自動ドアといえば、「商業施設の入り口にあるもの」「便利だけど贅沢な設備」そんな印象を持っている方も多いかもしれません。しかし、首長という立場に立つと、その認識は大きく変わります。特に自治体の公共施設では、「便利」以上に「安全性」「公平性」「災害対応」「維持性」など、住民全体の安心を支える視点が求められます。

この記事では、「自動ドアを導入・見直ししたい」と考えている首長・自治体職員の皆さまへ、製品選びの前に知っておくべき10の判断軸と、施設別の適正ドア選定の考え方をご紹介します。


自動ドアは「誰のため」に設置するのか?

Q: 住民のために設置するなら、どんな自動ドアが適しているのか?
A: 高齢者、障がい者、子ども、災害時に弱い人など、“配慮が必要な住民”を基準に考えることが必要です。


根拠:声なき住民のためにこそ、自動ドアの真価が問われる

多くの自治体で「バリアフリー化」が進められていますが、実はその根底にあるのは「誰でも使える」という“ユニバーサルデザイン”の考え方です。これはつまり、「体力や判断力に差がある住民にとっても、快適に、安全に利用できるか」が問われているということです。

たとえば、以下のような利用者が対象になります:

  • 杖を使って歩く高齢者
  • 両手がふさがっている保護者や買い物帰りの人
  • 車椅子利用者や介助者と一緒の方
  • 聴覚・視覚に障害のある方
  • 非常時(火災・停電時)に避難するすべての住民

こうした利用者にとって、手動ドアでは物理的にも心理的にも大きな負担となる場面が多く、また事故や怪我のリスクも高まります。**ドアの選定は、まさに「公共の入り口であるという責任」**を伴う選択なのです。


要点まとめ:

  • 自動ドアは「利便性」のためだけでなく、「安心・公平な利用」のためにある
  • 判断基準は“平均的な住民”ではなく、“配慮が必要な住民”を基準に置くべき
  • 首長としての役割は、「住民の声なき声」を政策に反映させること

「選んではいけない」自動ドアの共通点とは?

Q: 自動ドアなら何でもいいのでは?安くて見た目が良ければ十分?
A: 安価さやデザイン性だけを重視すると、結果的に住民の不満やトラブルを招くケースが多く見られます。


手順:ありがちな失敗パターンとその背景

自治体での設備投資では、「予算内におさめること」がまず大前提です。だからこそ、どうしても「一番安い機種」「施工費が少ない方式」を選びがちです。しかし、その結果として以下のような問題が発生することがあります:

  1. 設置後すぐに故障・誤作動が起きる
     → 安価なドアはセンサーやモーターの信頼性が低く、通行者に反応しない・急に閉まるなどの事故につながる。
  2. 開閉スピードが早すぎて高齢者が挟まれそうになる
     → 工場やオフィス用の高速自動ドアを転用した結果、住民にとって危険な存在に。
  3. 停電時にまったく開かない(避難できない)
     → 安全機構や非常時開放装置が備わっていない機種を選定した例。
  4. ドア形式が施設と合わず、風圧・段差・結露などで使いにくい
     → 設置環境や立地条件を無視した機種選定。
  5. 修理・部品交換のたびに高額な費用が発生する
     → 特殊な部品・機構を採用しており、自治体の予算では維持困難。

これらの問題は、すべて「選定時の判断軸の欠如」によるものです。「スペック表だけ」「見積もり金額だけ」で選ぶことは、長期的な信頼・満足度を損なう原因となります。


要点まとめ:

  • 安価・デザイン重視だけでは「公共の安全性」が損なわれる
  • 判断基準のない選定は、住民の安心や信頼を裏切る結果になる
  • 特に「災害対応」「高齢者対応」「メンテナンス性」が軽視されがちなので注意

自治体施設に本当に必要な「判断軸」とは?

Q: どんな基準で選べば、住民にとって本当に安心できるドアになるのか?
A: 安全性、災害対応、省エネ、メンテナンス性など、自治体ならではの10項目を総合判断する必要があります。


表:自動ドア選定の10の判断軸(自治体向け)

判断軸目的/重視点チェックポイント
① 安全性・規格適合事故防止・信頼性JIS A 4722準拠、挟み込み防止、補助センサー
② 利用者特性対応高齢者・障がい者緩やかな閉速度、低い検知位置、非接触操作
③ 災害・停電対応避難安全確保非常解放機構、停電時自動解錠、手動開閉可
④ 通行量対応力耐久性・連続使用高耐久モーター、連続開閉耐性、静音性
⑤ 建築設計との適合性空間・動線整合扉形式選定、開口寸法、開閉方向
⑥ 環境対応性屋外対応・気候変化防水・防塵・耐風設計、断熱・結露抑制
⑦ メンテナンス性維持・修理対応点検のしやすさ、部品供給、保守契約可否
⑧ 総ライフサイクルコスト導入費+維持費初期コストだけでなく、20年維持費を見積
⑨ エネルギー効率光熱費削減開閉時間制御、断熱構造、スマート制御
⑩ 心理的安心感・意匠性利用者の満足感視認性の高い表示、安全表示、開放感ある意匠

根拠:Newtonドアから得られる知見の応用

Newtonドアをはじめとする荷重式・非電動構造の製品は、特に以下の観点で自治体にフィットします:

  • 電気不要で停電時にも動作
  • 荷重式で“無理な力がかかると自然に止まる”構造
  • 構造がシンプルで故障が少なく、長寿命

これらは、災害対応・安全性・メンテナンス性・省エネ性という複数の軸に重なるメリットを持ち、上記判断軸の要件と高い整合性を持っています。


要点まとめ:

  • 自動ドア選びに必要なのは、製品スペックよりも「判断軸の体系化」
  • 10軸での総合判断が、住民の満足・事故防止・長期的コスト抑制につながる
  • Newtonドア的な発想=非電動・荷重式の設計は、災害多発時代にこそ再評価すべき選択肢

【施設別】住民にとって使いやすい自動ドアとは?

Q: 施設ごとに、最適な自動ドアの形式や仕様は異なるの?
A: はい。施設の用途・通行者属性・立地条件により、選ぶべきドア形式と仕様は明確に異なります。


表:施設種別 × 推奨仕様マトリクス

施設タイプ主な利用者推奨ドア形式重視すべき仕様
市役所・役場一般市民、障がい者、高齢者引き戸(多連)幅広開口/多方向センサー/低速開閉/手動解放
公民館・図書館高齢者、子ども、地域住民引き戸 or 荷重式ドア緩やかな開閉/補助センサー/結露対策
保健センター・診療所体調不良者、車椅子利用者非接触センサー付引き戸抗菌仕上げ/非接触センサー/断熱構造
高齢者福祉施設高齢者、介助者荷重式自動ドア開閉がゆっくり/障害物検知/視認性
学校施設子ども、教職員引き戸(小開口)斜め進入検知/無駄開閉防止/静音性
公共トイレ(多機能)高齢者、障がい者小型引き戸 or 自動開き戸狭所対応/開閉音低減/誤作動防止
公園・野外施設一般利用者、観光客防風対応引き戸防水構造/耐風設計/防塵対策
スポーツ施設・大ホール多人数、一時集中大開口引き戸 or 折戸開口幅確保/耐久モーター/避難対応

根拠:適ドア適所の原則

「適ドア適所」という考え方は、ドアの形式に得手不得手があることを前提としています。

たとえば…

  • 引き戸は通行がスムーズだが、風圧に弱い
  • 開き戸はシンプルだが、狭い通路では開閉が難しい
  • 荷重式は電源不要で安全だが、大開口には不向き

これを無視して「万能なドア」を探すのではなく、施設の性質に合わせて「最適な形式と仕様の組み合わせ」を導き出すことが、首長に求められるプロの判断です。


要点まとめ:

  • ドア形式の選定は、施設の「通行者の属性」と「使用環境」によって決まる
  • 荷重式や非電動構造は、特に福祉施設や災害対策が求められる施設に有効
  • 適ドア適所の原則に基づいた選定が、住民の満足度・事故防止・予算最適化につながる

自動ドアは「設置して終わり」ではない

Q: 自動ドアを導入した後も、首長や担当者が気をつけるべきことは?
A: 故障対応やメンテナンス体制が整っていないと、住民の信頼を損なう結果になります。


事例:保守体制が不十分だった自治体のトラブル

ある市では、公共トイレに設置した自動ドアが開閉しなくなる故障が続出。原因は、センサー部品の劣化でしたが、契約した業者がすでに撤退しており、交換部品の入手に数ヶ月を要しました。その間、トイレは「使用不可」の状態が続き、市民から苦情が殺到。新聞にも取り上げられ、施設のイメージダウンを招いたのです。

この事例から見えてくるのは、「導入時の価格」だけで判断したことによる長期的な信頼性の損失です。


根拠:長く安心して使える体制とは

自動ドアの運用には、以下の要素が揃って初めて「安心」が確保されます:

  1. 点検がしやすい設計であること
     → センサーやモーターの点検口が確保されており、簡単に確認・調整が可能
  2. 保守契約の選択肢があること
     → 地元業者との契約が可能か?全国対応の保守体制があるか?
  3. 部品供給が継続されること
     → 製造終了による“部品難民”にならない体制
  4. 異常時の対応スピードが早いこと
     → 通報から対応までのリードタイムが短いか?

これらは、単に「故障したら直せばいい」という問題ではなく、住民からの信頼や安全確保に直結する行政の責任でもあります。


要点まとめ:

  • 自動ドアの選定時には「導入後の維持体制」までセットで考える必要がある
  • 保守体制が弱い製品は、たとえ安くても結果的に「高くつく」
  • 「誰が点検するのか」「何年先まで維持できるのか」を見通した判断が求められる

住民の「安心感」を生む、首長の選択とは

Q: 最終的に、どんなプロセスで自動ドアを選べば、住民から信頼されるのか?
A: 「見た目」や「価格」ではなく、「選定理由と判断プロセス」が明確であることが、安心と信頼につながります。


手順:住民の納得と信頼を得る、選定プロセス10ステップ

  1. 目的の明確化
     → 施設の役割と利用者属性を定義(例:高齢者が多い=緩やかな開閉が必要)
  2. 利用環境の整理
     → 風圧、段差、通行頻度、電源環境などを調査
  3. 判断軸の確認
     → 本記事で紹介した「10の判断軸」を自治体内で確認・整理
  4. ドア形式の選定(適ドア適所)
     → 引き戸・折戸・開き戸・荷重式などから適形式を選択
  5. 対応可能なメーカー・方式の調査
     → 自治体規模に合う保守体制、全国対応可否などを確認
  6. 予算シミュレーション
     → 導入費+20年運用費での総コストを比較(初期安でも維持費が高ければ意味なし)
  7. 安全規格・法令対応の確認
     → JIS A 4722や建築基準法、消防法などに適合しているか
  8. 住民の意見聴取(必要に応じて)
     → 使用感のヒアリングや、福祉団体などからの意見収集
  9. 最終選定と説明責任の準備
     → 住民説明会などで「なぜこのドアを選んだか」を言語化できる状態にする
  10. 運用・保守体制の確立
     → 保守契約、異常時連絡体制、修繕計画を整備

根拠:透明性と説明責任が行政に求められている

住民は、「いいドアがついた」ことよりも、「自分たちの安全を考えてくれている」と感じられるプロセスに安心を覚えます。

  • 事故が起きたときに、誰がどう対応するか決まっている
  • 設置後も長く安心して使える
  • 税金が有効に使われたと納得できる

こうした“見えない安心”を実現できるかが、首長のリーダーシップの真価です。


要点まとめ:

  • 自動ドア選定は「製品選び」ではなく「公共設備の意思決定プロセス」
  • 透明性のある選定は、住民の納得と信頼につながる
  • 「選んだ理由」を明確にし、共有できる状態をゴールとすることが重要

【適ドア適所】にそった「まとめ」

公共施設の自動ドアは、「どの製品が一番いいか」ではなく、「どの施設に、どの形式が、どの住民にとって最適か」を軸に選ぶべきです。これが【適ドア適所】の原則です。

首長が住民の安心を第一に考えるなら、以下の3点を軸にした選定が必要です:

  1. 誰にとっての安心か(=高齢者・障がい者・子どもなどへの対応)
  2. どんな状況でも動くか(=災害時や停電時への対応)
  3. 長く使い続けられるか(=メンテナンス・部品供給・保守体制)

そのうえで、「施設ごとに違う使われ方」に合わせて、適切な形式と仕様を判断することで、住民の満足と、行政の説明責任が両立します。

安易に「安いから」「おすすめされたから」で決めず、“判断軸”を明確にし、住民の生活に根ざした設備を選ぶ。それが、首長としての信頼をつくる選択です。


出典・参考資料

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