目次(このページの内容)
自動ドアの制御構成とは何か?
自動ドアというと、センサーで人を検知して「勝手に開く装置」として広く認知されています。ですが、その動作の裏には、きわめてシンプルかつ精密な「制御の設計構成」が存在しています。この記事では、構成の全体像を「フローチャート」という形で視覚化しながら、初心者の方でもわかるよう丁寧に解説していきます。
要点:制御構成は3つの要素で成り立つ
自動ドアの制御構成は、大きく3つの要素に分解できます。
- センサー部:人や物体を検知する
- 制御部:センサーの信号をもとに動作を判断する
- 駆動部:ドア本体を物理的に動かす
これらは、ただ順番に動いているわけではありません。それぞれが緊密に連携し、「状況に応じて最適な動作を実現する」という、非常にロジカルなフローで設計されています。では、具体的にどうつながっているのかを、次のセクションで図解してみましょう。
電動式自動ドアの制御フローチャート【標準タイプ】
ここでは最も一般的な「電動式自動ドア」の制御フローを、図解形式で整理していきます。駅やビル、コンビニなど多くの施設で使われているタイプで、「センサーで人を検知 → モーターで開閉する」流れが基本です。
要点:制御フローの全体像を視覚化する
まずは、以下のようなフローチャートで基本構成を整理しましょう:
制御フローチャート(簡略版)
START
↓
【初期化処理】
- センサー起動
- 制御パラメータ設定
- 駆動部チェック
↓
【人の検知】
- 赤外線 or モーションセンサー
- 一定範囲に人を検知したら次へ
↓
【通行意図の判定】
- 滞在時間、動線、方向などから判定
↓
【開ドア指令】
- 制御回路から駆動部へ信号送出
↓
【ドア開動作】
- モーター駆動(速度制御あり)
- 開度センサーによる制御
↓
【開状態維持】
- タイマー or センサーで監視
↓
【障害物チェック】
- 安全センサーが遮蔽物を検知するか
↓
【閉ドア指令】
- 条件を満たすと閉じ動作へ
↓
【ドア閉動作】
- 同様に速度制御、異常検知あり
↓
LOOP(再び検知へ)
ステップ別の設計ポイント
初期化処理:
起動時には、各ユニットが正常に機能するかチェックされます。特に安全センサーや駆動部(モーター)の応答確認は、安全運用のために必須です。
検知と意図判定:
ただ人が来たから開けるのではなく、「通行しようとしているか」の判定ロジックが設けられています。これにより、無駄な開閉を減らし省エネにも貢献します。
開閉動作:
駆動部のモーターは、速度や停止位置を制御できる制御器(インバータ制御など)を介して滑らかに動作します。開きすぎ・閉じすぎを防ぐために、センサーやリミットスイッチによる位置検出も行われます。
安全対策:
閉じる途中で人や物を検知した場合、自動的に開き直したり、停止したりする「フェイルセーフ機構」が搭載されています。
荷重式(Nドア)の制御構成はどう違う?【非電源式】
ここでは、Newtonドアに代表される荷重式自動ドアの制御構成を取り上げます。最大の特徴は、電源を使わず、人の荷重だけで開閉が制御される点にあります。これは電動式とはまったく異なるフローで動作しており、仕組みそのものを知ることが「適ドア適所」の理解につながります。
要点:センサーではなく「人の重さ」がトリガーになる
荷重式では、床面やステップに設けられた荷重センサー(機械式スイッチ)がトリガーとなり、内部の油圧ダンパーとリンク機構によって、ドアがスムーズにスライドします。
荷重式の制御フロー(簡略図)
START
↓
【初期状態】
- ドアは閉状態で待機
↓
【人がステップに乗る】
- 荷重センサーが重さを検知
↓
【リンク機構が作動】
- 荷重がトリガーとなり、油圧シリンダーに圧がかかる
↓
【ドアが開く】
- 重さによる力で開放される(電動なし)
↓
【通過】
- 荷重が消える(ステップから離れる)
↓
【ドアが閉じる】
- 油圧制御により緩やかに閉鎖
↓
LOOP(次の通行へ)
比較表:電動式 vs 荷重式
| 項目 | 電動式自動ドア | 荷重式自動ドア(Newtonドア) |
|---|---|---|
| センサー | 赤外線/モーションなど | 荷重スイッチ(機械式) |
| 制御部 | 電子回路/PLC等 | リンク機構+油圧制御 |
| 駆動部 | モーター駆動 | 人の荷重+油圧バランス |
| 電源 | 必須 | 不要(完全非電源) |
| 安全機構 | センサー再検知・非常停止 | 開閉速度制限/衝撃低減構造 |
| 想定用途 | ビル・商業施設・公共交通 | 高齢者施設・停電時でも安全性が必要な場 |
注意点
荷重式は、「開くための意思」が必要であり、ドアの前に立っただけでは開きません。逆にこれが「勝手に開かない」「通行者が意図を持って通る」安全性につながるため、設置環境によっては非常に大きなメリットとなります。
よくある誤解と「センサーだけで制御している」わけではない理由
自動ドアの制御に関する話になると、よく耳にするのが「センサーで動いてるんでしょ?」「センサーが壊れたら開かないんでしょ?」という、“センサー至上主義”とも言える誤解です。
しかし実際には、センサーはあくまで「動作のきっかけ」を与えるに過ぎず、ドアの開閉を安全かつスムーズに実行するには、その後ろで動いている制御部と駆動部のロジックが肝心です。
要点:センサーは単なる入力機器、制御は判断の連続
たとえば、電動式自動ドアの場合:
- センサーが人を検知しても、「その人が通るつもりか」「ただ近くに立っているだけか」は判断が必要
- 開けた後も、閉めてよいかどうかは「通過済みか」「まだ中に人がいるか」を制御部で判定
- 閉じる途中で何かを検知すれば、「再び開く」などの例外処理が走る
つまり、センサーは信号を発するだけであり、「その信号をどう扱うか」が制御フロー設計の本質なのです。
荷重式においても「センサー=トリガー」は変わらない
荷重式自動ドアでも、「ステップに荷重がかかった」という物理信号をトリガーに、リンク機構や油圧ダンパーが作動します。つまりこちらもセンサー自体がドアを動かしているわけではありません。
むしろ、荷重式では**力の流れ(人の動作 → リンク → 油圧 → ドア開閉)そのものが“制御”**であるため、「判断」というステップはシンプルですが、極めて論理的に設計されています。
まとめ:制御とは「入力に応じた出力の選択と調整」
制御フローを設計するとは、センサーやトリガーを受け取った後に
- どう判断するか(開くか開かないか)
- どう動作させるか(速く動かすか、ゆっくりか)
- どう守るか(安全を確保するか)
を設計することにほかなりません。
この視点を持つことで、「ただセンサーを並べるだけでは足りない」ということが、はっきりと理解できるはずです。
設計者が押さえるべき「フローチャートのポイント」と安全制御の考え方
ここでは、自動ドアの制御フローチャートを実際に設計する際に特に重要な視点を整理しておきます。とくに「安全性」と「誤動作防止」は、自動ドア設計において決して見落としてはならない要素です。
要点:「もしも」の想定が制御品質を決める
自動ドアは「動くこと」よりも「止まること」「開かないこと」に対して不満や危険が生じます。
したがって、以下のような「例外系」をフローチャートの中で明示的に設計することが必須です。
フローチャート設計時の注視ポイント
1. 「入力が来ない場合」どうするか?
- センサーの信号が来ない=検出エラー、機器故障の可能性
- 初期化時に「自動テスト」フェーズを設けると◎
2. 「動作中に異常が起きた場合」どうするか?
- モーター温度上昇/負荷オーバー/開閉時間が長すぎる
- タイムアウト処理やリトライ機能の実装
3. 「閉じる途中で人が入った場合」どうするか?
- 安全センサーの再検知で即時開動作へ切替
- 荷重式の場合でも、「再荷重」が発生したら閉鎖速度を再調整
4. 「停電時」の動作は?
- 電動式ではUPS対応や手動解放機構が必要
- 荷重式では、非電源ゆえに動作継続性が確保される=構成上の強み
設計ノート:実際の事故・不具合事例から
| 事例 | 問題の原因 | 対処の視点 |
|---|---|---|
| ドアが勝手に開閉を繰り返す | 検知範囲内の物体(植木・荷物) | 「意図判定」ロジックを入れる |
| 高齢者が通過中にドアが閉まる | 開維持時間が短すぎた | 動線追跡センサー、速度制御 |
| 停電で完全停止し、避難できず | 電源喪失で制御不能 | 荷重式を併用する設計へ |
技術だけではない「制御設計者の責任」
制御フローの設計は、単にプログラムを書くことでも、配線を引くことでもありません。
それは、「人が安心して通れるための動線を設計すること」です。
特に高齢者施設や医療施設、非常時の避難動線としての活用が求められる環境では、
一つのフローチャートが命を守る設計に直結するという自覚が重要です。
適ドア適所の視点でみる「どの制御構成が、どんな用途に向くか?」
ここまでで、自動ドアの制御構成には「電動式」と「荷重式(非電源式)」という2つの主な方式があることを見てきました。では、それらをどのように使い分けるべきなのでしょうか?
ここでは、「適ドア適所」という視点で、それぞれの制御構成がどんな環境・目的に最適かを整理します。
要点:「どこでも電動」「最新がベスト」という考え方は古い
現代の自動ドア設計では、単に機能が多いもの・自動化度が高いものを選ぶのではなく、
- 利用者の属性(高齢者・子ども・車椅子利用者)
- 施設の目的(医療・住宅・避難所)
- 電源の信頼性(災害時の稼働性)
- 安全性の設計レベル(誤作動・誤認識の許容度)
といった多面的な条件をもとに「最適な制御構成」を選ぶ判断が必要です。
用途別の適合性マトリクス
| 利用環境 | 推奨制御構成 | 理由・補足 |
|---|---|---|
| 医療施設・検査室 | 電動式(高制御) | 無接触・静音・精密制御が必要 |
| 老人ホーム・福祉施設 | 荷重式(Newtonドア) | 意図しない開閉を防ぎ、安全性高い |
| 公共施設・避難所 | 荷重式+電動式併用 | 停電時に備えた冗長性が重要 |
| 一般住宅(玄関) | 荷重式 | 小規模で電源不要、安全性重視 |
| 商業施設・駅・空港 | 電動式(センサー高速応答) | 多人数・流動性重視 |
判断の軸:自動ドアの選定に必要な5つの視点
- 通行者の「意図」をどう検出するか?
→ モーションセンサー vs 荷重の直接検知 - 安全性をどう確保するか?
→ 多重センサー vs シンプルな構造と遅延設計 - 停電・故障時にどう動くか?
→ 電源必須 or 非電源でも開閉可能 - メンテナンスと寿命はどうか?
→ モーター・基板交換 vs 機械的耐久性 - 導入コストと運用コストのバランス
→ 電動制御の工事・電気代 vs 初期コストの抑制
まとめ:時代は「適ドア適所」へ
今、自動ドアに求められているのは「すべてをオートメーションにすること」ではなく、
その場所・人・目的に合わせて、最適な制御構成を選ぶという思想です。
Newtonドアのような「人の動きだけで制御する自動ドア」は、その代表的な存在であり、
あえて電気に頼らず、あえてシンプルにすることで、
より豊かな安全性と、非常時の安心を実現する手段なのです。
【適ドア適所】にそった「まとめ」
本記事の学びまとめ
- 自動ドアの制御フローチャートは、「センサー → 制御部 → 駆動部」という基本構成により動作する
- 電動式自動ドアでは、センサーで人を検知し、PLCや回路が判断してモーターを動かす構成が主流
- 一方、**荷重式(Newtonドア)**では、人の重さを直接トリガーとして、油圧とリンク機構で物理的に開閉を実現する
- センサーはあくまで「きっかけ」にすぎず、本質は制御部が「どう判断し、どう動かすか」
- 制御フロー設計では、「もしも」に備えた安全制御・例外処理を入れ込むことが不可欠
- 「適ドア適所」の視点からは、利用者・環境・電源の信頼性に応じて、最適な制御構成を選ぶ必要がある
設計・導入を考えている方へ
本記事が、自動ドアの制御フローを“図とステップ”で理解する一助になれば幸いです。
制御設計は、単なる技術の話ではなく、人の安全と快適をデザインする仕事です。
ぜひ、導入前の仕様検討・比較選定の材料としてご活用ください。
出典・参考資料
- Newtonドア(Newtonプラス社):https://newton-plus.co.jp
- NドアFAQ・導入事例・公式チラシ資料(本記事ファイル参照)
- 一般的なPLC制御/センサー制御に関する工学文献
- 各種自動ドアメーカー技術資料(安全制御構成・制御ロジック図 など)
【荷重式自動ドア】Newtonドアの資料請求はこちらから→https://76auto.biz/newtonplus/registp/p-offer.htm
【荷重式自動ドア】NewtonドアのYoutubeチャンネルはこちらから→https://www.youtube.com/@newton_plus