自動ドアというと、ドアの開閉そのものに注目しがちですが、実はその“上”にも重要な要素があることをご存知でしょうか?──それが「欄間(ランマ)」です。
欄間は、天井との隙間を埋め、採光・通風・意匠性を兼ねた空間設計上の重要パーツ。しかし、自動ドアと欄間を組み合わせる際には、いくつかの技術的な制約や安全性の配慮が求められます。
この記事では、建築設計や改修工事で「自動ドア+欄間」の採用を検討している方向けに、設計段階で知っておくべき構造の知識、安全装置への影響、実際の改修事例やコストの目安までを、徹底的に解説していきます。
目次(このページの内容)
そもそも「欄間(ランマ)」とは何か?自動ドアとの関係性は?
要点:
欄間とは、開口部の上部に設けられる非可動の部分であり、採光・通風・意匠性の目的で設けられる。自動ドアにおいては「無目(むめ)」と混同されがちだが、役割は異なる。
用語整理:欄間/無目/トランサムの違い
- 欄間(ランマ):ドアの上部、壁との間に設ける非可動の空間。木造住宅では格子やガラスが入ることが多く、現代建築でも採光・通風の要素として活用される。
- 無目(むめ):自動ドアにおいては、ドア上部にオペレーター(自動ドアの駆動装置)が内蔵される枠部分を指す。これは自動ドアを動かすために不可欠なパーツであり、構造体でもある。
- トランサム(transom):洋建築での「欄間」に相当。通風や採光のための上部開口部分。
ポイント:
無目は構造部、欄間は非構造の装飾部や空間設計要素という違いがある。
ケース紹介:欄間が必要になる典型的な場面とは?
- 天井高が高い建築物で開口高さを制限したいとき
→ ドアを2,000〜2,300mmに抑え、それ以上を欄間でふさぐことで空調効率も向上。 - 採光や通風をとりたいとき
→ ガラス欄間やルーバー式欄間により、開放感と空間の明るさを保つ。 - 外観意匠に連続性をもたせたいとき
→ ファサードデザインの一部として、同素材や同パターンの欄間を採用。
注意:欄間と無目は「両立可能」だが、設計上のすり合わせが必要
たとえば「無目の上にさらに欄間を設ける」のか、「無目がそのまま欄間の役割を果たす構造とする」のかで、設計の自由度・制約が大きく変わります。
自動ドアのオペレーター部が含まれる無目を「どこに置くか」が、欄間の採用可否と深く関わってきます。
自動ドアにおける欄間の構造パターンとは?
要点:
自動ドアに欄間を設ける際には、いくつかの代表的な構造パターンが存在します。それぞれに設計上の制約と利点があり、選択次第で施工性や安全性が大きく変わります。
構造パターン1:無目一体型欄間構造
特徴:
自動ドアの無目(オペレーター内蔵部)をそのまま欄間の一部とみなし、上部空間の塞ぎと駆動装置の収納を一体化する方法。
- 施工がシンプルで、コストを抑えやすい
- 見た目がすっきりし、ファサードデザインに向く
- 開口高さに制限がある場合に効果的
注意点:
無目を大型化する必要があるため、荷重負担と強度検証が重要。JIS A 4722では一定の構造耐力が求められます。
構造パターン2:無目と分離した独立欄間構造
特徴:
無目の上に、別途「欄間スペース」を設ける構造。主にガラスやルーバーを使用し、視覚的にも意匠的にも存在感のある構成。
- デザイン性を重視する商業施設で多く採用
- 自然採光や通風が目的であれば最適
- 無目の構造が標準サイズで済むため、既製品も活用しやすい
注意点:
・センサーの設置や反応に干渉する可能性あり
・欄間ガラスの固定部材と躯体構造との取り合いに注意が必要
構造パターン3:通風・換気型欄間
特徴:
特に公共施設や高齢者施設で採用されることが多く、換気目的でルーバー型・開閉式の欄間が選ばれるケース。
- 感染症対策・自然換気に寄与
- 室内外の空気の流れを調整可能
注意点:
・風圧や外部からの雨水の侵入対策が必要
・可動型欄間の場合、清掃やメンテナンスの手間が増える
構造パターン4:開口高との関係で設計するケース
建築物の総天井高と開口高さの兼ね合いで、どうしても欄間が必要になる場面があります。
たとえば:
| 天井高 | 標準ドア開口 | 欄間必要性 |
|---|---|---|
| 2,400mm | 2,000mm | ○(無目+欄間で対応) |
| 2,700mm | 2,300mm | ○(意匠的にも欄間活用) |
| 2,100mm | 2,100mm | ×(欄間不要) |
まとめ:選択肢は複数あるが、目的を明確にすべき
- 単に「隙間を埋める」のか?
- 採光・通風のためか?
- デザイン連続性のためか?
こうした意図が明確であれば、最適な構造が選びやすくなります。
設計・施工上の注意点は?【安全性と機能性の両立】
要点:
欄間付き自動ドアを設計・施工する際は、構造耐力、寸法制限、安全装置への干渉、法規制など、複数の要素を考慮する必要があります。ここではそれらを体系的に整理します。
手順:構造支持の有無と荷重の受け方を確認する
1. 荷重支持の基本ルール
欄間部にガラスなどを設ける場合、それが「無目に乗るのか」「上部構造から吊るのか」によって、荷重分散の考え方が異なります。
- 無目支持型:構造的に強化された無目(強化鋼板など)を使用
- 上部躯体吊り型:天井または壁の梁から独立支持(サブフレームを設ける)
2. 荷重式自動ドア(Newtonドア)との関係
Newtonドアでは、上部からの吊り下げが不要なため、上部構造の自由度が高く、欄間構造との相性が良いという特徴があります。
注意点:開口寸法と欄間が干渉しないかを確認
代表的な問題点:
- 開口高さの制限により、意図しない「低すぎる欄間」になってしまう
- 上枠(無目)と欄間ガラスのジョイント部に強度不安が出る
- 天井高によりセンサー位置が高くなりすぎ、反応遅れや死角が出る
根拠:JIS A 4722との整合性が重要
JIS A 4722(自動ドアの安全性に関する日本工業規格)では、以下の点が重要:
| 要素 | 規格要件 | 関連リスク |
|---|---|---|
| 開閉速度制御 | 0.7m/s以下推奨 | 人との接触リスク |
| 安全センサー配置 | 扉の動作範囲をカバー | 死角での事故 |
| 緊急時開放 | 欄間に干渉しない構造が必要 | 停電時の開放不可 |
Newton社ではこのJIS規格に準拠した安全性検証実験を実施しており、欄間との接合構造に関しても、センサー反応の妨げがないよう設計可能です【参考:Newtonドアの安全性検証ファイル】。
ワンポイント:気密性・断熱性も見逃せない
特に医療施設や食品工場などでは、欄間からの空気漏れや熱損失が問題になることも。シール材や複層ガラスの仕様検討も忘れずに。
センサー・安全装置は欄間にどう影響する?
要点:
自動ドアにとって最も重要な安全装置が「センサー」です。欄間構造を設けることで、センサーの反応領域に干渉したり、死角を生んだりする可能性があるため、非常に慎重な設計が求められます。
センサー配置:遮蔽物との距離確保と死角の回避
センサーは“見えていればよい”わけではありません。
- 動作検知エリアは立体的かつ広範囲に設定されています
- 欄間により天井面が低くなることで、検知範囲に死角が生じることがある
- ドア枠内蔵タイプや天井設置型など、センサー方式の選択肢によって影響が異なる
センサー種類と欄間との関係
| センサー種類 | 特徴 | 欄間構造との関係 |
|---|---|---|
| 赤外線センサー | 人の動きや熱を検知 | 透明欄間でも影響少ないが、ガラスの反射に注意 |
| ミリ波センサー | 微細な動作を感知 | 金属製欄間だと干渉の可能性あり |
| レーザーセンサー | 高精度で検出 | 欄間に反射素材があると誤作動しやすい |
特に注意が必要なのは、「透明ガラス欄間」でも赤外線やレーザーが反射して誤検知する場合がある点です。
保護策:センサーの死角対策と干渉防止の工夫
1. センサー再配置/角度調整
センサーの取り付け角度や位置を調整することで、多くの干渉問題は回避可能です。
2. センサーカバーの導入
外光や反射を抑制するカバー付きセンサーを選定するのも有効です。
3. 安全エリア設定のカスタマイズ
センサーによっては、ソフト的に「検知領域の形状」を変更できるものもあり、欄間構造に応じた最適化が可能です。
【実例】センサー誤作動を起こした欄間構造
- 事例A(商業施設):ガラス欄間が強い西日を反射し、赤外線センサーがドア前に人がいると誤認 → センサーの高さを変更し対応
- 事例B(医療施設):金属製ルーバー欄間とミリ波センサーが干渉 → センサーをレーザー型に変更して解決
既存自動ドアに欄間を後付けできる?改修時の注意点
要点:
「新築時に欄間を設けなかったが、やっぱり必要になった」「開口部の見た目や空調効率を改善したい」──そんな理由で、既存の自動ドアに欄間を追加したいというニーズは少なくありません。ただし、後付けにはいくつかの制限と注意点があります。
判断基準:後付け可能かどうかの見極めポイント
| チェック項目 | 判断の観点 | 補足 |
|---|---|---|
| ドアメーカー/型番 | 構造情報の取得が可能か | 製品図面が必要 |
| 無目の構造 | 欄間を乗せられる耐力があるか | 多くは非対応 |
| 上部スペースの有無 | 設置できる高さがあるか | 天井高さに注意 |
| センサーの位置 | 干渉せず設置できるか | 角度調整も検討 |
特に無目が既製品で構造体として弱い場合は、後付け欄間は非推奨とされます。
改修費用の目安
- ガラス欄間設置(新設枠+強化ガラス+施工):10〜20万円程度/1箇所
- ルーバー欄間(アルミ製・固定):8〜15万円程度
- 構造補強込み(サブフレーム設置含む):15〜30万円程度
※設置環境や既存ドアの種類により変動あり
工程:改修にかかる日数・工事内容
| 工程 | 内容 | 所要日数 |
|---|---|---|
| 現地調査 | 高さ・構造確認、図面取得 | 半日〜1日 |
| 製作準備 | フレーム・ガラスの製作 | 約1週間 |
| 取付工事 | 施工・固定・シール処理 | 1日〜2日 |
| 動作確認 | 自動ドア+センサー再調整 | 半日程度 |
注意点:見た目だけでなく「構造とセンサー」の両立を最優先に
後付け欄間は、「単なる目隠し・装飾パーツ」ではなく、構造体や安全装置との相互作用を考慮しないと、事故や不具合の原因になります。
- 「風の流れが変わってセンサー誤動作が起きた」
- 「欄間がガラス破損で落下した」
- 「火災報知器の放熱口をふさいでしまった」
──このようなトラブルを防ぐには、構造・電装・動線の総合的なチェックが必要です。
意匠性・快適性を高める欄間デザインの活用事例
要点:
欄間は単なる「隙間を埋めるもの」ではなく、建築空間の質を高めるデザインパーツとして機能します。ここでは、さまざまな施設での欄間活用事例を紹介しながら、見た目・快適性・空気環境の改善という観点を掘り下げていきます。
商業施設:ガラス一体型で開放感を演出
事例:ショッピングモールのメインエントランス
- ガラスドアと同素材の「強化ガラス欄間」を採用し、天井までの連続した透明感を演出
- 夜間照明を組み込んだ欄間で、高級感とブランド性を向上
- 無目と欄間の接合部もガラスフラット仕上げで、ミニマルデザインを実現
効果:
明るく広がりのある印象。外からの視認性も良好で、集客力にも貢献。
公共施設:通風欄間で換気性能を確保
事例:市民センターの出入口
- 上部にルーバータイプの欄間を設置し、自然通風を確保
- 自動ドアが閉じていても、欄間から外気が流入し、密閉感を軽減
- 電源不要な換気装置として、省エネ効果も期待
効果:
空調負荷の軽減/湿気・ニオイこもり対策/衛生性の向上など、空間品質全体が改善。
マンション・住宅エントランス:素材による「雰囲気づくり」
事例:木調・和風テイストのエントランス
- 木目調アルミパネルで作った欄間を採用し、和モダンなデザインに
- 夜間は背面にLEDを仕込み、間接照明として活用
- 通風目的ではなく「意匠欄間」として設計
効果:
居住者に安心感と落ち着きを提供。デザイン統一で資産価値にも貢献。
その他の素材バリエーション
| 素材 | 特徴 | 用途例 |
|---|---|---|
| 透明強化ガラス | 高級感・明るさ | 商業施設、オフィス |
| 型板ガラス | プライバシー+採光 | 病院、施設 |
| アルミパネル | 軽量・多彩な色 | 集合住宅、工場 |
| 木目調樹脂 | 雰囲気重視 | 高齢者住宅、個人宅 |
【まとめ】欄間付き自動ドアの選び方と「適ドア適所」の考え方
要点:
「欄間をつけるか、つけないか?」──その判断基準は、単なる見た目や流行ではなく、空間の目的や利用者の安全性、快適性に基づくべきです。ここでは、Newton社が提唱する「適ドア適所」の視点から、欄間付き自動ドアの選び方を整理します。
欄間付き自動ドアが“向いている”ケース
- 天井高が高く、開口部の高さを制限したいとき
- 採光・通風を取り入れ、自然環境と調和させたい空間
- 視覚的に開放感を演出し、来訪者に安心感を与えたい場合
- 意匠・ブランディングが重要な商業施設や宿泊施設
✔ こうしたケースでは、「デザイン × 機能 × 安全」のバランスを取る手段として、欄間が非常に効果的に働きます。
一方で“避けたほうがいい”ケースもある
- 天井高がそもそも低く、欄間を設ける余地がない場合
- センサーとの干渉リスクが高い設計環境(特に反射・遮蔽物が多い場所)
- 火災報知設備や空調機器と干渉しやすいレイアウト
- 視認性や換気よりも、気密性や断熱性能が最優先される用途(冷凍倉庫など)
「欄間ありき」ではなく、「目的ありき」でドア設計を
これは、Newtonドアの「適ドア適所」思想の根幹にある考え方です。
「選んだドアにあわせて空間をつくる」のではなく、
「空間の本質にあわせて、最適なドアを選ぶ」
その中において、欄間という選択肢もまた「空間と人の接点」を豊かにするための手段のひとつにすぎません。
出典・参考資料
- Newtonドアの安全性検証とJIS規格整合性.txt
- NドアFAQ.txt
- Nドア顧客セグメントと導入事例.txt
- Newtonドア.txt
- Nドア(チラシ)マンション.txt
- Nドア(チラシ)自治体.txt
- Nドア自社チャネル.txt
【荷重式自動ドア】Newtonドアの資料請求はこちらから→https://76auto.biz/newtonplus/registp/p-offer.htm
【荷重式自動ドア】NewtonドアのYoutubeチャンネルはこちらから→https://www.youtube.com/@newton_plus