自動ドアの導入や設計を検討する際、「この自動ドアって、どのくらいの“容量”が必要なの?」という疑問に直面する方は少なくありません。けれど、この“容量”という言葉、実はとてもあいまいです。
たとえば、「電気容量」のことを指している場合もあれば、「扉の重さ(に対応できるモーター性能)」のことを指すこともあります。また、メーカーや現場によってその表現が異なるため、カタログを見比べても分かりづらいという声も多く聞かれます。
本記事では、そんな「容量って何?」という基本的な疑問に対して、電源設計・装置能力・導入後の安全性までを一つずつ解きほぐしながら、容量選定で失敗しないための視点を徹底的に解説していきます。
読み進めることで、「自分の建物・用途に必要な容量が明確になった」「実は電源に縛られない選択肢もあった」と新しい気づきも得られるはずです。
目次(このページの内容)
「容量」って具体的に何を指すの?——電気・動力・扉の重さの違いを整理する
要点:
「自動ドアの容量」と一口に言っても、その中身は3つの異なる意味を持っています。
- 電気容量(電源・ブレーカー設計)
- 駆動容量(モーターの出力・動力性能)
- 扉対応容量(最大扉重量やサイズ)
用語の混乱ポイントを整理しよう
自動ドアの仕様書やカタログに登場する「容量」という言葉。これが混乱のもとになります。
例を挙げると:
- 「電源容量:AC100V/1.2A」
- 「消費電力:70W」
- 「対応質量:片引き100kgまで」
- 「定格出力:90W」
一見すると全部「容量」っぽく見えますが、それぞれ意味が違います。
| 表記 | 意味 | 関連する設計要素 |
|---|---|---|
| 電源容量(AC〇V/〇A) | 使用する電圧と電流。電気工事に関係。 | ブレーカー・電源計画 |
| 消費電力(W) | 実際の使用電力。電気代やUPS容量の計算に必要。 | 消費電力量計算 |
| 定格出力(W) | モーターの性能。どのくらいの負荷に耐えられるか。 | 駆動能力 |
| 対応質量(kg) | 扉の重さへの対応力。超えると動作不良に。 | 扉材・寸法設計 |
メーカーによって表記がバラバラ?
実際に複数のカタログを見ると、あるメーカーは「定格電流」を強調し、別のメーカーは「最大開閉重量」を前面に出していたりと、比較が難しいことが多いです。
特に施工業者でない一般ユーザーが「この容量ってどう判断すればいいの?」と困るのは当然とも言えます。
このあと、各“容量”について具体的に何を意味し、どこに注意すればいいのかを、より詳しく説明していきます。
電気容量(消費電力・電源・ブレーカー)で見るべきポイントは?
要点:
自動ドアの「電気容量」とは、主にどのくらいの電力を必要とするかという意味で使われます。これは、建物の電源工事の設計や、非常用電源の計画に深く関係してきます。
どのくらいの電気が必要なの?
家庭用の電化製品と同様に、自動ドアもモーターや制御装置を動かすために電気を使います。
以下のようなスペック表記をよく見かけます。
- 電源:AC100V 50/60Hz
- 消費電力:70W
- 定格電流:1.2A
この「1.2A」というのが重要です。
電流(A)が大きくなるほど、太い電線や大きなブレーカーが必要になります。小規模な建物では、複数の設備で電源を共有していることも多いため、「1Aでもバカにならない」という現場もあります。
電源電圧:100Vと200Vの違い
自動ドアの多くはAC100Vで動作しますが、大型施設や業務用のモデルではAC200Vの仕様もあります。
| 電圧 | 特徴 | 適した用途 |
|---|---|---|
| AC100V | 一般的な建物で使用可能/家庭用電源対応 | 戸建て住宅/小型店舗 |
| AC200V | 高出力対応/専用電源が必要 | 商業施設/ビル/工場 |
200Vになると電気工事が必要になるため、設計段階での確認が不可欠です。
非常用電源(UPS・バッテリー)との関係
医療施設や公共施設では、停電時でもドアが開閉できるよう非常用電源(UPSや自家発電)への対応が求められます。
その際に必要なのが「消費電力(W)」と「定格電流(A)」の情報です。
たとえば、消費電力が70Wの自動ドアを、30分動かすためには:
70W × 0.5時間 = 35Wh
というように、バッテリー容量を計算します。
こういった電源計算のためにも、「容量」の数値を正しく理解することが重要です。
注意点:常時通電の有無も確認を
センサーや制御装置が常時通電しているタイプの場合、ブレーカーをOFFにするとドアが誤作動することがあります。保守時や点検時の対応も含めて、電源周りの仕様を事前に確認しておく必要があります。
扉の重さや大きさに応じた「駆動容量」の考え方とは?
要点:
駆動容量とは、自動ドアオペレーター(モーター)が対応できる扉の重さやサイズの上限を指します。これを超えると、故障や誤作動のリスクが高まります。
駆動装置が対応できる「質量の上限」
自動ドアの仕様書には、よくこんな記載があります:
- 対応扉重量(片引き):〜100kg
- 対応扉重量(両引き):〜200kg
- 最大開閉幅:1,200mm
- 開閉速度:0.5m/s
これらはすべて、駆動装置の能力=駆動容量の目安です。
たとえば100kgまで対応の機種に120kgのガラス扉をつけた場合、最初は動いても長期的にはモーターに負担がかかり、過負荷停止や故障の原因になります。
なぜ質量が問題になるのか?
扉の重量が大きくなると、モーターが開閉時に必要とするトルク(回転力)も増加します。これは車で言えば、「急な坂道を重い荷物を載せて登る」ようなもの。
その負荷が毎日何百回も繰り返されることで、以下のような問題が起きます:
- 開閉速度の低下
- 開ききらない、閉まりきらない
- モーターが異音を出す
- ヒューズ切れ・異常停止
開口部のサイズも影響する
実は、扉の重量だけでなく横幅の広さ=スライド量も、駆動装置にとっては大きな負荷になります。
開口幅が広ければ、その分モーターの稼働時間も長くなり、動作中の負荷が蓄積します。とくに風が吹き込む場所や、建物の気密性が低い場所では「風圧抵抗」も加わり、さらに負荷が高まります。
モーター出力の選び方と注意点
一般的な目安として:
| 扉重量 | 推奨モーター出力 | 使用例 |
|---|---|---|
| 〜50kg | 50W前後 | 住宅玄関/軽量扉 |
| 〜100kg | 90W〜100W | 店舗入口/標準的な自動ドア |
| 〜200kg以上 | 150W〜200W | 商業施設/強化ガラス扉 |
ポイントは、「余裕を持った出力を選ぶ」こと。
建物の将来的な変更(扉の材質変更や大型化)も見越して、定格ギリギリではなく+αの余裕を持たせて選定することが重要です。
動作回数による熱や劣化も影響
オフィスビルや病院などで、自動ドアが1日に何百回と開閉する場合、熱によるモーター劣化も加速します。
→「回数が多い=重さを支える時間が増える」ため、耐久性の面でも駆動容量に余裕が必要です。
「容量オーバー」が起きると何が起こる?現場でのトラブル事例
要点:
自動ドアの「容量」を超える設計・仕様で導入すると、性能劣化や誤作動、事故のリスクに直結します。現場で実際に起こったトラブル事例から、容量の重要性を再認識しましょう。
ケース1:扉をガラス製に変更した結果、モーターが悲鳴
ある商業施設では、木製の扉からおしゃれな強化ガラス扉に変更したところ、見た目はスタイリッシュになりましたが…
1ヶ月後、開閉動作が遅くなり始め、最終的にはモーターが異常音を発し停止。
原因は、元々設置されていた自動ドアの駆動容量(片引き80kg)に対し、新しいガラス扉が95kg超。わずか10kgの差でも、繰り返される開閉動作でモーターは過負荷状態になっていたのです。
ケース2:電源工事を簡略化 → ブレーカーが頻繁に落ちる
ある小規模オフィスでは、コスト削減のため、もともとある100V電源ラインを流用して自動ドアを導入。
しかし、同じ回路に電子レンジやエアコンも接続されていたため、昼休み時に頻繁にブレーカーが落ちるというトラブルが発生。結果として、手動でのドア開閉や停電対策を迫られる事態に。
ケース3:夏と冬で動作に差が出る
これは意外と知られていない現象ですが、夏と冬で室温・湿度・気密圧力が変わると、同じ扉でも開閉抵抗が変化します。
冬場に寒さ対策でドアの密閉性を高めた結果、開くときに空気抵抗で扉が重くなり、低出力のモーターでは開ききらなくなったという例もあります。
ケース4:定格外使用による保証対象外トラブル
施工後に扉の材質や構造を変更したことが原因で、仕様を上回る重さとなり、その後のモーター故障がメーカー保証の対象外になる事例も。
自動ドアは、製品ごとに**定格条件(出力・重量・開閉頻度)**が明確に決められており、そこから逸脱すると、不具合が起きても責任の所在があいまいになってしまいます。
まとめ:容量=“余裕”である
トラブルの多くは、「ギリギリの設計」から発生しています。
定格の“上限”で機器を使うのではなく、「+20〜30%の余裕をもって容量を確保する」という視点が、自動ドアの安定稼働と安全性を支える鍵となります。
建物別に見る、気をつけるべき容量要素(住宅・店舗・公共施設)
要点:
自動ドアに求められる「容量」は、建物の用途や利用者の数、使用環境によって異なります。一律ではなく、建物ごとの使い方に応じた容量設計が重要です。
住宅(戸建て・小規模集合住宅)
- ポイント:電源の確保と静音性
戸建て住宅で使われる自動ドアは、生活空間に隣接するため、静音性と省エネ性が重要です。
100Vの電源が既にある場所に後付け設置するケースが多いため、低消費電力・小型モーターが好まれます。
| 要素 | 選定の目安 |
|---|---|
| 消費電力 | 50〜70W前後 |
| 電源容量 | AC100V/1A以下 |
| 対応扉重量 | 〜50kg |
※とくに屋外玄関では、雨風の影響を受けやすく、開閉不良のリスクあり →「非電動方式(荷重式)」も候補に。
商業施設・店舗(コンビニ・飲食店・小売店)
- ポイント:開閉頻度と駆動耐久性
開閉回数が非常に多くなるため、出力だけでなく**定格開閉回数(耐久性能)**が重要。
「開けっぱなし」状態が多い業態では、開閉速度の調整機能やセンサーの切替も容量的配慮に入ります。
| 要素 | 選定の目安 |
|---|---|
| 消費電力 | 80〜120W |
| 電源容量 | AC100V/1〜1.5A |
| 対応扉重量 | 70〜100kg |
| 耐久性能 | 100万回開閉以上(目安) |
※厨房からの油・煙の影響などでセンサー誤作動 →メンテナンス頻度増 →容量に「余裕」が必要
医療・公共施設(病院・役所・福祉施設)
- ポイント:停電対策とバリアフリー対応
医療機関や役所では、停電時にも「安全にドアが開く」ことが求められます。
そのため、非常電源(UPS・自家発電)との連携が前提となるケースが多数。
また、車椅子やストレッチャーの通行に対応するため、開口部の広さ=駆動量も大きくなる傾向にあります。
| 要素 | 選定の目安 |
|---|---|
| 消費電力 | 100〜150W以上 |
| 電源容量 | AC200V機種も多い |
| 対応扉重量 | 100kg以上 |
| 開口幅 | 900mm以上/自動両引き戸も視野 |
※UPS運用時は「常時通電」「起動後に自動復帰」など、制御系仕様の確認も重要。
「建物ごとの容量の最適値」はマニュアルでは分からない
同じ建物種別でも、**動線の設計や扉の材質、出入口の方角(風の影響)**などにより、必要な容量は大きく異なります。
したがって、スペック比較だけで判断せず、「設計段階での現場ヒアリングと調整」が欠かせません。
容量の壁をこえる発想——「電気に依存しない自動ドア」という選択肢
要点:
「容量が足りない」「電源が引けない」「出力や重量の制限で選べない」——こうした課題を根本から解決するのが、電気を使わない自動ドアです。中でも「荷重式自動ドア」は、設計思想そのものを変える可能性を秘めています。
荷重式自動ドアとは?——Newtonドアの構造と仕組み
荷重式自動ドアとは、扉にかかる“人の重さ”や“物の荷重”をエネルギーとして、自動開閉を行う非電動のドアです。
代表例:Newtonプラス社が開発した「Newtonドア」
- 電源不要(電気容量ゼロ)
- 駆動部なし、故障リスク極小
- 開閉のタイミングは物理的な荷重により判断
- バリアフリー・省エネ・災害対応に強い
→ 人が「乗る」「通る」ことそのものがエネルギーになるため、モーターもセンサーも不要
容量を一切考えなくていい世界
Newtonドアのような荷重式自動ドアでは:
- 「何ボルト?」「何アンペア?」「何ワット?」という電源設計が不要
- 「扉の重さに耐えられるか?」というモーター選定も不要
- 停電時の開閉不良という不安が存在しない
つまり、容量という概念そのものから解放される選択肢と言えます。
「適ドア適所」の視点で考えるとき
すべての場所に荷重式が最適というわけではありません。
しかし、「人の出入りが限られ、静音性や災害対応が求められる場所」では、電動式より荷重式が適しているケースは多くあります。
| 用途 | 電動式が適する場合 | 荷重式が適する場合 |
|---|---|---|
| 商業施設 | 高頻度・自動化ニーズ大 | △(導線的に不向き) |
| 病院 | 自動化・衛生面で有利 | 非常時対応が強み |
| 戸建住宅 | 高機能要望がある場合 | 静音性・メンテ性優位 |
| 公共施設 | 停電対応・省エネ優先 | 高相性(BCP対応) |
容量に振り回されない設計のために
「どのくらいの容量が必要か?」を調べる前に、そもそも「容量を前提にしないドアは使えないのか?」と発想の転換をすることで、設計の自由度が格段に広がります。
とくに、
- 電気工事に制限がある建物
- 非常時の確実な開放が求められる施設
- メンテナンス性・長期耐久を重視する建築
においては、Newtonドアのような荷重式の導入検討は、設計上のリスク回避にもつながります。
【適ドア適所】にそった「まとめ」
「自動ドア 容量」という言葉の中には、実はさまざまな意味が混在しています。
単なる“スペック比較”にとどまらず、**どの建物に、どんな自動ドアを、どんな目的で使うのか?**という視点で考えることが、もっとも信頼できる選定基準になります。
その上で、「容量を選ぶ」ことに加えて、「容量を前提にしない」という視点——それが、Newtonドアが提示する「適ドア適所」の哲学です。
次に、出典と参考資料を一括で提示します。
【出典・参考資料】
- Newtonプラス社「Newtonドア」製品情報・構造資料
- 『Nドア FAQ』より、対応質量や出力に関するQ&A
- 『Nドア顧客セグメントと導入事例』より、用途別容量要件の実例
- 『Newtonドアの安全性検証とJIS規格整合性』より、規格上の容量定義と解説
- 『Nドア(チラシ)マンション・自治体』より、建物用途別の推奨導入条件
【荷重式自動ドア】Newtonドアの資料請求はこちらから→https://76auto.biz/newtonplus/registp/p-offer.htm
【荷重式自動ドア】NewtonドアのYoutubeチャンネルはこちらから→https://www.youtube.com/@newton_plus