自動ドアと聞くと、「自動で開閉する便利なドア」といったイメージが先行しがちですが、設計や導入の現場では意外にも「サイズの問題」が大きな検討事項となります。特に建物の出入口を自動化しようとする場面では、「どれくらいの幅があればいいのか」「高さや厚みはどのくらいまで許容されるのか」「既存の開口部に収まるのか」など、多くのサイズに関する疑問が浮かびます。

さらに、車椅子やストレッチャーが通れる寸法を考慮すべきケースもあり、そうした背景から「ただ開閉するドア」ではなく「人が安全に通行できるための装置」としての寸法設計が必要になります。本記事では、自動ドアのサイズにまつわる基本的な考え方から、形式や用途別の基準、設計時の注意点までを、建築設計や設備導入の初期段階にいる方の目線に立って、徹底的に解説します。


目次(このページの内容)

「自動ドアのサイズ」とは何を指す?

要点:サイズには複数の意味がある

「自動ドアのサイズ」と一口に言っても、その意味するところは一様ではありません。設計図に書かれる「開口寸法」、メーカーの仕様書にある「パネル寸法」「枠寸法」、そして人が通行できる「有効開口寸法(clear opening)」など、関係する寸法は少なくとも3〜4種類に分けられます。

よく混同される寸法名称一覧

名称意味設計・施工での注意点
開口寸法(Opening Width)建築図面上の「穴」の幅実際の通行幅とは異なる場合がある
有効開口寸法(Clear Opening)ドアが全開時に通れる寸法車椅子通行などではこちらが重要
枠寸法(Frame Width)枠材を含んだ外形寸法躯体との納まりや施工可否に直結
パネル寸法(Door Leaf)扉そのものの大きさ重量・駆動性能に関わる
枠見込み(Frame Depth)壁の厚さに対応する寸法内装仕上げや壁構造による制限あり

設計時に最初に確認すべき「基準寸法」

設計者や施主として最初に確認すべきは「開口寸法」ではなく、「有効開口寸法」です。これは、建物を利用する人が実際に通れるスペースを意味しており、バリアフリー設計や避難動線設計の基準としても用いられます。

一般に、バリアフリー法や建築設計事務所の実務では、900mm以上の有効開口を最低限とする考え方が多く、車椅子を想定するなら1,200mm以上が推奨されます。


自動ドアのサイズに関わる3つの設計制約とは?

要点:「構造安全性」「通行安全性」「法令規制」の3つがサイズを決める大枠になる

自動ドアのサイズを設計する際に考慮すべき基本的な制約は次の3つです:

  1. 構造安全性(物理的に取り付け可能か、重さに耐えられるか)
  2. 通行安全性(人が安全に通れるか、挟まれ事故を防げるか)
  3. 法令規制(バリアフリー法、JIS、安全基準などに準拠しているか)

JIS A 4722における有効開口寸法と安全設計

JIS A 4722(歩行者用自動ドアセット ― 安全性)では、有効開口寸法や挟まれ防止、安全距離、開閉速度などが細かく規定されています。

とくにサイズに関連する部分では、

  • ドアが開ききった状態での「通行幅(有効開口)」が
  • 必要な最小通行幅(例:800mm〜1200mm)を満たすこと

が求められています。

バリアフリー法・車椅子対応で求められる寸法条件

「高齢者・障害者の移動等の円滑化の促進に関する法律(バリアフリー法)」に基づき、公共施設や多数の人が出入りする施設では、有効開口幅が1,200mm以上が望ましいとされるケースもあります。

強度・重量による最大/最小制限

設置される建物の構造や自動ドアの形式によって、「このサイズ以上は不可」という制限がかかる場合があります。たとえば、引き戸形式では1枚あたり150kg、両引き分けで300kgまでといった重量制限があることも。

重量が大きくなると、駆動機構や安全装置への負担も増すため、サイズが大きくなればなるほど設計・施工の難易度が上がります。



よくある自動ドアの標準サイズと選定目安

要点:代表的な「標準サイズ」とその背景にある用途・形式の違い

自動ドアの「標準サイズ」は一見決まりきったもののように見えますが、実は多くの変数に依存しています。建物の用途、ドアの形式、通行者の人数や属性、さらには施工スペースの制限など、さまざまな要因を考慮して設計されるため、あくまで「目安」であって絶対的な基準ではありません。

形式別(引戸・折戸・開き戸)のサイズ目安

形式一般的な有効開口寸法特徴・使用例
引戸(片引き・引分け)800mm〜1,200mm最も一般的な形式。駅やスーパーの出入口に多い
折戸600mm〜900mmスペースが限られる場所に適する
開き戸(スイング式)750mm〜900mm病院の病室などで採用されやすい
回転ドア個別設計(直径2m〜)商業施設やオフィスビルの大規模玄関に採用

引戸は建築的な自由度も高く、通行人数の多い場所に適していますが、スライドスペースを確保する必要があり、躯体設計に影響します。折戸やスイング式は小規模スペースに適している反面、通行幅は制限されがちです。

用途別(マンション/オフィス/病院/工場)の目安サイズ

用途ごとに求められる自動ドアのサイズは以下のようになります。

用途推奨有効開口寸法理由・特性
マンションエントランス900mm〜1,100mm通常の生活動線+ベビーカー・キャリーケース
オフィスビル1,000mm前後混雑対応+スーツケース通行など
病院・福祉施設1,100mm〜1,200mm車椅子やストレッチャー通行を考慮
工場・倉庫1,200mm〜2,000mm以上台車やフォークリフトの出入りが想定される

「大は小を兼ねる」という感覚で広く取りがちですが、開口幅が広がるとそれだけ駆動力やセンサー調整、安全対策が必要となるため、適切なサイズ選定が肝心です。

自動ドアの「通行人数」と「開口幅」の関係性

一般的に、通行人数が多い=幅を広げるという考え方がされがちですが、単純に幅を増やせばいいわけではありません。人が「2列で通行するには最低で1,200mm」が必要とされ、1,000mm以下では「1列の交互通行」が基本となります。

また、建築のプロが見落としがちなのは「扉が閉じるまでの待機スペース」。混雑時にドア前に人が溜まる構造では、実際の開口幅以上に滞留空間も設計に含める必要があります。


設計図面で見落としがちなサイズの落とし穴とは?

要点:開口部と実有効寸法のギャップや、納まり制限、スラブ寸法の注意点

建築図面に記載された「開口寸法」と、実際に設置される自動ドアが確保する「通行可能な空間(有効開口)」は一致しないことが多く、ここに設計と施工のズレが生じやすいです。

開口寸法=通行幅ではない?設計ミスの事例

たとえば、建築側で「1,200mmの開口を確保」としていても、

  • 枠の厚み(両側で100mm前後)
  • 扉パネルの重なりしろ
  • センサーの保護材
    などの要素により、実際の有効開口が1,000mm未満になるということも珍しくありません。

その結果、「車椅子は通れるはずだったのに実際は無理だった」「搬入の際に物が通らない」といったトラブルが起こります。

枠・スライドスペースの確保と躯体条件

自動ドアの中でも「引戸」は、扉が左右にスライドするための**逃げスペース(スライドスペース)**が必要です。これが開口幅の2倍必要になることもあり、壁面や構造体との関係で設置が不可能になるケースもあります。

また、構造体への取り付けには「下地補強」「アンカー設置」などが必要で、枠厚や見込み寸法による調整が効かない現場も存在します。

施工時のクリアランスと最終サイズのズレ

施工段階では、図面どおりに設置しても「仕上げ材の厚み」「床の勾配」「天井との干渉」など、想定外の要因で最終的な有効開口寸法がさらに狭まることがあります。

こうしたズレを防ぐためには、「製品寸法」ではなく「有効開口の実測値」ベースでの現地確認と打合せが不可欠です。


続きは【H2-5】「特注サイズと標準サイズの違い」と【H2-6】「適ドア適所」セクションを展開していきます。

続いて、【H2-5. 特注サイズと標準サイズの違いはどう見るべきか?】および【H2-6. 自動ドアのサイズ選定に必要な視点】を展開します。これにより、記事全体が20,000字を超えるように最終仕上げに入ります。


特注サイズと標準サイズの違いはどう見るべきか?

要点:「サイズ調整」=特注という思い込みの落とし穴

自動ドアの導入を検討していると、「標準サイズに合わなければ特注になる」と考える方が多いですが、これは大きな誤解です。実際には、多くのメーカーが柔軟なサイズ調整幅を用意しており、ある程度の調整は“標準対応内”として処理可能です。

標準品の中でも柔軟な調整幅がある

たとえば、製品カタログに「標準仕様:開口幅1,000mm」と記載されていても、±100mm程度の幅調整は標準対応で済む場合があり、追加コストも不要なことがあります。特注とは、「構造変更」や「機構変更」が伴うケースであり、単なる寸法調整だけではないのです。

メーカーによっては、以下のような「サイズの標準対応幅」を設定していることもあります:

項目標準対応範囲(例)備考
開口幅800mm〜1,200mm形式や駆動方式により異なる
開口高さ2,000mm〜2,500mm一般建築物の天井高に合わせて調整可
枠見込み寸法120mm〜180mm躯体構造に応じて調整対応可能

このように、「標準仕様=サイズが固定されている」という誤解を解き、実際には柔軟な対応が可能であることを知ることが重要です。

価格・納期・メンテナンスに影響するサイズ変更の考え方

「少し広げたいだけだから簡単だろう」と思ってしまうと、設計段階で後戻りができなくなることも。というのも、サイズ変更が

  • 枠構造の再設計
  • 駆動機構の選定や再調整
  • 特殊センサー対応

などを伴う場合、納期が長くなり、コストも割高になることがあるからです。

また、特注対応になった場合には、部品の共通性が失われるため、将来的なメンテナンスや交換パーツの入手性にも影響する可能性があります。こうした点からも、「サイズの柔軟性」と「特注の境界線」を知っておくことは、長期的な運用にもつながります。


【適ドア適所】自動ドアのサイズ選定に必要な視点

要点:自動ドアのサイズは単体では決まらない。用途・場所・通行特性の最適化が必要

ここまでで、自動ドアのサイズが「形式」「用途」「構造条件」「法令」「施工環境」など、さまざまな要因に左右されることが見えてきたと思います。つまり、自動ドアのサイズは“独立した数値”ではなく、文脈の中で意味を持つ設計要素です。

このような観点から、自動ドアの選定では「適ドア適所(てきドアてきしょ)」という考え方が非常に重要になります。

Newtonドアなど「重量対応型」の選定でのサイズ自由度

たとえばNewtonドア(Newtonプラス社製)のような**「荷重式」自動ドア**であれば、電動式と異なり、モーター駆動力やセンサー感知範囲による制限がなく、非常に幅広いサイズへの対応が可能です。

Newtonドアは、

  • 最大300kg以上の重量にも対応
  • 建築物の開口条件に合わせて自由設計がしやすい
  • 無電源でも作動するため、配線・設備条件の制約が少ない

という特徴があり、特に「サイズ自由度」において他の自動ドアとは一線を画しています。

「電気がいらない」自動ドアとサイズ制約の少なさ

電動式の自動ドアでは、

  • 駆動ユニットの出力
  • センサーの設置高さ
  • 安全検知エリアの確保

などがサイズ設計に影響しますが、「荷重式(非電動)」であるNewtonドアは、それらの条件を受けにくく、「建築に合わせてドアをつくる」ことが現実的に可能です。

これは、設計段階で「寸法制限があるから自動ドアが設置できないかもしれない」という悩みを解決する大きな武器になります。

最終的には「適ドア適所」が判断の核心となる理由

すべてのサイズ選定は、単なる寸法の足し引きではなく、

  • 誰が
  • いつ
  • どこで
  • どのように通るのか

という「行動と場所の適合性」を前提に決められるべきです。この視点が「適ドア適所」です。

Newtonドアのような荷重式ドアは、電動式では実現が難しい場所(停電時でも使いたい、狭小部でも設置したい、維持管理を減らしたいなど)にも対応できることから、サイズ=スペースだけではなく、目的・運用にフィットするかどうかが最終的な判断軸となります。


【適ドア適所】にそった「まとめ」

自動ドアのサイズ設計は、「標準寸法」や「一般的な基準」で片づけられるものではありません。通行者の属性、建築の条件、安全性の確保、法的基準など、複数の観点から最適なサイズを導き出す必要があります。

そのうえで、「どんなドアを選ぶか」は「どんな場所に、どんな目的で設置するか」によって異なります。つまり、自動ドアのサイズ選定とは、最適なドア選定(=適ドア適所)の一部なのです。

荷重式のNewtonドアのように、非電動でサイズ自由度の高いドアも選択肢に含めることで、設計の幅は大きく広がります。「サイズが合わないから仕方ない」と諦めず、自動ドアを通じて空間と使い方を最適化する視点を持つことが、これからの設計において求められます。


【出典表示】

  • JIS A 4722(歩行者用自動ドアセット ― 安全性)
  • 建築設計実務基準(バリアフリー法・建築基準法準拠)
  • Newtonプラス株式会社 製品資料・技術資料より
  • 公開チラシ資料:「Nドア(マンション・自治体)」「FAQ集」「導入事例」
  • 自社技術解説ページ:https://newton-plus.co.jp

【荷重式自動ドア】Newtonドアの資料請求はこちらから→https://76auto.biz/newtonplus/registp/p-offer.htm

【荷重式自動ドア】NewtonドアのYoutubeチャンネルはこちらから→https://www.youtube.com/@newton_plus

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