自動ドアと聞くと、多くの人がまず「扉」そのものをイメージするでしょう。自動で開閉する透明なガラスドア、センサーで反応するスマートな動き、開けた瞬間に感じる涼しさや暖かさ…。でも、実は自動ドアの“主役”ではない部分――それが「枠(かまち)」です。この目立たない存在が、あなたの建物にどれだけ影響しているか、ご存じでしょうか?

この記事では、日常的に見落とされがちな「枠」に注目し、自動ドアの性能やトラブルにどのように関わっているのかを徹底解説します。専門用語の意味から、設計ミスによるトラブル事例、素材や納まりの違い、そして最後には「そもそも枠がいらないという発想」についてもご紹介します。建物の設計や管理に関わる方、これから自動ドアを導入・改修しようと考えている方は、ぜひ最後までご覧ください。


枠を気にしない設計で大丈夫?最初の“見落とし”が後のトラブルを生む理由

自動ドアの設計段階で「枠」を重視して設計している人は、実はあまり多くありません。ドアそのものやセンサー、機構部、さらにはガラスのデザインや色味には時間をかけても、枠の設計に関しては「メーカー任せ」「現場で合わせてもらう」という方針になりがちです。

しかし、実際の現場では、**最も多くトラブルが起こるのがこの“枠まわり”**です。ゆがみ、すき間風、雨の吹き込み、気密性の欠如、扉との干渉など、見た目には分かりにくい不具合の多くは、枠の構造や施工精度が根本的な原因になっているのです。

また、枠は建物の構造体や仕上げ材と密接に関わっており、納まりの悪さが仕上げ全体のズレや段差の発生にもつながります。特に後付けやリニューアルの場面では「既存の枠が流用できるのか?」という問題が生じ、これがコストや納期に大きく影響します。

つまり、枠は「黒子」でありながら、建物の快適性・機能性・長期的な運用コストを左右する中核部品なのです。


自動ドアの「枠」とは?どこまでが“枠”なのか

まず基本として、自動ドアにおける「枠(かまち)」とは、ドア開口部のまわりに取り付けられる構造部材のことを指します。通常、以下のような要素で構成されます。

  • たて枠:左右の縦方向の部材。扉の戸車やガイド、ストッパーなどの受け皿になります。
  • 上枠:開口部の上部に取り付ける部材。無目(後述)を含むこともあります。
  • 無目(むめ):開口上部に設置される構造部で、自動ドアの駆動装置(オペレータ)やセンサー類を内蔵する場合が多いです。
  • 方立(ほうだて):扉とフィックス(固定ガラス)などの間に立てる仕切り枠。見た目の連続性を保つ構造部です。
  • 下枠(敷居):ドアの足元、床面との接合部。レールや気密パッキンを支える重要な部分です。

このように、「枠」と一言でいっても、実際には複数の部品が連携して1つの開口部を構成しています。そしてその全体構成が、ドアの性能や安全性、見た目に大きな影響を与えるのです。


なぜ“枠”が問題になる?見落とされがちなトラブル原因とは

「最近、風が強いとドアがガタガタ鳴るんだよね」「すき間風が入って寒い」「ドアがきちんと閉まらない」…このようなトラブル、現場でよく耳にします。驚くべきことに、その多くが「枠」に起因しています。

よくあるトラブル原因とその実態:

  • 施工時の枠の歪み・傾き
    枠の水平・垂直がしっかり確保されていないと、扉がレールから浮いたり、途中で止まったり、異音を発する原因となります。特に木造や軽量鉄骨造の建物では、下地の変形が枠に影響することがあります。
  • 気密性を損なう隙間
    枠と扉の間に生じる微細な隙間が、風の吹き込みや空調ロスの原因になります。特に施設のエントランスなどで、気密が確保されないと快適性や省エネ性能が大きく低下します。
  • レールやパッキンの劣化・ズレ
    枠材に取り付けられたガイドレールやシール材が適切に機能しないことで、扉の走行性や閉まり具合が悪くなります。これらは全て“枠側”の問題であることが多いのです。
  • 壁との取り合いの不備
    特に改修工事では、既設の壁に新しい枠をどう納めるかが重要です。モルタルとの接触部に隙間ができる、納まりが不自然で段差ができるなど、意匠性・機能性に影響する問題が発生します。

これらのトラブルは、扉本体をいくら高性能にしても改善されるものではなく、「枠構造の設計と施工精度」によって決まる部分が大きいのです。


枠と納まり:設計段階で何を押さえるべきか?

自動ドアの「枠」において、設計段階で最も重要な視点の1つが「納まり」です。納まりとは、建築部材同士がどのように接合し、寸法的・構造的・美的に整合しているかを表す建築用語です。

納まりを検討する上での視点:

  • 建築構造体との取り合い
    枠が取り付けられる壁や躯体の材質(鉄筋コンクリート、鉄骨、木造など)によって、固定方法や納まりの工夫が異なります。特に後付けの場合、アンカーや補強プレートの位置が制約されることも多く、構造の理解が不可欠です。
  • 外壁/内壁の仕上げと段差処理
    枠と壁との取り合い部分に段差や凹凸があると、見た目に違和感が生じたり、気密性・防水性が損なわれるリスクがあります。枠厚・見付寸法・仕上げ材の厚みなどを事前に整理しておくことが重要です。
  • オペレータの格納スペース
    上枠(無目)の中にオペレータ(開閉装置)を納める場合、その寸法を確保し、点検口の設計も併せて検討する必要があります。枠内部に収まらない場合は、別途外付けボックスなどが必要になることも。
  • 下枠(敷居)の有無と床の取り合い
    バリアフリー対応で「敷居なし」のフラットな設計を希望するケースもありますが、その場合は風止めや水密性能とのトレードオフをどう取るかが課題になります。

このように、「枠」は建築全体の中でも最も“周囲との連携”が求められる部材であり、構造と意匠、性能の橋渡しをする存在だといえます。


枠材の選び方:どの素材・構造が適しているのか?

自動ドアの「枠」は、ドアの性能や耐久性に直結する部材であるため、その素材選びは非常に重要です。選定にあたっては、立地条件・使用頻度・求める性能によって、素材ごとに向き不向きがあります。

素材特徴向いている用途
アルミ軽量・加工性が高い・腐食しにくい一般的な商業施設・住宅・マンションエントランス
ステンレス高耐久・高耐食・重厚感あり病院・学校・公共施設など頻繁な開閉に耐える場所
スチール高剛性・価格抑制・塗装自由度あり倉庫・工場・防火区画など構造強度が求められる場面
樹脂系複合材軽量・断熱性・意匠性に優れる高断熱ドア・寒冷地の施設・意匠性重視の建築物

素材を選ぶ際は、単なる“見た目”ではなく、どのくらいの荷重や風圧に耐えるか/腐食や変形がどれだけ起こりにくいか/取り付ける場所の気象条件に適しているかといった観点が求められます。


後付け・改修時の「枠問題」とその対処法は?

既存の建物に自動ドアを後付けする際、最もネックになるのが「枠」です。元々手動ドアや片開き扉だった場所に自動ドアを設置する場合、その開口寸法や納まりが適合しないケースが多々あります。

後付けの課題と対処方法:

  1. 既設枠の再利用可否
    一部のケースでは既設の枠を流用できますが、強度不足や寸法不適合で新たに補強枠を設置する必要が出ることもあります。特にアルミ枠は後年に変形している場合もあるため、事前調査が重要です。
  2. 補強・増設の工夫
    既存壁の構造に合わせて、アルミアングルなどで補強を施し、そこに新たな枠を設置する方法が一般的です。下地調整材やシーリング処理も丁寧に行う必要があります。
  3. パッキンやシール材の追加
    既存開口と新設枠の間に生じるすき間を埋めるために、気密パッキンやスポンジゴムなどを使用します。これにより、簡易的ながら風・雨・音の侵入を軽減できます。
  4. 下枠の段差処理
    フラットフロアへの対応として、埋込レールや極薄レールを採用する方法もありますが、既存床材との兼ね合いで注意が必要です。

後付けは「機種選定」だけでなく、「枠と納まりをどう調整するか」が成否を大きく左右します。施工業者としっかり打ち合わせを行い、事前の現場調査を丁寧に行うことがトラブル回避の鍵です。


枠がいらない?荷重式自動ドアという“そもそも論”から考える選択肢

ここまで枠の重要性をお伝えしてきましたが、そもそも**「枠がいらない構造」という選択肢もある**ことをご存じでしょうか?それが、Newtonドアに代表される「荷重式自動ドア」です。

荷重式自動ドアの特徴:

  • 無目が不要:扉本体に重さをかけて開閉する構造のため、開口上部に機構部を設置する必要がなく、無目がいりません。
  • 敷居も不要:下部ガイドを必要としないため、バリアフリー対応がスムーズにできます。
  • 取り付けが簡易:躯体への大掛かりな加工が不要で、既存建物にも対応しやすい。
  • 見た目がすっきり:枠材が露出しにくく、建築との一体感が得やすい。
比較項目吊り式自動ドア(従来)荷重式自動ドア(Newtonドア)
枠構造無目・方立・敷居が基本構成無目・敷居が不要、枠簡素化可能
施工難易度躯体補強や精密な納まりが必要軽量で下地制約が少ない
点検・保守上部点検口が必要扉側からのアクセスが可能
適応性主に新築または特注対応改修・後付けにも柔軟に対応可能

つまり、「枠にこだわる」のではなく、「枠に縛られない」という選択肢も存在します。


よくある質問と専門的な視点からのQ&A

Q: 無目と上枠の違いは?
A: 上枠は開口部の一番上に取り付けられる部材全体を指し、無目はその中でも特に「機構部(オペレータ)」を格納するためのスペース・構造のことを言います。

Q: 屋外で風が強い場所、枠で対策できる?
A: 可能です。気密パッキン・方立の強化・下枠の工夫により、ある程度まで風の侵入は制御できます。ただし、荷重式のような“扉自体が密着する構造”の方が、構造的に有利です。

Q: 敷居なしの自動ドアにしたいけど、枠はどうなる?
A: 敷居がない分、扉の振れ止めや気密性をどう確保するかが課題になります。吊り式では特殊パーツが必要になる場合がありますが、荷重式はそもそも敷居不要で成立します。

Q: 後付けできる枠とは?
A: 軽量なアルミ製の補強枠や、既存壁に合わせてカスタマイズできるアングル材が用いられます。ただし、現場調査と取り合い確認は必須です。

Q: 荷重式でも枠って必要?
A: 最小限の設置面(壁面固定部など)は必要ですが、従来の「囲む枠構造」とは異なり、施工性・意匠性において大きな自由度があります。


【適ドア適所】にそった「まとめ」

「自動ドアの枠」は目立たない存在ですが、実は建物全体の快適性・性能・運用コストに直結する極めて重要な要素です。構造体としての役割、気密・防水の性能を支える基盤、さらには施工の精度やメンテナンス性までも左右する“縁の下の力持ち”。

設計段階で枠をどう設計するか、改修時に枠をどう処理するか。この判断1つで、将来的なトラブルが防げるかどうかが決まります。

そしてもう一歩踏み込むなら、そもそも「枠に悩まなくていい構造」で設計を完了させるという選択肢――それが荷重式自動ドアという新しい発想です。

自動ドア選定において、「適ドア適所」という視点を持つことで、より快適で長持ちする空間設計が可能になります。あなたの建物にとって、今、最適なドアとは何か?その問いに、枠の視点からも一度立ち返ってみてください。

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【荷重式自動ドア】NewtonドアのYoutubeチャンネルはこちらから→https://www.youtube.com/@newton_plus

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