複雑なバランスをとるために、まずは「知ること」からはじめてみませんか?


出典一覧

  • Newtonドア(荷重式自動ドア)製品資料
  • 自動ドアの安全性検証とJIS規格整合性資料
  • NABCO「自動ドアの構造と安全装置」
  • 国土交通省「建築物のバリアフリー設計ガイドライン」
  • 消防庁「防火設備に関する運用基準」

【荷重式自動ドア】Newtonドアの資料請求はこちらから→https://76auto.biz/newtonplus/registp/p-offer.htm

【荷重式自動ドア】NewtonドアのYoutubeチャンネルはこちらから→https://www.youtube.com/@newton_plus

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