「ユニバーサルデザインに配慮した建築を」と求められたとき、自動ドアの選定は意外と悩ましい問題です。

つい「電動式を選べばそれでよい」と考えてしまいがちですが、実は自動ドアには「荷重式」と呼ばれる電気を使わない方式も存在し、ユニバーサルデザインの観点では非常に相性の良いケースも多くあります。

本記事では、設計会社・設計担当者の立場から、ユニバーサルデザインに適した自動ドアをどのように選ぶべきか、その「判断軸」と「比較の視点」、そして「提案の根拠として説明できる選定理由」の整理まで徹底的に解説します。


目次(このページの内容)

ユニバーサルデザインにおける「自動ドア」の役割とは?

要点:ユニバーサルデザインの理念と、自動ドアに求められる本質的な役割を理解することが設計判断の出発点となります。


用語解説:バリアフリーとユニバーサルデザインの違い

まず基本に立ち返って、「ユニバーサルデザイン(UD)」とは何かを確認しておきましょう。

  • バリアフリー:高齢者や障がい者など、特定の人のために障壁を取り除く考え方。
  • ユニバーサルデザイン:年齢・性別・能力に関係なく、すべての人にとって使いやすいことを前提とした設計思想

つまりバリアフリーは「特定の人にとって支障がないようにする」ものであるのに対し、ユニバーサルデザインは「最初から誰もが自然に使いやすくなるように設計する」ことを目指しています。


自動ドアが果たす役割とは?

その観点で考えると、自動ドアには以下のような役割が求められます。

  • 移動の容易さ:手を使わずに開けられること。力の弱い人でもストレスなく通行できる。
  • 安全性:挟まれ事故や誤作動を防ぎ、すべての人に安心感を与える。
  • 視認性:視覚障害者や高齢者にも「ドアの存在」「開閉の動き」が伝わること。
  • 直感的な操作性:迷わず使えること。特別な案内や説明なしでも使えること。

つまり、自動ドアは「快適さを与える設備」ではなく、「誰にとっても使えるようにするための、建築の基盤機能」なのです。


想定される利用シーン

以下のような施設では、特にUD対応としての自動ドアの重要性が高まります。

利用施設ユーザー層自動ドアの役割
公共施設(市役所・図書館など)高齢者・障がい者・乳幼児連れなど多様誰でも安心して出入りできる環境をつくる
病院・福祉施設車椅子利用者、身体が不自由な方両手がふさがっていてもスムーズな通行
マンション・集合住宅居住者全般・子ども・高齢者自然に生活動線に溶け込む設計
商業施設・店舗老若男女すべての来訪者直感的な動線、使いやすさによる印象形成

法令・JIS基準・行政ガイドラインで定義されている内容は?

要点:ユニバーサルデザインに関わる設計者として、自動ドアの法的基準や行政のガイドラインは“説明責任を果たす根拠”として必須の知識です。


手がかりとなる主な基準

設計段階で自動ドアの採用を検討する際、以下のような公式基準を参照することが重要です。

種類名称主な内容
国家規格JIS A 4722(歩行者用自動ドアセットの安全性)挟まれ防止、障害物感知、開閉速度、非常時対応など
法令高齢者・障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(バリアフリー法)建物や施設におけるバリアフリー設備の義務と指針
行政基準建築物移動等円滑化基準(国交省)公共建築や集合住宅におけるバリアフリー構造の技術的基準
地方自治体各自治体のバリアフリー設計マニュアル地域ごとに求められる構造寸法や設備水準

これらは「法的義務」となる場合もあれば、「推奨」レベルのものもありますが、設計提案時には「何を参照しているか」を明示することが重要です。


よくある誤解:どこまでが義務で、どこからが任意?

設計者が混乱しやすいのが、「JISは法律なのか?」「行政ガイドラインは守らなければならないのか?」という点です。

  • JIS A 4722:あくまで規格であり、法的義務ではない。ただし、安全性担保の「参考基準」として実質的に準拠すべきもの。
  • バリアフリー法:公共施設・一定規模の集合住宅などには適用義務がある。
  • 移動等円滑化基準:バリアフリー法に基づき、建築確認の対象になることも。

したがって、「法的根拠」としての扱い方は、建物種別・用途・規模によって異なります。設計提案時には、これらの区別を明確にした上で根拠を提示する必要があります。


なぜ基準だけでは不十分なのか?

法令・規格は「最低限のライン」を示すに過ぎません。
ユニバーサルデザインにおいては、それを超えた「使いやすさ」「わかりやすさ」「自然な導線」の設計が求められます。

つまり、「JISに準拠しているから大丈夫」ではなく、「JIS+利用者視点」での判断が必要だということです。


設計者が本当に見るべき「UDに配慮した自動ドアの条件」とは?

要点:「基準に適合している」だけでは不十分。実際の利用シーンを想定したうえでの配慮が、設計者に求められる重要な視点です。


よくある勘違い:「自動ドア=便利で安全な設備」?

多くの設計者が、自動ドアを「安全で便利な設備」と思い込みがちです。
しかし、ユニバーサルデザインの視点では、単に「電動式でセンサー付きであればOK」というわけにはいきません。

実際には、使用者によって「使いやすさ」「安全性」の感じ方はまったく異なるため、それに配慮した細やかな設計が求められます。


自動ドアに求められるUD上の5つの配慮項目

以下に、設計者が自動ドアの選定時に意識すべき主な配慮事項を整理します。

配慮項目説明
① 視認性ドアの存在、開く方向・範囲、作動中の状態が視覚的にわかるか(透明ガラス、表示シール、照明)
② 作動感度小柄な人やゆっくりとした動きでも感知されるセンサー設定ができるか
③ 安全性(挟まれ・衝突防止)速度設定、障害物感知、安全表示、万一の際の停止装置など
④ 操作性一見して「どう使うか」が直感的にわかり、追加の案内や補助が不要であること
⑤ 情報提示聴覚・視覚に障害がある方にも配慮した警告音、表示灯、音声案内の有無

【使用者別】自動ドアに対する期待と注意点

自動ドアは、すべての人に同じように使われるとは限りません。
それぞれの使用者属性に応じて、設計時に想定すべき注意点を以下にまとめます。

使用者層設計時に配慮すべき点
高齢者動作がゆっくりでも反応する/センサー感度と開閉時間の調整
車椅子利用者開口幅/段差解消/開閉の静音性/ストッパー機構
視覚障害者ドアの存在が明確にわかる表示や音声/点字案内/音の出るセンサー
聴覚障害者開閉時の視認性(ランプ表示など)/避難時対応
乳幼児連れセンサー高さ/扉のスピード/指詰め対策
ベビーカー利用者両手がふさがっていてもスムーズに開くか、通行幅が十分か

現場での「実感値」を盛り込むことが重要

実際の現場では、「JISに準拠していても不便だった」という声があがることもあります。
これは多くの場合、「形式的な基準」ではなく、「実際の利用者の動作や感覚」を前提にした設計がされていないためです。

設計段階では、「使う人の動き」「その建物の使用頻度」「混雑の状況」など、リアルな状況をシミュレーションする視点が求められます。


電動式だけじゃない?荷重式(Newtonドア)という選択肢

要点:電気を使わない「荷重式自動ドア」は、ユニバーサルデザインにおける“新しい正解”になりうる選択肢です。


「荷重式」って何?どうやって動くの?

荷重式とは、床にかかる荷重(重さ)をセンサーとして活用し、自動で開くドアのことです。
電気・モーター・センサー類を一切使用せず、「人が乗ること」でドアを開閉させる構造になっています。

✅ 代表例:Newtonドア(Newtonプラス株式会社)
・機械式の重力応答メカニズムを利用
・停電・災害時でも完全に作動
・メンテナンス不要/電気代ゼロ


ユニバーサルデザイン的に「なぜ荷重式が優れている」のか?

荷重式は、電気式では実現しにくい**“本当の意味での使いやすさ”**を持っています。

視点荷重式の利点
利用者視点センサーを気にせず、ただ歩くだけで開く(とても直感的)
安全性センサーの誤作動や感知漏れが起きない(特に高齢者・小柄な人に効果的)
停電時通常通り作動。避難経路の確保に有利
静音性開閉音が非常に小さいため、病院や福祉施設に最適
維持管理電源・配線不要。ランニングコスト・修理負担が極めて少ない
環境配慮電力不使用でCO₂排出ゼロ。サステナブル設計にマッチ

荷重式の「盲点」もあわせて把握しておく

一方で、荷重式にも注意すべき点があります。

  • 床に敷設する荷重スイッチ(マット状の機構)が必要
  • 急激な動きや、踏み外しによる誤作動リスク(設計上の工夫で回避可能)
  • 大規模商業施設のような「常に通行が多い」場所には不向きな場合も

→ つまり、「どんな建物にも向いているわけではない」からこそ、「適ドア適所」の考え方が重要になります。


導入事例から見るUD的効果

公式資料によれば、荷重式Newtonドアは以下のような場面で実際に採用され、そのUD的利点が評価されています:

導入先採用理由(抜粋)
高齢者福祉施設(自治体)感知ミスのない安全な開閉/停電時にも安心
公営住宅エントランス電気配線不要で導入が容易/車椅子対応にも優れる
小規模マンションメンテナンスフリー/入居者の幅広い年齢層への配慮

設計段階で選定ミスを防ぐ「判断軸」とは?【適ドア適所】

要点:ユニバーサルデザインに適した自動ドアを選ぶには、製品の機能性よりも“場所と人に合っているか”という視点が必要です。それを可能にするのが「適ドア適所」という独自の判断軸です。


「適ドア適所」とは?

Newtonプラス社が提唱する「適ドア適所」とは、
建物の用途、利用者の属性、設置環境などに応じて最もふさわしい自動ドア方式を選ぶという判断フレームです。

✅ 重要なのは、「高機能=正解」ではなく「その場所に合っているか?」

この発想は、従来の「電動式=進化系、その他=旧式」という思い込みを打ち破り、UD的な最適選定を可能にします。


判断項目一覧:設計時に見るべき「5つの視点」

判断軸主な検討要素電動式向き荷重式向き(Newtonドア等)
建物種別商業施設/公共施設/住宅/医療施設多機能が求められる施設シンプルで使いやすさ重視の施設
使用者層高齢者/視覚障害者/乳幼児連れ/一般利用者混雑環境で多様な感知が必要静音性と直感操作が優先される場所
設置環境室内・屋外/通行頻度/空調影響人通りの多い場所/開閉管理したい場所中・少人数利用の場所/停電対策が重要な場所
維持管理メンテナンス体制/予算/設計自由度定期点検を前提とした高機能管理メンテ予算を抑えたい/施工制約がある場合
ライフサイクル設計長期運用性/更新しやすさ/改修負荷機器更新と連携設計が必要シンプルな構造で長期使用に有利

【方式別×用途別】自動ドア比較表

以下は、主な建物用途ごとに、電動式と荷重式(Newtonドア)の適正を整理した比較表です。

建物用途推奨方式理由
公共施設(役所・図書館)荷重式 or 電動式(混雑度による)静音・停電対策を重視するなら荷重式が有利
病院・福祉施設荷重式センサー誤動作リスクを避け、静かな動作が求められる
商業施設電動式多人数対応・高速開閉・自動管理が求められる
マンション荷重式(中小規模)コスト・運用性・耐久性からメリット大
小学校・保育施設荷重式(保護者出入口)安全性・誤作動防止・感覚的操作性に優れる

設計者が判断に迷ったときの「使い分けの視点」

迷ったときは、以下の質問を自分に投げかけてみてください。

  1. このドアを使う人たちは、センサー式に「気づいて」使えるだろうか?
  2. 電気が止まったとき、この場所のドアは「開く必要」があるか?
  3. ドアを開閉することで「音」や「風」が問題になる場所か?
  4. メンテナンス契約を前提とした設備導入ができるか?
  5. 将来、設備更新や改修がしやすい構造になっているか?

設計者が施主や上司に説明できる「選定理由」のまとめ方

要点:「ユニバーサルデザインに適した自動ドア」として正しい提案をするには、機能の良し悪しではなく“なぜこの方式がふさわしいのか”を論理的に説明できるかが鍵になります。


選定理由の整理に必要な3つの視点

どの方式を選ぶにしても、設計者がプレゼンや提案書で押さえるべき選定理由の軸は、次の3点です:

視点内容
① 法的・制度的根拠JIS規格/バリアフリー法/行政ガイドラインなどとの整合性
② 利用者視点施設の利用者にとっての「使いやすさ・安全性・直感性」
③ 将来性・運用視点停電・老朽化・改修時の対応、維持管理の手間や費用も含む

これらをふまえて、「だからこの方式がこの場所には適している」というロジックを構築することが重要です。


使える!選定理由テンプレート

以下のテンプレートを活用すれば、施主や上司への説明が非常にスムーズになります。


選定理由テンプレート(例:荷重式 Newtonドアを採用する場合)

  • 選定方式:荷重式自動ドア(Newtonドア)
  • 選定理由
    1. 【制度的根拠】JIS A4722の安全性要件に準拠し、バリアフリー法に基づく建築物移動等円滑化基準にも適合。
    2. 【利用者視点】高齢者・視覚障害者などがセンサーに依存せず、自然な動作で確実に通行できる。
    3. 【将来性・運用性】停電時も作動するため災害対策に優れ、メンテナンス不要の構造により長期運用コストを低減可能。

このテンプレートは、他の方式(電動式など)にも応用可能です。大切なのは、「なぜこの場所にこの方式なのか?」が使用者の未来を想像したうえで構築されているかどうかです。


より納得される提案にするためのコツ

  • 視覚資料を併用する:利用者の動作を写真や図解で見せると説得力が高まる
  • 事例を引用する:他施設での導入事例を引き合いに出すと安心感を与えられる
  • リスクと対策も明記する:「この方式の懸念点は◯◯だが、こう対策する」と補足することで信頼を獲得できる

【適ドア適所】にそった「まとめ」


ユニバーサルデザインに適した自動ドアとは、特定の方式や最新のテクノロジーを指すのではありません。

その建物で使う人にとって、自然で使いやすく、安全で、未来を見越した構造になっているか。
その判断ができてこそ、設計者として本当に価値ある提案ができたといえます。


本記事の要点ふりかえり

  • 基準だけでなく、実際の使われ方に目を向けることが大切
  • 電動式以外にも、荷重式という優れた選択肢が存在する
  • 「適ドア適所」の視点を持つことで、迷わない判断が可能になる
  • 選定理由は「制度+利用者+将来性」の3軸で整理する

このようにして、設計者が納得して選べる、施主や上司にも伝えられる、そんな“現場で使える自動ドア選び”が実現します。

「何を選ぶか」ではなく、「なぜ、それを選ぶか?」
この問いに自信を持って答えられることが、設計力の証です。


【出典一覧・参考資料】

  • Newtonドア(Newtonプラス株式会社)公式資料
  • 「Newtonドアの安全性検証とJIS規格整合性」社内文書
  • 「NドアFAQ」および顧客セグメント別導入事例集
  • NABCO:JIS A 4722 自動ドアの安全基準特設ページ
  • 国土交通省:建築物移動等円滑化基準
  • 各自治体:バリアフリー設計マニュアル(例:横浜市、京都市など)

【荷重式自動ドア】Newtonドアの資料請求はこちらから→https://76auto.biz/newtonplus/registp/p-offer.htm

【荷重式自動ドア】NewtonドアのYoutubeチャンネルはこちらから→https://www.youtube.com/@newton_plus

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